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【軽減税率】内税方式の値札表示をどのタイミングで変えるべきか?

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

【軽減税率】内税方式の値札表示をどのタイミングで変えるべきか?

内税方式(税込価格)で値札を表示している小売業などのお店では、2019年10月1日から始まる消費税増税・軽減税率制度に合わせて対策を迫られています。そのまま増税になれば、売上も利益も下がります。どのように判断、決定していけばよいのでしょうか?

この記事の目次

値札で表示すべき内容が緩和されたことを知る

消費者(一般小売業のお客様)には「総額表示義務」と言って、このように表示しなければいけませんでした。

  • 10,800円(税込)
  • 10,800円(税抜価格10,000円)
  • 10,800円(うち消費税額等800円)

これがいわゆる「内税方式」の表示の仕方です。支払総額(10,800円)さえ表示されていればよく、「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても構いません。

「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(消費税転嫁法)」が2013年(平成25年)10月1日に改正の時に、「外税表示を時限的に認める」という内容も含まれていました。そうなるとこのような表記は合法になります。

  • 10,000円(税抜)
  • 10,000円+税
  • 10,000円+800円(税)

このような法改正は、消費税が10%に増税されるので、内税方式で増税後に総額が上がってしまうと、「値上げ」という誤解をお客様に与えないようにする配慮が伺えます。

しかし、法改正を知らないと「便乗値上げ」と誤解されてしまう可能性がありますので、何らかの対策をすべきです。

どれくらい売上・利益が減るのかを計算する

どれくらい売上・利益が減るのかを計算する

もしも今のまま内税方式にして、価格を据え置きにしてしまうとどれだけ売上が減り、利益も減るのかを例を挙げて計算してみます。

例えば、2,000円の福袋を販売してみます。どのように数字が変化するでしょうか。

 

【現在】
消費税が8%の場合

【消費増税後】
価格へ組み込んだ(価格転嫁した)場合
【消費増税後】(※1)
税込価格を据え置き(内税方式を継続して税込金額を同額に)した場合
売上額 2,000円(税抜) 2,000円(税抜) 1,964円(税抜)
売上額 2,160円(税込) 2,200円(税込) 2,160円(税込)
仕入額 1,500円     1,500円     1,500円    
粗利額 500円     500円     464円    

※1:現在と利益額の差を見るために、税込金額を同額に設定。

このように1個当たりの利益額が36円減少します。減少率は7.2%です。そして、消費税にあたる196円は2,200円で販売した時の消費税200円とくらべると4円しか変わりません。

つまり、利益額で36円減り、節税効果は4円でしかない、という結果になります。そのため、売上額自体も減ることになりますので、資金繰りも厳しくなってしまうのです。

値札表示を変更する前に考えておくべきこと

2019年10月1日から始まる消費税増税に合わせることとは違いますが、「そもそも」の考えとして、「価格設定は自由な経営判断」であるという原点に戻って考えてみるべきです。下記のような普段されていることを思い出してみましょう。

  • 商品ごとに価格を見直す
  • 価格変更時期を考える
  • 新商品を発売する

そして、周囲の競合店の価格も加味して決定していきます。例えば「おにぎり」を例にしてみます。

  • 主力商品の「鮭」「ツナマヨネーズ」は具の中身を10%増量して、価格も上げる
  • 朝の時間帯に強い「梅」「昆布」は早朝割引のタイムセールを実施し、販売数を伸ばす
  • 夜の時間帯はテイクアウトで「5個パック」を4個分の価格で売り、廃棄を減らす

このようなキャンペーンを企画し、実施する時に表示方法も変更するといった方法をとると良いでしょう。

タイミングよく表示方法を変更するには

キャンペーンなど施策の考え方は、「2019年10月1日をまたいで行える企画」を行うべきだと思います。同じキャンペーンを継続するだけではなく、第2弾、第3弾とストーリー性を持たせたキャンペーンを実施するのも良いでしょう。

例えば、下記のような段取りはいかがでしょうか。

  • 2019年8月1日から第1弾キャンペーン+ここで表示方法を変更する(告知もする)
  • 2019年9月1日から第2弾キャンペーン実施
  • 2019年10月1日から第3弾キャンペーン+価格表示を再度変更する

大切なポイントは「いきなり価格が上がった」とお客様に思わせないことです。

まとめ

  • 現在、税込表示(内税方式)の法律は緩和され、時限的に外税方式が認められている
  • 内税方式のまま2019年10月1日からの消費税増税を迎えるとどのくらい売上・利益が減るかを知る
  • 表示方法を変更するタイミングはお店で行うキャンペーンなどに合わせて段階的に行うと良い

お客様に正しい価格を知らせるべく行ってきたことは素晴らしいことです。さらに良いお店にするために、お客様の心理的負担を掛けないように工夫して2019年10月1日を迎えましょう。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

メールにて「軽減税率対策ツール」のダウンロードリンクをお送りします。

この記事を書いた人

植竹 剛(うえたけ つよし)氏

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

1971年、東京生まれ。株式会社チームのちから代表取締役。実家が菓子業で、4歳より接客を始める。大学卒業後、株式会社ロッテリア入社。店長を経て店舗経営コンサルティング企業へ転職。業績立て直し専門コンサルタントとして、100店舗以上を経験。人材による業績向上を提唱している。『「できる店長」と「ダメ店長」の習慣』(明日香出版社刊)、『店長養成道場』(日経BP社刊)を上梓。https://team-chikara.com/

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