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支払調書っていつ必要になるの?書き方や発行のタイミングを解説

税務署に提出が義務づけられている書類の一つ、支払調書。しかしながら、その認知度はあまり高くないようです。支払調書を発行する必要があるとき、もしくは、支払調書を受け取ったときにあわてないよう、支払調書について確認しておきましょう。

この記事の目次

支払調書とは?

支払調書は「法定調書」の1つです。法定調書とは、「所得税法」「相続税法」「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定で、税務署に提出が義務づけられている資料のことをいいます。難しい法律名が出てきましたが、「適正に課税するために提出が義務づけられている書類」と理解しましょう。2020年1月現在では、60種類の法定調書があります。

ここでは、60種類のうちのいくつかを示します。

  1. 給与所得の源泉徴収票
  2. 退職所得の源泉徴収票
  3. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  4. 不動産の使用料等の支払調書
  5. 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  6. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

「支払調書」ということばに加えて、比較的よく知られている「源泉徴収票」ということばも出てきていますね。法定調書という共通点を持つ支払調書と源泉徴収票ですが、相違点もあります。

馴染みがない支払調書って?

支払調書とは「ある特定の支払いをした事業者が、その明細を記載し税務署に提出する書類」のことをいいます。

支払調書は、支払いを受けた人が正しく申告を行っているかどうかを確認するための書類です。支払いを受けても誰にも言わなければ、無申告(=申告をしない)で大丈夫だろうと考える人もいるかもしれませんが、脱税行為につながるその考えは許されません。支払いを行った人(法人)が「〇〇さんに○○円支払いました」と税務署へ知らせるわけですから、支払いを受けた人が黙っていても隠すことはできません。

そんな支払調書ですが、すべての支払いにおいて発行しなければいけないわけではありません(「支払調書を発行しなければいけないとき」については後述します)。したがって、支払調書は源泉徴収票とは異なり、確定申告書に添付する必要はありません。ときどき、「支払調書がなければ確定申告ができない」という方がいますが、それは誤りですので注意しましょう。

源泉徴収票とどこが違うの?

勤務している会社から源泉徴収票を受け取ったことはありませんか? これは「給与所得の源泉徴収票」と言います。また、会社を退職したときにも源泉徴収票を受け取ることがありますが、これは「退職所得の源泉徴収票」と言います。

「給与所得の源泉徴収票」をわかりやすいことばで言い換えると、「会社が従業員に1年間でいくら給料を支払ったか、そしていくら税金を徴収(会社はあくまでも従業員から預かってまとめて納付しているだけです)したかが記載されている用紙」というところでしょう。

一般的に会社では、11月から12月頃にかけて年末調整を行います。年末調整では所得税の過不足を計算し、その結果は源泉徴収票という形で示されます。

源泉徴収票は支払調書とは異なり、勤務している会社は、給与を受け取っている従業員に対して必ず発行しなければいけません。また、源泉徴収票を受け取った人が確定申告を行う場合には、源泉徴収票を確定申告書に添付する必要があります。源泉徴収票の発行忘れ・受け取り忘れがないように注意しましょう。

支払調書が必要になるときは?

前述のとおり、支払調書は、すべての支払いにおいて発行しなければいけないわけではありません。どのようなときに発行しなければいけないのでしょうか?

発行が必要になる場合は?

法人や源泉徴収義務のある個人事業主が、次のような支払いを行った場合に、税務署に支払調書を提出する必要があります。

(以下は一例)

  1. 報酬、料金、契約金及び賞金
    外交員報酬、税理士報酬など所得税法等の法律に規定されている報酬、料金、契約金及び賞金
  2. 不動産の使用料等
    不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の借受けの対価や不動産の上に存する権利の設定の対価
  3. 不動産等の譲受けの対価
    譲り受けた不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の対価
  4. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料
    不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の売買又は貸付けのあっせん手数料

支払調書の書き方

支払調書の作成方法は、毎年国税庁から発行される「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」で確認すると良いでしょう。すべての支払調書について記載されているわけではありませんが、前項で例示した内容のように、多くの人が提出する必要のある支払調書について記載されています。

用意するもの

  1. 支払調書
    用紙は、税務署から送付される他、国税庁のホームページに掲載されているファイルをダウンロードすることでも入手できます。
  2. 支払先の個人番号(マイナンバー)
    後述します。

支払調書の記入欄と内容

記入欄と記入内容は次のとおりです。

(「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の場合)

記入欄名称 記入内容
支払を受ける者 支払を受ける人の住所(居所)又は所在地、氏名(個人名)又は名称(法人名など)、マイナンバー又は法人番号
区分

報酬、料金等の区分

(例:原稿料、印税、弁護士報酬、税理士報酬、社会保険労務士報酬等)

細目

区分による

(例:書籍名、関与した事件名等)

支払金額 その年の確定した金額
源泉徴収税額 その年の源泉徴収税額
摘要

一定の場合に記入

(例:診療報酬のうち、家族診療分については家族の表示とその金額)

支払者 支払った人の住所(居所)又は所在地、氏名又は名称、電話番号、マイナンバー又は法人番号

提出方法 (提出先)

支払調書は所轄税務署へ提出しますが、その提出方法は3種類あります。

  1. 書面(定められた様式に記載)
  2. e-Tax(国税電子申告・納税システム)
  3. 光ディスク等(CD、DVD等)

これら3種類から選択することができます。

しかし2020年1月現在、提出枚数が一定の枚数を超える場合には、e-Taxもしくは光ディスク等による提出が義務化されています。電子化の流れは今後も拡大されると思われますので、制度の変更には十分ご注意ください。

書面で提出する場合には、特に事前の申請は必要ありません。書類を郵送もしくは持参します。これに対して、e-Taxで提出する場合には、電子証明書を取得した上で、「電子申告・納税等開始届出書」を事前に所轄税務署へ提出する必要があります。また、光ディスク等で提出する場合には、「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書」を事前に所轄税務署へ提出する必要があります。e-Taxや光ディスク等を利用する場合には、まず事前に申請を行いましょう。

注意すべきポイント

支払調書を作成するにあたり、誤りが発生しやすく注意が必要な点について解説します。

マイナンバーの取り扱いに注意

2016年に「社会保障・税番号制度」が導入されました。いわゆる「マイナンバー制度」です。制度の導入にあわせて、支払調書に個人番号(=マイナンバー)や法人番号を記載することが必要になりました。

支払調書へマイナンバーを記載するためには、まず相手のマイナンバーを知る必要があります。マイナンバーを教えてもらうときには、利用目的を明確にして本人に伝えることが義務付けられています。また、マイナンバーを知った後も、あらかじめ伝えた利用目的の範囲を超えることはできない等、制限事項もあります。

また、マイナンバーを教えてもらうときには、相手の本人確認が必要です。マイナンバーカードを提示してもらえば、マイナンバーと写真によって本人確認を行うことができます。しかし、マイナンバーカードは発行数が伸び悩んでいることから、通知カード、もしくはマイナンバーが記載された住民票を提示されることが多いでしょう。このときは、運転免許証やパスポート等の書類をあわせて提示してもらう必要があります。

マイナンバーの記載に注意

支払調書は支払いを行った事業者が税務署に提出する書類です。つまり、事業者は支払いを行った相手に対しては支払調書を交付する必要はありません。

しかしながら、事業者は、支払いを行った相手に対しても支払調書を交付するのが一般的になっています。法律的な義務はないのですが、交付する事業者の方が多いためか、事業者に対して「支払調書が交付されていない」という旨の問い合わせをされる方もいらっしゃるようです。

事業者が支払いを行った相手に交付しているのは、支払内容の確認、もしくは支払いを受けた側の確定申告が円滑に進むようにと配慮によるものです。支払調書の交付を希望するのは問題ありませんが、事業者の義務ではないことに注意しましょう。

消費税の取り扱いに注意

支払調書には、報酬にかかる消費税を含めた金額で記載します。そして、報酬を受ける人からの請求書に、報酬と消費税が明確に区分して記載されている場合には、消費税を含めない金額を記載とすることもできます。この場合は、消費税の金額を支払調書の摘要欄に記載します。

未払い分の取り扱いに注意

支払調書には、計算の締日となる12月31日現在で未払いになっている金額も含めます。実際に支払ったかどうかではなく、支払うことが確定していれば対象になるのです。支払調書において、未払い分については区分して記載するため、事前の準備段階でも区別して計算しておくと良いでしょう。

まとめ

  • 支払調書とは「ある特定の支払いをした事業者が、その明細を記載し税務署に提出する書類」のこと
  • 書き方は国税庁から発行される「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を参考に
  • 支払調書の提出方法は書面、e-Tax、光ディスク等(CD、DVD等)がある
  • 記載する必要のあるマイナンバーの取り扱いに注意

支払調書について解説してきました。支払調書には「適正に課税する」という目的があります。マイナンバー制度と支払調書により、申告と納税に関するチェックは今後ますます強化されると考えられます。今後の制度変更にも注意を払いつつ、正しい処理を行うようにしましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

上田 健介(うえだ けんすけ)行政書士

行政書士(特定行政書士、申請取次行政書士、著作権相談員)/ファイナンシャルプランナー(CFP®、1級FP技能士)/家族信託専門士/家族信託コーディネーター/相続診断士/相続診断協会パートナー事務所/ゆうちょ財団 金融教育支援員/認知症サポーター

学生時代からの夢であった北海道暮らしを実現するため、2008年、兵庫県から北海道に移住。民間企業で経理業務を担当する。その後、障がいを持つ双子の育児介護のために退職を決意。約2年間、育児介護に専念。次第に障がい児とその家族を支える仕事に就きたいとの思いを抱くようになり、育児介護専念期間中、行政書士とファイナンシャルプランナーの資格を取得した。現在は、障がい児のみならず、障がい者や高齢者とその家族に対し、将来のために今準備できることを中心にアドバイスをしている。http://uedakensuke.com/

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