GoogleとYahoo! 2大リスティング広告を徹底比較。選ぶポイントも解説
Webサイト上の検索結果画面に表示されるリスティング広告では、GoogleとYahoo!が2大媒体です。ユーザーが「知りたい」と思って検索したタイミングで「検索結果画面」にお店の広告が表示されるため、興味を引きやすくなります。本記事では、利用者(ユーザー)数が多いGoogleとYahoo!のリスティング広告について、概要や違い、それぞれどのようなお店におすすめなのかを解説していきます。
GoogleとYahoo!のリスティング広告の概要
リスティング広告は、「検索連動型広告」「検索広告」とも呼ばれ、検索エンジンでユーザーが知りたいキーワードを入力した際、テキスト形式で表示される広告のことを指します。
リスティング広告全体の中で、GoogleとYahoo!のリスティング広告は、合計90%以上のシェアを持ち、まさに2大媒体となっています。
リスティング広告は、クリック課金制であり、入札制(オークション)である、という特徴を持ちます。
クリック課金制は、広告のクリックで料金が発生する仕組みです。広告を実際に見たかどうかはわからない「表示」ではなく、広告を見た上での「アクション(クリック)」にもとづいて料金を支払うため、費用対効果は高いものになります。
入札制は、リスティング広告の掲載位置を決める仕組みです。キーワードごとに入札し、リアルタイムでの入札金額が高いほど、検索結果画面の上位に表示されやすくなります。キーワードごとに、公正に料金を調整する仕組みになっています。
Googleのリスティング広告とは
Googleの検索結果画面に表示される、「スポンサー」という言葉が上についているリンクがGoogleのリスティング広告です。
続いて広告以外の自然検索リンク※が10件程度並びます。その後も、「数件のリスティング広告の後に10件程度の自然検索リンク」という並びが繰り返されます。
※自然検索リンクの並び順はGoogle独自のルールに沿って決まります。オーガニックと呼ばれることもあります。
Yahoo!のリスティング広告とは
Yahoo!の検索結果画面に表示される、「スポンサー」という言葉が上に付くリンクがYahoo!のリスティング広告です。検索結果画面の最上部に数件表示され、ページ最下部にも表示されます。
GoogleとYahoo!のリスティング広告の違い
GoogleとYahoo!のリスティング広告について、その違いを見ていきます。
利用者(ユーザー)数の違い
GoogleとYahoo!それぞれの利用者数を比較すると、日本国内の利用シェアはGoogleの方が優位となっています。
Yahoo! | その他 | ||
---|---|---|---|
全体 | 76.62% | 14.29% | 9.09% |
パソコン | 71.94% | 17.28% | 10.78% |
スマホ | 80.61% | 18.04% | 1.35% |
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(出典:https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/all/japan/#monthly-202209-202309-bar)
ターゲティングの違い
GoogleとYahoo!のリスティング広告は、どちらも広告を配信する相手先を設定できます。これをターゲティングと言います。例えば、お店の商品・サービスが女性向けである場合、女性に限定して広告を配信することができます。
下記がターゲティング項目を比較した表です。Googleのリスティング広告の方が、より細かくターゲティングできることがわかります。
Google広告 | Yahoo!広告 | |
---|---|---|
年齢 | 〇 | × |
性別 | 〇 | × |
興味関心・習慣 | 〇 | × |
類似ユーザー | 〇 | × |
デバイス(パソコン/スマホ/タブレット) | 〇 | 〇 |
地域 | 〇 | 〇 |
曜日・時間帯 | 〇 | 〇 |
リマーケティング(リターゲティング)※ | 〇 | 〇 |
※リマーケティング(リターゲティング):過去にスポンサーのWebサイトを訪れたことのあるユーザーに対して、検索結果画面などで再度そのスポンサーの広告を表示する手法。
広告仕様の違い
リスティング広告の構成は下記となります。
表示URL、見出し(タイトル)、説明文には文字数の制限があります。Googleのリスティング広告もYahoo!のリスティング広告も、最大文字数は同じです。
概要 | Google広告 | Yahoo!広告 | |
---|---|---|---|
表示URL | 「リンク先URL」の語尾に表示されるテキスト | 15文字 | 15文字 |
見出し (タイトル) |
広告文の中で一番大きな文字で表示されるテキスト | 30文字 | 30文字 |
説明文 | 見出し(タイトル)下部に配置される説明文章のテキスト | 90文字 | 90文字 |
※文字は半角での文字数
使える文字などの入稿規定に関しては、括弧や句読点、ローマ数字などで細かな違いがあります。実際の制作にあたっては、入稿規定をよく読んで確認しましょう。
表示オプションの違い
Google広告とYahoo!広告には、それぞれ説明文の周辺に追加情報を加えることができる「広告表示オプション」があります。
Google広告とYahoo!広告とでは、主要な表示オプションは名称が異なるだけで同じように活用することができます。それぞれの表示オプションについて下表にまとめました。
Google広告 | Yahoo!広告 | 概要 |
---|---|---|
コールアウト表示オプション | テキスト補足オプション | リンクを付けない文字を設置できます |
サイトリンク表示オプション | クイックリンクオプション | 広告のリンク先とは別のリンク先を設置できます |
構造化スニペットオプション | カテゴリ補足オプション | 説明文に商品やサービスの特徴や情報を表示できます |
電話番号表示オプション | 電話番号オプション | 電話番号を表示できます |
価格表示オプション | ― | 商品・サービスと価格を一緒に表示できます |
プロモーション表示オプション | ― | 現在行っているセールなどの情報を表示できます |
レビュー表示オプション | ― | 第三者機関による評価、ユーザーからの評価を表示できます |
アプリリンク表示オプション | ― | アプリへのリンクを設置できます |
住所表示オプション | ― | 住所を表示できます |
リードフォーム表示オプション | ― | 入力フォームへのリンクを表示できます |
画像表示オプション | ― | 説明文の横に画像を表示できます |
アフィリエイト住所表示オプション | ― | 自社商品を販売している最寄りの店舗を表示できます |
広告表示オプションは、電話番号や住所など、主にユーザーにアクションを起こしてもらうための追加情報を提供します。Googleは種類が豊富なことがわかります。
配信先(掲載される場所)の違い
Googleのリスティング広告、Yahoo!のリスティング広告、いずれも、自社の表示だけではなく、それぞれの提携先の検索結果画面にも表示させています。
Google広告 | Yahoo!広告 |
---|---|
livedoor (ライブドア) |
Bing (ビング) |
BIGLOBE (ビッグローブ) |
excite (エキサイト) |
goo (グー) |
Vector (ベクター) |
OCN (オーシーエヌ) |
朝日新聞DIGITAL |
価格.com | Fresh eye (フレッシュアイ) |
通販系に強いWebサイト、アプリやニュースに強いWebサイトなど、それぞれの提携先にも特徴があります。「提携先にどんなWebサイトが含まれているか」という観点も、GoogleとYahoo!のどちらにリスティング広告を出すかを考えるポイントになります。
審査にかかる時間の違い
広告は法に反することなく、誤解を生まない内容・表現であることが求められます。そのために、広告を出稿する際は、規定に反した広告表現になっていないか審査を受ける必要があります。
この審査には一定の時間がかかりますが、Google広告はほとんどの場合1営業日以内で審査が終わります。一方Yahoo!は、3営業日程度かかります。
※内容によってはさらにかかる場合もあります
いずれの場合も、広告を出稿したいタイミングに間に合うように、余裕をもって準備を進めましょう。
Googleのリスティング広告のメリット・デメリット
Googleのリスティング広告のメリットとデメリットをまとめました。
Googleのリスティング広告のメリット
管理運用がラク
Google広告は、リスティング広告とディスプレイ広告で同じ広告管理画面を使いますので、操作も覚えやすく、管理運用が効率よくできます。
Googleアナリティクスと連携しやすい
Webサイトのアクセス解析ツールとして、多くのユーザーに使われているGoogleアナリティクスと、広告管理画面の該当箇所にチェックを入れるだけで連携できます。
連携すると、広告からお店のWebサイトに来たユーザーの行動をトータルに把握し分析できるようになります。例えば、広告から来たユーザーのWebサイトでの滞在時間が数秒しかない場合、「広告の内容とWebサイトの内容にギャップがあるために、離脱しやすいのではないか」と仮説を立て、分析できます。
細かいターゲティングが可能
Googleのリスティング広告では、デバイスや地域、時間帯以外にも、年齢や性別、そして興味・関心・習慣(アフィニティカテゴリ)でのターゲティングが可能です。この機能を活用すると、例えば「グルメ」「カフェの常連」「バー、ナイトライフ好き」といったカテゴリに入るユーザーに配信することもできます。
ターゲティングを詳細にすることで、CPA(Cost Per Acquisitionの略。顧客獲得単価。顧客一人を獲得するのにかかる費用)を抑えて広告を配信することができます。
広告審査が早い
Googleの広告審査はほとんどの場合1営業日以内に完了します。これにより、例えば「今月はもう少し売上を伸ばしたい」という時にすぐに広告を出したり、暑い日が続いた時に「これだけ暑いと、冷たい飲み物が欲しくなりませんか?」とタイムリーに広告表現を書き換えて、売上アップを狙うことができます。
Googleのリスティング広告のデメリット
クリック単価が高くなりがち
リスティング広告は入札制(オークション)でそのクリック単価がほぼ決まります。表示回数を増やすにはできるだけ高い入札額が有利です。
Googleのリスティング広告は出稿企業が多く入札競争が激しいので、クリック単価はYahoo!より高くなる傾向があります。
設定サポートがやや手薄
Googleは電話やLINEで担当者がサポートしてくれるものの、無料の設定代行サービスはありません。
初めてリスティング広告を出稿する人にとっては、その広告管理画面を見ても操作方法を難しく感じることがあると思います。お問い合わせをしながら自分で運用することになるため、カスタマーサポートの面ではやや手薄に感じられるかもしれません。
Yahoo!のリスティング広告のメリット・デメリット
続いて、Yahoo!のリスティング広告のメリット・デメリットを整理します。
Yahoo!のリスティング広告のメリット
有力な提携先のWebサイトに配信される
Yahoo!のリスティング広告は、Yahoo!だけではなく、Bingやエキサイト、朝日新聞DIGITAL、Vectorといった提携先のWebサイトにも広告が配信されます。
特にBingは、AI機能の実装で2023年からアクセスが急増している検索ポータルサイトです。AIを活用する感度の高い学生・ビジネスパーソンへの広告表示も期待できます。
クリック単価が比較的抑えられる
リスティング広告の表示回数は入札額に大きく左右されます。GoogleよりYahoo!の方が比較的競争は緩やかで、入札額は低い傾向にあります。
CPC(Cost Per Click。クリック単価)が低くなるため、同じ額の広告予算であればYahoo!の方がより多くのクリックを集められる可能性があります。
無料の設定サポートが充実
「リスティング広告を初めて行う」という人にとっては、サポート体制がしっかりしていることは心強いでしょう。
Yahoo!のリスティング広告は、無料の設定サービスが充実しています。例えば、ユーザーが検索するキーワードの選定から広告文の作成、入札価格の設定、広告管理ツールの設定まで、広告出稿の初期設定を代行してくれるサービスもあります。
Yahoo!のリスティング広告のデメリット
管理運用が煩雑になる
Yahoo!のリスティング広告とディスプレイ広告を同時に利用している場合、それぞれで広告管理画面が異なります。
複数の管理画面を使い分ける必要があるため、操作に慣れるのにも時間がかかり、管理運用も煩雑になります。
Googleアナリティクスとの連携が手間
お店のWebサイトにどれだけの人がどこから訪れたかという流入の計測や、ユーザーの動向分析ツールとしてGoogleアナリティクスを既に利用している場合、広告管理画面で個別に設定する必要があり、やや手間がかかります。
ターゲティングがやや粗い
Yahoo!のリスティング広告では、年齢や性別、興味関心別に広告を配信することはできません。
ターゲットを絞り込むための要素が少ないため、お店の商品・サービスを購入しないユーザーにも広告が配信される場合があるため、広告の効率は悪くなる可能性があります。
広告審査に時間がかかる
Yahoo!では、審査に約3営業日かかります。なるべく早く広告表現を変えたい場合、審査に時間がかかることが負担になるかもしれません。
Googleのリスティング広告がおすすめのケース
これまで紹介してきた特徴をもとに、Googleのリスティング広告への出稿が向いているケースを2つ紹介します。
多くのユーザーにアプローチしたいケース
Googleは、検索エンジンの利用シェアが高いため、「来店するお客様や購入可能性のあるお客様をできるだけ多くしたい、でも最初からGoogleとYahoo!の両方に広告出稿はできない」という場合、まずはGoogleのリスティング広告を利用することをおすすめします。
「買う人/買わない人」をはっきり区別できるケース
Googleのリスティング広告は、ターゲティング項目が多く、年齢や性別などでもターゲティングが可能です。商品・サービスを購入する人とそうでない人を明確に区別できる場合、Googleのリスティング広告を利用して、あらかじめターゲティングしてから配信することをおすすめします。
Yahoo!のリスティング広告がおすすめのケース
次は、Yahoo!のリスティング広告が向いている2つのケースを紹介します。
広告予算が少ないケース
Yahoo!のリスティング広告はGoogleよりもクリック単価が低い傾向にあります。そのため、同じ広告予算であれば、Yahoo!の方がより多くのクリックを集められる可能性が高いと考えられます。
クリックを集められれば、それだけ商品・サービスの詳細を知る人が多くなり、来店や購入といった成果が期待できます。
広告の初期設定などに自信のないケース
Yahoo!のリスティング広告は、広告配信の初期設定をすべて代行する無料サービスを用意しています。「リスティング広告を自力で行う」という人にとっては、サポート体制が充実しているため運用面での負担が軽くなります。
GoogleとYahoo!の併用がおすすめのケース
多くの人にお店の広告を見てもらい、効率の良い広告運用を望むのであればGoogleとYahoo!2つの媒体でリスティング広告を出すのがおすすめです。
GoogleとYahoo!のリスティング広告を併用するメリットは、主に2点あります。
- リーチ(広告を見る人)を最大限に広げられる
- 最適な配信調整(2つの媒体を利用した効率の良い配信)ができる
このメリットを踏まえ、併用がおすすめであるケースを下記にまとめました。
リーチを最大限に広げたいケース
検索エンジンの利用シェアは、GoogleとYahoo!を合わせると100%近い数字になります。GoogleとYahoo!のいずれかではなく、両方使ったほうがリーチは当然広くなります。
同じユーザーでも、Google Chrome(グーグルクローム)アプリでネットを見ている時の検索ではGoogleを使い、Yahoo!アプリでニュースを見ていてちょっと調べたい時の検索では、Yahoo!を利用します。併用することでリーチが増え、お店に集客できる可能性が高まります。
最適な配信調整に挑戦したいケース
GoogleやYahoo!の利用シェアやユーザー層の傾向を知ったとしても、お店の商品・サービスの実際の集客傾向は、実際に広告を出稿してみないとわかりません。
併用することでそれぞれのクリック数やクリック率などの実データが集まります。これを運用に活用すれば、広告の予算配分(GoogleとYahoo!の各々にどのくらいの広告予算をかけるか)がより適正化できます。
例えば、広告予算が月額10万円以上あり、広告運用に時間を充てられるようであれば、併用を検討することをおすすめします。
リスティング広告の出稿先を決める際のポイント
最後に、Googleのリスティング広告、Yahoo!のリスティング広告、出稿先を決める際のポイントをまとめます。考える際には次の2つの観点で検討しましょう。
リーチを優先させるかどうか
GoogleとYahoo!を併用すると、広告リーチは100%近くになり、理想的です。ただ、「同時に2つを併用するのは手間がかかり現実的ではない」という場合、検索エンジン利用シェアで優位なGoogleを選ぶのが良いでしょう。
コスト効率を優先させるかどうか
一般的に、GoogleよりもYahoo!の方がクリック単価を抑えられる傾向を踏まえると、同じ広告予算であればYahoo!の方が多くのクリックを集められるといえます。クリックの数が多いと、それだけ商品・サービスを知る人が増え、来店や購入の可能性が高まります。コスト効率を重視したい場合はYahoo!を選ぶのが良いでしょう。