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キャッシュレス・消費者還元事業とは? 活用方法や考え方を解説

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

キャッシュレス・消費者還元事業とは? 活用方法や考え方を解説

2019年度(2019年4月1日~2020年3月31日)において、政府は「キャッシュレス・消費者還元事業」として2,798億円を国会予算に盛り込みました。この大規模な事業はいったい何なのか、お店やお客様にとってのメリットは何なのかをまとめました。

この記事の目次

キャッシュレス・消費者還元事業の勘所(1) 消費者への還元

キャッシュレス・消費者還元事業の勘所(1) 消費者への還元

一般社団法人キャッシュレス推進協議会ホームページ「キャッシュレス・消費者還元事業」より一部抜粋。

キャッシュレス・消費者還元事業の中身は大きく分けて3つあります。その1つ目は「消費者への還元」です。

会計額の5%を還元! キャッシュレス決済に変えるお客様が増える

事業の名前にもある「消費者還元」は、まさしく2019年10月1日より消費税が増税になるにあたり、「消費低迷・景気後退」を抑えるために立ち上がりました。

2019年10月1日の消費税率引上げ後から9か月(2020年6月まで)の間、消費者がキャッシュレス決済手段を用いて中小・小規模の小売店・サービス業者・飲食店等で支払いを行った場合、決済金額の一部を消費者に還元する事業です。

このことから、時流に乗る意味でも、お店にキャッシュレス決済の仕組みがないのは不利になることがあります。消費者(お店にとってのお客様)へ会計額の5%を還元しようとしていますので、今までは現金主義だったお客様がキャッシュレス決済に支払方法を変えてくることが予想されます。

それでは次に、キャッシュレス決済用の端末にかかる費用についてをお伝えします。

キャッシュレス・消費者還元事業の勘所(2) 決済端末等の導入の補助

キャッシュレス・消費者還元事業の勘所(2) 決済端末等の導入の補助

2つ目は「決済端末等の導入の補助」です。

実は、今回を機会にキャッシュレス決済システムを導入するにあたって、条件次第ではお店が支払う費用は「実質0円」になる補助金制度もこの事業の中に含まれています。経済産業省は、次の内容を発表しています。

中小・小規模事業者がキャッシュレス決済を導入する際に、
必要な端末等導入費用の1/3を決済事業者が負担することを前提に、
残りの2/3を国が補助する

ただし、ここではお店の条件があり、「軽減税率の対象となる飲食料品等を販売していない事業者(お店)」としていますので、飲食店などは対象外になってしまいます。

一方で、飲食店などがキャッシュレス決済システムを導入したい場合、お店としてもう一つの補助金制度である「軽減税率対策補助金」でキャッシュレス決済システム導入に関する内容があります。こちらは1/4が自己負担となっていますので、違いを理解しておきましょう。

▼キャッシュレス決済端末等を導入する際の補助金

軽減税率対象品目を扱う場合 「軽減税率対策補助金」
軽減税率対象品目を扱わない場合 「軽減税率対策補助金」あるいは
「キャッシュレス・消費者還元事業」

軽減税率の対象になる商品を置いていないお店は、どちらの補助金を活用するかを「選択する」ことが必要になりますが、キャッシュレス・消費者還元事業の中の補助金制度を活用した方が良いことになります。

キャッシュレス・消費者還元事業の勘所(3) 決済手数料の補助

キャッシュレス・消費者還元事業の勘所(3) 決済手数料の補助

3つ目は「決済手数料の補助」です。

気になる手数料は3.25%以下

お店として気になるのは「手数料」です。クレジットカード決済でも同様の手数料を取られるのが嫌なので、現金だけの会計・精算をしているお店もたくさんあることでしょう。しかし政府は、下記の2点を決済のシステムを提供する企業に対して、お店が過度な負担とならないような条件を付けています。

  • 決済事業者(決済システム提供企業)は、当該中小・小規模事業者(お店)に課す加盟店手数料を3.25%以下にしておく必要がある
  • 補助にあたっては、決済システム提供企業がお店に提供するキャッシュレス決済のプランを提示し、その中から、中小・小規模事業者が自らに望ましいプランを選択させる

1店舗の飲食店を経営している場合での、クレジットカード決済に関する手数料は一般的に4~7%と言われていますので、3.25%以下ならばキャッシュレス決済を導入するハードルは下がります。クレジットカード決済であっても、QRコードなどの決済であれば最大7%から3.25%以下になります。

補助率は加盟店手数料の1/3(ただし期間中)

さらに、お店がキャッシュレス決済を行う際、決済システム提供企業に支払う加盟店手数料(3.25%以下)の1/3を、期間中(2019年10月1日~2020年6月)まで補助してくれます。

3.00%の手数料を支払うに際して、1.00%分を国が補助することになります。100万円分のキャッシュレス決済で、本来決済システム提供企業に3万円支払うところを、2万円で済むということになります。(実際は、手数料を差し引かれた売上が入金される)

ここで大切なのは、もちろん「期間」です。まず、政府や経済産業省が発表している期間は「2020年6月30日まで」、ではなく「2020年6月まで」なので6月の途中で補助が終了する場合も含めています。そして2020年7月1日以降は、この補助は打ち切られるか継続されるかは現在わかっていません。もし補助がなくなってからの売上と利益の計算をする中で、決済手数料が変わることによる計算もしっかり行うようにしましょう。

キャッシュレス決済を導入するメリット・デメリットを考える

キャッシュレス決済を導入するメリット・デメリットを考える

キャッシュレス決済の「初期導入コスト」に関しては、だいぶハードルが下がることは間違いありません。逆にこの事業が始まる前に導入してしまったお店は、ちょっと悔しいかもしれません。

ここで、お店として導入することによるメリットとデメリットを挙げてみます。

お店としてのメリット

  • 現金会計が減るので、お釣りを用意する手間が少なくなる
  • 会計に関する時間が短縮できる
  • 会計明細や履歴はスマートフォンで確認できるので、レシート発行の頻度が減る(時間・コスト両方の節約)
  • 会計履歴がデータ化され、売上管理などが楽になる
  • 現金を扱わないことで、会計後の手洗い頻度が減る・簡易化できる(レジキーの消毒作業は別途必要)
  • 会計ミスがなくなり、クレームが減る

このようにメリットが多くありますが、内容の多くは、時間や人件費などの「コストの節約」に集中しています。導入メリットの一つに「売上が上がる(可能性がある)」とお伝えしないのは、他店もQRコード決済システムを導入すれば、差別化要素はなくなってしまうからです。

お店としてのデメリット

  • お客様のスマートフォンがQRコード決済に反応せず、現金を持っていない場合の対処に時間が掛かる
  • クレジットカード決済と同様に3.25%前後の手数料が掛かる(中には手数料無料のものもある)
    → 会計額において、キャッシュレス決済比率が増えるほど、恒常的に売上に対して数%程度の減収(売上減)が予想される
  • 入金されるまでに時間が掛かる場合がある(中には翌日入金のものもある)

政府は「2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで増やす」という見解を出しています。そのまま、全売上の40%がキャッシュレス決済になった場合、現金会計と比較しても相当な額になります。

例えば、年間売上が1,000万円の場合を考えてみましょう。

 現金会計……そのまま1,000万円の売上
 キャッシュレス決済会計(手数料3.00%として)……1,000万円 × 0.97 = 970万円

この30万円分の差額をどのように考えるかです。QRコード決済システムを導入して、掛かる費用を販売促進費ととらえ、売上が3%以上向上させる対策を打ち出すよう努力をしていくべきです。

まとめ

  • キャッシュレス・消費者還元事業の内容には大きく3つの補助があることを理解する
  • 導入にあたっては、メリットとデメリットをよく考えて判断する必要がある

キャッシュレス・消費者還元事業は、お店としてのメリットとデメリットを考えて導入を検討すべきです。お客様の買い控えを抑えるために、時代の流れを読みつつ、変化への対応を求められていることは確かです。そもそもの商売での集客力を高めることで、このような決済方法への対応は、お客様の満足度をさらに上げることに貢献してくれることでしょう。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

メールにて「軽減税率対策ツール」のダウンロードリンクをお送りします。

この記事を書いた人

植竹 剛(うえたけ つよし)氏

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

1971年、東京生まれ。株式会社チームのちから代表取締役。実家が菓子業で、4歳より接客を始める。大学卒業後、株式会社ロッテリア入社。店長を経て店舗経営コンサルティング企業へ転職。業績立て直し専門コンサルタントとして、100店舗以上を経験。人材による業績向上を提唱している。『「できる店長」と「ダメ店長」の習慣』(明日香出版社刊)、『店長養成道場』(日経BP社刊)を上梓。https://team-chikara.com/

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