飲食店開業の資金調達方法は?融資とそれ以外の方法を解説

資金調達・融資
飲食店のオーナーが資金調達についてスタッフと打ち合わせしている様子

飲食店を開業する際には、店舗の物件取得費や内装工事費など、さまざまな初期費用が発生するため、資金調達が欠かせません。事前に、どのような資金調達方法があるのかを確認しておくことが大切です。

本記事では、飲食店開業時の資金調達方法について、『融資』と『それ以外の手段』に分けてわかりやすく解説します。また、必要な資金の内訳や相場についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 飲食店開業の資金調達にはどのような方法があるか
  • 融資で資金調達をするときの流れ
  • 飲食店を開業するときの必要な費用の内訳と相場
  • 自己資金なしで開業できるか

目次

飲食店の資金調達方法は?

飲食店を開業する際には、多くの初期費用がかかるため、資金調達が必要となるケースが少なくありません。資金調達の方法は、大きく『融資』と『融資以外』の手段に分けられます。

ここでは、それぞれの資金調達方法について解説します。

レストランのテーブルに綺麗に並べられた料理とカトラリー。飲食店の開業イメージや、内装・設備投資のための資金調達を連想させるシーン

融資による資金調達

飲食店を開業する際、多くの事業者が選ぶ資金調達が『融資』です。融資は、主に『公的機関からの融資』と『民間金融機関からの融資』の2つに分けられます。

それぞれの仕組みや特徴を把握して、自分に合った資金調達方法を選びましょう。

政府系金融機関からの融資

政府系金融機関とは、政府が全額または一部を出資している金融機関のことです。飲食店の開業で利用できる機関として、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫が挙げられます。

日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象に創業融資を提供しています。原則として無担保・無保証人で利用でき、低金利・長期返済での利用が可能です。

商工組合中央金庫では、商工組合中央金庫の株主になっている中小企業団体とその構成員を対象に、設備資金や長期運転資金など事業に必要な資金の融資を行っています。

民間金融機関からの融資

銀行や信用金庫、ノンバンクといった民間金融機関でも、創業時の融資を受けられる場合があります。

民間金融機関から受けられる融資は、金融機関から直接資金を借り入れる『プロパー融資』と、信用保証協会による保証がつく『制度融資』の2種類があり、開業時に融資を受けやすいのは制度融資です。

制度融資は地方自治体と金融機関、信用保証協会が連携して実行する融資であり、各地方自治体が独自に実施しています。信用保証協会が事業者に対して信用保証を出して債務を保証することで、開業時でも融資を受けやすい仕組みです。

制度融資は自治体によって対象者や利用条件が異なるため、詳細は対象となる地域の自治体に確認してください。

融資以外の資金調達

融資以外の資金調達方法には、主に次の4つがあります。

  • クラウドファンディング
  • ファクタリング
  • 第三者からの出資
  • 補助金・助成金

それぞれの概要をみていきましょう。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて、不特定多数の人々から少額ずつ資金を集める方法です。資金調達の目的や目標金額、事業計画などを公開し、その趣旨に賛同した人々から出資を募ります。

クラウドファンディングの形態は、主に『購入型』『寄付型』『金融型』の3種類に分類されます。

購入型は、プロジェクトの起案者に対して賛同者が出資し、リターンとして商品やサービスを受け取る仕組みです。

寄付型はリターンが発生せず、純粋な資金提供のみを行います。一般的な寄付と同様の仕組みといえるでしょう。

金融型は、プロジェクトに対して投資や融資を行う形式であり、リターンとして株式や利子、配当などの金銭的利益を得る仕組みです。

ファクタリング

ファクタリングとは、保有する売掛債権を売却して資金を調達する方法です。売掛金をファクタリング会社に売却することで、手数料を差し引いた金額を早期に受け取れます。

ファクタリングを利用すれば、支払期日前に資金を確保できるため、売掛金の回収リスクを軽減し、キャッシュ・フローの安定につながります。

ただし、利用には必要書類の準備など一定の手続きが必要であり、手数料が発生する点には注意が必要です。

よりスムーズな資金調達を希望する場合は、将来債権ファクタリングの資金調達サービス『Airキャッシュ』の活用がおすすめです。『Airキャッシュ』では、すでに発生している売掛債権ではなく、今後発生する予定の将来債権をもとに資金提供を受けられます。決算書の提出や信用情報機関への照会・登録も必要ありません。

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第三者からの出資

資金調達の方法として、第三者からの出資を受ける方法もあります。主な出資元には、下記のようなものがあります。

  • 親族関係からの出資
  • ベンチャーキャピタル(VC)からの出資
  • エンジェル投資家からの出資 

第三者からの出資として多いのが、親や兄弟姉妹、親戚などの親族からの資金提供です。親しい関係であるがゆえに、金銭トラブルに発展しないよう注意が必要です。出資か貸付かを明確にし、利息の有無、返済方法・期間などの条件を文書にしておくことが望ましいでしょう。

ベンチャーキャピタルとは、投資家から集めた資金をもとに、将来有望なスタートアップ企業に投資する投資会社です。主に、出資先企業が株式上場(IPO)を果たした際に株式を売却し、キャピタルゲイン(売却益)を得ることを目的としています。

エンジェル投資家とは、創業間もない企業に対して出資を行う個人投資家のことです。出資の判断材料としては、事業の将来性やビジネスモデル、経営者の人柄などが重視されます。出資の目的はさまざまで、ベンチャーキャピタルと同様に上場時のキャピタルゲインを狙う場合もあれば、社会貢献やスタートアップ支援を目的としたケースもあります。

補助金・助成金

飲食店の開業にあたっては多額の初期費用が必要となるため、資金調達手段のひとつとして補助金・助成金の活用も検討しましょう。これらの制度は主に開業後に支給されますが、条件を満たせば受給が可能であり、キャッシュ・フローの改善にもつながります。

飲食店において活用できる主な補助金・助成金は、下記のとおりです。

  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり補助金
  • キャリアアップ助成金

IT導入補助金は、業務の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進、セキュリティ対策のためのITツール導入費用を支援する制度です。

 飲食店では、下記のようなITツール導入時に活用できます。

  • POSレジシステム
  • 予約管理システム
  • キャッシュレス決済サービス など

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が経営計画を策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら販路開拓等に取り組む際に支給されます。


飲食店においては、下記のような用途が対象です。

  • 店舗の内装・外装改装費用
  • チラシやウェブ広告等の販促費用

ものづくり補助金は、中小企業等が新製品や新サービスを開発するため、または生産プロセスを改善するための設備投資等を支援する制度です。


飲食店では、下記のような取り組みが対象となります。

  • 新メニュー開発に向けた機械導入
  • 生産性向上のための厨房設備の刷新

キャリアアップ助成金は、有期雇用やパートタイムなどの非正規雇用労働者の処遇改善を目的とする制度です。


飲食店では、下記のようなケースで活用できます。

  • アルバイト・パートスタッフの正社員登用
  • 有期雇用からの直接雇用への転換

飲食店が融資で資金調達する流れ

飲食店が開業のために融資を受ける場合、一般的に下記のような手順を踏みます。

  1. 必要書類を準備する
  2. 審査を受ける

ここでは、飲食店が実際に融資を受ける際の流れについて、順に解説します。

「start up business」と書かれたミニ黒板と、瓶に詰められた大量のコイン。飲食店の開業資金の準備や、創業時の資金調達を象徴するイメージ

必要書類を準備する

融資で資金調達する際は、必要書類を準備しなければなりません。申込先によって必要書類は異なりますが、一般的に必要となる書類には、事業計画書や登記簿謄本があります。

融資の審査では、返済能力があるかどうかが慎重に判断されます。その際、とくに重要視されるのが事業計画書です。資金の必要性や、どのように返済するかといった返済計画を具体的な数字で明確に示し、説得力を高めることが審査に通るポイントです。

日本政策金融公庫では、創業計画書という名称のテンプレートを用意しているため、創業融資を申し込む場合は早めに入手し、作成を進めることをおすすめします。

審査を受ける

融資では審査が行われますが、プロセスや審査期間は融資先により異なります。日本政策金融公庫の創業融資では、申込書の提出後に担当者との面談が行われます。

面談は提出した事業計画書などの内容を確認しながら行われるため、記載した内容を矛盾なく説明できるように準備しておかなければなりません。

審査に通過したらその旨の通知が届き、入金されるという流れです。日本政策金融公庫の創業融資の場合、申込みから入金までに1ヶ月程度の期間がかかります。

必要書類を準備する手間をかけずに資金調達したい場合は、『Airキャッシュ』がおすすめです。Airペイやじゃらんオンラインカード決済の将来の売上を予測して資金提供を行うサービスで、融資を受ける際の面倒な手続きが必要ありません。入金までの時間もかからず、最短翌日のスピード入金も可能です。

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飲食店を開業するときに必要な資金

日本政策金融公庫が融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内の企業を対象に行った調査によれば、開業資金の相場は次のような結果が出ています。

  • 250万円未満:20.1%
  • 250万~500万円未満:21.0%
  • 500万〜1,000万円未満:30.7%
  • 1,000万〜2,000万円未満:18.8%
  • 2,000万円以上:9.4%

500万円未満が4割以上を占めており、 全体の平均値は985万円です。そのため、飲食店の相場も1,000万円程度と考えてよいでしょう。ただし、店舗の規模や立地により金額は前後します。

ここでは、飲食店の開業に必要な資金について、内訳や金額の目安を解説します。

参考:日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」

グラフ入りの資料を見ながら電卓で計算を行う男性の手元。飲食店の事業計画書作成や収支シミュレーションなど、資金調達に向けた数値計画の策定風景

費用の内訳

飲食店の開業に必要な費用は、次のとおりです。

費用の内訳内容費用相場
物件取得費保証金、敷金、礼金、仲介手数料、前家賃、火災保険料、造作譲渡金など400万円前後
設備・改装費内装工事費、厨房機器費、空調設備費など400万円前後
備品購入費食器、調理器具、制服、客席のテーブル・椅子など200万円前後
生活資金自宅の家賃や光熱費、食費など6ヶ月分程度

物件取得費は、賃貸物件を借りる場合の敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用がかかります。

なお、同じ飲食店を経営していた物件で、設備や什器備品、家具などがついたままで賃貸借する『居抜き物件』を借りる場合は、前の借主に対して造作譲渡代金を支払います。

その分も物件取得費は高くなりますが、設備・改装費や備品購入費は抑えられるため、開業資金全体を抑えられます。資金を多く用意できない場合は、居抜き物件を探してみるのもよいでしょう。

運転資金の目安

飲食店を開業した直後は、売上が安定しないことも少なくありません。たとえ売上がなくても、家賃や光熱費、仕入れ代金などの支払いが発生します。そのため、これらの運転資金は初期費用とは別に用意しておく必要があります。

一般的に、飲食店が軌道に乗るまでには3〜6ヶ月程度かかるとされており、この期間に対応できるだけの運転資金を準備しておくことが望ましいでしょう

飲食店は資金ゼロでも開業できる?

「自己資金は少ないが、それでも飲食店を開業したい」と考える方もいるでしょう。自己資金がなくても開業は可能ですが、その分リスクが高くなることは十分に認識しておく必要があります。

ここでは、自己資金ゼロで飲食店を開業できるのかについて、詳しく解説します。

業務用厨房に整然と吊り下げられた調理器具とステンレス製の設備。飲食店経営で大きな比重を占める厨房機器導入や設備資金の調達に関連する様子

自己資金なしはリスクが高い

自己資金がない場合、金融機関から融資を受けにくくなる可能性があります。自己資金がないことは、開業準備が不十分であると判断されやすいためです。

また、融資審査の際に、一定の自己資金を条件としている金融機関もあります。資金を計画的に貯めることは経営者としての重要な資質とされ、自己資金がないと「事業の実現性が低い」と見なされるリスクもあります。

仮に融資で初期費用をまかなえたとしても、開業後には運転資金が継続的に必要です。自己資金がまったくない状態では、売上だけで運営コストをまかないきれず、早期に資金繰りが厳しくなり、店舗の継続が困難になるおそれがあります。

開業資金を抑える営業形態を検討する

自己資金がない場合は、できる限り開業資金を抑えられる営業スタイルでの開業を検討するとよいでしょう。下記は、初期費用を抑えやすい代表的な方法です。

  • キッチンカー
  • シェアキッチン
  • ゴーストキッチン
  • 店舗の間借り

キッチンカーとは、車両に調理設備を備え、その場で調理した食品を販売する移動販売の形態です。店舗を構える必要がないため、物件取得や内装工事にかかる費用を大幅に削減できます。

シェアキッチンとは、 ひとつの厨房を複数の事業者が共有する営業方式です。それぞれの料理を提供しつつ、設備投資や家賃などの固定費を分担できるため、負担を軽減できます。

ゴーストキッチンとは、客席を持たず、デリバリーやテイクアウトに特化した営業形態です。店舗の立地や内装にかかる費用が不要なため、低コストで開業できます。

店舗の間借りは、既存の飲食店などの一部スペースを借りて営業する方法です。厨房や座席など既存の設備を活用できるため、初期投資を最小限に抑えてスタートできます。

飲食店の資金調達における注意点

飲食店の開業において資金調達を行う際は、優先順位をつけて、適切な方法を選ぶことが重要です。

ここでは、資金調達において注意すべきポイントを解説します。

虫眼鏡で拡大表示された赤い警告マーク。飲食店が資金調達を行う際の注意点やリスク、融資審査における重要なチェックポイントを強調している

資金調達方法に優先順位をつける

資金調達にはさまざまな方法があり、それぞれにかかる負担の大きさも異なります。自社の状況や優先順位を明確にし、適切な方法を選ぶことが重要です。

資金調達の手段は、大きく分けて『返済が必要な融資』『返済義務のない出資』『資産の現金化』の3つに分類されます。このうち、飲食店経営においてとくに慎重に検討すべきなのが、返済義務を伴う融資です。借入額が大きくなると、月々の返済が資金繰りを圧迫するリスクがあります。

一方で、返済義務がない第三者からの出資は、経営への負担が比較的小さいため、条件が合えば優先的に活用を検討したい手段といえるでしょう。

調達した資金は必ず事業目的で使う

どの資金調達方法を選ぶ場合でも、調達した資金は事業目的に沿って使用することが重要です。とくに、設備資金や運転資金など、使途があらかじめ定められている融資も少なくありません。

融資契約に使用目的が明示されている場合、資金を事業以外の目的に使うと契約違反となり、契約解除や一括返済を求められる可能性があります。また、そのような行為は信用情報にも影響し、将来的な融資申請に不利となるおそれがあります。

事業目的以外でも資金を使いたい場合は、資金使途自由な資金調達サービスの『Airキャッシュ』がおすすめです。Airキャッシュは、将来どの程度の売上が発生するかを予測し、それに応じた資金提供を行うサービスであり、資金の使途に事業目的という制約はありません。

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まとめ

飲食店を開業する際には、多くの資金が必要となるため、資金計画は早めに立てることが大切です。 資金調達の方法は、大きく 『融資』と『それ以外』に分けられ、それぞれ調達できる金額や条件、調達の難易度が異なります。

まずは、開業にどのくらいの資金が必要か、また自己資金としてどれだけ用意できるかを明確にしましょう。そのうえで、不足分をどの方法で調達するのが適切かを検討することが重要です。

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