
中小企業は、財務基盤の弱さなどを理由に資金調達で課題を抱えることがあります。課題を解消するためには、状況に応じて融資以外の資金調達方法も検討することが大切です。
この記事では、中小企業が資金調達で抱える課題や、具体的な資金調達方法の種類について解説します。
この記事でわかること
- 中小企業は大企業と比べて融資による資金調達が難しいことがある
- 中小企業が資金調達する際は、状況にあった手段を用いることが大切
- 融資以外にもビジネスローンやファクタリングなどの資金調達手段がある
目次
日本の中小企業が資金調達を必要とする主な場面
日本の中小企業が事業を営むにあたって、さまざまな場面で資金調達が必要になることがあります。
たとえば、労働人口の減少に伴い人手不足が進んでいたり、最低賃金が引き上げられたりして人件費が増えているときに、資金調達が必要になるでしょう。関連して、従業員に賞与を支払う時期に、季節性運転資金として資金を調達しなければならないこともあります。
また、天候や社会情勢、物流コストの上昇などの影響で原材料が高騰して手元の資金だけでは仕入れが困難な場面でも、資金を調達しなければなりません。そのほか、事業を拡大するために仕入れや雇用を増やすとき、新規事業の立ち上げや新商品開発で多額の資金を投入するときなどにも、資金調達が必要です。

中小企業が資金調達で抱える課題・難しい理由
中小企業は、大企業と比べて資金調達で課題を抱えやすい傾向にあります。
2025年3月の日本銀行の調査によると、大企業(全産業)で資金繰りが「楽である」と回答した割合から「苦しい」と回答した割合を引いた値は12%であるのに対し、中小企業(全産業)は8%でした。2024年3月・6月・9月・12月調査においても、すべて大企業の値が上回っています。
中小企業が大企業に比べて資金繰りが苦しい要因のひとつとして考えられるのが、融資で資金調達したくてもできない場合がある点です。融資を申し込んでも、自己資本比率が低く財務基盤が弱いと判断されると、資金調達できない可能性があります。2024年版中小企業白書によると、2022年度における全規模の自己資本比率が40.8%であるのに対し、小規模企業の自己資本比率はその半分以下の19.6%です。
中小企業は、融資を受けられない可能性も踏まえて融資以外の資金調達方法もあらかじめ検討しておかなければなりません。
参考:日本銀行『全国企業短期経済観測調査(短観)(2025年3月調査全容)』
参考:中小企業庁『2024年版 中小企業白書 第2部 環境変化に対応する中小企業』

資金調達手段の種類
一般的に、資金調達の手段は下記の3つに分類できます。
- デットファイナンス
- アセットファイナンス
- エクイティファイナンス
貸借対照表(バランスシート)において、デットファイナンスは『負債』を増やして資金調達し、アセットファイナンスは『資産』の一部を売却して資金調達します。また、エクイティファイナンスは、出資を受け入れて『純資産』を増やして資金調達する方法です。
今回は、中小企業の資金調達方法として融資・ビジネスローン・ファクタリング・資産売却・M&Aを紹介します。融資やビジネスローンによる資金調達はデットファイナンス、ファクタリングや資産売却による資金調達はアセットファイナンス、M&Aの第三者割当増資による資金調達はエクイティファイナンスの一部です。

中小企業の資金調達方法1 融資
一般的に、中小企業は資金調達が必要な場面において、融資を検討します。融資とは、事業を営む企業や個人が金融機関からお金を借りる方法のことです。
融資を受ける際は、下記の流れで進めます。
- メガバンク・地方銀行などの民間金融機関や、日本政策金融公庫・日本政策投資銀行などの政府系金融機関に相談する
- 必要書類を揃えて融資を申し込む
- 審査で承認が得られたら、金銭消費貸借契約証書などを取り交わす
- 融資金が口座に振り込まれる
- 返済を開始する
ここから、中小企業が融資で資金を調達するメリットとデメリットを解説します。

融資で資金を調達するメリット
融資で資金調達するメリットは、審査次第で高額の資金調達ができる点です。店舗開業にかかる設備資金を調達するために、融資を利用できます。
また、政府系金融機関で融資を受ける場合は比較的低金利で利用できる可能性がある点もメリットです。たとえば、日本政策金融公庫の『新規開業・スタートアップ支援資金』では、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方で要件を満たす場合に、特別利率の融資を提供しています。
融資で資金を調達するデメリット
融資を利用することのデメリットは、資金を調達するまでに時間がかかる点です。とくに、金融機関と自治体が連携して実行する制度融資や、信用保証協会が融資の保証人となる保証付融資を利用する場合に、時間がかかる可能性があります。また、申込みにあたって決算書や試算表など、さまざまな資料を用意しなければなりません。
そのほか、利用する金融機関や調達する額によって毎月支払う金利の負担が重くなる点や、少額を調達するに向かない点などもデメリットです。
中小企業の資金調達方法2 ビジネスローン
中小企業が融資の手続きにかかる手間を省いて資金を調達したい場合に、ビジネスローンの利用を検討することもあります。ビジネスローンとは、銀行やクレジットカード会社、消費者金融などから借りる事業向けのローンのことです。
ここから、中小企業が資金調達手段としてビジネスローンを利用するメリットとデメリットを解説します。

資金調達にビジネスローンを利用するメリット
融資を受ける場合と比較して資金調達するまでの時間が短い点が、ビジネスローンを利用するメリットです。一般的に、融資は申込みから入金までに数週間かかるのに対し、ビジネスローンは即日から10日以内で利用できる可能性があります。
また、事業目的であれば細かな使用用途が決められていない点もビジネスローンのメリットです。それに対し、融資を受ける場合は、設備資金として調達した額を運転資金に使うことは認められておらず、資金使途を変更できません。
資金調達にビジネスローンを利用するデメリット
一般的に、融資と比べて調達できる額が少ない点がビジネスローンを利用するデメリットです。そのため、店舗を開業するにあたって土地を取得したり建築を依頼したりする際には向いていない場合があります。
また、融資と比べて金利が高い傾向にある点もデメリットです。金利次第では、今後の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
そのほか、今後金融機関に融資を申し込む際に、ビジネスローンを利用していることで「融資が受けられなくて資金繰りが苦しいのでは?」と判断されかねない点もデメリットです。
中小企業の資金調達方法3 ファクタリング
ファクタリングを利用すれば、融資やビジネスローンのように『負債』を増やさずに資金調達できます。
ファクタリングとは、有する売掛債権をファクタリング事業者に売却することで、資金調達するサービスのことです。ファクタリングには、利用者とファクタリング事業者の間で契約する2社間ファクタリングと、利用者・ファクタリング会社・売掛先で契約する3社間ファクタリングがあります。
また、将来にわたって定期的に商品やサービスを提供し、入金を見込める債権(将来債権)を売却する『資金調達サービス(将来債権ファクタリング)』も、ファクタリングの一種です。資金調達サービスの詳しい内容については、『資金調達サービスの利用も検討する』で解説します。
ここから、資金調達にファクタリングを利用するメリットやデメリットを確認していきましょう。

資金調達にファクタリングを利用するメリット
業績や財務内容などを理由に金融機関から融資を受けられなくても利用できる点が、ファクタリングのメリットです。ファクタリング事業者は、一般的に売掛先の業績・財務内容・信用力などに基づいて利用可否を判断します。
また、融資と比べて資金調達するまでに時間がかからない点もメリットです。急いで資金調達しなければならない場面で、融資よりもファクタリングの方が利用しやすい可能性があります。
資金調達にファクタリングを利用するデメリット
融資やビジネスローンで金利がかかるように、手数料が発生することがファクタリングで資金調達するデメリットです。手数料は、ファクタリング事業者によって大きく異なります。
また、3社間ファクタリングを利用する場合は、売掛先の承諾が必要な点がデメリットです。利用するファクタリングが2社間なのか3社間なのかを、あらかじめ確認しておきましょう。
中小企業の資金調達方法4 資産売却
売掛債権以外の資産を売却することで、中小企業が資金調達する方法もあります。具体例は、遊休不動産を売却する、事業に使用しなくなった機械設備を売却するなどです。
ここから、資金調達手段として資産売却を活用するメリットとデメリットを解説します。

資金調達に資産を売却するメリット
資金調達後に元金や利息の返済が生じない点が、資金調達手段として資産売却を用いるメリットです。それに対し、融資やビジネスローンを利用した場合は、その後毎月(もしくは一括で)借りた金額を返済する必要があるため、手元資金が不足して資金繰りが悪化する可能性があります。
また、状況によっては経費削減につながることもあるでしょう。遊休資産や使用していない機械設備を手放すことにより、今まで維持・管理にかかっていたコスト分を省くことができます。
資金調達に資産を売却するデメリット
売却できる資産を保有している事業者しか利用できない点が、資金調達手段として資産売却を検討することのデメリットです。たとえ資産を所有していても、調達できる金額は対象資産の評価額に左右されます。
また、調達するまでに時間がかかる点もデメリットです。資産を売却するには、売却先探し・交渉・契約といった過程を経なければなりません。
さらに、諸費用や税金がかかる可能性がある点も、資産売却で資金調達することのデメリットです。
中小企業の資金調達方法5 M&A
M&Aが、中小企業の資金調達手段として用いられることもあります。
M&Aとは、企業の『合併と買収』を意味する言葉です。M&Aの手法として、合併・会社分割・事業譲渡・第三者割当増資・株式譲渡などがあります。
事業譲渡とは、営む事業の一部もしくはすべてを売却する手法です。収益性の低い事業を売却することで、資金調達できる場合があります。また、特定の第三者に株式を発行する第三者割当増資も、資金調達に用いられる手法です。

資金調達にM&Aを活用するメリット
中小企業が資金調達手段としてM&Aを活用するメリットは、返済義務が生じない点です。第三者割当増資の場合は自己資本が増加するため、財務内容の改善にもつながります。
また、資金を調達するだけでなく、M&Aの相手先との関係を構築できる点もメリットです。相手先の事業内容や取引先によっては、M&Aをきっかけに双方が今まで単独で活動してきた以上の効果を生み出す『シナジー効果』も期待できます。
資金調達にM&Aを活用するデメリット
M&Aの事業譲渡を資金調達手段として活用する場合は、競業避止義務の対象となることがデメリットです。競業避止義務があることにより、一定期間は同一市町村や隣接する市町村内で対象事業と同様のビジネスを開始できません。
また、M&Aの第三者割当増資を資金調達手段として活用する場合は、経営の自由度が低下する可能性がある点がデメリットです。既存株主の持ち株比率が低下するため、中小企業のオーナー経営者の影響力が弱まる可能性があります。
そのほか、手続きに手間がかかる点や、相手先を探さなければならない点なども、M&Aで資金調達することのデメリットです。
中小企業が資金調達する際のポイント
中小企業が資金調達する際は、下記の点を押さえておきましょう。
- 状況にあった方法で資金を調達する
- 調達コストを考慮する
- 資金調達サービスの利用も検討する
各ポイントを解説します。

状況にあった方法で資金を調達する
中小企業が資金調達する際は、自社を取り巻く状況を考慮することがポイントです。たとえば、急ぎで資金調達が必要な場面では、手続きに時間や手間がかからない手段を検討しましょう。
そのほか、開業したとき・開業直後・事業が軌道に乗り始めたときなど、各フェーズ(段階)にあわせて具体的な調達手段を検討することも必要です。
調達コストを考慮する
調達コストを考慮することも、中小企業が資金調達する際のポイントです。
資金調達したことで重い返済負担がのしかかり、かえって資金繰りが悪化することのないよう、検討中の資金調達手段にはどのようなコストがかかるのかを確認しておきましょう。また、事業者によって金利や手数料が異なるため、比較しておくことも大切です。
資金調達サービスの利用も検討する
中小企業が資金調達する際は、融資やビジネスローンなどだけでなく、資金調達サービス(将来債権ファクタリング)を検討することもポイントです。資金調達サービスとは、将来の売上を売却することにより、前倒しで現金化するサービスを指します。
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まとめ
中小企業は、融資を受けたいときに受けられず資金調達で苦労することがあります。そのため、あらかじめさまざまな資金調達手段を検討しておくことが大切です。
負債を増やす融資やビジネスローン以外にも、ファクタリングや資産売却などで資金調達はできます。また、ファクタリングの一種である資金調達サービスを利用することも有効です。
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