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【軽減税率】買い控えの心理…売上減少リスクを回避するために

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

【軽減税率】買い控えの心理…売上減少リスクを回避するために

2019年10月1日より消費税が10%に増税されます。2014年4月1日に消費税が5%から8%に引き上げられた時に、「買い控え」と言われる現象が起こり、景気の冷え込みが心配されました。消費者・お客様が「高くなった=買わない」という心理にさせないために、どのような対策が必要でしょうか?

この記事の目次

お客様が買い控えする心理とは

消費税増税による、お客様が買い控える心理を少し分析してみましょう。

得ている所得額は変わらない、つまり「毎月使えるお金の上限額が消費税増税とは関係なく決まっている」方々にとっては「購入数」を減らすことで、増税対策をとります。これは、ある商品を購入する必要・不要の判断が「不要寄り」になったり、「我慢して不要と思わなければならない」という心理になることも想定されます。

そこで、本来は「買いたい」と思われているお客様に「買ってもいいんだ」と思っていただくことが、売上減少を回避するための基本的な考え方になります。

また、過去に行われた消費税増税後、商品価格などの違いにより期間の前後はありますが、お客様の心理で「新しい消費税率に慣れていく」という過程があったはずです。今回お伝えする内容は、他店よりも先んじて差別化を図る「チャンスをつかむ」ための、まさに「新税率に慣れてしまう前に行う対策」とも言い換えられます。

順を追ってご説明していきます。

売上減少対策(1)商品に役割をつけて来店動機を促進する

売上減少対策(1)商品に役割をつけて来店動機を促進する

商品を分類し、「役割」をつける

お店で販売されているものは飲食店や小売店では異なりますが、数十種類から数百種類ある各商品を役割ごとに分類してみましょう。商品の役割とは大きく分けて、「集客・来店動機につながる商品(≒ディスカウント商品)」「販売数の多い商品(≒生活必需品)」「値頃感がある商品(≒高付加価値商品)」の3つが挙げられます。

特にお客様は、「値頃感」を大切にします。言い換えれば、「価格に対する納得感」が生まれれば、商品を購入します。逆に全商品を一律に考え、原価率や利益率を同じにしてしまうと、商品によって値頃感は失われます。

集客・来店動機につながる商品
(≒ディスカウント商品)
「利益額・利益率」を下げてでも「来店客数」を確保・向上させるという役割を持っています。併せて、「売上減=客数減」を起こさせないようにするためでもあります。
販売数の多い商品
(≒生活必需品)
定番商品とも言われ、全売上の中で高い比率を担う役割を持っています。飲食料品であれば、主食であるご飯やパンなど毎日消費する商品は、取引先と仕入れ価格の交渉を続けていく必要があります。原価率を多少変化させ、キャンペーンなどの販売促進策を工夫して販売数の確保するようにします。
オリジナル商品
(≒高付加価値商品)
看板商品としてお店の代名詞になりうる役割を持っています。研究と開発を繰り返して、ようやく完成した商品です。他のお店では買えない商品であればなおさら、お客様はこの商品を求めて来店されます。多くの経費を投下して販売に至った商品は、利益率を多めに乗せても、問題ありません。

「役割」をお客様へ明確にお知らせする

お店側で各商品の役割を設定したあとは、その理由をお客様に訴えて、納得してもらえるかを確認する必要があります。お店の意志がお客様に伝わらずに販売が伸びないのか、単に値頃感がないのかを確認するためです。単に価格を下げるのではなく、「改良・努力」をアピールする方法を具体例で紹介します。

▼アピール例1:飲食店

「1杯108円(税込)のコーヒーが10月1日以降、2杯で210円(税込)に」
「自社の焙煎技術が向上し、さらに美味しくなりました。今まで掛かっていた半分の時間で焙煎できるようになったことで(余計になった人件費を)価格に還元できるようになりました!」

これは、お店の努力によって従前の品質以上になり、かつ原価率を下げることに成功したことをアピールしています。

▼アピール例1:小売店

「1斤216円(税込)の食パンが10月1日以降の毎週水曜日には、210円(税込)+スタンプ3倍に!」
「製粉メーカーとタッグを組んでさらに改良! 週4回以上召し上がる93%のお客様が「さらに美味しくなった」と好評価をいただいております!」

生活必需品のキャンペーン一例です。スタンプという販売促進活動と融合した策でもあります。このように、結果が伴うことで販売個数を増やして売上を確保する方法があります。

このようなアピール策を講じても販売数が伸び悩む場合は、単に値頃感がないということになります。そのような課題に当たるのは、「お客様が何においての値頃感を求めているのか」という視点やポイントがずれていることになります。このような場合には、常連客の方へヒアリングをしてみたり、アンケートを取ることで、お店側の視点とお客様側の視点の違いを把握した上で、再度アピールをしてみましょう。

売上減少対策(2)お客様の来店頻度を上げる

売上減少対策(2)お客様の来店頻度を上げる

次に、お客様の来店頻度を上げることを考えてみましょう。

例えば、お客様の心理のひとつでもある「消費税増税前の駆け込み需要(購入)」にフィットする商品を販売することが挙げられます。上記の来店動機を促進することと連動している部分もあります。

一般的なのは、お客様によるプリペイド(カード)の購入です。これは、消費税増税前の駆け込み需要に応えています。併せて、消費税増税後の商品の値付けのリニューアルをしたことが来店をもって認識してもらえます。

プリペイドカードシステムを導入していないお店でも実施は可能で、アナログでも十分です。例えば、紙のプリペイドカードを作り、使用した金額をマーカーペンなどで消していく方法で良いでしょう。

これは消費税増税後に起こる売上減に対する「売上としての原資の確保」と「再来店の促進」の両方を兼ねています。要するに「他店への流出」を抑えるためには有効策です。

売上減少対策(3)お店としての努力を姿勢として表す

売上減少対策(3)お店としての努力を姿勢として表す

いままでは「定量的」な内容が中心でしたが、お客様への配慮や従業員の立ち居振る舞いなどの「定性的」なことも確実にレベルアップをしておきたい内容です。

顧客心理として、ポジティブな内容に対して対価を支払うことは明白です。逆に何の対策もせず、10月1日から価格が上がるネガティブな状態だと、「便乗値上げ」などお店側の意図とは真逆の反応をされてしまう可能性が出てきてしまいます。

現状の状態よりもポジティブに上げた状態で、ネガティブな心理を中和してしまうような努力が必要ではないでしょうか。

このような場面を総点検しましょう。

  • 来店・退店時の挨拶と笑顔
  • テーブル上の汚れ(丁寧な作業)/陳列棚の崩れ(定期巡回頻度アップ)
  • トイレの清潔感

この3点は必須です。

このような内容はオーナーからのトップダウンだけでは限界があります。全員で共有して考えれば視野が広がり、さらに良いお店になっていく可能性があるからです。

まとめ

  • お客様の購買心理を読み、商品に役割を付け、買いやすい環境をつくることで買い控えを抑える
  • お客様の来店頻度にこだわり、新商品を開発する
  • お店としての努力を姿勢として、従業員全員で表す

顧客心理を深く読み取って、お店としての対策を立てるということはお店のオーナーも一消費者であるということを活用すれば良い結果につながりやすくなります。そして何よりも、従業員全員で話し合い、お客様にとって喜ばしいことは何かを考え続けるチームが作れれば、難局もクリアしていけることでしょう。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

メールにて「軽減税率対策ツール」のダウンロードリンクをお送りします。

この記事を書いた人

植竹 剛(うえたけ つよし)氏

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

1971年、東京生まれ。株式会社チームのちから代表取締役。実家が菓子業で、4歳より接客を始める。大学卒業後、株式会社ロッテリア入社。店長を経て店舗経営コンサルティング企業へ転職。業績立て直し専門コンサルタントとして、100店舗以上を経験。人材による業績向上を提唱している。『「できる店長」と「ダメ店長」の習慣』(明日香出版社刊)、『店長養成道場』(日経BP社刊)を上梓。https://team-chikara.com/

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