リスティング広告の費用相場は?仕組みや予算の決め方&費用対効果を高めるコツを解説
GoogleやYahoo!などの検索結果画面の上部に表示されるリスティング広告。お店の広告を表示するにはどの程度の予算を用意すれば良いのでしょうか。この記事では、リスティング広告への出稿を考えている店舗経営者向けに、費用の相場や仕組み、広告予算の決め方、費用対効果を高めるコツなどを解説していきます。
リスティング広告の費用相場
リスティング広告は、クリックされた時点で費用が発生するクリック課金制です。インターネットユーザーが検索したキーワードに関連性の高い広告を表示させ、そしてクリックされることで初めて課金されるので、費用対効果が非常に高い広告と言われています。
リスティング広告にかかる費用には、広告出稿費と運用代行手数料の2つがあります。
広告出稿費は、リスティング広告を表示させる媒体元であるGoogleやYahoo!に、クリックされた数に応じて支払うものです。検索キーワードごとにその単価は異なりますが、安ければ1クリック数円、高いものだと500円近くかかるものもあります。
店舗の場合、1店舗あたり1日1,000円、1カ月3万円程度で始めるところが多いようです。広告を続けていくうちに、予算と成果の関係がわかってきますので、予算を増減して調整していきます。
運用代行手数料は、広告代理店に運用を依頼した場合に発生する費用です。広告出稿費の20%が一般的な相場ですが、広告出稿費が10万円以下などの少額の場合、月3万円などの最低金額が決められていることもあります。また、広告出稿費の最低金額5万円などを提示される場合もあります。
広告代理店に依頼せず、自店舗でリスティング広告の運用を実施する場合、運用代行手数料は発生しません。
少人数で経営している店舗であれば、リスティング広告を始める場合の大体の相場観としては下記を目安にすると良いでしょう。
- 広告代理店に依頼しない場合の費用相場:
広告出稿費のみで月3万円~10万円程度 - 広告代理店に依頼する場合の費用相場:
広告出稿費と運用代行手数料を合わせて月8万円程度~(※)
(※)「広告費8万円」の内訳は、広告出稿費の最低額5万円+運用代行手数料最低額3万円など。広告出稿費が大きい場合、その20%が運用代行手数料の相場
リスティング広告における費用の仕組み
リスティング広告への広告出稿費は、「クリック単価×クリック数」となりますが、1クリックあたりの単価は、掲載順位を決める「オークション制」で決定します。
このオークション制とは、同じ検索キーワードに対して、広告を出稿したい複数の企業が価格競争をして、より高い金額で入札した企業の広告を優先して検索結果画面に表示させる仕組みのことです。
例えば、「イタリアン 新橋」という検索キーワードで広告を表示させたい場合、その検索キーワードで広告を表示させようとする他社より高い額を入札すれば、検索結果画面の上位に広告が表示される確率が高まります。ただし、実際に媒体元となるGoogleやYahoo!が掲載する順位を決める際には、金額だけではなく「検索ユーザーのニーズを満たせそうなコンテンツか」という品質面も考慮されます。
入札額の相場は、検索キーワードの競争の激しさにより変わります。「和食 新宿」のような多くの人が検索しそうなキーワードより、「秋田料理 新宿三丁目」のような具体的なキーワードの方が競争する相手が少なく、相場は低くなる傾向があります。
リスティング広告の運用方法の選択肢とそれぞれの費用相場
リスティング広告は、広告を出稿した後も、効果を高めるために検索キーワードや文言を見直す運用が発生します。運用方法としては、広告代理店に依頼する、自店舗で運用するという2つの選択肢があり、さらに自店舗で運用する場合は、手動運用と自動化ツール運用の2つに分けられます。それぞれのメリット・デメリットと費用相場について解説します。
広告代理店に依頼する場合
広告運用を広告代理店に代行してもらう方法です。専門的な知識と豊富なノウハウを生かした運用が期待できます。
依頼側は、プロである代理店担当者からの質問に答えれば、運用方針づくりから、検索キーワードの選定や配信時間帯などの詳細な設定、広告クリエイティブの制作まで、ほぼすべての業務を代行してもらえます。
メリット |
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デメリット |
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費用相場 | 管理画面設定などの初期費用は3~10万円。月の広告費は8万円~(※) |
おすすめのケース |
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(※)費用相場補足:「広告費8万円」の内訳は、広告出稿費の最低額5万円+運用代行手数料最低額3万円など。広告出稿費が大きい場合、その20%が運用代行手数料の相場
自店舗で実施する場合
代理店に依頼せず、自店舗で広告運用を行う方法です。「インハウス」とも言います。
運用代行手数料がかからず、安価にできる半面、リスティング広告に関するありとあらゆることを自分たちで調べて学びながら運用していく必要があります。当初の費用対効果はどうしても低いものとなるでしょう。
メリット |
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デメリット |
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費用相場 | 広告出稿費のみ。広告予算は月数千円から |
おすすめのケース |
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自店舗で広告運用の自動化ツールを活用する場合
インハウスの中には、広告運用の自動化ツールを活用するという運用方法もあります。
広告運用の自動化ツールには、下記のような主な機能があります。
- 「どの検索キーワードで広告を出稿するか」といった初期設定
- 定めた広告予算内でおさまるように複数広告媒体間で出稿調整をする予算管理
- 効果の高い年齢層や時間帯のクリックを増やすために入札単価を調整する入札の最適化
- 効果に関するレポート作成
これらの機能を活用することで広告運用の作業負担を軽くし、ノウハウがなくてもある程度的確に広告を出稿することができるため、費用対効果の高さも期待できます。ツールの費用相場は月数千円から数万円と幅があるので、機能や料金など各社のサービス内容を吟味してツールを選ぶことをおすすめします。
メリット |
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デメリット |
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費用相場 | 広告出稿費に加え、ツール利用料として月数千円から数万円(※) |
おすすめのケース |
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(※)月額利用料が固定の場合と広告出稿費の5%などの割合で料金が決められる場合(最低金額の指定があるケースもある)など、料金体系はさまざま
リスティング広告費用の予算の決め方
リスティング広告にかける予算の決め方はいくつかあります。ここでは、総予算の大部分を占める広告出稿費を決めるにあたって、一般的な考え方とそれぞれのポイントについて解説します。
目標とする成果数から決める
1つ目は、目標とする成果数から決める方法です。
1日あるいは月間でどの程度の成果数を獲得したいのかを考えて予算を決めます。例えば、目標とする成果数が来店20件だったとします。これに対し、顧客獲得単価(CPA: Cost per Acquisition)を3,000円とした場合、「3,000円×20件=60,000円」を予算として運用します。
顧客獲得単価(CPA)を決めるときは、「新規の顧客を1人獲得するのに、払ってもいい金額」として決めるのが良いでしょう。例えば、1人が1回来店して500円の利益を出してくれて、10回来店するなら、5,000円の利益貢献となりますので、そのうち20%の1,000円をCPAとするというように考えます。
ここでは「20%」という例をあげましたが、利益(粗利)の中で何%を広告出稿費に回すのかは、利益配分の方針次第です。%の値はまずは仮置きし、その際のCPAの値を見ながら決めていきます。このとき、1円など現実的ではないほど少額にならないように注意しましょう。その後、実際に広告運用をしていきながら、%の値、つまりCPAの金額も見直していきます。
目標とする売上金額から決める
2つ目は、売上目標をもとに予算を設定する方法です。
この方法では、目標とする月間売上を決め、その際広告費が売上のどの程度を占めても良いのかを決めます。例えば、月間100万円の売上を目標に、広告費を売上の10%にする場合、予算は10万円となります。
ただし、売上が目標達成しなかった場合、広告費を多く使ってしまうことになります。広告運用を開始した後に、実際の売上状況を見ながら、広告出稿の増減を調整しましょう。
同業の予算相場から決める
3つ目は、同業の予算相場から予算を決める方法です。
予算規模は、業界・業態、売上規模、利益率などで異なります。広告代理店や同じ業界の経営者などに、自店舗と同業界・同業態で、同じような規模の他店舗の場合、いくら広告出稿費をかけているか予算の相場を聞き、参考にして決めるのも良いでしょう。
出せる金額から決める
4つ目は、「出せる金額から決める」という方法です。
リスティング広告は少額から広告出稿ができますので、「試しに、1カ月10万円でやってみよう」と、経営に負担をかけない範囲でチャレンジします。その後、広告運用をしながら徐々に予算を適正化していきましょう。
【コラム】広告運用をしながら効果を見直し費用を調整する
広告の予算を最適化するためには、最初に決めた仮説と広告出稿後の結果との違いを分析することが大切です。
広告出稿前に「こうかな?」という仮説を立て、実行し、結果を測定し、改善するPDCA(Plan-Do-Check-Action)を回して、検索キーワードの選定や効果的な広告クリエイティブの作成といった広告出稿のスキルを高めていきます。
このように、継続的な改善によって費用対効果を高め、徐々に予算を増やして本格的に広告出稿していくのが、一般的な成長の道筋です。
リスティング広告で費用対効果を高めるコツ
リスティング広告には、費用対効果を高めるコツがいくつかあります。具体的に、どのような点に重点を置けば良いかを見ていきましょう。
的確なキーワードを選定する
リスティング広告では、的確なキーワードを選定することがとても重要です。
検索キーワードには、商品・サービスへの関心の高いインターネットユーザーが検索で使いそうな言葉を設定します。ビッグワードと呼ばれるやや抽象的な言葉(例:イタリアン)より、地域や興味関心を示す具体的な言葉を組み合わせた言葉(例:「品川 イタリアン 夜景」)の方が、実際には購入や来店しない人のクリックを発生させず、費用対効果が高いものになります。
また、除外キーワードも積極的に活用しましょう。除外キーワードとは、「検索キーワード」と一緒に検索された際に、広告を表示させない語句を指します。例えば中華料理店において、「レシピ」「歴史」などを除外キーワードとして設定すれば、「中華料理 レシピ」「中華料理 歴史」などで検索した、飲食店を探してはいない人には広告を配信させず、費用対効果を高めることができます。
指名キーワードも選定しておきましょう。指名キーワードとは、店舗名や会社名、ブランド名といった固有名詞を指します。「○○商店」など、自分のお店の名前そのものであれば、競争がほぼなくクリック単価が安価で、検索結果画面の上位に広告が表示されやすいキーワードとなります。自分のお店を指名で探してくれた興味関心の高い人を、自社のWebサイトへ誘導することができるため、リスティング広告施策全体として費用対効果を高いものにできます。
ターゲティングを最適化する
ターゲティングとは、商品・サービスに関心が高そうなインターネットユーザーだけを狙って広告を配信することで、これを最適化することにより、リスティング広告の費用対効果を高めることができます。
具体的には、ターゲットとする見込み客の年齢、性別、興味関心、地域などを指定して、広告を表示する対象を絞り込みます(例:酒店の広告なら、成人だけに広告を配信する)。この指定により、来店につながらないクリックを軽減できます。
配信時間帯、曜日を最適化する
ターゲットとするインターネットユーザーが検索する可能性の高い時間帯や曜日を分析し、その時間帯だけに広告を配信することで、費用対効果を高めることができます。
例えば、仕事帰りのビジネスパーソンを呼び込みたい飲食店なら、平日の15時以降21時までの間だけに広告を配信すれば、全曜日24時間広告配信するより効率が良くなります。
効果的なタイトル・説明文を作成する
広告クリエイティブでは、検索ユーザーの注意を引き、興味関心を喚起するようなタイトルや説明文を作成することも大事なポイントです。
検索キーワードを使った検索ユーザーのニーズを考え、それに応えるようなタイトルを作成します。説明文はタイトルの補足として、商品・サービスのメリットや他商品との違いを表現するようにしましょう。
このとき、タイトルや説明文に検索キーワードを含めると、Googleのリスティング広告では説明文で、Yahoo!のリスティング広告ではタイトルと説明文の両方にて太字で強調表示され、より目立つようになります。また、「今だけ」「特別価格」などお得感や限定感のある表現を含めるのもおすすめです。
ランディングページを最適化する
リスティング広告をクリックした先のWebページをランディングページ(LP)と呼びます。検索ユーザーは、広告を見てランディングページを見るため、広告でアピールした内容とランディングページに記載されている内容が一致していないと不信感につながってしまいます。
また、商品・サービスの説明や登録方法などがわかりにくいと、せっかく訪問してくれた見込み客を逃がしてしまうことになります。広告を見た後の「もっと知りたい」というニーズを満たし、利便性を高めたランディングページを作成することが大切です。
広告ランクを上げる
リスティング広告で成果を上げるには、検索結果画面の広告スペースで、上位表示をさせることが重要です。掲載の順番は「広告ランク」というもので決まり、このランクは「入札単価」と「品質スコア」の掛け算で計算されます。
品質スコアは、広告が検索ユーザーのニーズにどれだけマッチしているかを示すスコアで、この品質スコアを上げるポイントは下記の2点です。
- 広告のクリック率を高める
クリック率を高めるために、検索キーワードに対して応えるようなタイトルを作成しましょう。さらに、説明文にも検索キーワードを入れることで関連性を示すと良いでしょう。 - 検索キーワードとランディングページの関連性を高める
広告をクリックした先のランディングページでも、検索キーワードとの関連性を高める必要があります。検索キーワードに応える文章をランディングページの上部に置くなど、関連性を示す工夫をしましょう。
参考記事