Googleリスティング広告のはじめ方と運用の仕方
ネット上でさまざまなものごとを調べるときに欠かせない検索エンジンですが、現在、Googleが75%以上という高いシェアを誇っています。その検索結果画面に広告を表示する「Googleリスティング広告」は多くの企業に利用されており、ネットでユーザーを自社サイトへ誘導するための欠かせない手法の一つです。
すぐにでもGoogleリスティング広告を出稿したいという企業は多いでしょう。しかし、はじめるためには何を準備して、何をしなければいけないのか、なかなかわからないものです。
そこで今回はGoogleリスティング広告のメリットとデメリット、はじめるためのアカウント開設や出稿の方法、運用のコツなどを詳しく解説していきます。
Googleリスティング広告の特徴
リスティング広告は、検索エンジンでユーザーが検索をした際に、検索結果画面に掲載されるテキスト型の広告を指します。
自然検索と似ていますが、それよりも上部の「スポンサー」と表示されている部分がリスティング広告です。インターネット広告でリスティング広告と同様に重視されているディスプレイ広告がありますが、こちらはポータルサイトなどの広告枠に画像/動画とテキストメッセージが表示されるものです。リスティング広告とディスプレイ広告では、掲載される場所、掲載される情報が異なります。
以下では、Googleリスティング広告の特徴を6つ解説していきます。
誰でもアカウントの開設が可能
Googleリスティング広告をはじめる場合、まずは最初に「Google広告アカウント」を開設する必要があります。
このGoogle広告アカウントは開設するための審査がなく、個人法人を問わず、アカウント開設だけなら無料で行うことが可能です。
「キャンペーン目標」「お店やサービスの名前」「ウェブサイトのアドレス」「広告に記載する見出しや説明文」「キーワード」「地域設定」「予算」「支払い情報」などを決め、用意しておくと、開設がスムーズです。
※「キャンペーン目標」とは、この場合、「電話の問い合わせを増やしたい」「ウェブサイトでの商品購入や申込みを増やす」「店舗の来客数を増やす」といったもので、具体的な数値目標ではありません。大雑把なイメージでも大丈夫です。
自然検索よりも上部に掲載可能
検索結果画面の最上部は、検索をかけたユーザーが最も目にしやすい場所です。自社の製品やサービス、商品など、集客したいターゲットが「検索していそうなキーワード」の検索結果画面に掲載することで効果が期待できます。
検索結果画面で表示される広告以外の部分である自然検索も、上位表示できれば多くの流入に期待が持てますが、競合が多いキーワードなどでは、なかなか上位表示できないことがあります。
しかし、リスティング広告を出稿すれば予算次第で、自然検索よりも上部の、最も目立つ箇所に掲載できるのが大きな魅力です。
「オークション形式」で広告掲載順位が決まる
1回のクリックに対して支払いが可能な上限額(入札価格)と広告品質とされる推定クリック率、広告の関連性、ランディングページ(LP)の使いやすさなどで広告ランクが決定され、複数の入札された広告のなかでオークションが行われます。
検索キーワードに対して一致した広告が検索されたタイミングでその都度、広告枠に掲載する広告のオークションが発生するため、表示される広告は変動します。
無駄なコストがかからない「クリック課金」
リスティング広告の特徴の一つとして、クリック課金が挙げられます。クリック課金とは、広告が掲載・表示されただけでは料金は発生せず、クリックされてはじめて課金される『Pay Per Click(PPCと略される)』方式です。
この料金は、より注目されていて競合が多いキーワードについてはクリック単価が高く、競合が少ないキーワードについては安く設定されるようになっています。
それ以外にも、広告ランクや品質などもクリック単価に関わってきます。
このクリック単価は、1日や1か月などの期間を設定して、上限予算を自由に管理することができます。そのため、想定以上にクリックされて予算オーバーになるといったことがありません。しかし、クリック単価を低く設定してしまうと広告が表示されないといった問題が起きてしまうので注意が必要です。Googleキーワードプランナーなどを参考にし、クリック単価の目安を把握するとよいでしょう。
検索ボリュームが多い
Googleリスティング広告のもう一つの特徴が、検索ボリュームです。現在、何かを調べたい、探したい場合、多くの人はインターネットで検索を実行します。そこで使われている検索エンジンのなかで、Googleは世界では85%以上、日本でも75%以上という高いシェアを誇っているのです。それだけ、広告として表示される機会が増えることを意味します。
そのなかでも、広告を表示させたいキーワードでの検索がどれくらいあるかが重要です。そもそも検索するユーザーが少なければ、広告が表示される機会も少なく、予算を消化できないなんて事態も発生します。 Google検索は利用しているユーザーが多いため、各キーワードの検索ボリュームが全体的に多く、たくさんの方の目に触れるチャンスがあることになります。
自分たちが広告掲載したいキーワードがどれほど検索されているかを知りたい場合は、Googleキーワードプランナーなどのツールを使用して、そのキーワードの検索ボリュームを把握することも可能です。
細かいターゲティングが可能
宣伝したい商品やサービスに対してのお問い合わせや購入などのコンバージョンにつなげていくために、細かいターゲティングをすることが大切です。
- インタレストカテゴリ
用意されている特定のカテゴリを選択し、そのカテゴリに興味があると思われるユーザーに広告を表示させます - リマーケティング
特定のサイトを訪れたユーザーに対して、広告を表示させます - 類似ユーザー
自社サイトを訪れたあるいはサービス、製品を購入したユーザーと共通する特徴を持ったユーザーに広告を表示させます - ユーザー属性
年齢や性別、収入、居住地域などのユーザー属性を指定して、広告を表示させます
Google広告アカウントの開設方法
Googleリスティング広告をはじめるためには、Google広告アカウントが必要です。
手元に、店舗名やサービス名、メールアドレス(ビジネス用)、宣伝したい商品やサービスのコンテンツであるWebサイトやランディングページ(LP)、クレジットカードをあらかじめ用意しておくとスムーズにはじめることができます。
以下の1〜8のステップでGoogleアカウントの作成を行います。
- Google広告のページへアクセスする
- 会社名を記載する
- ランディングページ(LP)のURLを入力する
- 新しいキャンペーンを作成する
- お支払い方法を設定する
- アカウントを確認する
- 連絡先情報を設定する
- お支払い情報を設定する
各ステップについて解説します。
1.Google広告のページへアクセスする
Google広告の公式ホームページにアクセスします。
アクセスすると「今すぐ開始」というボタンがあるのでクリックし、次のステップへ進みましょう。
2.会社名を記載する
まず「ビジネスの名前」を登録します。これは会社名でも屋号、店舗名でも構いません。
情報を入力したら「次へ」ボタンをクリックします。
3.ランディングページ(LP)のURLを入力する
作成したGoogleリスティング広告を見たユーザーが、広告をクリックしたら最初に訪れるページのURLを入力する画面になります。
ユーザー自身が製品の購入やサービスの予約、お問い合わせなどの行動を起こすことが目的のページをランディングページ(LP)といいます。
ここでユーザーにアクセスしてもらいたいランディングページ(LP)は、宣伝したい製品やサービスに最も関連性あるページのURLを入力し、コンバージョン達成につなげていきましょう。必ずしも専用のLPを作成する必要はなく、製品やサービス紹介のページ、お店のホームページなどでも、問題ありません。
4.新しいキャンペーンを作成する
1〜3までのステップの入力が終わると「新しいキャンペーンを作成する」画面のはじめに、作成した広告がユーザーに表示されるときの画面が確認できます。
スマートフォン、タブレットの2パターンで表示される場合の広告を確認しましょう。
確認後「広告の主な目標は何でしょうか」という画面に変わり、「次へ」のボタンの下に「エキスパートモードに切り替える」という青字の表示があるので、それを選択します。
「エキスパートモード」の新しいキャンペーンを作成するという画面に変わります。
後にキャンペーンの作成するため、アカウント作成を優先して行うので「キャンペーンなしでアカウント作成」を選択し、残り5〜8のステップを行ってきましょう。
5.お支払い方法を設定する
「ビジネス情報の確認」画面では、以下の情報入力が求められます。
- 請求先住所の国
- タイムゾーン
- 通貨
これら3つは、後から変更ができないので慎重に選択してください。選択終了後、送信ボタンをクリックします。
6.アカウントを確認する
Googleアカウント取得について最低限の入力が完了したので、「アカウントの確認」をクリックし、アカウントを確認します。
7.連絡先情報を設定する
管理者(画面左側の歯車アイコン)→各種設定→連絡先情報の手順で連絡先情報を設定します。
メインの連絡先である「名前」「メールアドレス」は入力必須項目です。
8.お支払い情報を設定する
請求先住所の国、アカウントの種類をお支払いの設定画面で行います。
アカウントの種類では、個人か組織かを選択でき、組織の場合は組織名を入力します。お手持ちのクレジットカード情報、請求先の住所を入力し、送信ボタンをクリックしてください。
クレジットカード払いのほかに以下の3種類の支払い方法が選択可能ですが「請求先の国:日本」かつ「通貨:日本円」であることが条件となります。
- デビットカード
- コンビニエンスストアまたは Pay Easy決済
- 振込み
また、Google広告の支払い方式には「自動支払い」と「手動支払い」「毎月の請求書発行」があります。
Googleリスティング広告の出稿方法
アカウントの開設が完了すると、広告の出稿が可能になります。具体的には、以下の7つのステップでGoogleリスティング広告が出稿できます。
- アカウントの作成
- キャンペーンの作成
- 内部戦略の作成
- 配信条件の設定
- 広告グループとキーワードの作成
- 広告作成
- 入稿
1.アカウントの作成
広告運用のビジネスアカウントは、1企業につき1アカウントを作成することが基本です。
店舗名やサービス名、メールアドレス(ビジネス用)、宣伝したい商品やサービスのコンテンツであるWebサイトやランディングページ(LP)、クレジットカードをあらかじめ用意しておくとスムーズに入力できます。
2.キャンペーンの作成
いくつかの広告グループをまとめる枠組みのことを指し、キャンペーンごとに広告を配信する目的やエリア、ターゲティングなどを設定します。
3.戦略を立てる
ここでは、広告費の支払いや予算、入札価格などを入力していきます。
はじめて広告を出稿する場合、どのくらいに金額を設定するといいのかわからないことがほとんどです。まずは1か月10~30万円程度ではじめる、あるいはキーワードプランナーなどのツールで類似キーワードの単価を確認するといった方法もあります。実績がある代理店に相談してもいいでしょう。
単価設定画面で「重視している要素は何ですか?」と質問されますが、選択肢に迷いがある場合は「クリック数」または「コンバージョン」を選択しておくとよいです。
4.配信条件の設定
配信条件では、検索ネットワーク、地域、言語、オーディエンスセグメント、配信の開始日と終了日を設定できます。
キャンペーン設定のネットワークの画面では、検索ネットワークとディスプレイネットワークと配信するネットワークを選ぶことができます。
もちろん両者ともに選ぶことも可能ですが、広告効果がわかりにくくなることからリスティング広告をする場合は、検索ネットワークのみの選択をしましょう。
広告配信エリアなども設定でき、海外向けに広告配信していく場合は、キャンペーン設定の言語画面でその国の言語選択をする必要があります。
広告のスケジュール設定も細かくできるので、営業時間内の問い合わせがほしい場合は営業時間内の広告配信のみの設定ができます。
このように配信条件は細かく設定できるので、効果を分析して、より効果が出やすい設定にカスタマイズしましょう。
5.広告グループとキーワード・除外キーワードの設定
出稿する広告のフレーズやキーワードを入力します。
関連するWebページのURL、商品、サービス名を入力することでキーワードの候補が表示されます。
広告グループの設定で必須なのが以下の3点で、クリック率を上げるためには重要な部分となります。
- 最終ページのURL
- 広告見出し(3個以上)
- 広告の説明文(2つ以上)
また、除外キーワードを入力しておくことで、ユーザーの検索意図に反した広告として表示されてしまわないようになります。
似たようなキーワードに対して、ユーザーの明らかな検索意図を汲み取ることに効果を発揮します。
6.原稿作成
広告の上部に表示される広告のタイトル、タイトルの下に表示される宣伝する商品やサービスの説明文、誘導したいWebページのURLの3点を構成します。
Googleの入稿規定に沿って作成しましょう。
7.入稿
1〜6を設定、入力し終えキャンペーン公開をすると入稿完了です。その後、1営業日以内に審査が終了して配信となります。
Googleリスティング広告運用のコツ
Googleリスティング広告運用のコツをおさえておくことで、広告が表示されやすくなります。
運用のコツとして以下の4点をおさえておきましょう。
- 独自のキーワードを見つける
- 広告文を工夫する
- 品質スコア
- 素早くPDCAを回す
独自のキーワードを見つける
リスティング広告は検索キーワードの幅を広げるため、広告キーワードのマッチタイプが「部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」の3つが用意されています。
- 部分一致
- キーワードと関連した検索語句に広告を表示します。キーワードそのものを含まない検索語句もこれに含まれます。すべてのキーワードにデフォルトで割り当てられるマッチタイプです。
- フレーズ一致
- キーワードと同じ意味の検索語句に広告を表示します。文言に差はあっても同じ意味に解釈できる場合はこれに含まれます。
- 完全一致
- キーワードと全く同じ意味、または意図の検索語句だけに広告を表示します。誤字脱字や略語、単数形と複数形の違いの微差はこれに含まれます。
上から順に条件が厳しくなり、部分一致よりもフレーズ一致が、フレーズ一致よりも完全一致の方が広告を表示する機会は減ります。しかし、よりセグメントされたターゲットにリーチできるのは、完全一致になります。
さらに「除外キーワード」の設定を行うことで、広告の意図とは異なる表示を減らすことができます。5〜10程度のキーワードを設定しておきましょう。
広告文を工夫する
広告文の前半に検索キーワードを入れたり、数字や〇〇限定などといったテキストで訴求したり、最大限の工夫が必要です。
リスティング広告で表示されるテキストの文字数は多くはなく、スマートフォンで閲覧する場合はパソコンで見るよりもさらに文字数は少なくなります。そのため、文の冒頭に検索キーワード、あるいは関連する言葉を盛り込まないと、クリックされる確率が下がります。
また、ユーザーのベネフィット(お得感)が実感できるような言葉を工夫する必要があります。ユーザーが思わずクリックしたくなるような文章を考えましょう。
品質スコアを高める
推定クリック率、ユーザーの検索に対しての関連性、広告をクリックしたユーザーに対して、検索目的とランディングページ(LP)がどの程度関係性があり有用できるかなどを数値化したものを品質スコアといいます。
この品質スコアは、広告の品質基準となり、このスコアが高いほど広告掲載順位が上がります。
素早くPDCAを回す
リスティングの広告運用においてPDCAを素早く回すことは、広告の効果を最大限に引き出すポイントです。PDCAとは「Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(改善)」の頭文字を取ったもので、仮説検証型のプロセスを回すことで、ビジネスを成功に導くフレームワークのことです。
Googleリスティング広告では、管理画面より測定結果を確認できるため、仮説をその都度立て、検証していくことでPDCAを早く回すことが可能です。
例えば、インプレッション数(表示回数)が少ない場合には表示させるターゲットセグメントの設定を見直す、表示回数は一定以上あるのにクリック数が少ない場合は表示されるテキストの内容を検討する、といった改善方法が考えられます。この修正でも課題が解決しない場合や、新たな課題が発生した場合は別の要素の変更を検討していきます。
ポイントは、「一度に変更するのは一要素」という鉄則を守ることです。クリック率が低いときに、ターゲットセグメントの設定とテキストの変更を同時に行うと、改善したとしてもどちらが効果的だったのかが判断できません。効果がより強かった要因が特定できないと、次回以降の施策を考える際の知見として活かすことが難しくなります。
定期的な分析や評価、改善を繰り返していきましょう。
Googleリスティング広告の運用の注意点
Googleリスティング広告には、広告掲載における規定があります。
基本的には、法律に触れる商材、危険な商材、攻撃的なコンテンツを扱う業種は制限があり、出稿できません。また、リスティング広告に出稿できない業種もあります。
審査に落ちないように規定を確認する
Googleの規定を前もって確認して、入稿準備に入りましょう。基本的には、法律に触れる商材や危険な商材、攻撃的なコンテンツを扱う業種は制限があるため、出稿できません。
商標登録されているキーワードには気をつける
リスティング広告に他社の商標登録されているキーワードを使う場合、他社とのトラブルや商標権侵害などに発展する可能性もあるため、Google広告の広告ポリシー違反がないことの確認が必要です。