リスティング広告とは?費用や仕組みから成功ポイントまで初心者向けにキホンを解説
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索結果画面の最上部などにテキスト形式で表示される広告のことを指します。この記事では、リスティング広告への出稿を考えている店舗経営者向けに、リスティング広告の概要やメリット・デメリットといったキホンから、運用方法や指標・広告内容の決め方などの実践に役立つポイントまで詳しく解説します。
リスティング広告とは
最初に、リスティング広告の概要を説明します。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、検索エンジンで知りたいキーワード(検索キーワード)で入力・検索した際に、検索結果画面の最上部などにテキスト形式で表示される広告のことです。「検索連動型広告」「検索広告」「検索キーワード広告」と呼ばれることもあります。
例えば、検索エンジンで「浅草 整体」と検索すると、検索結果画面で「スポンサー」という言葉が頭についている文章が、リスティング広告です。「知りたい」と思って検索した人に、タイミングよく表示できる効果の高い広告です。
リスティング広告の仕組みと特徴
リスティング広告は、クリック課金制および、オークション制(入札制)となります。
クリック課金制は、広告のクリックで料金が発生する仕組みです。広告を実際に見たかどうかはわからない「表示」ではなく、広告を見た上での「アクション(クリック)」にもとづいて料金を支払うため、費用対効果は高いものになります。
オークション制は、リスティング広告の掲載順位を決める仕組みです。検索キーワードごとにオークションを行い、入札の金額が高いほど、検索結果画面の上位に表示されやすくなります。
例えば、「イタリアン 新橋」という検索キーワードで広告を表示させたい場合、同じキーワードで広告を表示させたい他社より高い金額を入札すれば、上位に広告が表示される確率が高まります。ただし実際には、金額だけではなく「検索している人のニーズを満たせそうなコンテンツか」という品質面も考慮されます。
GoogleとYahoo!のリスティング広告が代表的
リスティング広告全体の中で、GoogleとYahoo!のリスティング広告は、合計90%以上のシェアを持ち、2大媒体となっています。どちらの広告も見出しや説明文で構成され、広告文の体裁は似ていますが、利用者や配信設定など、異なる部分もあります。
利用者数の違い
GoogleとYahoo!それぞれの利用者数を比較すると、日本国内の利用シェアはGoogleのほうが優位となっています。
Yahoo! | その他 | ||
---|---|---|---|
全体 | 76.62% | 14.29% | 9.09% |
パソコン | 71.94% | 17.28% | 10.78% |
スマホ | 80.61% | 18.04% | 1.35% |
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(出典:https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/all/japan/#monthly-202209-202309-bar)
広告配信設定の違い
いずれも、デバイス(パソコン/スマホ/タブレット)、地域、曜日・時間帯などで広告配信をするかしないかの設定が可能です。Googleは、さらに広告を配信する人の年齢や性別なども設定でき、より細かくターゲティングできます。
表示オプションの違い
説明文の周辺に電話番号などの追加情報を加えることができます。これは「広告表示オプション」といい、興味関心を持った人がアクションを起こしやすくする仕組みです。Googleは、価格表示、住所表示などオプションの種類が豊富です。
提携Webサイトの違い
いずれも、自社サイトだけではなく、提携するWebサイトの検索結果画面にも広告を表示できます。それぞれの提携サイトには下記のようなものがあります。
Googleの 提携Webサイト |
Yahoo!の 提携Webサイト |
---|---|
Livedoor BIGLOBE Goo 価格.com など |
Bing Excite Vector 朝日新聞DIGITAL など |
リスティング広告のメリット
リスティング広告への出稿には多くのメリットがあります。下記に説明します。
興味関心が高まった人にタイミングよく広告を見せることができる
リスティング広告は、特定のキーワードで検索した人に表示させるため、興味関心が高まった状態の人に向けたアプローチがかないます。例えば飲食店の場合なら、「上野 中華料理 接待」など、地域名、料理の種類、目的などを組み合わせた検索キーワードで、表示する人を絞ることができます。
費用対効果が高い
リスティング広告は、広告の表示だけでは料金は発生せず、クリックされたときに料金が発生するクリック課金制です。的確な検索キーワードを設定し、効果的な広告表現を設定できれば、少ない費用で高い効果が期待できます。
簡単に成果の測定と分析ができる
リスティング広告では、広告をクリックした数(クリック数)や訪問者数などの状況をリアルタイムで測定できる仕組みが設定されていることが多いです。これにより、成果を数字で把握し、分析し、必要に応じて柔軟に広告内容を調整することができます。
少額から始められる
最低出稿金額がなく、予算を自由に設定できるため、少額から始められます。あらかじめ1日の予算額、月間の予算額を決めておき、その範囲内で広告を出稿することができます。クリック単価(1クリックにかかる広告費用)は検索キーワードによって異なります。数円で出稿できるものもありますので、例えば1日の予算を100円と決め、月間3,000円程度の予算で運用することも可能です。
即効性が期待できる
広告を出稿する際は、広告物が法や公序良俗に反していないかなど、媒体側の審査を受ける必要があります。リスティング広告では、媒体による審査は数日で終わるケースが多く、チラシのような紙媒体での広告に比べ、早く広告を出稿できます。また、テキスト広告のため画像の準備が必要となるようなWeb広告よりも準備期間は短くて済みます。広告を早く出稿できれば、それだけ成果を得るのも早くなるでしょう。
リスティング広告のデメリット・注意点
リスティング広告のデメリット・注意点を、下記にまとめます。
広告運用に知識が必要
広告を表示させる検索キーワードを考えたり、所定の文字数で広告文を作成して管理画面に入力したりと、広告運用には専門的な知識が必要です。
継続的に運用負荷と費用がかかる
リスティング広告は「一度作成して表示させたら終わり」ではなく、効果を見ながら運用を続けて広告の内容を改善し、成果を上げていくものです。継続的に運用負荷と広告出稿費用がかかることを覚えておきましょう。
競争が激しい場合、費用が高くなる
オークション制の課金制度となるため、人気のある検索キーワードでは競争が激しく、クリック単価が高騰することがあります。「新宿 イタリアン」よりは、「西新宿 イタリアン 夜景」のように、検索キーワードを具体的にして競争を避けるなど、費用対効果に配慮する必要があります。
ビジュアルでの訴求ができない
構成要素がテキストだけなので、画像や動画が得意とするビジュアルでの訴求はできません。映える料理、活気ある店内、おしゃれな内装など、ビジュアルを見せたい場合には画像・動画を活用できるWeb広告を検討するのが良いでしょう。
リスティング広告への出稿にかかる費用
リスティング広告の費用相場、予算の決め方などを下記に解説します。
リスティング広告費用の相場
リスティング広告にかかる費用には、広告出稿費と運用代行手数料の2つがあります。
広告出稿費は、「クリック単価×クリック数」の式で表され、クリックされた数に応じて出稿する媒体に支払うものです。検索キーワードごとに料金は異なりますが、安ければ1クリック数円、高いものだと500円近くかかるものもあります。
運用代行手数料は、広告代理店に運用を依頼した場合に発生する費用です。広告出稿費の20%が一般的な相場ですが、広告出稿費が10万円以下などの少額の場合、月3万円などの最低金額が決められていることもあります。広告代理店に依頼せず、自店舗でリスティング広告の運用を実施する場合、この運用代行手数料は発生しません。
少人数で経営しているお店であれば、リスティング広告を始める場合の大体の相場観としては下記を目安にすると良いでしょう。
- 広告代理店に依頼しない場合の費用相場:
広告出稿費のみで月3万~10万円程度 - 広告代理店に依頼する場合の費用相場:
広告出稿費と運用代行手数料を合わせて月8万円程度~(※)
※「広告費8万円」の内訳は、広告出稿費の最低額5万円+運用代行手数料最低額3万円など。広告出稿費が大きい場合、その20%が運用代行手数料の相場
リスティング広告の予算の決め方
リスティング広告にかける予算の決め方はいくつかあります。総予算の大部分を占める広告出稿費を決めるにあたり、一般的に下記のような考え方をすることが多いです。
目標とする成果数から決める
1日あるいは月間でどの程度の成果数を獲得したいのかを考えて予算を決めます。例えば、目標とする成果数が来店20件だったとします。これに対し、新規の顧客を獲得するのに支払っても良い金額、すなわち顧客獲得単価(CPA:Cost per Acquisition)を3,000円とした場合、「3,000円×20件=60,000円」を予算とします。
目標とする売上金額から決める
目標とする月間売上金額を決め、広告費が売上のどれくらいを占めても良いのかを決めます。例えば、月間100万円の売上を目標にし、広告費を売上の10%にする場合、予算は10万円となります。
同業の予算相場から決める
広告代理店や同じ業界の経営者などに、「同業界・同業態で、同じような規模のお店では、広告出稿費にいくらくらいの予算をかけているか?」という相場金額を聞き、参考にして決める方法です。
出せる金額から決める
リスティング広告は少額から広告出稿できますので、「試しに1カ月10万円でやってみよう」と、経営に負担をかけない金額でチャレンジできます。その後、広告運用をしながら予算を適正化していきます。
リスティング広告以外の代表的なWeb広告
Web広告には、リスティング広告以外にもさまざまなものがあります。出稿されることが多い一般的なWeb広告の概要とそれぞれの違いを見ていきましょう。
代表的なWeb広告の一例
リスティング広告以外の代表的なWeb広告をいくつか紹介します。
ディスプレイ広告
Webサイトやアプリに表示させる画像や動画の広告(バナー広告)です。テキスト広告と比べてインパクトが強く、幅広く商品やサービスの認知度を高めたいときに有効です。
純広告
特定のWebサイトで、特定の場所・サイズの広告枠を買い取り、期間または回数を決めて掲載する広告です。
アドネットワーク広告
複数のWebサイトやソーシャルメディア、ブログなどを束ねた「広告配信ネットワーク」を利用した広告のことです。広告の形式には、画像、テキスト、動画などがあり、見た目は純広告と違いはありません。
SNS広告
FacebookやX(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に配信される広告のことをSNS広告と言います。利用している人の年齢・性別などの属性や興味関心に基づいて、広告を出し分けられます。
アフィリエイト広告
ASPと呼ばれるアフィリエイトサービスプロバイダー(※1)に、画像やテキストといった自社の広告物を提供しておき、アフィリエイター(※2)が運営するWebサイトに掲載してもらい、成果報酬で支払う形態の広告です。
(※1)アフィリエイトサービスプロバイダー:スポンサーとアフィリエイターを仲介する会社のこと
(※2)アフィリエイター:Webサイトやブログを運営し、アフィリエイト(成果報酬型広告)によって収入を得る人のこと
記事広告
雑誌社のWebサイトやWebニュースなどの媒体に、記事形式で掲載される広告のことを言います。「タイアップ広告」「PR記事」と呼ばれることもあります。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、一度自社のWebサイトを訪問した人へ、別のWebサイトにて再度広告を見せる広告手法です。「追跡型広告」「リマーケティング広告」と呼ばれることもあります。見た目はディスプレイ広告と同様です。
動画広告
動画広告は、YouTube広告に代表される、動画と音声を組み合わせた広告です。テキストや画像を用いた広告よりもインパクトが強いため記憶に残りやすく、短時間でたくさんの情報を伝えられます。
メール広告
メール広告は、例えばWebサイトの会員登録などをした人へメールで送る広告で、多くの情報を直接届けられるのが利点です。
テキスト形式のメールマガジンの文面の途中に5行程度の広告を複数挟み込む「メールマガジン広告」や、1社で1通のメールを広告用に制作して送る「広告メール」などがあります。広告メールには、文字のみで構成するテキスト形式だけでなく、Webサイトのようにデザイン性を持たせられるHTML形式があります。
各Web広告の違い
Web広告は、課金方式も、費用相場も、期待できる効果もさまざまです。下記にまとめます。
課金方式 | 費用相場 | 期待できる効果 | |
---|---|---|---|
リスティング広告 | クリック課金 | 1クリック 数十~数百円程度 | 興味関心が高まった人にタイミングよく広告を見せることができる |
ディスプレイ広告 | インプレッション課金(※3)、クリック課金 | インプレッション課金:1,000回表示あたり400~600円程度 クリック課金:1クリックあたり50~100円程度 |
幅広い人に強いインパクトを与えて自社サービスをアピールできる |
純広告 | 期間課金が多く、インプレッション課金、クリック課金の場合もある | 期間課金の場合、月数万~数百万円 | 特定のWebサイトに集まる人に広く自社サービスをアピールできる |
アドネットワーク広告 | インプレッション課金、クリック課金 | インプレッション課金:1,000回表示あたり数十円程度 クリック課金:1クリックあたり10~数百円程度 |
1カ所に入稿することで複数のWebサイトに配信できるので業務効率が良い。多くの人に接触できる |
SNS広告 | インプレッション課金、クリック課金、エンゲージメント課金(※4)など | インプレッション課金:1,000回表示あたり400~650円程度 クリック課金:1クリックあたり20~数百円程度 エンゲージメント課金:1エンゲージメントあたり40~100円程度 |
タイムラインに広告が挿入されるため、見られる可能性が高く、認知度向上が期待できる |
アフィリエイト広告 | 成果報酬 | ASP利用料:月額2~6万円程度 成果報酬費用:スポンサーが任意に設定 |
クリックや予約など、広告を見た上で反応した人のみに費用が発生。費用対効果は高い |
記事広告 | 期間課金、インプレッション課金、クリック課金など | 記事制作込みで1カ月100万円など | 第三者的な視点で紹介されるなど、広告感を薄め、理解に重点をおいた深い情報を提供できる |
リターゲティング広告 | インプレッション課金、クリック課金 | インプレッション課金:1,000回表示あたり数十~100円程度 クリック課金:1クリックあたり数十~100円程度 |
自社のWebサイトに来た興味関心の高い人を、購入などのコンバージョン(※5)まで至らせる |
動画広告 | 期間課金、インプレッション課金、クリック課金など | 媒体、広告商品によりさまざま。 インプレッション課金:1,000回表示あたり100~600円程度 クリック課金:1クリックあたり数円~数十円程度 |
無関心層にも広告を見てもらえる可能性がある。インパクトが強く記憶に残りやすい |
メール広告 | 配信数課金、クリック課金 | 媒体によりさまざま。 配信数課金:1件あたり5~100円程度 クリック課金:1クリックあたり300~800円程度 |
多くの情報を届けることができる。ターゲティングも可能 |
(※3)インプレッション課金:広告表示の回数に応じて課金される。一般的に、表示1,000回あたりの料金であるCPM(Cost Per Mille)という単位が用いられる
(※4)エンゲージメント課金:配信されたSNS広告に対して、「いいね」や「シェア」などがあった場合に課金される。CPE(Cost Per Engagement)とも呼ばれる
(※5)コンバージョン:予約や購入など期待した成果に至った場合、「お客様に転換した」という意味で「コンバージョン」と呼ばれる
飲食店や整体、美容院といった店舗経営をしていて、広告予算が月数万~20万円程度の場合、下記のような広告の活用を検討するのが一般的です。
汎用性があり活用しやすい広告
- リスティング広告
リスティング広告は、興味関心を持っている人に向けて広告を表示でき、費用面でのハードルも低い広告です。どのようなお店にも、まずは活用をおすすめできる広告です。
ビジュアルでのアピールに適した広告
- ディスプレイ広告
- アドネットワーク広告
- SNS広告
- 動画広告
画像で映える内装や商品がウリである場合は、画像が使える広告の活用が良いでしょう。お店の雰囲気や、スタッフの人柄、サービス利用のイメージを伝えるには動画広告の活用もおすすめです。
顧客単価が高いサービスに適した広告
- リターゲティング広告
「1回あたり数千~数万円のサービスを、何回か受けていただく」といった、エステや整体、美容院のような顧客生涯価値(※6)の高いサービスは、繰り返しお店の広告を見てもらえるリターゲティング広告の活用が適しています。
(※6)顧客生涯価値:LTV(Life Time Value)とも言う。サービスを開始し終了するまでの期間に、その顧客から得られる利益(価値)
リスティング広告とSEO(自然検索)の違い
検索エンジンの検索結果画面でのアピールには、リスティング広告以外に、SEOという手法があります。下記に解説します。
SEO(自然検索)とは
SEOとは、Search Engine Optimizationの略で、「検索エンジン最適化」とも呼ばれ、検索エンジンの検索結果画面でお店のWebサイトを上位表示させる施策のことです。上位表示により、多くの人にお店を見つけてもらうことを狙います。
上位表示のためには、検索エンジンから高い評価を得られるように、コンテンツの専門性を高めるなど情報を質・量ともに充実させる必要があります。例えば、読み進めやすいようにリンクを適切に配置するなど、ナビゲーションにも配慮しながらWebサイトを調整します。
「どの検索キーワードで上位表示を狙うか」という検索キーワード設定によって難易度は異なります。また、SEOの効果が出るには数カ月かかる場合もあり、すぐには現れません。しかし、上位表示されるようになれば費用はほとんどかからず、長期的に多くの人に発見してもらえる状態になる、非常に費用対効果の高い施策です。
リスティング広告との違い
リスティング広告では、広告費を支払うことで、検索結果画面上ではSEO領域よりも上の目立つ位置に広告が表示されます。
リスティング広告とSEOの違いを、下記にまとめます。
項目 | リスティング広告 | SEO |
---|---|---|
掲載順位 | 入札額などで表示順位が決まる | 検索エンジンの評価によって表示順位が決まる |
即効性 | すぐに上位表示される | 上位表示までに時間がかかる |
費用 | 広告出稿費(クリック課金) | 無料(ただし、Webサイトの改善に労力はかかる) |
閲覧者 | その検索キーワードで検索した人 (年齢・性別などで表示させる相手を絞ることも可能) |
その検索キーワードで検索した人 |
例えば、期間限定のキャンペーンWebサイトに早く集客したいなど、即効性を重視するなら、上位表示までに時間がかかるSEOよりも、入札金額を上げることですぐに上位表示されるリスティング広告に注力するのが良いでしょう。しかし、継続して存在するお店のWebサイトの集客力をアップする場合には、リスティング広告よりもSEOのほうが向いています。「SEO対策」と呼ばれる専門的なノウハウが必要になりますが、広告出稿だけでなくSEOでの集客も狙うことでより高い効果が期待できます。
リスティング広告とSNS広告の違い
SNS広告とは
FacebookやX(旧Twitter)、Instagram、などに配信されるSNS広告では、画像や動画など、さまざまな形式の広告を掲出できます。
SNSのタイムライン上に、広告ではない一般の投稿記事と並んで、「広告」や「プロモーション」と小さく文字が入るものの、それ以外は同じ記事体裁で広告が入りますので、自然と目に入り、認知度向上の効果は高いと言われています。
リスティング広告との違い
リスティング広告とSNS広告の違いを、下記にまとめます。
リスティング広告 | SNS広告 | |
---|---|---|
閲覧者 | 商品・サービスに興味関心の高い人(顕在層) | ・顕在層 ・ニーズはあるがまだ興味関心の自覚がない人(潜在層) ・無関心層 ※配信対象は年齢・性別・地域・興味などで絞ることができる |
広告形式 | テキスト | テキストに加え、画像または動画 |
課金方式 | クリック課金 | インプレッション課金、クリック課金、エンゲージメント課金など |
費用相場 | 1クリック数十~数百円程度 | インプレッション課金:1,000回表示あたり400~650円程度 クリック課金:1クリック20~数百円程度 エンゲージメント課金:1エンゲージメントあたり40~100円程度 |
拡散力 | なし | あり(広告の引用、共有が容易。友人の広告への「いいね」が自分のタイムラインに上がる、など) |
期待できる効果 | 購入可能性の高い、興味関心の高い人に広告を見せることができる | タイムライン上で目にとまる可能性が高く、認知度向上が期待できる |
広告予算が少ない場合は、費用対効果の良い広告を掲出したいので、リスティング広告が適しています。広告予算に余裕が出てきたら、リスティング広告に加え、潜在層まで認知を拡げる目的で、SNS広告を活用するのが良いでしょう。
リスティング広告の掲載順位の仕組みと強化方法
リスティング広告の掲載順位が決まる仕組みと、強化方法を下記に解説します。
リスティング広告の掲載順位の仕組み
リスティング広告の掲載順位は「広告ランク」という指標で決まります。このランクは「入札単価」と「品質スコア」の掛け算で計算されます。
品質スコアとは、広告品質スコアのことで、広告が検索した人の求めるニーズにどれだけマッチしているかを示すスコアです。この品質スコアを決める要素は主に下記の3つです。この3つの要素と入札単価から、検索キーワードごとに掲載順位が決まっていきます。
- 広告の推定クリック率
- 検索キーワードと広告文の関連性
- 検索キーワードとランディングページ(※7)の関連性
(※7)ランディングページ:広告をクリックした先にある、商品・サービスを説明するWebサイト。略してLPとも呼ばれる
掲載順位を上げるための強化方法
掲載順位を上げるためには、下記のような方法が考えられます。入札単価を上げる以外の方法では、検索する人のニーズにどれだけマッチしている広告なのかを打ち出すことがポイントです。
入札単価を上げる
掲載順位の上昇にあたっては、やはり入札単価は重要です。予算に余裕がある場合、入札単価を上げることが、順位を上げる即効性ある手段になります。
広告のクリック率を高める
広告のクリック率を高めるために、広告文の見出し(タイトル)は検索キーワードに応えるものにしましょう。さらに説明文にも検索キーワードを入れ、関連性を示すと良いでしょう。
検索キーワードとランディングページの関連性を高める
掲載順位を上げるために、ランディングページ(LP)と検索キーワードの関連性を高める必要があります。検索キーワードに応える文章をLPの上部に置くなど、関連性を示す工夫をしましょう。
リスティング広告の出稿・運用方法
リスティング広告は、広告を出稿した後も、効果を高めるために検索キーワードや文言を見直す運用が発生します。運用方法としては、広告代理店に依頼する、自店舗で運用するという2つの選択肢があり、さらに自店舗で運用する場合は、手動運用と自動化ツール運用の2つに分けられます。それぞれの運用方法のメリット・デメリットを説明します。
広告代理店に依頼する場合
リスティング広告の運用を広告代理店に代行してもらう方法です。専門的な知識と豊富なノウハウを生かした運用が期待できます。運用の方針づくりから、検索キーワードの選定や配信時間帯などの詳細な設定、広告文の制作まで、ほぼすべての業務を代行してもらえます。
メリット |
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デメリット |
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おすすめのケース |
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自店舗で実施する場合
広告代理店に依頼せず、自店舗で広告を運用する方法です。「インハウス」とも言います。運用代行手数料がかからない半面、すべてを自分たちで調べて学びながら運用していくため、運用にかかる手間と時間を見越しておく必要があります。
メリット |
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デメリット |
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おすすめのケース |
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自店舗で広告運用の自動化ツールを活用する場合
自店舗で実施する場合、自動化ツールを活用する方法もあります。広告運用の自動化ツールの機能には下記のようなものがあります。
- 「どの検索キーワードで広告を出稿するか」といった初期設定自動化機能
- 広告予算内でおさまるように出稿を調整する予算管理機能
- クリック数を増やすための入札単価の自動調整機能
自動化ツールを活用することで、ノウハウがなくてもある程度的確に広告を出稿でき、日々の作業負担も軽くなります。ツールの機能は提供会社によって異なり、利用料も月数千~数万円と幅があります。
メリット |
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デメリット |
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おすすめのケース |
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リスティング広告の準備1.KPIを決める
リスティング広告の運用において極めて重要なのが、広告の成果を測る指標の設定です。中でもKPI(Key Performance Indicator)と呼ばれる重要業績評価指標を設定することで、客観的に広告の成果を把握して、その数値が思わしくない場合の改善施策に役立てることができます。
Web広告の代表的なKPIの一例
リスティング広告も含む「Web広告」で用いられる代表的なKPIを、認知度を上げたい場合、Webサイトに誘導したい場合、コンバージョンを増やしたい場合の3つに分けて解説します。
認知度を上げたい場合
「知っている人を増やしたい」という、認知度を上げる目的のKPIを表にまとめました。
指標名 | 説明 |
---|---|
インプレッション数 (Imp:Impression) |
広告が表示された回数 |
インプレッション単価 (CPM:Cost Per Mille) |
広告表示1,000回あたりの広告費用 |
リーチ (Reach) |
広告が表示された人の数 |
フリークエンシー (FQ:Frequency) |
1人あたりの広告表示回数 |
どれだけたくさん表示されたか(インプレッション数)、何人に表示されたか(リーチ)、1人に何回表示されたか(フリークエンシー)といった指標が主なものになります。
Webサイトに誘導したい場合
お店のWebサイトへ誘導したい場合のKPIを表にまとめました。
指標名 | 説明 |
---|---|
クリック数 (Click) |
Web広告がクリックされた数 |
クリック率 (CTR:Click Through Rate) |
表示された広告がクリックされた率 |
クリック単価 (CPC:Cost Per Click) |
広告へのクリック1回あたりの広告費用 |
広告のクリック数やクリック率など、広告を見た人の行動結果が成果指標になります。特にクリック率は重要で、「自社のサービスに興味を持ちそうな人(ターゲット)に広告が表示されているのか?」「広告で商品・サービスの魅力を表現できているか?」を評価する指標になります。
コンバージョンを増やしたい場合
予約や購入など、コンバージョン関連のKPIを表にまとめました。
指標名 | 説明 |
---|---|
コンバージョン数 (CV:Conversion) |
成果に至った数 |
コンバージョン率 (CVR:Conversion Rate) |
広告へのクリックからコンバージョンに至った率 |
コンバージョンを増やしたい場合は、広告内容だけでなくWebサイト側での工夫も必要です。例えばお店のWebサイトを訪問した人が、迷わず予約ページにたどり着けるようわかりやすく誘導するなど、KPI数値を上げるように改善していきます。
自店舗の広告KPIの決め方
自店舗の広告KPIの決め方を、順を追って説明します。
1.最終的な目標を設定する
最初に、実現したい事業目標を設定しましょう。目標は数値で表します。例えば、「月間売上15%増加」や「月間予約数50件」などです。
2.Web広告の目的を明確にする
事業の目標を明確にしたら、次にWeb広告の目的を明確にします。例えば、売上増加や認知度の向上などが挙げられます。目的が売上増加の場合、「新規顧客の増加」「リピーター顧客の再訪問の増加」「予約ページの閲覧数増加」など、さらに詳細に考えていきます。
3.KPIを設定する
Web広告の目的を明確にする過程で、リスティング広告やディスプレイ広告など、どの広告施策を打つかが見えてくるはずです。実施する施策を決めたら、次にKPIを設定します。リスティング広告の場合、広告表示回数、クリック数、クリック率などがよく選ばれます。
4.KPIの目標値を設定する
最後に、KPIに対して目標値を設定します。例えば、「広告クリック率は1%を目標とする」「Webサイトへの訪問者数を月間で10%向上させる」など、現在の状況や過去の実績などから目標値を決めていきます。
リスティング広告の準備2.広告内容を決める
検索キーワードの決め方
検索キーワードには、商品・サービスへの興味関心の高い人が検索で使いそうな言葉を選びましょう。例えば、「イタリアン」のような抽象的なものより、「品川 イタリアン 夜景」といった具体的な言葉の組み合わせのほうが、購入や来店しない人のクリックを発生させず、費用対効果は高くなります。
また、除外キーワードも設定しましょう。除外キーワードとは、検索キーワードと一緒に検索された場合、広告を表示させない語句のことです。例えば中華料理店において、「レシピ」「歴史」などを除外キーワードとして設定すれば、「中華料理 レシピ」「中華料理 歴史」などで検索した、飲食店を探していない人には広告を表示させず、費用対効果を高めることができます。
広告文のつくり方
リスティング広告の広告文は、見出し(タイトル)と説明文で構成されます。
見出し(タイトル)は、その検索キーワードで検索した人のニーズを考え、それに応える文言にします。例えば、検索キーワードで「品川 イタリアン 夜景」とした場合、「32階からの品川の夜景と、美味しいイタリアンで素敵な夜を!」などとします。
説明文では、見出し部分の補足や商品・サービスのメリット、競合商品との違いを表現する文言を考えます。飲食店であれば、食材のこだわり、調理方法の特徴、立地自慢、内装自慢などを記すと良いでしょう。
これらの広告文のテキスト内に検索キーワードを含めると、その文字が太字で強調表示され、より目立つようになります。また、キャンペーンを打つことで「今だけ」「特別価格」などお得感や限定感のある表現を含めるのも良いでしょう。
リスティング広告を成功させる6つのポイント
最後に、リスティング広告を成功させるための重要ポイントを6つ紹介します。
目的・目標を明確にする
まず、「月間売上15%増加」など、実現したい事業目標を設定しましょう。その上で、リスティング広告で実現したいこと、例えば「Webサイトからの予約を月20件獲得」などと明確にします。
ターゲットを明確にする
リスティング広告は、自社のサービスに興味を持ちそうな人(ターゲット)だけに向けて配信することで効果の最大化を図ることができます。そのためには年齢層、性別、職業、居住地、興味関心など、ターゲット像を明確にしましょう。
適切な検索キーワードを設定する
ターゲットのニーズ(何をしたがっているか、何を欲しがっているか)を考え、「こういう人は、こんな言葉で検索してサービスを探すだろうな」と考え、検索キーワードを設定します。抽象的な言葉(例:整体)より、地域や興味関心を示す具体的な言葉の組み合わせ(例:梅田 スポーツ整体)のほうが、費用対効果の高いものになります。
効果的な広告文を作成する
検索キーワードで検索した人に、どのような広告文を表示させると「いいかも!」と思ってもらえるか、を考えながら文章を作成します。特に見出し(タイトル)は、検索した人のニーズに応えるような文言となるよう作成しましょう。
ニーズに応えるランディングページを用意する
広告を見て、自分のニーズに応えてくれそうと感じた人がランディングページ(LP)へとやって来ます。LPでニーズが満たされる内容が書いていないと、すぐに他のWebサイトへ行ってしまったり、不信感につながったりすることもあります。LPでの滞在時間の短さは、広告の品質スコアに影響を及ぼします。ぱっと見て、すぐにニーズに応えることがわかるようなLPを用意しましょう。
指標を定期的にチェックし、改善サイクルをまわす
広告を出稿するにあたり、多くの仮説をもって広告文を作成し、配信設定を行います。広告配信後、定期的にKPIの目標値と結果の数値を照らし合わせ、仮説を練り直し、改善していくことが重要です。言い換えれば、「改善サイクルをまわすことが最も重要」。そう言っても過言ではありません。