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最大300万円の東京都の「創業助成事業」とは

東京都の起業家者向け補助金「創業助成事業」をご存知でしょうか? 東京都では、都内で起業する人を増やすため、起業家向けの補助金制度を設けています。最大300万円の補助が受けられるなど、うまく活用すれば、とても有利に起業できるこの制度。東京で起業予定の方、起業して間もない方は必ず知っておいたほうが良いでしょう。今回はこの創業助成事業について解説していきます。

この記事の目次

創業助成事業とは?

創業助成事業とは、東京都内で起業予定の方または起業して間もない方が受けられる可能性がある補助金です。補助事業対象期間は最長で2年間で、基本的には返済不要で最大300万円の助成が受けられます。創業期は家賃や人件費、設備や広告費などで多くのお金がかかります。これらの補助があると事業を軌道に乗せやすくなります。平成27年度から実施しており、年度に1回から2回の募集があります。

【補足】
特に自治体の補助・助成制度は、明確に決まった呼び方がないので、助成金とするか、補助金とするかは自治体や制度により異なります。東京創業助成は補助金の性質のもの(審査があるもの)なので、本記事では「補助金」と説明し、記事にもそのように記しています。 参考リンク:補助金と助成金の違いとは?

制度の概要

応募できる対象者や補助金額、対象期間、応募方法などを以下の通りです。

対象者

東京都内で起業する予定で準備中の方(都内での創業を具体的に計画している個人)、または起業して5年未満の方が対象です。具体的には、いままでは会社員で、新たにお金を出して事業を始める人や、新たに事業を始めて5年未満の人、代表歴が5年未満の人です。なお、個人事業主の法人成り(個人事業の法人化)の場合も対象になりますが、事業を始めて5年未満の計算は、個人事業主の開始時から計算されます。

補助対象期間

補助対象経費が使える期間は、交付決定(合格)から最長で2年間です。1年以上は事業を行う必要があります。

補助対象経費

起業家が主に必要とする次のような経費が補助金の対象になります。

賃借料
  • 事務所や店舗の家賃
  • 事務所や店舗で利用する備品のリース料
  • 業務で利用するサーバーのレンタル料など
従業員人件費
  • 正社員・パート・アルバイトの給与・賃金
広告費
  • Webサイトの構築費用
  • カタログやパンフレットの制作費用
  • Web広告の実施費用など
器具備品購入費
  • 机やパソコン、コピーなど業務に利用する器具備品(一式で1万円以上50万円未満のもの)
専門家指導費
  • 専門家のコンサルティング料など
産業財産権出願・導入費
  • 国内外の特許権、実用新案権、意匠権、商標権の出願
  • 他の事業者からの譲渡または実施許諾(ライセンス料を含みます)に要する経費

補助額

この補助金の補助金額上限は300万円です。

補助率

対象となる経費のうち、2/3が補助されます。

例えば、2年間のうちに、家賃と人件費で450万円以上使うと300万円がキャッシュバックされます。2年間で450万円ということは、月平均で約20万円を家賃や人件費で使う予定のある場合は、応募を検討したほうが良いかもしれません。

募集期間

例年4月中旬から下旬頃と10月中旬から下旬頃の2回です。(郵送での応募で当日消印有効です。合わせてWeb登録が必要です。)

申請手続き

申請手続きは次のような流れです。かなりの手間がかかるため、専門家のサポートを利用するのも一つの手です。

  1. 応募書類を作成し、東京都中小企業振興公社へ郵送します。応募は郵送のみで、約2週間ある応募期間内の消印で郵送します。
  2. 合わせて東京都中小企業振興公社のWebサイトでWeb登録を行います。
  3. まずは書類審査が行われます。書類審査の結果合格した場合は、審査員との面談審査が行われます。
  4. 総合審査の結果、合格した場合は交付決定通知が届きます。
  5. 交付決定通知をもらった後、申請した助成事業を進めます。
  6. 事業を進め1年後に中間検査を受けます。(中間検査は任意です。)
  7. 中間検査を受ける場合は中間報告を行います。
  8. 東京都中小企業振興公社にて中間報告の内容を検査します。
  9. 中間検査の結果、助成金額が査定され、助成金額が確定します。
  10. 助成金額の確定通知に基づき、請求書を発行し東京都中小企業振興公社に送ります。
  11. 助成金が振り込まれます。
  12. 事業開始から1年以上経過し、事業が完了したら完了報告を行います。
  13. 東京都中小企業振興公社にて完了報告の内容を検査します。
  14. 完了検査の結果、助成金額が査定され、助成金額が確定します。
  15. 助成金額の確定通知に基づき、請求書を発行し東京都中小企業振興公社に送ります。
  16. 助成金が振り込まれます。
  17. 助成事業の完了した年度の翌年度から5年間、年に1度のペースで東京都中小企業振興公社へ業績と状況を報告します。

応募書類

応募には次の書類を準備します。

  • 創業助成事業申請前確認書(指定書式)
  • 創業助成事業申請書(指定書式)
  • 説明資料(任意)
  • 確定申告書(直近2期分、法人は法人税確定申告書、個人事業主は所得税確定申告書、1期目の個人・法人は不要)
  • 履歴事項全部証明書(申請日より3ヶ月以内発行のもの、個人事業主は開業届の写し)
  • 印鑑証明書(申請日より3ヶ月以内発行のもの)
  • 定款の写し(法人の場合のみ)
  • 本人確認書の写し(運転免許証、パスポート、在留カードなど)
  • 要件確認書類(「特定創業支援事業」※2の証明書など)

応募要件を満たすには?

創業助成事業は、都内で起業準備中、または起業後5年未満なら誰でも応募できるものではありません。応募には一定の要件を満たす必要があります。要件を満たすには次のいずれかを行う必要があります

  • 東京都や自治体などで行っているインキュベーション施設(※1)に入居していること
  • 東京都が出資するベンチャー向けファンドから出資を受けていること
  • 都内の自治体で行っている特定創業支援事業(※2)を修了すること
  • 東京都の制度融資(「創業」)を受けていること
  • 「東京都女性・若者・シニア創業サポート事業」の融資を受けていること等

詳しくは東京都中小企業振興公社のWebサイトから募集要項をダウンロードし、「申請要件」のところをご確認ください。

要件を満たすための制度はいろいろありますが、東京都の制度融資(「創業」)と特定創業支援事業が他と比較して満たしやすいため、おすすめです。ただし、特定創業支援事業は自治体によっては、既に起業している起業家が受けられない場合がありますので、詳細は起業地の自治体にご確認ください。

【※1】 インキュベーション施設とは、東京都など自治体や民間団体がお金を出しつくった起業家が入居できる施設です。
【※2】 特定創業支援事業とは、各自治体にて用意している起業家支援制度です。創業セミナーや相談事業などを計4回、1ヶ月以上かけて行う必要があります。自治体により準備されている制度はまちまちです。セミナーは日程が決まっているため都合がつかなかった場合参加できず修了できませんが、相談事業であれば相談員と自分の都合が合えば良いため、比較的進めやすいです。

注意点

  1. 応募期間中に応募し、合格しなければ補助金はもらえません。補助金を受け取ることができるタイミングは、適切にお金を使ったあと、実績を報告して検査を通過したあとです。
  2. 受付期限を1日でも遅れると受け付けてもらえないため、早めに準備し期間内に応募しましょう。
  3. 応募するには、指定された融資制度や特定創業支援事業などで応募要件を満たしている必要があります。

まとめ

  • 創業助成事業は、都内で起業予定または起業して5年未満の人が対象となる
  • 家賃、人件費等で2年間に450万円使うと300万円が補助されるイメージである
  • 応募には、指定された融資を借りる、特定創業支援事業を修了するなど、要件を満たす必要がある

創業助成事業は、都内で起業する人に大変魅力的な制度です。主に家賃や人件費、広告費で月に20万円程度使う予定がある方は、応募を検討してみる価値ありです。応募要件を満たす必要があるので、まずは要件を満たしているか確認し、早めの準備を進めましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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