LPOとは?SEOやEFOとの違い・成果を改善するポイント
インターネット広告や自然検索経由でWebサイトに集客できていても、なかなかコンバージョンにつながらない…、という経験は多くの方がお持ちでしょう。さまざまな原因が想定されますが、中でも「ランディングページの改善」は成果に大きく影響します。
この記事ではランディングページの課題を解消して最適化する、LPOという手法のポイントや手順、よくある失敗例などを紹介します。
LP(ランディングページ)とは
「ランディングページ」「Landing Page(着地するページ)=LP」とは、広義ではサイトの中でユーザーが一番はじめにアクセスするページのことを指します。たとえば、検索エンジンの検索結果ページからサイトにアクセスした際、遷移先がWebサイトのトップページであれば、そのトップページがLP、サイトの店舗情報ページに飛んだのであれば、店舗情報ページがLPとなります。
広義のLPに対して、Webマーケティングにおける狭義のLPは、問い合わせや購入などのアクション(CV、コンバージョン)に結びつけることを目的とし、CVを獲得することに特化したさまざまな工夫が施されたページのことを指します。
企業や店舗のWeb広告、SNSやブログ投稿、メールなどのリンクをユーザーがクリックして次にアクセスするページとして用意します。サイト内でユーザーが一番はじめにアクセスするページ、という意味は広義のLPと重なりますが、ユーザーのアクション誘導に特化しているかどうかが異なります。
よく見かけるLPとしては、縦長の1ページレイアウトのものが挙げられます。1ページで完結していて、最終的に問い合わせや予約、購入などのアクションを引き起こすボタン(CTA: CALL・TO・ACTIONの略)に誘導する形が一般的です。LPの特徴としては、デザインがキャッチーである(目を引く、印象的である)こと、ほかページへのリンクがほとんどないこと、LPでアピールしたい商品・サービスのことだけが載っていて情報が限定されていることが挙げられます。
LPOとは
LPOとはLanding Page Optimization(ランディングページ最適化)の略で、LPのCVを増やし、CVR(コンバージョンレート、成約率)を上げるための施策のことで、主に狭義のLPを対象とします。
LPのアクセス分析や評価を行い、デザインやテキスト、構成をユーザーのニーズに合わせて最適化するのがLPOであり、LPの効果を高めるために必要な施策です。LPOは一度実施して終わり、というものではなく、継続的に検証・改善を繰り返しながら継続していくことで本来の効果を発揮します。
EFOとの違い
LPのページ全体の最適化を行うLPOに対して、EFOとはEntry Form Optimizationの略でエントリーフォーム最適化を意味し、申込フォームのみを改善します。
多くのLPの下部やリンク先には、申込フォーム(エントリーフォーム)が用意されていて、問い合わせや購入、予約などのためにユーザーに入力を促します。しかし、入力の途中で離脱してしまう(ページから離れてしまう、または、ページを閉じてしまう)ことが起こりうるのです。
これを防ぐために、不要な入力項目を省く、フリガナや住所などの自動入力アシストを用意する、見やすいコンパクトなデザインにする、エラー表示を設定するなど、ユーザー目線で入力フォームの使い勝手を検証するのがEFOです。
SEOとの違い
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で「検索エンジン最適化」を意味します。SEOはGoogleなど自然検索の検索結果ページで、自社のサイトやページが上位表示されることを目的に、ページの分析、検証、改善を行うことを指します。
ページが検索結果で上位表示されれば、自然検索経由の流入数やCVの向上が期待できます。SEOはユーザーが検索して探している情報をページ内に含めることが重要です。狭義のLPは制作者側がユーザーのアクションを促すために与えたい情報で構成するのに対し、SEOはユーザーが求める情報を主体に構成する必要があるため、SEOとLPOの両立は難しい場合も多いです。SEOは主に広義のLPに対して行う施策と考えてもよいでしょう。
LPを改善する6つのポイント
LPOを進める際、どのようなポイントに沿ってLPを改善すればいいのでしょうか。LP改善のための主要なポイント6つを具体的に紹介します。
1. ファーストビューに重要な要素が入っているか
ファーストビュー(First View)とは、ユーザーがページにアクセスした際、最初に表示される画面表示領域のことを指します。
ユーザーはファーストビューを見て、「自分が求める情報があるかどうか」「離脱するか下にスクロールするか」を数秒で判断しています。ページ下部に興味深い情報があったとしても、ファーストビューで「自分に関係ない」と思われたら、たちまち離脱してしまいます。
そのため、ファーストビューではサービスや製品を購入、導入した場合に顧客が得られるベネフィットをできるだけ具体的に表現し、自分に関係があることを一瞬で理解してもらう必要があります。
たとえば、化粧品なら「新社会人のための大人コスメ これひとつで基本がそろうスターターキットが最大50%OFF」、不動産リフォームなら「今年の冬はあったか部屋に!二重窓への交換が最安3万円&最短半日で取り付け」など、ターゲットを明確にし、ベネフィットも伝えます。具体的な数値や導入後の自分の姿や状況をイメージできるようなコピー、これに合わせたイメージや商品の画像があるといいでしょう。
2. ユーザー行動に則した構成になっているか
LPの構成が適切に整理されているかどうかは、LP改善の大きなポイントです。LPの最初から最後までストーリーがありスムーズに読み進められることと、「ユーザーが次にどのような情報を欲しているか」を考えて構成を組み立てることが重要です。
たとえば、LPの構成を「PASONAの法則」で整理することも一つの方法です。
- Problem:課題や悩みを提起し、関心を持ってもらう
- Affinity:問題提起したことをさらに深めて共感を得る
- Solution:問題の解決策、商品・サービスのメリットを示す
- Offer:商品・サービスの提案、導入方法
- Narrow down:ユーザーレビューなどで信頼感を持たせたり、「期間限定」「個数限定」などと特別感を演出したりして囲い込む
- Action:問い合わせ、予約、購入などのアクションを喚起する
このように上から下へと、ユーザーの求める情報を流れるように示すことで、行動してもらう自然な流れを作り出すことができます。PASONAの構成は一例であり、アピールしたい製品・サービスによって最適な構成は異なります。競合のLPを見て研究してみるのも一案です。
ほか、ヒートマップによるページ分析で構成を見直すのもよいでしょう。ヒートマップツールはユーザーが手を止めて注視している箇所を可視化することができます。ユーザーが手を止めた(スクロールを止めて滞在した)重要なコンテンツに厚みを持たせて目立つように配置したり、逆にユーザーの興味が薄い(スクロールされてスルーされた)コンテンツは削除したり、下部への移動を検討したりといった施策が考えられます。
3. 広告とLPのアピール内容が合致しているか
そもそもユーザーはどのような情報を求めてLPにアクセスしたのでしょうか?たとえばバナー広告で「価格の安さ」をアピールし、そこからLPに誘導するのであれば、LPでも「価格の安さ」を端的に表現する必要があります。逆に、たとえばSNS広告で「品質のよさ」をPRしていたのに、リンク先のLPでは品質にかかわる情報がほとんどない場合、ユーザーの興味に反することになり離脱を引き起こします。
このようにLPへと誘導した広告・投稿とLPの内容は常に同期させなければなりません。内容を変更するのなら、LPもLPへの誘導元となる広告・投稿も同時に変更しなくてはならないのです。
また、リスティング広告の場合は検索キーワード選びの段階で失敗してミスマッチが起こっている場合もありますので、LPで思うような効果が得られない場合はキーワード設定から見直すことも検討しましょう。
4. 流入経路が考慮されているか
ユーザーのモチベーションや属性はLPへの流入経路によっても異なるため、それぞれに合わせた訴求を行うべきでしょう。たとえば、リスティング広告経由で流入するユーザーは検索エンジンで商品名やカテゴリを調べるという能動的な行動をしている一方、ディスプレイ広告やSNS広告で流入するユーザーはネットサーフィンのなかで流れてきたバナーに興味を持ってクリックしたユーザーなので、リスティング広告のユーザーほど、商品への興味や知識は深くない場合があります。
前者の商品を知っている、または情報収集中のユーザーに対しては具体的な機能や価格、競合優位性を訴求すべきですが、後者のまだ商品自体の理解が浅いユーザーには、得られるベネフィットや商品を覚えてもらうための仕掛けが必要です。
広告以外にも、自然検索やX(旧Twitter)、LINEなどのSNSといった経路の種類によってもユーザーの属性は変わり、アピールすべき内容に変化が生じます。厳密に考えれば、それぞれに応じたLPを用意するべきではありますが、難しければ数パターンのLPを使いわけるといった対応が現実的でしょう。
5. ページの読み込み速度が適切か
ていねいに仕立てられたLPであっても、表示速度が遅い場合はユーザーエクスペリエンスを損ねることとなり、離脱を引き起こします。
Googleが無料提供している「Page Speed Insights」を使うと、PC・モバイルでの読み込み速度などのデータがわかりやすいスコアで評価され、改善策も提示されます。
表示速度アップのための施策としては、画像の最適化(画像のデータサイズを小さくする)、動画の埋め込み形式を見直す(動画をサーバーに直接置かない)、サイトのコードの最適化(HTML、CSS、JavaScriptなどを見直す)といった方法が挙げられます。
6. スマートフォンでも閲覧に問題がないか
2022年のインターネット利用率(個人)はスマートフォン71.2%、パソコン48.5%となっており、スマートフォンが優位です(総務省 令和5年版情報通信白書)。
LP制作においても昨今はスマートフォンやタブレット、PCなど、さまざまなデバイスで最適な表示がなされるレスポンシブデザインが主流となっています。情報収集はスマートフォンやタブレット、じっくりと閲覧して検討するときはパソコン、といった使い分けも考えられるので、どのデバイスからでも適切かつスムーズに表示されるよう配慮する必要があります。
デバイスを問わずスムーズに閲覧してもらうためには、画像で使用する文字を大きくする、適切な内部リンクを用いるといった方法が挙げられます。
LPOの6つの手順・検証方法
LPOは主に下記の6つのステップに沿って進めます。ステップごとに解説していきます。
- KPI・目標の指標を決める
- 情報収集、調査・分析する
- 仮説・施策を考案する
- 施策を実装する
- 効果を計測する
- PDCAサイクルを循環させる
1. KPI・目標の指標を決める
KPIとはKey Performance Indicator(重要業績評価指標)の略であり、LPOを考える際にはLP改善を評価するための主要な数値目標を指します。
広告の予算などにより流入数やコンバージョン数は変動するので、LPの一般的なKPIは、流入数におけるサービス登録完了数の割合といったコンバージョン率(CVR)に置くことが多いでしょう。KPIを設定する際には「CVRを月平均で1%アップさせる」など具体的な数値を掲げましょう。
たとえば「CVよりもまずは商材に興味を持ってもらい、認知を上げたい」という場合、KPIとして関連ページへの遷移数や読了率の向上を設定するなど、それぞれの目的に合わせたKPIを検討することが必要です。
2. 情報収集、調査・分析する
まず、現状のLPを制作した意図やターゲットを確認したり、データを収集したりして、サイトのコンディションを定性・定量観点で確認します。
- ●定性調査・分析
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- ユーザーテスト/ユーザーアンケート:ユーザーの商材に対する感想
- ペルソナの確認:LP制作時の想定ターゲット
- 競合調査:競合のLPの構成、競合優位性の分析
- 定性調査では、ペルソナ(Persona)と呼ばれる、ターゲットとするユーザー像を確認しましょう。ペルソナは性別や年齢、居住地、年収、趣味嗜好などが具体的に設定されているもので、担当者間で「誰に向けたLPなのか」という点で共通認識を持つことができます。LPの改善を行う際は「ペルソナはどう感じるか」とユーザー視点に立ち返って評価し、「このペルソナで良いのか」とターゲット設定が適切かを検討すべきでしょう。
- ●定量調査・分析
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- アクセス解析ツール/分析ツール:CV数、CVR、PV数、セッション数、離脱率、ユーザー属性、ユーザーのデバイス、ページの表示速度、など
- ヒートマップ分析:ユーザーが興味のある情報の調査、クリックされやすいCTA
- 現状のLPを定量的に分析するにはGoogle Analyticsなどの解析ツールを用います。ヒートマップツールや分析ツールを入れれば、より詳細な分析を行うことができるでしょう。
3. 仮説・施策を考案する
分析プロセスでLPの問題点を見つけ出し、取り組むべき優先順位を決めて、上位のものから仮説を立てて解決策を打ち出します。たとえば、「ファーストビューで離脱してしまっている」のであれば、下記のような仮説と施策が立てられます。
●デザインが、ペルソナであるカップル向けではなく女性向けになっているため、離脱している ⇒【対策】カップルの画像に変更
●広告バナーは安さ訴求なのに、ファーストビューのテキストはクオリティ訴求なので、離脱している ⇒【対策】安さを訴求するテキストに変更
ときには、情報の順番やテキスト変更だけではなく、ペルソナやアプローチの切り口自体が間違っていることもあります。さまざまな観点から複数の仮説を出しておくことが大切です。
4. 施策を実装する
LP改善について仮説を立てたら、効果が見込めそうなもの、予算や納期が合うものから実装して検証していきます。改善策を複数まとめて実装するのではなく、一つずつ実装して効果を測定すると知見の蓄積につながります。
「ファーストビューで離脱が多い」ケースであれば、まず表示スピードを確認して対策を実施したのちに効果を測定し、そのあとにファーストビューのテキスト・デザインの見直しに着手するなど、段階的に実装するといいでしょう。複数の対策を同時に行うと、改善されたときに「何が効果的だったのか」を特定できないのです。
5. 効果を計測する
LP改善の施策を実装したら、アクセス解析を行って効果を測定します。ABテストや多変量テスト(変化する箇所の組み合わせを変えるといった多パターンのテスト)を実施し、最も効果的な改善策を探していきましょう。
6. PDCAサイクルを循環させる
LPの改善は一度で終わるものではなく、継続的に実施してPDCAを回す必要があります。効果計測のあとは、2や3に戻って、次の施策の分析や仮説立てを行い、少しずつLPの完成度を高めていきましょう。
LPのページの質を上げていったとしても、マーケット環境やトレンド、ユーザー心理の変化などの外部要因によりコンバージョン率などの数値が悪化することもあります。常に分析を続けながら、時代の変化にも目を配り、広い視野を持ってLPの運用を行うことが理想的です。
LPOのよくある失敗例
「LPOに取り組んだが、思ったような効果が出ない」というケースは多々あります。ここでは、LPOにおけるよくある失敗例を4つ紹介します。
商材とLPがマッチしていない
一般的に高額商材やBtoB商材はLPで購入までに結びつけることは困難とされています。高額商材やBtoB商材は、意思決定者が複数いることが多い、時間をかけて比較検討されることが多いといった傾向があるためです。
これらのLPではCTAを購入ではなく無料会員登録や資料請求に設定する、再訪問を促す施策を実施するなど、見込み客を囲い込むフォローアップ営業を併用することである程度の効果が期待できます。
ペルソナの設定ができていない
LPを誰に向けて打ち出すかを決めるとき、ペルソナ(詳細な属性を仮定した典型的なユーザー像)を設定する必要があります。
ペルソナの設定では、「関西在住、30代、女性」といったあいまいなものではなく、「大阪府枚方市在住、32歳、女性、既婚、事務職の時短勤務、2歳の子持ち、好きな音楽はK-pop、月々の美容代2万円…」などと詳細に仮定していきます。これにより「ユーザーの求めるもの」が鮮明にイメージできるようになり、LP改善においても明確な施策が打ち出しやすくなります。
ペルソナ次第で、LPのデザインやカラー、テイスト、刺さる表現(テキスト、画像)が異なります。ペルソナ設定では多くの従業員、スタッフの意見をヒアリングするなど実態に即した人物像を描くことが求められます。
集客方法が適切ではない
LPOでLP改善を行ったとしても、集客方法が適切でなければCV向上にはつながりません。「ペルソナにアプローチできる集客方法は何か」を考え、SNS広告、リスティング広告(キーワード広告)、バナー広告、メールマーケティングなどの中からフィットするものを選んで使用することが必要です。
たとえば、「十分な顧客リストがすでにある」場合はメールマーケティング、「若い世代を中心に広く認知を取りたい」場合はSNS広告、「トレンド感のある検索キーワードにマッチする商材である」場合はリスティング広告、といった選択が考えられます。複数の集客方法で迷う場合は、一つずつ効果測定をしてみて比較するのも一つの方法です。
ページ内でストーリーが完結していない
LPOで重要なポイントとして、「LPに不必要なリンクを入れない」ということが挙げられます。不必要なリンクを設置するとそこでユーザーの集中力が途切れて離脱につながってしまいます。LPでは、できる限りページ内でストーリーを完結させ、途中離脱させないように気をつけましょう。もしLPでユーザーに伝えたい補足情報があれば、ページの下部に「参考情報」として載せるなどし、外へのリンクは極力置かないことです。