
補助金と助成金の主な違いとして、管轄や給付額があげられます。いずれも返済義務が生じないメリットがある一方で、受給までに時間がかかる点に注意が必要です。
本記事では、補助金と助成金の違いや、申請するときに気をつけることなどについて解説します。
この記事でわかること
- 補助金と助成金は、管轄や受給のしやすさが異なる。
- 補助金・助成金と給付金は、事業を対象としているかが異なる。
- 補助金も助成金も、受給までに時間がかかる点や、受給できるとは限らない点に注意しなければならない。
- 補助金・助成金以外の資金調達方法も検討しておいた方が、急な支払いが発生したときに対応しやすい。
補助金と助成金の違い
補助金も助成金も、国や地方公共団体などから支給されるお金です。主な違いとして、下記の点があげられます。
- 管轄
- 給付額
- 受給のしやすさ
それぞれ確認していきましょう。

管轄
どの省が管轄しているかが、補助金と助成金の主な違いです。
一般的に、補助金は経済産業省(中小企業庁)、助成金は厚生労働省が管轄しています。ただし、いずれも自治体や諸団体が管轄している場合もあるため、注意が必要です。
基本的に、補助金や助成金を申請する際は、管轄の省庁や自治体の関連部門に書類を提出します。
給付額
給付額も、補助金と助成金の違いのひとつです。補助金の方が、助成金よりも高額になる傾向にあります。
補助金は制度によって給付額上限が数十億円のケースもあるのに対し、助成金の給付額は数十万〜数百万円が目安です。大規模な設備投資にも使える制度がある点が、補助金の上限が高額になりやすい理由としてあげられます。
なお、制度や事業者の状況によっては補助金の給付額が数万円程度のこともあり、必ずしも補助金の方が高いとは言い切れません。
受給のしやすさ
受給のしやすさも、補助金と助成金の違いのなかのひとつです。
補助金は、申請者が受給の要件を満たしていたとしても、審査結果次第で受給できない場合があります。たとえば、『第12回公募 事業再構築補助金』には7,664者の応募があったのに対し、採択されたのは2,031者でした(採択率約26.5%)。
一方、助成金は基本的に要件を満たせば受給できます。
補助金とは
補助金とは、国や自治体などが政策目標に合わせて事業者の取組みをサポートするために、給付する資金のことです。
補助金を利用する主なメリットとして、基本的に返済の義務が生じないことがあげられます。補助金を利用しても、受給後に返済負担が重くなったり、貸借対照表上で負債比率が増加したりすることはありません。
また『補助金を受給できる事業者』とアピールできる点も、メリットとしてあげられます。補助金を受けるには、制度上の要件を満たすだけでなく、審査を通過しなければなりません。そのため、補助金を受給できたことを周知することにより、取引先からの信頼度や消費者の認知度を向上させられるでしょう。
一方で、補助金に関する情報を集めたり、書類を作成したりすることに手間がかかる点がデメリットです。また、補助金は『後払い』で受け取るもののため、まずは自社で事業に必要な支払いを済ませなければなりません。
ここから、補助金の申請方法や具体的な制度について解説します。

補助金の申請方法
補助金申請に関する一般的な流れは、下記のとおりです。
- 自社が受給できそうな補助金があるか、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の『J-Net21 支援情報ヘッドライン』などで確認する
- 該当する補助金が見つかったら、要領・申請書を確認し、必要書類を管轄の事務局に提出する
- 要件を満たし、審査も通過したら、事務局から採択結果が通知される
- 補助金を受け取るための交付申請を進める
- 交付決定された内容で、事業を開始する
- 事業実施後、内容や支出した経費を事務局に報告する
- 問題がなければ、補助金を受給できる
申請時には、事業計画書の作成が必要です。事業計画書には、事業の目的や目標、目標を達成するための手段などをわかりやすく記載しなければなりません。事業実施後も、実績報告書で内容の記載が必要です。
補助金の具体例
補助金の具体例として、『IT導入補助金』『ものづくり補助金』『事業承継・M&A補助金』の概要を紹介します。
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者などが、自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する補助金です。パッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入・初期費用などに利用できます。
補助額は最大450万円/者で、補助率は1/2〜4/5です(2025年5月時点)。IT導入補助金の『通常枠』であれば、ITツールを導入して業務効率化を目指す事業者などが、補助金の対象となる可能性があります。
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)とは、中小企業向けに、生産性向上につながる革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善などのための設備投資を支援する補助金です。補助額は最大4,000万円/者で、補助率は1/2〜2/3で設定されています(2024年度補正予算のケース)。
事業承継・M&A補助金とは、中小企業の生産性向上や持続的賃上げに向けて、事業承継に関する設備投資やM&A・PMIの専門家活用の費用を支援する補助金です。5年以内に親族内承継や従業員承継を予定している事業者が対象の『事業承継促進枠』の場合、補助額の上限は800万〜1,000万円、補助率1/2〜2/3と設定されています(2025年3月時点)
なお、補助金によっては制度の概要が変わっていたり、すでに公募が終了していたりする場合があるため、申請する際は必ず事前に各補助金の公式サイトなどでくわしい情報をご確認ください。
助成金とは
助成金とは、おもに労働・雇用関連の課題に取組む事業者を支援するために支給する資金のことです。
助成金を利用するメリットとして、従業員に快適な職場環境を提供しやすくなる点や、優秀な人材を確保するのに活用できる点があげられます。また、補助金と同様に返済不要であることや、要件を満たす事業者とアピールして信用を得られることもメリットです。
一方で、申請に手間がかかる点がデメリットとしてあげられます。また『後払い』で受給までに時間がかかるため、必要なときに資金を調達できません。

助成金の申請方法
助成金の申請に関する一般的な流れは、下記のとおりです。
- 自社が受給できそうな助成金があるか、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の『J-Net21 支援情報ヘッドライン』などで確認する
- 該当する助成金が見つかったら、要件を満たすために必要な実施計画を策定する
- 実施計画書などの必要書類を事務局に提出する
- 実施計画書の内容に沿って、取組みを実施する
- 助成金の申請をする
- 実施内容に問題がなければ、助成金を受給できる
なお、審査にあたって、内容に問題がないか確認するために実地調査が実施されることがあります。
助成金の具体例
助成金の具体例として、『人材確保等支援助成金』と『トライアル雇用助成金』の概要を紹介します。
人材確保等支援助成金の『雇用管理制度・雇用環境整備助成コース』は、事業主が雇用管理制度や業務負担軽減機器などを導入して雇用管理を改善し、離職率の低下に取組んだ場合に受けられる助成金です。たとえば、賃金規定制度を導入した場合は、40万円(賃金要件を満たしたら50万円)の助成金を受けられます。
トライアル雇用助成金の『雇用管理制度・雇用環境整備助成コース』は、一定期間試行雇用をしている事業主に対して、職業経験の不足などで就職が困難な求職者を無期雇用契約へ移行することを前提に支援する助成金です。要件を満たした事業者は、支給対象者1人につき月額4万円(条件次第で5万円)が支給されます。
申請する際は、事前に厚生労働省のサイトなどでくわしい情報をご確認ください。
給付金とは
給付金とは、国や自治体が一定の条件を満たす国民・都道府県民・市町村民に向けて支援する金額のことです。補助金や助成金と同様に、給付金も返済の必要はありません。
ここから、補助金・助成金と給付金の異なる点や、給付金の具体例について解説します。

補助金・助成金と給付金の異なる点
給付金は、事業に関係しない点で補助金や助成金と異なります。事業を営んでいる人も、事業に携わっていない人も、要件を満たしていれば給付金受給の対象です。
補助金や助成金が『後払い』であるのに対し、給付金は『先払い』である点も異なる点です。給付金は基本的に使途が決まっていないため、何かにお金を使う前から受給可能です。
給付金の具体例
給付金の具体例として、『育児休業給付金』や『特別定額給付金』があげられます。
育児休業給付金とは、雇用保険の被保険者が、原則として1歳未満の子を養育するために育児休業を取得し、いくつかの要件を満たす場合に受給できる給付金です。『休業開始時賃金日額』や『支給日数』などにもとづき計算した額が、1支給単位期間ごとに支給されます。
特別定額給付金とは、2020年には家計への支援を目的に10万円/人を給付した給付金のことです。
補助金・助成金を申請する際に気をつけること
補助金や助成金を申請する際には、下記の点に気をつけましょう。
- 期限・要件を確認する
- 受給できない可能性も考慮する
- 給付までの資金を確保する
それぞれ解説します。

期限・要件を確認する
補助金や助成金を申請する際は、期限をしっかり確認しましょう。
期限を過ぎた場合は、次回の申請まで一定期間を待たなければなりません。種類によっては、次回の公募がないこともあるでしょう。
また、要件を確認しておくことも大切です。申請に手間をかけても、万が一要件を満たしていなければ補助金や助成金を受給できません。
なお、申請時に偽った情報を記載すると不正受給に該当します。要件を満たすために、実態とは異なる記載をしてはいけません。
受給できない可能性も考慮する
補助金や助成金で資金調達するためには、要件を満たしていなければなりません。また、補助金の場合は、要件を満たしていたとしても審査次第で受給できないことがあります。
資金調達手段として補助金・助成金をあてにしていると、万が一受給できない場合に資金不足に陥ることがあるでしょう。受給できない可能性も踏まえ、別の資金調達手段も検討しておくことが大切です。
給付までの資金を確保する
給付までの資金を確保しておくことも、補助金・助成金を申請する際に気をつけなければなりません。
補助金や助成金は、受給するまでには日数を要するうえに、対象の支払いに対して後払いです。そのため、申請した計画を実施するにあたって、まずは自社で資金を工面しなければなりません。
計画を実施するにあたって手元の資金が潤沢でない場合には、補助金・助成金以外で資金を調達する方法を考えておきましょう。
補助金・助成金の代わりに資金を調達する方法
受給できない可能性があること、給付までの資金確保が必要なことなどを考慮し、補助金や助成金以外の資金調達手段もあらかじめ検討しておきましょう。
補助金・助成金の代わりに資金を調達する主な方法は、下記のとおりです。
- 銀行の融資を受ける
- ファクタリングを利用する
- 将来債権ファクタリングを利用する
それぞれ解説します。

銀行の融資を受ける
銀行に相談して融資を受けられれば、希望する額を資金調達できます。融資を受けるまでの一般的な流れは、下記のとおりです。
- 取引している銀行に、運転資金や設備資金として資金が必要であることを相談する
- 必要書類を用意して、借入を申込む
- 審査を受ける
- 審査で承認を得られたら、契約を締結する
- 口座に入金される
審査で承認が得られれば補助金や助成金よりも大きい額を調達できる点が、融資を受けるメリットとしてあげられます。また、銀行との関係を構築することで、今後も資金需要が発生した際に相談しやすくなる点もメリットです。
一方で、相談してから実際に入金されるまでに1週間から1か月程度かかる可能性がある点が、デメリットとしてあげられます。また、返済能力や信用力が低いと判断された場合は、資金が必要でも融資を受けられない可能性がある点もデメリットです。
ファクタリングを利用する
ファクタリングを利用して、資金調達する方法もあります。
ファクタリングとは、取引先に対する売掛金をファクタリング事業者に売却することで、回収前に現金を得られるサービスです。自社とファクタリング事業者で契約する2社間ファクタリングと、3社間ファクタリングがあります。
とくに2社間ファクタリングを利用する場合は、補助金・助成金や銀行からの融資と比べてスムーズに資金を調達できる点がメリットです。一般的には、即日〜10日程度で資金調達できます。
2社間ファクタリングを利用する際の一般的な流れは、下記のとおりです。
- 取引先に商品・サービスを販売して売掛金が発生する
- 売掛金をファクタリング事業者に売却する
- ファクタリング事業者から売却代金を受け取る
- 取引先から売掛金を回収する
- ファクタリング事業者に回収した売掛金を支払う
なお、ファクタリングの手数料は、利用する業者によって異なります。
将来債権ファクタリングを利用する
ファクタリングの一種である、将来債権ファクタリングを利用した資金調達方法もあります。将来債権ファクタリングとは、継続・反復的な取引で将来発生することがほぼ確定している債権を売却して、現金化することです。
たとえば、株式会社リクルートのAirキャッシュを利用すれば、『Airペイ』または『じゃらんオンラインカード決済』による将来の売上を今のお金に変えられます。必要な金額と引落プランを選ぶだけの2タップで申込めるため、面倒な入力作業や書類提出は不要です。
まとめ
補助金と助成金の主な違いは、管轄です。補助金は主に経済産業省の管轄であるのに対し、助成金は基本的に厚生労働省が管轄しています。
補助金も助成金も、返済の義務が生じない点がメリットです。ただし、申請してから受給するまでには時間がかかるため、別の資金調達手段も検討しておかなければなりません。
負債を増やさずにスムーズに資金調達できる手段のひとつが、将来債権ファクタリングです。将来債権ファクタリングとは、将来発生することがほぼ確定している債権を売却して、現金化することを指します。
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