自分らしいお店づくりを応援する情報サイト

Airレジマガジン > 経営ノウハウ記事 > 【軽減税率】倒産はイヤ! 消費増税で資金繰りを悪化させない対策

【軽減税率】倒産はイヤ! 消費増税で資金繰りを悪化させない対策

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

【軽減税率】倒産はイヤ! 消費増税で資金繰りを悪化させない対策

2019年10月1日より消費税増税・軽減税率制度が始まります。お店の資金繰りは何よりも大切で、「お金は経営の血液」とも言われ、循環して初めてお店が成り立ちます。増税は、利益額が減るリスクとなります。手元に資金がない状態になると、最悪で黒字倒産にもなりかねません。どのように対策すべきなのでしょうか?

この記事の目次

消費税増税による資金繰り悪化の構造

消費税増税による資金繰り悪化の構造

消費税が8%から10%に増税されると、なぜ資金繰りが悪化しやすくなるのかを紐解いてみます。

消費税の比率が1.25倍に増える

まず単純なことですが、売上額は同じと仮定して、消費税が8%から10%に上がるということは、10 ÷ 8 = 1.25倍の消費税を納税する義務が発生します。販売価格をいきなり25%アップしたらお客様はびっくりされることでしょう。このくらい納税額の変化があることを認識しておきましょう。

原価率が上がる

次に「仕入れ」です。8%の消費税で購入していた原材料や商品が10%になった場合、購入金額が上がり、併せて販売商品の原価率が上がります。しかし、商品の品質を確保するために、やみくもに原価の安い原材料に切り替えるのは得策ではありません。この対策は後ほどお伝えします。

会計額は上がるが、売上増ではない

一方で、お客様からいただく会計額は8%から10%になりますので増加します。しかし、あくまでも会計額であり、売上増になっている訳ではありません。お店としての現預金額が増えたと錯覚をしてしまうこともあるでしょう。この勘違いが危ないのです。これは、本来運転資金などの融資を受けるべきタイミングが後送りになってしまう可能性があります。

原価が上がる、そして消費税分を含めた売上も上がるということは、納税額も上がるということです。そのことに気づかず、「納税すべき預金がない」という事態になることは避けなければなりません。

販売価格据え置きは「常に割り引き販売」をしていることになる

販売価格据え置きは「常に割り引き販売」をしていることになる

「うちのお店は頑張って消費税増税分をお客様には求めない」という決定をされているお店があるかもしれません。お店としての努力は素晴らしいことです。しかし、お客様が支払う金額が消費税増税前と変わらないということは、2%分を常に割り引き販売をしていることに気づくべきです。

原材料購入時の2%分を負担し、お客様が支払う代金の増税分まで負担をするということは、原価で2%、売上で2%の両方を負担することになります。

【例】500円(税抜)で仕入れた商品を1,000円(税抜)で販売する場合の計算

(1)現在 500円 × 1.08 = 540円(税込)
1,080円 − 540円 = 480円(粗利額400円 + 納税額80円)
(2)増税後 500円 × 1.10 = 550円(税込)
1,080円 − 550円 = 470円(粗利額370円 + 納税額100円)

このような単純な計算ですが、増税後は、粗利額が30円減り、納税額が20円増えるという構造になります。見かけ上は差額の10円分だけを納税すれば良いと思いがちですが、結果は違うことがおわかりいただけると思います。

現在の値札が総額表示の場合、10月1日より消費税増税分を乗せて価格を変更すると、お客様が勘違いをされ、便乗値上げではないかと思われてしまうかもしれませんので、段階的に何かの対策を立てて改善を実施しましょう。

使用用途に合わせた現預金管理をする(予算を立てる)

消費増税による資金繰りを悪化させないために、使用用途に合わせた現預金管理をしましょう。これは、単純なことです。消費税込みの売上を入金する銀行口座から、「(1)仕入れに使う費用」「(2)お店の経費として使う費用」「(3)納税するための費用」を分けて管理することです。このカンタンなことが、できていないケースが案外多くあります。

仕入れの際に、良い原材料や商品があった場合は、少々仕入れ値が高くても無理して購入する場合があると思います。これは、質の高いサービスを提供しようと努力しているお店のオーナーによく見られることです。ここで、「(1)仕入れに使う費用」を明確にしておけば、予算オーバーが続くと納税時に現金が不足してしまうことをイメージしておけるので、買い留まることができるはずです。

「(2)お店の経費として支払う費用」も予算を設定しましょう。予算オーバーの場合は何かしらの無駄・無理・ムラが潜んでいることが多いものです。

そうすれば、残りが「(3)納税するための費用」になるはずです。おおむね、年間売上+お預かりした消費税額に対して、最低10%の現預金は確保しておきたいところです。

まとめ

  • 消費税増税によってなぜ資金繰りが悪化する可能性があるのかの理由を知っておく
  • 安易に価格据え置きを実施するのは危険。原価率上昇と納税額増加の仕組みを知り、対策を立てる
  • 仕入れ・経費に予算を設けて現預金管理をする。

消費税増税に関する対策は、仕入れ先・お店・お客様の中で、お店が唯一改善できる要素を持っています。一方で、お客様は購入を抑えることでしか対策できません。いわば弱者とも言える顧客側に対してお店として努力をすることで、お店に本来の力が付いていきます。今回の消費税増税は、お店のすべてを総点検し、さらに良い商品を提供する方法はないかを考えるべきと暗示をしてくれています。お客様が喜ぶ商品を販売して、お店も儲かるようにしていきたいですね。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

メールにて「軽減税率対策ツール」のダウンロードリンクをお送りします。

この記事を書いた人

植竹 剛(うえたけ つよし)氏

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

1971年、東京生まれ。株式会社チームのちから代表取締役。実家が菓子業で、4歳より接客を始める。大学卒業後、株式会社ロッテリア入社。店長を経て店舗経営コンサルティング企業へ転職。業績立て直し専門コンサルタントとして、100店舗以上を経験。人材による業績向上を提唱している。『「できる店長」と「ダメ店長」の習慣』(明日香出版社刊)、『店長養成道場』(日経BP社刊)を上梓。https://team-chikara.com/

集客から会計、仕入れまで。お店の業務に役立つAirシリーズ。