
この記事でわかること
- 請求書カード払いサービスの基本的な仕組み
- 請求書カード払いを利用するうえでのメリットとデメリット
- 自社に適した請求書カード払いサービスの選び方
- 請求書カード払いサービスの利用開始までの流れと、活用するうえでの注意点や税務処理のポイント
目次
「請求書の支払いが近いのに資金が足りない……」このような悩みをお持ちの、個人事業主や中小企業の経営者の方はいませんか? 「請求書カード払いサービス」を活用すれば、お手元の法人カードや個人用クレジットカードで取引先への支払いが可能になります。
この記事では、主要な請求書カード払いサービスの概要や、メリット・デメリットをまとめています。請求書カード払いサービスを導入すれば、支払いサイクルの心配から解放され、事業成長に集中できる可能性が高まります。請求書カード払いサービスに興味をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
請求書カード払いサービスとは?

請求書カード払いサービスとは、サービス提供会社が一時的に請求書の支払いを代行するサービスのことです。
請求書カード払いサービスの概要を、4点にわけて解説します。
- 請求書カード払いサービスの基本的な仕組み
- 銀行融資やファクタリングなど他の資金調達方法との違い
- サービス利用時に使えるクレジットカードの種類
- 請求書カード払いの活用がおすすめの業種
まずは、請求書カード払いサービスの基礎を把握しましょう。
請求書カード払いサービスの仕組み
請求書カード払いサービスは、お手元のクレジットカードで、法人や個人間における請求書支払いを可能にする仕組みです。 取引先がカード決済に対応していなくても、このサービスを利用すればクレジットカードで支払いができるようになります。
具体的には、下記の流れで利用することができます。
- 利用者が「請求書の情報」を登録し、クレジットカードでの支払いを申請
- 申請に基づき利用者のクレジットカードで「請求金額+サービス手数料」をサービス事業者宛に決済
- サービス事業者が利用者の名義で、取引先の指定口座へ請求金額を銀行振込する
取引先は通常の銀行振込として支払いを受け取るため、請求書カード払いが使われたことに気づくことは基本的にありません。利用者は後日、クレジットカードの支払い日に、カード会社へ利用代金を支払います。
この一連の流れによって、支払いをクレジットカードの引落とし日まで、延長することが可能となるのです。
請求書カード払いとほかの資金調達方法との違い
資金計画を助ける方法はいくつかありますが、請求書カード払いサービスは他の方法と比べてどのような違いがあるのでしょうか。主な資金調達方法である銀行融資やファクタリングと比較してみましょう。
銀行融資は審査が厳しく、融資実行までに数週間から数か月単位の時間がかかることが一般的です。ただし請求書カード払いに比べて金利が低いのが特徴です。
一方、ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に売却することで最短即日〜数日で資金化できます。手数料は、取引先に通知しない2社間ファクタリングで10~30%、取引先の承諾を得る3社間ファクタリングで1~9%程度が目安と、種類や条件によって異なります。
これらに対して、請求書カード払いサービスは利用者がすでに持っているクレジットカードの与信枠を利用するため、新たな審査が原則不要で申込みから支払い実行までがスピーディーです。手数料はサービスによって異なりますが、一般的に3~5%程度とファクタリングよりも低く抑えられています。
さらに、請求書カード払いは借入にはあたらないため、基本的に企業の信用情報に直接影響を与えない点も大きな特徴です。ただし、クレジットカードの支払いが遅延した場合は信用情報に影響が出るため注意が必要です。下記の表に、それぞれの特徴をまとめました。
<ファクタリングと請求書カード払いの比較表>
| 資金調達方法 | 手数料(目安) | 資金化・支払い延長までの時間 | 審査 | 信用情報への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行融資 | 1~3% | 数週間~数か月 | 厳しい | 借入として記録 |
| ファクタリング | 10~30% | 1~3日 | 比較的柔軟(売掛先の信用力重視) | 原則影響なし |
| 請求書カード払い | 3~5% | 即日~3日(支払い延長) | ほぼ不要(カード審査は別) | 原則影響なし |
これらの違いを理解し、自社の資金状況や必要なスピード、許容できるコストなどを考慮して選ぶことが大切です。
請求書カード払いが利用できるクレジットカードの種類
請求書カード払いサービスを利用する際には、持っているクレジットカードがそのサービスに対応しているかを確認する必要があります。主に、国際的に広く普及している主要なクレジットカードブランドの「Visa」や「Mastercard®」などが利用できるケースが多いでしょう。
また、法人カードだけでなく、個人事業主の方が事業用として個人のクレジットカードを利用できるかどうかも、事前に確認しておく必要があります。利用したいサービスが決まったら、かならず公式サイトの案内を見て、ご自身のカードが利用対象に含まれているかチェックしてみましょう。
請求書カード払いの活用がおすすめの業種
請求書カード払いサービスは、下記のように多くの業種で活用できるサービスです。とくにそのメリットを享受しやすいのは、売上の入金よりも経費の支払いタイミングが先に来やすい業種や、お金の出入りが大きい業種などです。
請求書カード払いを利用することで、支払いを最大60日程度先延ばしにできるため、その期間を利用して売掛金の回収を進めることが可能です。また、手元資金も確保しやすくなり、気持ちに余裕を持って業務にあたれる可能性が高くなります。
具体的には、下記のような業種での活用がおすすめです。
- 建設業
- 広告代理店
- IT企業
- 飲食業
- フリーランスデザイナー・ライター
これらの業種に限らず、支払い期日と入金タイミングのズレに悩む多くの事業者にとって、請求書カード払いサービスは有効な選択肢となり得ます。
請求書カード払いサービスのメリット

ここでは、請求書カード払いサービスを利用することで得られるメリットについて、下記4つのポイントを紹介します。
- 支払い期日を延長できる
- クレジットカードのポイントやマイルが貯まる
- 簡単に手続きできる
- 請求書払いを含む支払いを一元管理できる
自社にとって大きなメリットがあると感じた場合は、導入を検討してみるとよいでしょう。
支払い期日を延長できる
請求書カード払いサービスの最大の利点は、支払い期日を延長できることです。通常、請求書は指定期日までに銀行振込で支払う必要がありますが、このサービスを利用すると、支払いをクレジットカードの引落とし日まで遅らせられます。
サービス事業者が利用者のカードで決済し、取引先へは期日通りに振り込むため、利用者はカード会社への支払い日まで資金を猶予されます。多くのサービスで最大60日程度の猶予をつくれるのが大きなメリットです。
クレジットカードのポイントやマイルが貯まる
事業運営で発生する請求書の支払いをクレジットカード決済に切り替えることで、これまで得られなかったポイントやマイルが貯まります。
高額な事業経費をカードで支払えば、還元されるポイントや特典も多くなります。貯まったポイントを消耗品や備品の購入に充てれば、経費削減に活用できるでしょう。
簡単に手続きできる
請求書カード払いサービスの多くは、オンラインで手続きが完結するため、迅速かつ容易に利用開始できます。銀行融資のような煩雑な書類準備や審査は不要で、クレジットカード情報と請求書情報があれば手続きを進められます。
時間や場所を選ばずに支払い手続きができる点は、多忙な経営者や個人事業主にとって大きなメリットです。
請求書払いを含む支払いを一元管理できる
複数の取引先からの請求書支払いをクレジットカードの利用明細にまとめられるため、支払い管理を一元化することができます。銀行振込の履歴がカード明細に集約されることで、支払い状況の把握がしやすくなり、資金管理の計画も立てやすくなります。
経費精算や会計処理においても、クレジットカード明細が証憑として活用できるため、業務効率化につながることがあります。
リクルートの『請求書立替払いサービス』は、請求書カード払いの一種で、目の前の支払いをリクルートが立て替えるサービスです。手持ちのクレジットカードを利用し、本来カード払いできない支払いをカードで決済できるようになります。
手持ちのクレジットカードで利用を申込めば、最短当日に代金の振り込みが行われます。そのため、期日が迫った請求書の支払いにも対応可能です。
請求書立替払いサービスは、仕入れや家賃、業務委託費など定期的な支払いはもちろん、設備投資や修繕費といった突発的な支払いにも利用できます。
クレジットカードの利用代金の支払いは、最大60日後まで先送りが可能になります。支払いを後ろ倒しにしたいと考えている方は、請求書立替払いサービスを利用してみましょう。
請求書カード払いサービスのデメリット

次に請求書カード払いサービスを利用する際に留意すべきデメリットや注意点について、下記の3つのポイントを紹介します。
- 利用限度額が決まっている
- 先延ばし期間に制限がある
- 個人事業主は利用できない場合がある
- 利用できない支払い科目がある
請求書カード払いは便利なサービスですが、これらの注意点もあるため、事前にチェックしておきましょう。
利用限度額が決まっている
請求書カード払いサービスを利用する際には、クレジットカード自体の利用限度額が上限となる点を理解しておく必要があります。サービス手数料を含めた請求金額がカードの利用限度額を超える場合、サービスを利用できません。
高額な支払いの場合や、複数の請求書をまとめて支払いたい場合には、限度額が不足するおそれがあるためあらかじめ確認が必要です。また、カードの利用可能額は常に変動するため、利用前に確認する習慣が大切です。高額な利用が見込まれる場合は、事前にカード会社へ限度額引き上げの相談をしたり、複数のカードを利用したりするなどの方法を検討しましょう。
先延ばし期間に制限がある
請求書カード払いサービスは支払い期日を延長できる点が魅力ですが、その期間には限りがあります。支払い延長期間は最大60日程度で、根本的な資金問題を解決するものではありません。
慢性的な資金不足に悩んでいる場合は、サービス利用と並行して、事業計画の見直しや長期的な資金調達を検討することが不可欠です。
個人事業主は利用できない場合がある
請求書カード払いサービスは個人事業主にとっても有用なツールですが、すべてのサービス業者が対応しているわけではありません。一部のサービスでは、利用対象を法人企業のみに限定している場合があります。
利用を検討する際には、公式サイトなどで自身の事業形態が対象となっているかを確認することが重要です。もし利用したいサービスが対象外だった場合は、他の個人事業主向けのサービスや、別の解決策を検討しましょう。
利用できない支払い科目がある
請求書カード払いサービスは、あらゆる種類の請求書に対応しているわけではありません。金融関連の支払い(借金の弁済)や、商品券や切手の購入など特定の支払い科目をサービスの対象外としている場合があります。
せっかくサービスに申込んでも、支払いたい請求書が対象外では利用できません。どのような請求書が支払い可能かはサービス提供会社によって異なるため、利用を検討しているサービスの公式サイトなどで、対象となる支払い科目を事前に必ず確認するようにしましょう。
請求書カード払いサービスを選ぶ際のポイント

数多く存在する請求書カード払いサービスのなかから、ご自身の事業に最も適したサービスを見つけるための選び方のポイントについて解説します。選定の際は、主に下記のポイントをチェックしてみてください。
- 支払い延長期間と振込スピードを比較する
- 対応しているクレジットカードを比較する
- サポート体制を比較する
サービスの提供事業者ごとに特徴が異なるため、複数の観点から比較検討してみましょう。
支払い延長期間と振込スピードを比較する
比較検討するうえで大切なポイントは、支払い延長期間と振込スピードです。支払い延長期間とは、サービス利用後からクレジットカードの引落しまでの期間を指します。
一方、振込スピードは、サービス申込みから取引先口座への入金までの早さのことです。急ぎの支払いが発生する事業においては、振込の最短日は重要です。「手元に現金を残しておきたいか」「取引先への支払いを急ぐか」といった自身の状況を考慮し、最適なバランスのサービスを選びましょう。
対応しているクレジットカードを比較する
請求書カード払いサービスを利用するにはクレジットカードが必須ですが、すべてのカードが利用できるわけではありません。サービスを選ぶ際には、自身が利用したいクレジットカードが対応しているかを確認しましょう。
多くのサービスはVisaやMastercard®などの主要国際ブランドに対応しています。法人カード限定のサービスや、個人事業主が個人名義のカードを利用できるサービスもありますので、事業にあうものを選びましょう。
請求書カード払いサービスの利用時に確認しておくこと

請求書カード払いサービスを実際に利用し始める前に、確認しておくべき3つの事項について解説します。
- 申込み方法
- 利用開始までの流れ
- 利用限度額や支払期日の確認
スムーズな利用開始とトラブル防止のために、事前に把握しておきましょう。
申込み方法
請求書カード払いサービスの利用開始には、まずサービスのWebサイトから申込み手続きを行うのが一般的です。「新規登録」などのボタンから基本情報(メールアドレス、会社名や屋号、氏名、住所など)を入力し、支払いに使用するクレジットカード情報を登録します。
サービスによっては、本人確認や法人確認のため、運転免許証や登記簿謄本などの書類提出が求められる場合があります。必要な情報や書類はサービスごとに異なるため、事前に確認し、準備しておくとスムーズに手続きを進められるでしょう。
利用開始までの流れ
申込み手続き後、すぐにサービスを利用できるとは限りません。利用開始までの期間はサービス提供業者によって異なり、即日〜数営業日かかる場合もあるでしょう。
また、サービス提供会社による入力情報の確認や、簡単な審査が行われる場合があります。審査完了後、通常はメールなどで利用開始の連絡が届き、その後にカード決済を申請できるようになります。利用したい期日が迫っている場合は、利用開始までの時間を考慮し、早めに申込むことが大切です。
利用限度額や支払期日の確認
請求書カード払いサービスはクレジットカードを利用する仕組みであるため、利用限度額はクレジットカード会社が設定した上限に準じます。
また、利用限度額は他のカード利用と合算されるため、常に利用可能額を確認する習慣をつけましょう。支払った代金は、後日クレジットカードの支払い期日に銀行口座から引落とされます。引落とし日や金額を把握し、口座残高が不足しないように管理しなくてはなりません。これは、支払いの遅延を防ぎ、信用情報を守るうえで重要なポイントです。
請求書カード払いサービスを賢く活用するコツ

請求書カード払いサービスのメリットを最大限に引き出し、注意点を踏まえたうえで、より賢く活用するためのコツを紹介します。
まず基本となるのは、支払い期日と利用するクレジットカードの支払いサイクルを正確に把握し、無理のない資金繰りの計画を立てることです。請求書カード払いは、あくまで支払いの日程を遅らせる仕組みであり、請求されている金額は最終的には支払う必要があります。
支払いを先送りした結果、資金がうまく回らなくなってしまうケースもあるため、請求書カード払いは計画的に利用しましょう。
また、サービス利用に伴う手数料の発生や、セキュリティ面のチェックなど潜在的なリスクを理解しておくことも必要です。メリットだけでなく、これらの注意点も踏まえたうえで、計画的に利用することがおすすめです。
請求書カード払いの税務上の取り扱い(経費計上のポイント)

請求書の支払いをクレジットカードで行った場合、基本的な税務上の取り扱いは通常の経費計上と同様です。経費として認められるためには、その支出が事業に必要なものであることを証明する必要があるため、支払いの根拠となる請求書をかならず保管しておきましょう。
経費を計上するタイミングは、クレジットカードの引落とし日ではなく、原則としてその債務が確定した日が一般的です。つまり請求書に記載された支払期日や、商品・サービスが提供された日となりますが、実務上は社内や取引先のルールにあわせることもあります。
また、インボイス制度の対象となる取引においては、仕入税額控除を受けるために適格請求書の保存が求められます。適格請求書として認められるためには「登録番号・取引日・品目・サービス内容・税率ごとの金額(税抜または税込)・消費税額と税率・発行事業者と受領者の氏名または名称・住所」などの記載が必要です。
クレジットカードの利用明細書だけでは、通常、インボイスの記載要件(登録番号、税率ごとの消費税額など)を満たしません。カード払いの元となった取引先から発行された適格請求書をかならず保管し、カード利用明細とあわせて管理することが肝心です。
クレジットカードの審査に通らない場合の代替策

請求書カード払いサービスを利用したいと考えていても、クレジットカード自体の審査に通らないことがあります。ここでは、そのようなケースにおける3つの資金調達方法について紹介します。
- 金融機関に融資を申込む
- ファクタリングを利用する
- 補助金や助成金を探してみる
クレジットカードが使えなくても、事業に必要な資金を確保する方法はいくつかありますので、把握しておきましょう。
金融機関に融資を申込む
事業資金の調達方法として一般的なのは、金融機関からの融資です。クレジットカードの審査に通らなかった場合でも、融資を利用できる可能性があります。とくに、日本政策金融公庫は中小企業や個人事業主への融資に積極的です。
融資のメリットは、事業計画や返済能力が認められれば、比較的低い金利でまとまった資金を調達できる可能性があることです。ただし、融資を受けるには事業計画書や決算書などの準備が必要で、金融機関による審査には時間がかかります。また、希望通りの金額が借りられるとは限らず、過去の信用状況も審査に影響します。
ファクタリングを利用する
売掛金(未回収の請求書)がある場合は、ファクタリングによる資金調達を検討できます。これは、未回収の請求書をファクタリング会社に買い取ってもらう仕組みで、融資とは異なり負債とはなりません。取引先に知られずに利用できる2社間ファクタリングと、取引先の承諾を得る3社間ファクタリングがあり、それぞれ手数料が異なります。
審査では、自社の信用状況よりも売掛先の信用力が重視されるため、融資を受けにくい状況でも利用できる可能性があります。
補助金や助成金を探してみる
国や地方自治体が提供している補助金や助成金は、返済不要な資金調達手段として検討する価値があります。特定の政策目標を支援するために支給されるもので、事業計画が採択されれば資金を得られます。
中小企業庁のWebサイトや、各自治体のホームページなどで情報をチェックするのがおすすめです。ただし、補助金や助成金制度には審査があり、申請手続きが複雑な場合が多くあります。また、採択されたとしても後払い形式のため、すぐに現金が必要な場合には向きません。しかし、返済の必要がない資金は経営にとって大きな助けとなるため、気になる制度があれば申請を検討しましょう。
請求書カード払いは、支払いをクレジットカードの引落日まで、実質的に延長することが可能です。クレジットカードのポイントやマイルが貯まるメリットもあり、結果としてコスト削減につながることもあります。一方で、利用の際には手数料が発生し、利用限度額がある点には注意が必要です。
この記事で解説した選び方のポイントを参考に、自社に最適な請求書カード払いサービスを見つけてください。賢く活用し、安定した事業運営を目指しましょう。




