手形割引とは?メリットやデメリット、利用の流れをわかりやすく解説

資金調達・融資
手形割引のメリット・デメリットを理解し、約束手形を早期現金化することで資金調達を完了するビジネスマンの手元

この記事では、手形割引の仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説します。また、手形割引を利用する流れや、売掛債権を活用した他の資金調達方法も紹介します。

資金繰りに不安を感じている方や、資金繰りの悪化に備え知識を持っておきたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 手形割引の仕組みを押さえておくことで、資金繰りが必要になったときに慌てずに対応できるようになる
  • 手形割引のメリットとデメリットを知り、納得のうえでサービスを利用できる
  • 売掛債権を活用した他の資金調達方法を知ることで、自社に合った方法を選択できるようになる

目次

手形割引の仕組み

手形割引とは、自社が保有する約束手形を期日前に銀行または手形割引業者に買い取ってもらうことで、早期に現金化できる手段のことです。

約束手形は、書面に記載された期日が到来した後に現金化が可能になります。約束手形の期日は、通常60日以内で設定されます。場合によっては、現金化までの間に資金繰りが苦しくなるケースもあるでしょう。

約束手形の期日よりも前に資金が必要になったときに、約束手形を金融機関に持ち込んで現金化してもらうのが、手形割引の仕組みです。

手形割引と同様に売掛債権を早期現金化できるサービスとして、ファクタリングがあります。ファクタリングと手形割引の大きな違いは、貸金業法の適用の有無と償還請求権の有無です。

手形割引は貸金業法が適用され、手数料の上限が15~20%(手形の金額によって異なる)と決まっています。一方、ファクタリングは貸金業法が適用外のため、手数料の上限はありません。

手形割引には、償還請求権があります。そのため、手形を振り出した企業の倒産などにより、手形が支払われないときには、手形割引の利用者が支払いをしなければなりません。ファクタリングには償還請求権がないため、取引先による債権の支払いが不能になっても、利用者による弁済は不要です。

売掛債権を利用した資金調達を実施する際は、それぞれのサービス内容を十分に理解したうえで、自社に合ったものを選びましょう。

手形割引のメリット

ここでは、手形割引のメリットを3つ解説します。

  • 資金繰りを改善できる
  • 現金調達までの日数が短い
  • 融資と比較して審査に通りやすい

それぞれを詳しく見ていきましょう。

資金繰りを改善できる

手形割引を利用するメリットのひとつが、資金繰りの改善が期待できることです。

手形割引を利用すれば、手元の現金が増えます。これにより、資金繰りの改善が期待できるでしょう。

緊急で現金が必要になったときや、人件費や設備投資のため急いでまとまった資金を用意しなければならないときには、手形割引の活用は選択肢となります。

現金調達までの日数が短い

現金調達までの日数が短い点も、手形割引のメリットです。

手形割引は、金融機関に持ち込んでから短い時間での現金化を目指せます。持ち込み先が銀行の場合、数日で現金化可能です。手形買取業者に持ち込んだ場合には、即日現金化ができるケースもあります。

銀行融資などの場合、現金を手元に用意できるまでに数か月かかる場合もあるでしょう。「できるだけ早くお金を用意したい」という場合、手形割引は検討したい資金調達方法のひとつでしょう。

融資と比較して審査に通りやすい

融資と比較して審査に通りやすい点も、手形割引のメリットのひとつです。

手形を買い取った金融機関は、振り出し先による支払いをもって資金を回収します。手形割引の実施で約束手形を発行した企業の審査が重視されるのは、このためです。一方、利用者の審査は、融資を受けるときほど厳しくは実施されません。

「経営状況や信用力が思わしくない」「起業からの日数が浅く実績の積み上げができていない」などの理由で融資を受けることが難しい場合は、手形割引の利用を検討しましょう。

手形割引のデメリットと注意点

手形割引には、下記の2つのデメリットと注意点もあります。

  • 割引手数料がかかる
  • 償還請求権がある

それぞれをしっかりと確認し、トラブルのない利用を目指しましょう。

割引手数料がかかる

手形割引を利用するには、割引手数料がかかります。そのため、手形割引により受け取れる金額は、手形の額面よりも少なくなる点に注意が必要です。

とくに、即日現金化に対応している手形割引業者は、割引手数料が高めに設定されるケースが多いことは覚えておきましょう。

手形割引を頻繁に利用すると、手数料の負担が増え、将来的な資金繰りに悪影響をおよぼすおそれがあります。手形割引は、現金の緊急性などを考え、慎重に利用することが重要です。

償還請求権がある

償還請求権がある点も、手形割引のデメリットにあげられます。

償還請求権とは、手形の資金が回収できなかったときに、利用者に資金の返済を求める権利のことです。金融機関に売却した手形が不渡りになると、調達した資金を返済しなければなりません。

返済のための資金を用意できない場合には、金融機関からの融資を検討したり、振り出し先に支払いを求めたりする必要が生じます。資金を調達できないと、連鎖倒産になるおそれもあることを覚えておきましょう。

手形割引を利用する流れ

手形割引は、下記の流れで利用します。

  • 取引する金融機関を選ぶ
  • 審査を受ける
  • 契約して入金を確認する

契約手順を事前に確認し、スムーズで不備のない資金調達を目指しましょう。

取引する金融機関を選ぶ

手形割引を利用するにはまず、取引する金融機関を選びます。手形割引の売却先は、大きく分けて銀行と手形買取業者の2つがあります。

それぞれの特徴を、下記で確認しましょう。

銀行手形買取業者
手数料買取業者よりも低め銀行よりも高め
審査買取業者よりも厳しめ銀行よりもゆるめ
現金化までの日数2~3日最短即日

素早い現金化を望むのであれば、手形買取業者が便利です。手数料を抑えたい場合は、銀行が適しているでしょう。それぞれの特徴を押さえたうえで、自社に合ったほうを選びましょう。

審査を受ける

手形割引の審査は、主に手形を発行した会社に対して実施されます。一方で、利用者の審査は融資ほど重視されません。

審査に必要な書類は、下記のとおりです。

  • 預金通帳
  • 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
  • 法人の印鑑証明書の写し(3か月以内に発行したもの)
  • 代表者の印鑑証明書の写し(3か月以内に発行したもの)
  • 実印
  • 登記事項証明書
  • 決算書
  • 税務申告書
  • 商業登記簿謄本の写し(3か月以内に発行したもの)

実際に必要な書類は、取引する金融機関によって異なります。事前に確認しておくとスムーズに手続きできるでしょう。

契約をし入金を確認する

審査に通り、提示された手数料などに納得したら契約を進めましょう。契約が完了したら、現金が入金されます。指定した口座に入金されるため、入金予定日に確認すると安心です。

金融機関によっては、契約時に手渡しで受け取れる場合もあります。できるだけ早く資金を手にしたいときは、手渡し可能な業者を選びましょう。

売掛債権の早期現金化なら『Airキャッシュ』も選択肢

売掛金を活用した現金調達であれば、株式会社リクルートが提供する『Airキャッシュ』も選択肢です。

Airキャッシュは、『Airペイ』や『じゃらんオンラインカード決済』で将来的に発生する売上をもとに、資金を提供するサービスです。手続きは2ステップで完了し、融資と異なり煩雑な審査は不要です。最短で翌日入金が可能なため、急な資金ニーズにも柔軟に対応できます。

Airキャッシュのサービスを詳しく見る

突発的な支払いには『請求書立替払いサービス』も選択肢

突発的な支払いの対応には、株式会社リクルートが提供する『請求書立替払いサービス』も選択肢となります。

請求書立替払いサービスは、利用者に代わり株式会社リクルートが請求書の支払いを立替えるサービスです。利用者は株式会社リクルートに対し、手持ちのクレジットカードを利用し、立替代金と手数料の支払いを行います。クレジットカードを利用することで、支払いを最大60日後ろ倒しできます。

急な請求書払いが必要になったときや、直ちに支払代金を用意するのが難しいときは、請求書立替払いサービスの利用を検討しましょう。

請求書立替払いサービスを詳しくみる

まとめ

手形割引とは、銀行や手形割引業者に約束手形を持ち込むことで、早期現金化をするサービスです。

融資と比較して審査がゆるい点や、最短即日で現金化ができるといったメリットがある一方で、手数料がかかる点や償還請求権が付いている点は、覚えておきましょう。

売掛債権を利用した資金調達方法には、手形割引のほか、ファクタリングやAirキャッシュがあります。また、急ぎでの支払いが必要なときは、請求書立替払いも便利です。

それぞれの違いをあらかじめ押さえておくことで、自社に合った方法でのスムーズな資金調達を実現しましょう。

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