リスティング広告の運用は代理店に任せた方がよい?
みなさんはリスティング広告を出稿した経験はありますでしょうか?未経験の方は、はじめ方が分からない、リソースが足りないなどの理由があるかもしれません。過去に経験ある方でも、結局良い効果が得られなかった、自社で回せなくなったから辞めたなど、苦い経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、リスティング広告を利用するうえで、「自社運用すべきか、または代理店運用にすべきか」を解説します。
リスティング広告の運用にかかる手間
GoogleやYahoo!のリスティング広告を活用する場合、まず「どの検索キーワードの検索結果に表示するか」を設定しなければなりません。検索ボリューム(ユーザーに検索されている回数)やユーザーの検索意図(どういう思いで検索したのか)などを吟味して、効果的な広告掲出を目指す必要があります。
いくら自社サービスにぴったりなキーワードでも、検索ボリュームが少なければ広告効果はあまり望めませんし、検索ボリュームが多いビッグワードでは競合が多く、最上位に表示させるのは簡単ではありません。
慣れていない方は、この作業だけでも相当なリソースが割かれてしまいますし、時間をかけても適切な設定がなかなかできないケースもあるようです。
また、文章の文字数は、見出しや説明文ごとに制限があり、その文字数制限をクリアして、かつ訴求力のある文章を考える必要もあります。さらに、「配信時間」「ユーザー属性」「配信先」「広告の審査」などでも時間を要するため、検索広告を出稿しようと考えてから1~2か月かかってしまうということも珍しい話ではありません。
広告代理店に依頼できる内容
Web広告の代理店では、分析やマーケティングの専門家が出稿主に合わせたリスティング広告の運用サービスを提供していることがほとんどです。さまざまなカテゴリの製品やサービスに合わせて、そのターゲットとなるユーザーはどのような特性を持っているのか、どのようなキーワードで検索してくるのか、そこでどのようなメッセージを提示すればクリックしてくれるのか…といったデータが蓄積されているため、より精度の高い広告掲載の実現が可能になります。また実際の広告掲載後に、その効果を検証して、修正提案をしてくれます。
代理店の具体的な提案には、製品やサービスに合ったユーザー特性の仮説出し、それに応じた検索キーワードの策定といった提案があり、より効果的な提案をしてもらうためにも、リスティング広告を代理店に運用してもらう場合、自社製品やサービスの強みや弱み、リーチさせたいユーザー層などを事前に情報共有し、目標とする効果(流入数や獲得顧客数など)も伝えておく必要があります。
一から十まで、代理店にお任せすることも可能ですが、自分たちの目的、期待する効果などは最低限イメージしておいた方がいいでしょう。
リスティング広告の運用を代理店に依頼する際の費用
リスティング広告の運用を代理店に依頼する場合、毎月「運用費用」が発生します。これは代理店によって、また依頼している業務内容で大きく上下します。
安価なサービスであれば月額1〜2万円から広告運用してくれる代理店もありますが、業界の全体的な相場としては、月額10〜50万円ほど必要なケースも珍しくありません。
費用の算出方法は、実際の出稿にかかった費用の15~25%を上乗せして請求されるといった設定方法、1か月で一律の定額費用など、さまざまです。で一律の定額費用など、さまざまです。
広告の運用費については、出稿費用と合わせて、コストとして見込まなければなりません。費用計画を立てる際には、注意するべき点だといえます。
代理店運用と自社運用の違い
メリット | デメリット | |
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代理店運用 |
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自社運用 |
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自社に広告知識に長けた従業員がいる場合は、代理店には依頼せず、自社内で運用することも可能でしょう。しかし、広告運用を専門とする代理店の場合と比較するとそれぞれにメリット、デメリットが存在します。
広告代理店運用のメリット
広告代理店運用のメリットは、次のものが挙げられます。
- その代理店が蓄積してきたノウハウが利用できる
- 社内リソースが不要
- 運用を通じて、社内に知見を蓄積できる
広告代理店運用のデメリット
広告代理店運用のデメリットは、次のようなものになります。
- 運用費用がかかる
- 方針の変更など、修正がある場合のレスポンスが遅れがち
- 適切な社内担当者を置かなければ、社内にノウハウが蓄積されない
前述したとおり、業界の費用相場としては、月額約10〜50万円という広告運用費用が発生するため、金額だけを見ると非常に大きなコストといえます。
また、広告運用については代理店によってサービスの内容に大きな差があり自社に合った代理店を見つけることも課題となります。
さらに、ただ代理店に運用を任せているだけでは自社内にノウハウはたまりません。せっかく広告運用のプロに依頼するのですから、社内担当者にも実践を通じた教育になるような配慮が必要です。
自社運用のメリット
自社運用のメリットは次のようなものが挙げられます。
- 代理店に支払う広告運用費用が不要
- 臨機応変、スピード感がある運用が可能
- 自社内の知見、ノウハウがたまる
自社運用なので、当然、運用費用は発生しません。さらに方針変更や急な修正にも対応できます。広告運用が自社内で完結するため、知見やノウハウも社内に蓄積されていきます。
自社運用のデメリット
自社運用のデメリットは次のようなものになります。
- 社内リソースが費やされる
- 社内に広告運用に関する知見やノウハウがない場合、育成が必要
- 社内で運用していく体制づくりが必要
自社内での運用における最大のデメリットは「社内のリソース」問題です。量的なリソースも問題ですが、質の問題の方が大きいでしょう。
社内にノウハウ、知見がない場合はそれに対応できる人材の育成、採用が必須になります。また、担当者一人に任せるのではなく、広告の効果を最大化するための体制づくりも重要です。
リスティング広告運用における代理店の選定ポイント
Googleリスティング広告の運用を代理店に依頼する場合、まずはどの代理店に依頼するのかを選定する必要があります。
広告代理店の選定を間違えてしまうと、広告費、広告運用費を負担したにも関わらず、望む成果が出ない可能性が高くなります。これから広告代理店を利用される場合、下記に挙げるポイントを押さえておきましょう。
業界での実績があるか
まず、最も重要なポイントといえるのが「業界での実績」です。
具体的な実績を聞いても答えていただけない場合、また業界での実績、類似業界での実績がない場合は選定に慎重になるべきでしょう。ホームページなどに記載がない場合でも、実際の打ち合わせや見積もりの時点で開示されるのであれば問題ありません。
広告代理店を利用されたことがない場合、依頼予定の代理店が大手なのかどうか、実績があるのか分からないケースもありますが、ホームページなどで会社の規模、経歴は把握することができます。事前のリサーチは徹底しましょう。
認定資格者がいるか、正規代理店か
媒体 | ステータス |
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Yahoo! |
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リスティング広告を代理店に依頼する場合、依頼予定の代理店にGoogleあるいはYahoo!の認定資格者がいるかどうかの確認が必要です。
Google、Yahoo!はどちらも、運用スキルがあるかを判断するために「認定資格」を用意しています。その詳細な内容は両者で異なりますが、Googleでは「検索広告」「ディスプレイ広告」「ショッピング広告」など、全11種類の認定資格があり、Yahoo!の場合は「ベーシック」「検索広告アドバンスト」「ディスプレイ広告アドバンスト」といった資格があります。
この資格は個人に発行されるもので、会社に対しては発行されません。その代理店に認定資格を持つ人材がいるかどうか、その人材をアテンドしてくれるかどうかは、選定の大きなポイントになります。
さらに、Googleの正規代理店、Yahoo!の正規代理店も存在します。運用実績などを元に認定されており、これらの代理店を選べば、大きな問題はないといえるでしょう。
自社の予算感
リスティング広告の運用では、予算管理が重要なポイントとなります。リスティング広告における予算とは「広告そのものにかかる広告費」と「運用費用」の合計です。
たとえば、月間30万円の広告費を捻出できる場合には、30万円で対応できる広告代理店を探すのではなく、まずは実績のある代理店にアプローチをかけて、自社の予算感でも対応が可能かを交渉する方がよいでしょう。その場合、運用費を含んだ予算であることを明示しなければなりません。
また、月額費用とは別に「成功報酬」など、他の費用が発生するケースもあるため、事前に契約内容はしっかりと確認しておきましょう。
代理店のなかにはあまり予算が小さいと対応してくれない会社もありますし、逆に予算が小さくても手をかけてくれて、成長に寄り添ってくれる会社もあります。自社の予算に応じて、どのような対応を期待できるかを見極める必要があるでしょう。
契約期間
一般的にGoogleリスティング広告における代理店の契約期間については、1〜6か月という期間を設けているケースが大半です。
1か月ごとに更新をするタイプの代理店もあれば、広告運用というサービスの特性上、すぐに効果が出るものと出ないものもあるため、6か月という長めのスパンで契約するタイプもあります。
また、お互いに申し入れがない場合には、契約終了時期に自動更新されるケースがほとんどです。契約時には、契約解除の条件などをきちんとチェックしておいた方がいいでしょう。
担当者の対応スピードや返信の早さ
代理店の担当者は、一人で複数の広告主を担当することもあり、担当者のリソース次第では対応スピードが遅くなることがあります。
インターネット広告のメリットの一つには、改善の速度が挙げられますが、対応スピードが遅くなればPDCAを効率的に回せず、効果は半減してしまいます。
代理店からの報告が催促しないと出てこない、改善施策もお願いしないと提案してもらえない、連絡しても返信がなかなかこないといった場合には、担当者のリソース不足が疑われます。そのように感じたら、代理店に対して改善をお願いした方がいいでしょう。
見積もりや問い合わせの時点から、「この代理店はどのくらいで返信してくれるか」などと事前に精査するのも業者選定において重要です。
リスティング広告代理店を選定する際の注意点
前述した「業界での実績があるか」「認定資格保持者がいるか、正規代理店か」「自社の予算感」「契約期間」「担当者の対応スピードや返信の早さ」の他にも、注意点があります。
運用費は内掛けか外掛けか
運用費の計算方法には「内掛け」と「外掛け」があります。
内掛けは、総予算のなかに「広告費と運用費」が含まれていることで、外掛けは、広告費にかかる予算とは別に、運用費がかかることです。
少し分かりづらいため、計算式で見ていきましょう。
【200万円の予算の場合】
内掛け2割:約166万円×20%=約33万円 総予算200万円に広告費と運用費が含まれている
外掛け2割:200万円×20%=40万円 広告費200万円と運用費40万円(200万円×20%)がかかる
内掛けの場合は、実際の広告費は166万円になり、総予算は200万円です。
これが外掛けになると、広告費は200万円で、そこに運用費が40万円かかってきます。契約前にどちらの計算をするのか、確認し「総予算」で確認をするようにしましょう。
アカウントの閲覧制限
広告運用の代理店のなかには、情報漏洩やノウハウの独占のため、広告運用の流れやアカウントの閲覧制限を設ける会社もあります。
その場合、広告運用の実態が把握しにくい、社内での確認ができない、ひいては社内にノウハウがたまらないことにつながります。広告代理店にアカウント開設を依頼する場合には、必ずアカウントの閲覧や共有の権限を付与してもらうようにしましょう。
この閲覧制限に関する要望を拒むような代理店は避けた方がいいでしょう。