STORYストーリー

“ケニアのバラを日本に広めたい” その夢を叶えるために全力で行動してきた。

  • AFRIKA ROSE
  • 萩生田愛
  • (はぎうだめぐみ)

ケニアのバラ農園から17時間かけて店頭に届くバラは、色鮮やかで大きく、繊細なグラデーションがとても美しい。「ケニアのバラは生命力があり約2週間はもちます。愛情こめて手入れして“1ヶ月以上もちました!”という声をお客様から聞くこともあります」 萩生田愛さんは、アメリカの大学へ留学し、製薬会社に勤務。30歳手前で会社を辞め、ボランティアでアフリカへ赴いた。現地でケニアが世界有数のバラの生産国であることを知り、バラを輸入販売する「AFRIKA ROSE」を創業する。“バラ農園とのフェアトレードを通じて、ケニアの雇用創出や貧困解消に貢献すること”、そして日本には、“バラを通じて感謝や愛を表現する豊かさを広げたい”という想いが出発点だった。2015年には「AFRIKA ROSE」広尾本店、2019年には六本木ヒルズ店をオープン。常連のお客様が増え、バラにまつわる素敵なストーリーがたくさん生まれている。「大変なことももちろんありましたが、全力で夢を追いかける過程はとても楽しかったです」そう語る萩生田さんに、お店をつくるまでの経緯や、想いを叶えるまでの軌跡について話を聞いた。

英語で一番になって輝きたい

私が海外に興味を持ったきっかけは、小さい頃から祖父に「愛ちゃんは将来グローバルに活躍する女性になるんだ」と期待されてきたこと。勉強がそれほど得意ではなかった私ですが、中学生のとき「好きな英語で一番になりたい」と思い、気合いを入れてテストに臨みました。でも98点までが限界。「100点が取れなかった。なんて中途半端なんだ」と落胆しましたが、あるとき気がつきました。英語はツールなのだから、語学として完璧になる必要なんてない。好きな英語で「世界中の人々とコミュニケーションできれば最高じゃないか」と。それが自分の輝ける道だと思いました。高校も海外留学のチャンスがある学校を選び、大学進学のタイミングでは、日本にいるよりも「留学をして生きた英語が学びたい!」と思い、TOEFL® TESTの猛勉強をして、アメリカの大学に入学しました。

“自分がやりたいこと”が価値観の軸になる

アメリカへの留学経験は、私の価値観を大きく変えました。自己主張しなければ、存在していないのと同じ。みんながどう思うかではなくて、「自分がどう思うか」「何をしたいか」が問われる毎日でした。大学の講義も、自分から手を挙げて発言することが評価の基準です。ただ席に座り、テストで良い点数を取っただけでパスできるわけじゃない。自分からどんどん動いて発言しなければ、自分の存在が証明できません。でも、それが楽しかった。もちろん国によって、コミュニケーションのあり方には違いがあり、どれが正しいということはありませんが、大学時代に培われたこの価値観が、その後の私の行動に大きな影響を与えることになりました。

アフリカの貧困問題を解決したい

留学時代の印象的な経験のひとつが、ニューヨークの国際連合本部ビルで開かれた「模擬国連」に参加したことです。世界各国の学生が外交官役となり、国連で実際にテーマとなっている環境問題や貧困問題について議論をしました。そのとき私が強い関心を持ったのがアフリカの貧困問題です。すぐにでも現地に行き、自分にできることがしたいと思いました。でも親の資金で留学をしていたということもあり、まずは自立し、自ら稼げる力をつけてから想いを叶えようと考えました。大学卒業後は帰国して、製薬会社に就職。グローバル人事部で社会人としてのスキルを磨きました。7年が経ち、会社がアフリカでのプロジェクトをはじめたことがきっかけとなり、私の中に眠っていたアフリカへの想いが再燃しました。当時29歳。会社の中で自分がやれることと、人生でやりたいことを秤にかけたとき、「いまアフリカに行かなければ後悔する」と思い、会社を辞める決断をしました。

ケニアで運命的にバラと出会う

2011年、NGOのボランティアスタッフとしてケニアで働き始めました。小学校づくりのプロジェクトに携わりながら、次第にサステナブルな国際支援の形について考えるようになりました。現地の人々が受け身になってしまう援助ではなく、ケニアの産業と持続可能なビジネスを行うことを通して、雇用創出や貧困解消に貢献していくことはできないだろうか。そしてある日、ケニアの市場を歩いていたときのこと、運命のようにバラと出会いました。輝くような笑顔で、大きなバラを誇らしげに売っている青年を見たときに、「ケニアからバラを日本に輸入して販売している」私の未来のイメージが鮮明に浮かんだのです。調べていくとケニアが世界有数のバラの輸出国であること、寒暖差のある気候がバラの栽培に適しており、生命力が強い最高品質のバラを生産していることがわかりました。2012年6月、2500本のバラを輸入し、代々木公園で2日間の販売会を行いました。それがアフリカの花屋「AFRIKA ROSE」のはじまりです。

バラを贈る文化を日本に広げる

私がやりたかったことは、ケニアのバラ農園とのフェアトレードを通してアフリカの貧困問題の解決に貢献すること。そしてバラを通して日本に豊かな心を届けること。花をプレゼントする文化があまりない日本で、今まで花を買う機会が少なかった方にこそ、バラを贈り“感謝や愛を伝える豊かさ”を広めたいと思い、様々な取り組みをしてきました。「アフリカローズアンバサダー」による“花を贈る日常”を発信する活動、丸の内や新橋で走りながらビジネスマンに花を渡し、そのバラを誰かに贈る経験につなげる「ローズラン」、注目度の高いハイブランドとのコラボレーション企画など。そして2015年には実店舗として「AFRIKA ROSE」広尾本店をオープンしました。みんなで一緒にお店をつくる経験がしたかったので、協力してくれる仲間たちやお客様と、内装やペンキ塗りなども共同で仕上げていきました。

お客様の幸せなシーンに関わる

店舗をはじめたことで、より多くのお客様とバラを通した深いコミュニケーションができるようになりました。たとえば、プロポーズで贈るバラの相談をしてくださり、その報告を真っ先にしてくれたお客様。1年ぐらい音沙汰がないと思ったら、赤ちゃんと一緒に「初めての外出なんです」と連れてきてくれたときは嬉しかった。定期的に来店される常連さんも増えて、バラを贈るということが少しずつ浸透してきていることを実感するようになりました。2019年には六本木ヒルズ店をオープンし、スタッフの数も増えました。全員に共通しているのは、どこの花屋でもいいというわけではなく、「AFRIKA ROSE」だから働きたいという気持ちで、仕事をしてくれている方ばかりなこと。バラを通して、お客様の幸せなシーンに関わっていくことがみんなの共通の喜びとなっています。

広尾本店、六本木ヒルズ店を合わせてスタッフは約20名で、両方の店舗にシフトで入るスタッフもいます。当初は1人のマネジャーがエクセルで全員のシフト管理をしていたのですが、人数が増えて作業が煩雑になったこと、また給与計算でのミスを避けるために、経営会議で話し合いAirシフトを導入しました。複数のマネジャーが情報を共有し、カンタンに作業できるようになったことで、責任も分散され、安心してシフト管理ができるようになりました。

自分がやりたいことを追い続ける

私の想いに賛同してくれて、協力してくれる仲間たちとともに「AFRIKA ROSE」を育ててきました。大変なこともいろいろありましたが、振り返ると楽しかった記憶しかありません。自分がやりたいことを追い続け、夢を叶えるために行動をしてきたから、苦労も苦労と思わなかったのだと思います。創業者としてがむしゃらにがんばり「AFRIKA ROSE」は今や、みんなで大きくしていくブランドに成長しました。今後は役員として経営に関わりながら、これまでと同じように“私がやりたいこと”で「AFRIKA ROSE」の認知度向上に貢献していきます。たとえば絵本プロジェクト。お店に小学生を集めて、「豊かさとは何?」という問いかけから、一緒に絵本をつくっています。子どもたちの自己肯定感を高めることや、豊かさをどう育んでいくかに、今は興味があります。私は夢を叶えるために、どんな状況も楽しみ、全力で行動してきました。やりたいことに真っ直ぐ突き進んできたこんな私の生き方が、どこかで一歩を踏み出したいと思っている誰かの、背中を押す一つのきっかけにでもなったら嬉しいです。

  • AFRIKA ROSE 広尾本店
  • 東京都渋谷区広尾5-18-8
  • 03-6450-3339
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

執筆

羽生 貴志(はにゅう たかし) | ライター

ライター。株式会社コトノバ代表。「コトのバを言葉にする」をコンセプトに掲げ、いま現場で起きていることを、見て、感じることを大切に、インタビュー記事や理念の言語化など、言葉を紡ぐことを仕事にしています。

https://www.kotonoba.co.jp
撮影

前康輔(まえ こうすけ) | 写真家

写真家。高校時代から写真を撮り始め、主に雑誌、広告でポートレイトや旅の撮影などを手がける。 2021年には写真集「New過去」を発表。

前康輔 公式 HP http://kosukemae.net/