Yahoo!広告の種類と特徴・メリットデメリット
デジタル社会において、インターネットを活用した広告は、ターゲットに対して効果的にリーチできる手法のひとつです。なかでもYahoo!は日本人にとってなじみ深く、高い使用率をキープしています。そこで今回は、「Yahoo!広告」の種類や特徴、メリットやデメリットなどを解説します。
Yahoo!広告とは?
Yahoo!広告とは、Yahoo!JAPANに掲載ができる広告サービスのことです。大きく分けると「検索広告」と「ディスプレイ広告」の2種類があり、それぞれ掲載面やリーチできるターゲット層などが異なります。
「検索広告」ではYahoo!JAPANで検索を行った際の検索結果画面に広告を掲載することができ、「ディスプレイ広告」ではYahoo!JAPANが運営するさまざまなサイト、サービス、提携するサイトやサービスの画面上に広告を掲載することができます。
検索広告とディスプレイ広告の違いは、以下にて詳しく解説します。
1.検索広告(リスティング広告)
検索広告(リスティング広告)とは、ユーザーがYahoo!JAPANで指定のキーワードを検索したとき、設定した広告文を検索結果ページ上に表示させる広告のことを指します。広告文は、自然検索と同じように「タイトル」と「ディスクリプション」として表示されます。
どのキーワードで検索されたときに広告を表示させるかはこちらで指定することができ、自社サービスに関連するさまざまなキーワードのなかから、効果が出やすいものを選ぶことが重要となります。
2.ディスプレイ広告(YDA)
ディスプレイ広告(YDA)とは、Yahoo! JAPANの各サービスサイトやYahoo!と提携したパートナーサイトに表示させる広告のことを指します。Yahoo! Display Ad Networkの頭文字をとって「YDA広告」とも呼ばれます。
検索広告と異なるのは、広告が表示される場所だけではなく、「画像や動画を使用できる」ことです。具体的な商品イメージや企業ロゴなどを掲載し、認知を高めることも可能です。画像や動画とテキストを組み合わせることで、認知度向上だけではなく、クリックによる自社サイトへの誘引などの「行動」を促すことも期待できます。
3.Yahoo!コマースアド(YCA)
Yahoo!コマースアド(YCA)は、ディスプレイ広告の一種。一般的なディスプレイ広告(YDA)との違いは、その配信先です。「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」など、ショッピング系のサイトが広告の表示先になります。
通販モールなどを利用される購買意欲の高い方に向けてリーチできるとともに、新商品などのアイテム情報が、分析結果に基づいて対象となるユーザーへ表示されます。
Yahoo!広告の特徴
Yahoo!広告の最大の特徴は、広告の掲載場所が多く、出稿費用を自由に設定できる点にあります。特にディスプレイ広告では、商品やサービスに興味がありそうな性別や年齢層などにターゲットを絞って配信できますし、Yahoo!JAPANのみならず、Yahoo!の提携するさまざまなサイトでも広告が表示される仕組みとなっています。
Yahoo!広告の掲載場所一例
Yahoo!広告、なかでもディスプレイ広告の掲載先は主に以下のようなものがあります。
広告費用
Yahoo!広告では、クリック課金制を採用しているため、広告の表示自体には費用が発生しません。その代わり、「クリック」とついているように、1クリックに対して広告費用が発生します。
1回のクリックにかかるクリック単価を「CPC(Cost Per Click)」と呼びます。入札単価や1日の予算上限が設定できるため、想像以上に広告費用がかさむといった心配はありません。
Yahoo!広告のメリット
多くの企業がYahoo!広告を活用する最大の理由は、その圧倒的なPV、ユニークユーザー数だといえるでしょう。月間PVは約830億、月間アクティブユーザー数は約8,500万人。ユーザー属性としては、男性52%に対して女性48%、年齢層は男女ともにやや30代以上のユーザーが多いとされています。30代以下は男女ともに18%程度になっています。この広告メディアとしての地力に加えて、以下のメリットも無視することはできません。
予算配分がしやすい
Yahoo!広告の検索広告やディスプレイ広告は、数十円から数百円で広告掲載することが可能です。また、1クリックごとの上限額、月間の広告費の上限額を設定することができるため、想定以上の広告費用が発生することはありません。
また、検索広告については、もとから興味のないユーザーはクリックしないので、余計な広告費用がかかる心配もありません。予算をコントロールしやすく、経営の観点からもYahoo!広告は利便性が高いといえます。
広告出稿者へのサポートが手厚い
Yahoo!JAPANでは、国内検索サイト第2位の規模であることから、広告出稿者へのサポートも充実しています。
はじめてYahoo!広告を利用する方には「初期設定サポート」が用意されており、検索キーワードの選定から設定、Yahoo!広告に利用する文章の作成など、手厚いサポートが用意されています。また、「広告運用専用ダイヤル」も用意されており、疑問や質問に答えてくれるだけでなく、運用改善のサポートまで無料で相談可能となっています。
品質を重視した入札オークション
Yahoo!広告では、広告が掲載される際に「広告オークション」が行われ、「オークションランク」が高ければ、たとえ入札価格が低くても検索上位に表示されます。
オークションランクについては、「キーワードに設定した入札価格」以外にも、「過去のクリック率」や「ランディングページのクオリティ」、そして「クエリとの関連性」などで算出されます。つまり、入札価格も重要ですが、それよりもクリック先のランディングページの質が良いこと、広告文が検索キーワードとより関連があるかどうかなどが重要視されています。
つまり、品質が高いサイトであればあるほど、このシステムはメリットになるでしょう。
Yahoo!広告のデメリット
Yahoo!広告は、予算配分しやすい点、膨大なユーザーにターゲティングした上でリーチできる点など、魅力的なメリットがあります。しかし、利用する上で気をつけるべきポイントやデメリットもあります。それらを把握しておくことも重要です。
Googleと比べると使用できる機能が少ない
Yahoo!広告では、検索広告にて電話番号や住所などの補足が付けられる「広告表示オプション」、出稿する際の検索キーワードの選定をサポートしてくれる「キーワードアドバイスツール」、複数の地域で営業または販売している場合に自動で地域名などを変更してくれる「キーワード自動挿入機能」などがあります。しかしながら、Google広告のほうが、おおよそ2倍ほど機能が多く、充実しているといえるでしょう。
広告運用には知識が必要
Yahoo!広告の運用にとどまりませんが、インターネット広告の運用には、少なからず専門知識が求められます。Yahoo!広告がいかに優れたマーケティングツールだとしても、使いこなせなければ意味がありません。広告運用に対する知識だけではなく、Yahoo!広告で利用できる広告の種類やメリット、そしてオプションとして利用できる機能面についても把握しておく必要があります。
代理店やコンサルタントなどの助けを借りること、アウトソーシングすることも可能ですが、一定の知識は不可欠だといえます。
制作費・広告費がかかる
Yahoo!広告でも特にディスプレイ広告(YDA)を利用する場合には、広告として使用する画像や動画の作成が必要です。この画像または動画のクオリティ次第で効果も大きく異なります。
画像や動画の作成では、基本的に専門家へ外注するケースが多く、作成には数万円かかることも珍しくありません。Yahoo!広告を運用する上で、広告掲載にかかる費用以外にも、画像や動画を作成する制作費も用意しておく必要があります。
審査が厳しい
Yahoo!広告に限らず、広告では景品表示法をはじめとする、さまざまな法律や規定を守った上で掲載する必要があります。そのため、Yahoo!広告を掲載する前に、Yahoo!JAPANによる事前審査が行われます。
一般的にYahoo!広告については、Google広告よりも少し審査が厳しい傾向にあり、特に医薬品や化粧品については、薬機法も影響するため、広告文だけではなく、リンク先のランディングページも審査基準になっています。
Google広告との違い
比較されることの多い「Yahoo!広告」と「Google広告」ですが、大きく異なる点が5つあります。Google広告とYahoo!広告のどちらに掲載するのがより効果的か、両方活用する場合はどう差別化するかといった点を判断するためにも、この違いは把握しておきましょう。
広告の掲載先
Google広告では、Googleはもちろんのこと、提携するあらゆるサイトやネットワークで広告が掲載されます。下記以外でもGoogle AdSenseに登録しているサイトであれば、個人サイトであっても広告表示することが可能です。
【Yahoo!広告とGoogle広告の掲載場所 比較】
Yahoo!広告 | Google広告 | |
---|---|---|
主要表示先 |
朝日新聞 読売新聞 毎日新聞 LINE BuzzFeed クックパッド デイリースポーツ ダイヤモンド・オンライン 東洋経済オンライン goo スポニチ スポーツ報知 食べログ TRILL ほか |
Gmail、YouTubeなど、Googleが提供するサービスのサイト Googleと広告掲載を契約しているWebサイト モバイルアプリ |
ユーザーの層
Yahoo!ユーザー数 | Googleユーザー数 | |
---|---|---|
スマートフォン | 7,000万(79.5%) | 6,770万(81.3%) |
PC | 1,800万(20.5%) | 1,560万(18.7%) |
合計 | 8,800万 | 8,330万 |
Yahoo!広告とGoogle広告の国内のユーザー層について違いを見てみると、大きく2つの視点があります。
まず、使用するデバイスですが、Yahoo!はスマートフォンが79.5%、PCが20.5%になっています。一方、Googleではスマートフォンが81.3%、PCが18.7%とややスマートフォンが多い傾向にあります。
次に年代ですが、Yahoo!は18-34歳が5%、35-49歳が12%、50歳以上が14%となっています。Googleは18-34歳が11%、35-49歳が12%、50歳以上が14%となっており、Yahoo!の方が高年齢層に多い傾向が見えます。
もちろん時間帯や広告の種類によっても異なります。あくまで参考程度に覚えておくと良いでしょう。
運用方法やターゲットセグメント
Google広告とYahoo!広告では、細かな部分で運用の仕方、その方針に違いが出てきます。例えば、ディスプレイ広告の掲載先を見ると、Yahoo!広告の場合は、有名サイトを指定して広告掲載を狙うことが多くなります。Google広告では個人サイトまで含めて多様なサイトが広告表示先になるため、細かな設定が求められます。この設定を疎かにすると、マッチしないサイト、望まないサイトに広告を表示してしまうこともありえます。Yahoo!広告の場合は、比較的その心配は少なく、また広告掲載先の選択がしやすいといえるでしょう。
また、ターゲットセグメントでもYahoo!広告とGoogle広告では、細かな点で仕様が異なります。年齢のセグメントでは、Yahoo!広告の方が細かく設定できるようになっています。一方で家族構成や年収といった項目でのセグメントは、Yahoo!広告では設定できません。
審査日数
審査日数にも大きな違いがあり、Yahoo!広告では「約3営業日」、Google広告では「約1営業日」となっています。
医薬品や化粧品など、薬機法が関連してくるケースでは、特にこの期間が長くなる傾向があります。この審査期間の目安は、あくまで審査に通る内容で提出したケースの目安となります。通らなかった場合、修正後の再提出が必要になり、掲載までの期間は長引くこともあります。
広告内の文字数
Yahoo!広告とGoogle広告では、検索広告で使用できる文字数にも違いがあります。全体の文字数については、Yahoo!広告では「170文字(半角)」、Google広告では「300文字(半角)」となっており、およそ倍近く掲載できます。
広告見出しや本文テキストなどは、見出しが30文字(半角)に対して本文が90文字(半角)であるなど、差異はありません。
Yahoo!広告の始め方
Yahoo!広告では、Google広告と同様に複雑な手続きも管理も必要ないため、誰でも気軽に広告掲載できる利点があります。しかし、事前審査は必要です。本人確認が求められますし、基本的には商用として利用することから、「法人登記事項証明書」も必要となります。
Yahoo!JAPANビジネスIDの作成
まず「Yahoo!JAPANビジネスID」を取得する必要があります。入力フォームが用意されているため、「会社名」や「電話番号」、「サイトのURL」などの必要事項を入力していくだけで大丈夫です。最後に認証とパスワード設定を行えば、Yahoo!JAPANビジネスIDの作成は終了です。
Yahoo!広告アカウントを開設
Yahoo!JAPANビジネスIDとは別に、「Yahoo!広告アカウント」も開設しなければなりません。これは先程登録したYahoo!JAPANビジネスIDとパスワードを入力することで、簡単に開設できます。
広告配信に関する必要最低限の情報は自身で入力する必要がありますが、はじめてで不安だという方のために、少ない手順でYahoo!広告をはじめられる「かんたんDAS」と呼ばれる動的検索連動型広告も用意されています。
お支払い情報の設定
お支払いについては、広告出稿者となる管理者ユーザーのみに権限があり、「銀行口座」または「クレジットカード」のいずれかの情報を入力します。
銀行口座からの振り込みによるお支払い方法を選択した場合、反映されるまでに3営業日ほどかかります。すぐに広告を出稿して効果を出したい場合には、即座に対応できるクレジットカードでのお支払いがおすすめです。
キャンペーンや広告グループなどを作成
実際に出稿したい広告のキャンペーンを作成するため、1日の予算の上限やキーワードの選定を行います。
作業が終わったあと、広告出稿の申請になりますが、約3営業日ほどで審査が終わります。ただし、医薬品や化粧品などの規定が厳しいものについては、もう少し時間がかかるケースもあります。
審査結果を確認する
Yahoo!広告アカウントにて、画面中央にある「表示項目」を選択します。編集から審査日や審査状況が確認できるため、「審査完了日」にチェックを入れることで、審査状況が確認できます。
はじめてのYahoo!広告運用のコツ
Yahoo!広告では、前述したようにターゲットを絞った広告配信が可能なため、より広告の効果を高めるためには、具体的な条件を絞ることで広告効果が高まります。
検索広告からはじめる
これからYahoo!広告を利用される方は、「検索広告」からはじめることを推奨します。画像や動画を用意する必要がないので、比較的簡単に出稿できるためです。
ただし、キーワードの選定は重要です。自社の製品やサービスをユーザーが検索する場合、どういうキーワードを使って検索するのか、想像しながら選定してみましょう。
サジェストキーワードが漏れていないか確認する
サジェストキーワードとは、検索を行った際に次の候補として検索窓で自動的に表示されるキーワードのことをいいます。
これはほかのユーザーがどのようなキーワードを使用しているのか、また関連しているのかが把握できるため、キーワードと同じくらい重要な指標となります。
Yahoo!サジェストでは、最大で10個のサジェストキーワードが表示されるため、必ずこのサジェストキーワードも押さえて広告作成をしましょう。