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源泉徴収票とは?発行目的や発行タイミングをチェック

源泉徴収票

会社員にとっての「源泉徴収票」は当たり前のように交付を受けるもので、普段意識するものではないかもしれません。しかし、店舗経営者として従業員に源泉徴収票を発行する立場になると、源泉徴収の目的やタイミング、どのようなときに発行すべきなのか詳しく知る必要が出てきます。
この記事では、源泉徴収を発行する立場である店舗経営者や店舗開業を予定している方に向けて、源泉徴収票の基礎知識や発行タイミングなどを解説します。

この記事の目次

源泉徴収とは?

源泉徴収とは年に一度の申告である確定申告の準備を簡単にするための制度です。

所得税は、所得者が自ら申告する「申告納税方式」を採用していますが、給与所得などの一定の所得については、支払者が毎月の給与から所得税を徴収して代理で国に納付することになっています。年に一度の申告手続きを毎月に分散することで、事務手続きを分散でき、徴収漏れを防ぐことができます。この仕組みを「源泉徴収制度」と呼びます。

源泉徴収における徴収額

源泉徴収では実際にいくら徴収するのでしょうか。基本的には「給与所得の源泉徴収税額表」に、給与金額と扶養親族の数をあてはめて算出することになります。一覧表になっていますので、ご自身の状況に合わせて算出してみてください。

国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和5年分)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2022/data/01-07.pdf

例)給与が25万円で扶養親族の数が0人の方の場合

源泉徴収税額表にあてはめると、源泉徴収税額は6,530円となり、給与から6,530円を徴収して、給与支払月の翌月10日に給与支払者が国に納付することになります。

源泉徴収税額表_給与が25万円で扶養親族数が0人の場合

源泉徴収の対象となるもの・ならないもの

源泉徴収が「個人」の確定申告手続きをスムーズにし、徴収漏れを防ぐものだとご説明しました。では従業員以外の個人相手に、交通費や仕入代金、外注費を支払った場合には源泉徴収が必要となるのでしょうか。

実は、従業員以外の個人への支払いは、すべて源泉徴収の対象にはなるわけではありません。源泉徴収の対象になるかどうかは、国税庁のWebサイトで確認することができます。

国税庁「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm )

源泉徴収の対象となる一般的な所得は下記のとおりです。

  • 原稿料やデザイン料、講演料などの報酬
  • 弁護士や税理士、社会保険労務士などの士業への報酬
  • その他報酬や契約金など

これらに該当しなければ源泉徴収の対象となりません。個人事業主に仕入代金(商品の代金)を支払ったとしても、源泉徴収する必要はありません。

ただし、交通費については注意が必要です。交通費は報酬に含まれるので、源泉徴収が必要となります。支払者が直接交通機関へ支払った場合は、報酬に含める必要がないため源泉徴収は不要となります。

源泉徴収票とは?

源泉徴収票には「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」などがあります。ここでは給与所得の源泉徴収票について解説します。

源泉徴収票は、その年の給与金額と源泉徴収された所得税額が記載されるものです。給与金額と所得税額だけではなく、生命保険料控除の金額や控除対象扶養親族などの「年末調整」の情報も記載され、どのような根拠で源泉徴収税額が計算されているのかが1枚の紙にまとまっています。

給与所得の源泉徴収票_記載内容

出典:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表」を加工(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/pdf/r02/23100051-01.pdf)

具体的な源泉徴収票の見方については下記の記事に詳しくまとめてあるので、ぜひ本記事とあわせてご覧ください。

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【完全解説】源泉徴収票の見方を図で解説~手取り税額や控除、還付金など疑問解決 | Airレジ マガジン (airregi.jp)

源泉徴収票はそもそもなぜ必要?

収入と納税を証明しなければならない場面で、源泉徴収票の提出が必要となることが多々あります。

それぞれの場面において、なぜ源泉徴収票が必要になるのか詳しくみていきましょう。

確定申告をするとき

確定申告では1年間の所得から納税額を算出します。給与以外の収入がある場合には、給与と他の収入をあわせた1年分の所得金額から納税額を算出します。この時、給与金額と源泉徴収税額を正しく確定申告書に記載するため、源泉徴収票が必要になります。

また、年の途中で退職し、年末までに転職をしていない方は年末調整を行なっていませんので、確定申告により源泉徴収税額を精算することになります。この場合もやはり源泉徴収票が必要になります。 

転職したとき

転職経験がある方は、転職先から前職分の源泉徴収票の提出を求められたことがあるかと思います。転職をした場合は転職先で年末調整を行うため、転職先の給与に前職分の給与を合算し、1年間の給与収入と源泉徴収税額を算出します。前職分の給与と源泉徴収税額を証明するために、源泉徴収票が必要になるわけです。

住宅ローンを組むとき

住宅ローンの審査では、「ローンを返済できるだけの収入があるか」「完済までの安定した返済能力があるか」をチェックされます。そのため住宅ローンを組むときには、必ずと言っていいほど源泉徴収票の提出を求められます。

賃貸借契約をするとき

賃貸物件を借りる際の入居審査では「家賃の支払い能力があるか」「入居後にトラブルを起こさないか」などをチェックされることになります。そのため、賃貸物件を借りる際にも源泉徴収票の提出が求められることがあります。

配偶者(特別)控除を受けるとき

合計所得金額が48万円以下の方については配偶者控除、48万円超133万円以下の方については配偶者特別控除を受けられます。配偶者(特別)控除を受けるためには、配偶者の合計所得金額を算出する必要があります。そのため、配偶者の源泉徴収票が必要になります。

源泉徴収票の発行タイミング

源泉徴収票はいつ、どのように発行するものなのでしょうか? 次は源泉徴収票の発行タイミングについて解説します。

年末調整の終了後

1年分の給与が確定したら年末調整を行い、1年分の源泉徴収税額を正しく算出することになります。源泉徴収票は従業員の1年間の収入と源泉徴収された税額を証明するものとなりますので、年末調整が終わったら源泉徴収票を必ず作成しましょう。

一般的には12月の給与計算を行う際に年末調整を行うため、12月の給与明細と一緒に源泉徴収票を渡すことになります。

従業員の退職時

従業員が退職した場合には、その年の1月から退職時までの給与と源泉徴収税額を集計し、その合計額を源泉徴収票に記載することになります。

源泉徴収票は、最後の給与明細と一緒に渡しましょう。転職先に提出したり、確定申告したりすることも考えられるため、渡し忘れがないよう気をつけてください。

従業員から発行依頼を受けたとき

年末調整が終わり源泉徴収票を交付したはずなのに、従業員が源泉徴収票を失くしてしまい、発行依頼を受けることがあります。源泉徴収票は従業員の収入を証明する大事な書類です。賃金台帳や年末調整の算出資料などはわかりやすいように整理しておき、発行依頼があったらすぐに発行できるようにしておきましょう。

まとめ

  • 源泉徴収とは給与や報酬の支払者が代理で所得税を国に納付する手続き
  • 源泉徴収の目的は納付手続きの簡略化と申告漏れを防止すること
  • 給与以外にも原稿料や弁護士報酬等を支払った場合は源泉徴収が必要
  • 年末調整後や従業員の退職後に源泉徴収票の発行が必要

社員時代には無意識に交付を受けていた源泉徴収票。記載内容や交付目的がおわかりいただけたかと思います。「源泉徴収」とネット検索すると、源泉徴収票の受け取り側の情報は多く出てきますが、源泉徴収票の発行側の情報はあまり多くは出てきません。本記事でまとめた発行者側の情報を、ぜひご参考にしていただけたら幸いです。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

片瀬陽平

片瀬 陽平(かたせ ようへい)税理士

JGA税理士法人(https://jga-tax.jp/)代表社員/税理士 1983年生まれ 東京都在住

税理士業界が変遷する中、国際ビジネスのみが残された最後の領域であると考え、税理士法人時代から国際ビジネスに長く携わる。国際ビジネスには日本と現地の両面性があり、現地に駐在しなければクライアントにベストプラクティスの提案ができないと考え、2012年にメキシコに渡り、現地コンサルティングファームの立ち上げを行う。メキシコ、タイ、インドネシアでの現地実務を経験した後、日本に帰国し、日本と各国の両面からクライアントをサポートしている。専門領域は、経営コンサルティング、インバウンド支援、国際税務コンサルティング、社内DX化など多岐にわたる。

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