新規事業立ち上げに使える補助金・助成金10選|申請の流れも解説

資金調達・融資
新規事業立ち上げ時の初期費用を抑えるために返済不要な補助金や助成金を活用し、賢く資金調達を行って新たな事業をスタートさせるイメージ

新規事業を立ち上げる際は、初期費用としてまとまった資金が必要です。初期費用の負担を減らしたい場合は、補助金・助成金を活用することで、返済の負担を増やさずに新たな事業を始められます。

この記事では、新規事業立ち上げに活用できる補助金・助成金を紹介し、申請の流れや審査に通過するポイントをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 新規事業の立ち上げで受け取れる補助金・助成金の概要がわかる
  • 新規事業の立ち上げに利用できる具体的な補助金・助成金を把握できる
  • 新規事業の立ち上げに補助金・助成金を利用するメリットがわかる
  • 補助金申請の流れや申請の際の注意点がわかり、ポイントを押さえた申請ができる

目次

新規事業の立ち上げで受け取れる補助金・助成金とは?

新規事業の立ち上げには、多くの資金が必要です。設備投資や開発費、人件費、広告宣伝費など、初期段階で発生する支出は、事業を軌道に乗せるために欠かせません。しかし、これらの費用は企業にとって大きな負担となる場合があります。

こうした負担を軽減し、リスクを抑えながら事業を進める手段として、国や地方公共団体が提供する補助金・助成金の活用があります。資金の一部を支援してもらうことで、事業計画を達成する可能性を高められるでしょう。

ここでは、補助金・助成金の概要を解説します。

新規事業の資金調達や補助金の活用をイメージさせる、黒い背景の上に並べられた一万円札の束

補助金と助成金の違い

補助金・助成金は、いずれも国や地方公共団体が事業者を支援する目的で支給される返済不要のお金です。とくに、明確な定義によって区別されているわけではありません。国や自治体の政策目標に沿ってさまざまな分野で公募され、事業者の取り組みを支援するために、必要な費用の一部を給付しています。

補助金・助成金のどちらも財源は税金などの公的資金で、原則として申請や審査を経て支給されます。

一般的に、助成金は定められた要件を満たしていれば受給できる可能性が高く、雇用促進や人材育成など継続的な政策目的に基づいて実施されるものが多い傾向があります。

一方、補助金は予算や採択件数、支給金額があらかじめ決められており、申請しても必ず採択されるとは限りません。事業計画の内容や補助金の目的との適合性などが重視され、競争率も比較的高い点が特徴です。

受給には審査が必要

募集要件を満たして申請した場合でも、審査の結果によっては受給できない場合があります。多くの制度では、提出された申請書類をもとに審査が行われ、事業内容の妥当性や実現可能性などが総合的に判断されます。

とくに、補助金の場合は、申請件数が予算を上回ることも多く、他の事業者との比較によって採択・不採択が決まるケースが一般的です。そのため、事業の強みや社会的意義、収益性などを明確に示すことが重要になります。助成金であっても、書類の不備や要件に該当しない場合は支給されません。募集要件をよく理解し、適切な準備を行うことが受給するためのポイントです。

審査に通過しても、すべての経費が対象になるわけではありません。補助対象となる経費や補助率、上限額が定められているため、事前に確認しておくことが大切です。

新規事業の立ち上げで利用できる補助金・助成金一覧

新規事業の立ち上げに利用できる補助金・助成金は数多くありますが、それぞれ、支援の目的や要件は異なります。そのため、計画している新規事業の趣旨に合った制度を見つけ、新規事業の内容が要件に該当するかを確認する必要があります。

新規事業の立ち上げで利用できる可能性のある主な補助金・助成金は、下表のとおりです。

補助金・助成金名制度の概要
中小企業新事業進出補助金新規事業や新市場への進出を支援する中小企業向けの補助金
小規模事業者持続化補助金販路拡大や設備投資など、小規模事業者の事業継続・成長を支援
IT導入補助金業務効率化や生産性向上のためにITツール導入を補助する制度
ものづくり補助金製造業の革新的な製品開発や生産プロセス改善を支援する補助金
中小企業成長加速化補助金中小企業の新規事業や設備投資を支援する大型補助金
事業承継・引継ぎ補助金事業承継や事業引継ぎを円滑に行うための費用を補助する制度
起業支援金創業時の設備投資や運転資金など、起業を支援する補助金
人材開発支援助成金社員の教育・研修費用を助成し、人材育成を促進する制度
キャリアアップ助成金非正規社員の正社員化や処遇改善など、雇用の質の向上を支援
トライアル雇用助成金就職困難者を一定期間、試行雇用する企業に助成される制度

補助金・助成金は毎年公募されるケースが多いものの、次年度も同じ内容で公募されるとは限りません。また、制度の対象や補助額、申請条件、募集期間などは年度ごとに変更されることもあります。

申請を検討する際は、最新の公募要領や公式サイトで情報を確認し、変更点を把握したうえで準備を進めることが大切です。

ここでは、新規事業の立ち上げで活用できる補助金・助成金の詳細を紹介します。

新規事業に向けた貯蓄や補助金の自己資金を表現する、大量のコインの上に置かれた白い豚の貯金箱

中小企業新事業進出補助金

中小企業新事業進出補助金は、事業再構築補助金の後継として創設された補助金です。中小企業がこれまでの事業とは異なる分野へ新たに進出する取り組みを支援する制度です。新商品・新サービスの開発や、新市場への参入など「新規性の高い事業」を対象に補助金を支給しています。

設備投資やシステム構築、試作・開発費など、新規事業の初期段階で発生しやすいコストに充てられるため、自己資金の負担を抑えながら事業をスタートできます。

従業員規模補助上限額補助率
従業員数20人以下2,500万円(3,000万円)1/2
従業員数21~50人4,000万円(5,000万円)1/2
従業員数51~100人5,500万円(7,000万円)1/2
従業員数101人以上7,000万円(9,000万円)1/2

補助下限は750万円です。

また、一定の賃上げ目標を達成すると、カッコ内の金額に補助金の上限額が上乗せされる「賃上げ特例」という制度もあります。次の要件を満たす事業者が対象で、より多くの補助を受けられる可能性があるでしょう。

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下の2点を満たすこと

  • 事業場内最低賃金+50円
  • 給与支給総額+6%を達成

参考:中小企業新事業進出補助金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が直面する働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入などの制度変更に対応するため、経費の一部を補助する制度です。経営計画に基づいた販路開拓や事業改善の取り組みを支援しています。

広告宣伝費やホームページ制作、ECサイト構築、店舗改装など、幅広い経費が対象です。

新規事業の立ち上げ時に必要となる集客や認知拡大にも使いやすく、自己資金の負担を抑えながら、事業を軌道に乗せやすくなるでしょう。経営計画の作成を通じて事業の方向性を整理できるため、将来を見据えた安定的な事業運営にも役立ちます。

枠名補助上限額補助率
通常枠(一般型)50万円2/3
賃金引上げ枠200万円2/3(赤字事業者は3/4)
卒業枠200万円2/3
後継者支援枠200万円2/3
創業枠200万円2/3

インボイス登録事業者として要件を満たす場合は、上記補助上限額に50万円が上乗せされます。

「卒業枠」とは、事業規模を拡大し、小規模事業者からの「卒業」を目指す事業者を支援するための枠です。

補助事業の終了時点で、補助事業終了時点で一定要件を満たす必要があり、満たさない場合は補助金の支給はありません。

参考:小規模事業者持続化補助金

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が業務のデジタル化や生産性向上を目的としてITツール(ソフトウェア・クラウドサービス等)の導入費用の一部を補助する制度です。導入支援を行う登録済みの「IT導入支援事業者」と協力して申請する必要があり、業務効率化やデータ管理、顧客対応の改善など幅広い目的に利用できます。

ITツールの導入によって、バックオフィス業務の省力化やデジタルによる新たな事業モデルの構築が可能になり、新規事業立ち上げ時も、初期投資の負担軽減に役立ちます。

枠・類型補助上限額補助率
通常枠・ITツールの業務プロセスが1~3つまで:5万~150万円、4つ以上:150万~450万円・中小企業:1/2
・最低賃金近傍の事業者:2/3
複数社連携IT導入枠最大3,000万円まで、事務費/専門家費:200万円・2/3
・一部で1/2の場合あり
インボイス枠(インボイス対応類型)・ITツール:1機能:~50万円、2機能以上:~350万円
・パソコン・タブレット等:~10万円レジ
・券売機等:~20万円
・~50万円以下:3/4(小規模事業者:4/5)
・50万~350万円:2/3
・ハードウェア購入費:1/2
インボイス枠(電子取引類型)最大350万円・中小企業:2/3
・大企業:1/2
セキュリティ対策推進枠5万~150万円・中小企業:1/2
・小規模事業者:2/3

新規事業の立ち上げでは、一例として予約管理システムや顧客管理ツール・会計システムなど、ビジネスの基盤となるIT環境の整備に活用できるでしょう。

参考:IT導入補助金

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。中小企業・小規模事業者が行う革新的な製品・サービスの開発や生産性向上のための設備投資を支援する補助金制度です。製造業に限らず、商業・サービス業など幅広い業種を対象にしています。

単なる既存設備を新しくするだけでなく、新しい付加価値を生み出す先進的な取り組みを支援することを目的とした補助金です。

新規事業では、試作品開発や業務プロセスの改善、海外市場への事業拡大などに向けた投資に役立つでしょう。

枠・類型補助上限額(従業員数)補助率
製品・サービス高付加価値化枠・5人以下:750万円
・6~20人:1,000万円
・21~50人:1,500万円
・51人以上:2,500万円
・中小企業:1/2
・小規模事業者等:2/3
グローバル枠3,000万円・中小企業:1/2
・小規模事業者等:2/3

さらに、大幅賃上げ特例と最低賃金引上げ特例が設けられています。給与支給総額を一定以上引上げ、最低賃金を基準より高く設定する計画を立てた場合、従業員規模に応じて補助上限額が上乗せされる仕組みです。

参考:ものづくり補助金

中小企業成長加速化補助金

中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す成長志向の中小企業が飛躍的な投資を行う際に支援する補助金です。積極的に事業拡大を目指す中小企業の大規模投資を支援し、地域経済に貢献する成長企業の育成を目標としています。

大胆な設備投資やシステム導入、専門家活用等を通じて、事業基盤の強化・新規事業の展開をサポートします。

申請には「売上高100億円を目指す宣言」や一定の賃上げ計画が必要で、長期的な成長戦略に基づいた新規事業の立ち上げにも活用可能です。

対象経費補助上限額補助率
・建物費(拠点新設・増築等)
・機械装置費(器具・備品費含む)
・ソフトウェア費
・外注費
・専門家経費
最大5億円1/2以内

対象となるのは売上高100億円を目指す中小企業で、売上高が10億円以上100億円未満であることが要件です。

参考:中小企業成長加速化補助金のご案内

事業承継・M&A補助金

事業承継・M&A補助金は、中小企業・小規模事業者が後継者への事業承継やM&Aを契機として経営革新や事業再編に取り組む際の経費の一部を支援する補助金です。

承継や統合にともなう設備投資、システム導入、販路開拓など、事業活動に必要な投資を補助し、経営資源の引継ぎを支援します。同時に、新規事業の立ち上げや事業拡大の負担を軽減できる制度です。事業承継の機会に、新しいサービスや市場を拡大する計画を進めることもできるでしょう。

枠・類型補助上限額補助率
事業承継促進枠800万〜1,000万円・中小企業者:1/2
・小規模事業者:2/3
専門家活用枠・買い手支援類型:600万~800万円
・売り手支援類型:600万~800万円
・買い手支援類型:1/3、1/2、2/3
・売り手支援類型:1/2、2/3
PMI推進枠・PMI専門家活用類型:150万円
・事業統合投資類型:800万~1,000万円
・PMI専門家活用類型:1/2
・事業統合投資類型:1/2、2/3
・小規模事業者:2/3
廃業・再チャレンジ枠150万円1/2、2/3
事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠と併用申請する場合、事業ごとの補助率に従う

参考:事業承継・M&A補助金

起業支援金

起業支援金は、地域の課題解決につながる社会的事業を新たに起業する人を支援する制度です。都道府県や市町村が実施しています。支援の一環として計画策定の伴走支援が受けられるほか、起業に必要な経費の一部を補助して事業立ち上げの負担を軽減できます。

対象は地域に居住または居住予定の起業者で、事業分野には、子育てを支えるサービスや地域産品を生かした飲食事業、買い物に不便を感じる人への支援、まちづくりの活性化など、地域ごとの課題解決につながる多様な取り組みが想定されています。

補助金の内容補助上限額補助率
事業費への助成最大200万円1/2

年度により実施する都道府県は異なるため、詳細は公式サイトをご確認ください。

参考:起業支援金

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、企業が従業員に対して計画的な職業訓練を実施した場合に、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。「事業展開等リスキリング支援コース」もあり、新規事業の立ち上げや既存事業からの転換にともなうリスキリング(必要な知識・技能の習得)を支援しています。

人材開発支援助成金は複数コースがあり、代表的なものは下表のとおりです。

補助金の内容助成額助成率
事業展開等リスキリング支援コース賃金助成(1人1時間)
・中小企業:1,000円
・大企業:500円
訓練経費の最大75
人材育成支援コース訓練内容により助成額・助成率が異なる

事業に必要なスキルを従業員に付与する取り組みを支援する助成金であり、人材育成のコストを軽減しながら、新規事業の拡大を目指せるでしょう。

参考:厚生労働省『人材開発支援助成金』

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者(有期雇用・派遣・短時間労働者など)の正社員化や処遇改善を実施した場合に支給される助成金です。企業が雇用の質を高める取り組みを支援することで、従業員の定着や労働条件の改善を促します。

新規事業立ち上げ後に必要になる人材確保や、戦力の強化に役立つでしょう。

代表的なコースと助成額は、下表のとおりです。

コース名中小企業の助成額
正社員化コース・重点支援対象者:最大80万円/人
・通常:最大40万円/人
障害者正社員化コース最大120万円/人(重度障害等)
賃金規定等改定コース約4万〜7万円/人(引上率による)
賃金規定等共通化コース1事業所あたり最大60万円

各取り組みを実施する前に「キャリアアップ計画」を提出し、実施後に申請するという流れです。

参考:厚生労働省『キャリアアップ助成金』

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、就職が困難な求職者を「トライアル雇用」という試行雇用期間で受け入れた事業主に支給される助成金です。トライアル雇用では、正社員などの常用雇用への移行を見据え、企業と労働者がお互いの適性を確認する機会を提供しています。

新規事業の立ち上げ時には、人材採用のリスクやミスマッチを軽減しながら、人材確保・育成のコスト負担を軽くする効果が期待できるでしょう。

代表的なコースは、下表のとおりです。

コース名助成額(1人あたり/月)
一般トライアルコース最大4万円(最長3ヶ月)
障害者トライアルコース・最大4万円(最長3ヶ月)
・精神障害者を雇用する場合、月額最大8万円(最長3ヶ月・その後4万円×3ヶ月)

ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介を通じた採用が対象となります。

一般・障害者のコース以外に、中小建設事業主が、若年者(35歳未満)または女性を建設技能労働者等として雇い入れる場合に利用できる「若年・女性建設労働者トライアルコース」もあります。

参考:厚生労働省『トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

新規事業の立ち上げで補助金を利用するメリット

新規事業の立ち上げには多くの資金や時間がかかりますが、補助金・助成金を活用することで初期費用の負担を軽減し、リスクを抑えながら事業を開始できるなど、さまざまなメリットがあります。資金面だけでなく、事業計画の精度を高められることもメリットのひとつです。

ここでは、新規事業を立ち上げる際に補助金・助成金を利用することで得られる具体的なメリットについて解説します。

補助金申請の事業計画書を作成するため、資料やグラフを確認しながらノートパソコンを操作するビジネスパーソン

初期費用の負担を軽減できる

新規事業を始めるときは、設備の購入や広告宣伝、試作品の開発といった初期投資が必要になり、大きな負担になります。こうした費用を補助金や助成金で一部まかなえれば、資金面に余裕が生まれます。事業の推進や、必要な人材確保などに取り組みやすくなるでしょう。

初期費用の負担が軽くなることで、計画を縮小したり事業開始が遅れたりするリスクを減らせます。その結果、スムーズに新規事業をスタートできる点がメリットです。

返済不要でリスクが低い

補助金は融資とは異なり、受給した資金を返済する義務がありません。融資の場合は元本の返済や利息の支払いが発生するため、事業が計画通りに進まない場合には返済できなくなるリスクがともないます。

返済不要の補助金・助成金を利用すれば、事業立ち上げ時の資金面での不安を大幅に軽減できるでしょう。その結果、資金繰りに余裕を持ちながら、新規事業に集中できる環境が整います。

さらに、返済の心配がないことで、挑戦的な取り組みや新しい試作、販路開拓なども安心して行いやすくなり、新規事業が成功する可能性を高められるでしょう。

採択により企業の信用が高まる

補助金・助成金を受給した実績は、企業の信頼性を高める効果が期待できます。補助金の採択には、事業計画や資金計画の妥当性、事業内容の社会的意義、実現可能性などが厳しく評価されます。そのため、受給の実績は第三者から見ても、計画的に事業を進める会社であることの証明になるでしょう。

とくに、金融機関や取引先、投資家にとっては、補助金に採択された経験がある企業は信頼度が高いと評価されやすく、融資や取引、資金調達の際に有利に働くことがあります。

また、補助金に採択されたことを公表することで、顧客や求職者に対しても信頼できる企業であることをアピールできます。企業のブランドイメージ向上につながるでしょう。

事業計画の作成で事業の見直しができる

補助金申請では、多くの場合、事業計画書の提出が求められます。事業計画書の作成により、新規事業を開始する前に目標や戦略、必要な資源を整理し、事業を見直す機会が得られることもメリットです。

詳細な計画を作成することで、資金や時間の無駄を減らし、事業の方向性や実現可能性を事前に確認できます。

また、計画作成の過程でリスクや課題を洗い出せるため、事業運営でも適切な判断がしやすくなるというメリットもあります。

さらに、計画書をもとに関係者や投資家に説明することで、協力や理解を得やすくなるなど、新規事業の成功に向けた準備を万全にする効果が期待できるでしょう。

新規事業立ち上げに向けた補助金申請の流れ

補助金を利用する際は、公募要領の確認から申請、事業の実施、交付に至るまでの全体の流れを事前に把握しておくことが大切です。流れを理解しておくことで、申請書類の準備やスケジュール管理、必要な経費の整理などがスムーズに進められ、申請ミスや手続きの遅れを防止できます。

ここでは、補助金を申請する際の基本的な手順とポイントを紹介します。

新規事業のビジネスモデルや補助金活用の工程を検討するために、ノートパソコンでフローチャートを操作する手元

1.公募要領を確認する

補助金・助成金ごとに公募要領は異なり、同じ補助金・助成金でも募集する年度によって要件や対象経費、申請期間が変わる場合があります。

そのため、最新の公募要領を正確に確認することが欠かせません。事業内容が公募の要件に合致しているかを確認し、必要書類や提出方法、審査のポイントなどを把握することで、申請後の不備を防ぎ、効率的に申請準備を進められます。

公募要領は、公式サイトから入手可能です。過去の採択例も参考にすると、より具体的に申請の計画を立てやすくなるでしょう。

2.申請書類を準備する

補助金申請には、事業計画書をはじめ、法人登記簿謄本や会社概要、直近の決算書類、見積書、資金繰り表など多くの書類が求められます。

必要書類を事前に確認し、早めに準備しておくことが大切です。また、事業計画書は単に形式を揃えるだけでなく、事業の目的や効果、収益性、社会的意義などがわかるように、具体的な数字を入れながら詳細に作成する必要があります。

早めに準備を開始することで書類の精度を上げられるため、採択率を高められるでしょう。

3.申請して審査を受ける

書類が揃ったら、指定された方法で申請を行い、審査を受けます。特定の補助金では原則として電子申請(jGrants)での応募となっており、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必須です。GビズID取得には一定期間を要するため、早めに取得手続きをしておきましょう。

また、審査では、事業の実現可能性や経費の妥当性、計画の具体性などが評価されます。審査基準は公募要領に詳しく記載されているため、事前に確認し、それに沿った内容で書類を作成することが重要なポイントです。

審査の結果、採択・不採択が決定されます。採択されると「交付決定通知書」が届き、補助事業を正式にスタートするという流れです。

4.事業計画に沿って新規事業を開始する

審査に通過しても、すぐに補助金・助成金が支給されるわけではありません。受給するためには、申請時に提出した事業計画に沿って実際に事業を開始し、計画した施策や設備投資を確実に実施することが前提となります。

また、補助金・助成金は、事業の進捗状況や経費の適正な使用を確認したうえで支給されます。そのため、計画通りに事業を進めることはもちろん、進捗管理や領収書・請求書などの証拠資料をしっかりと保管しておくことが重要です。これらの手順を守ることで、申請後のトラブルや不支給のリスクを避け、円滑な受給につながります。

5.補助金が交付される

事業を実施したあとは、補助金・助成金の対象となる経費を整理し、支給要件を満たしていることを報告・申請します。提出された内容は審査され、経費が適正で計画通りに事業が実施されていることが確認されれば、補助金・助成金が交付される流れです。

交付された資金は、新規事業の設備投資や運営費、人件費などに活用でき、事業の安定化やさらなる成長を後押しする資金として役立ちます。

資金面での余裕が生まれることで、リスクを抑えながら新規事業のチャレンジが可能となり、計画的・効率的に事業を推進できるでしょう。経済的な負担を軽減しながら、事業拡大やイノベーションにつなげられることが大きなメリットです。

補助金の審査に通過するポイント

補助金の審査に通過するためには、単に書類を提出するだけではなく、事業計画書の具体的な作成や審査基準の把握、専門家のアドバイス活用など、押さえておくべき重要なポイントがあります。

ここでは、審査に通過するための具体的な対策を紹介します。

新規事業の成功や補助金採択に向けた重要事項を指し示す、POINT!という文字と人差し指のアイコン

事業計画書を具体的に作成する

審査の中心となるのは、事業計画書です。計画書が抽象的な表現であったり漠然とした内容だったりすると、事業の強みや社会的意義が伝わらず、採択される可能性が下がるでしょう。

審査員が計画書を読んだだけで、事業の全体像や収益性、実現可能性を正確に理解できるよう、数字やスケジュール、費用の見積もりなどを具体的に示す必要があります。

さらに、計画書を作成する過程で事業の課題やリスクを整理し、それに対する具体的な対応策を明記することで、計画全体の説得力が格段に高まります。審査における評価をより有利にできるでしょう。

また、事業計画書をわかりやすく作成することも大切です。書類審査では、申請書類全体に目を通す時間は限られているため、担当者が事業内容をすぐに理解できるように工夫してください。

審査員が、すべての業種に詳しいわけではありません。業界特有の専門用語や難解な表現は避けるか、わかりやすい言葉に置き換える、もしくはカンタンな解説を添えるなどの配慮が必要です。

審査項目や加点項目を意識する

多くの補助金では、事業の目的達成度を評価するために、審査項目や加点項目が設定されています。申請前には公募要領を詳しく読み込み、事業計画書にこれらの項目をしっかり反映させるとよいでしょう。

たとえば、地域貢献や雇用創出、環境への配慮、事業の革新性などは、加点要素になる場合があります。

審査員は、事業計画が補助金の目的に沿っているかどうかを重視して評価するため、加点項目を意識した具体的な記載にすることで、採択される可能性が高まります。

専門家のアドバイスを受ける

初めて補助金・助成金を申請する場合は、専門家の支援を受けるという選択肢もあります。行政書士や税理士など補助金申請に精通した士業や、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に依頼することで、申請書類の完成度や事業計画の説得力を大幅に高められます。

認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門知識や実務経験が一定水準以上であることを国に認められた機関です。税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関などで構成されています。

認定支援機関を利用するには、中小企業庁の検索システムで認定機関を選定して相談や面談の予約を行います。

認定支援機関は、申請書作成のノウハウや過去の採択事例に基づく具体的なアドバイスを提供できるため、審査での評価向上や採択率の向上に役立ちます。

補助金を申請する際の注意点

補助金は便利な資金調達方法ですが、申請や交付のプロセスには注意点があります。資金の建て替えが必要なことや、手続きに手間がかかること、報告義務などを理解し、適切に対応しなければなりません。

ここでは、申請時に押さえたいポイント・注意点を解説します。

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補助金は基本的に後払いになる

補助金は、原則として事業の実施後に支給される後払い(精算払い)です。そのため、初期投資や人件費などの補助対象経費は、まず事業者が自己資金で立て替える必要があります。

受給までには審査や書類確認の期間があるため、資金繰り計画をあらかじめ立てておかなければなりません。

後払いの仕組みを理解せずに進めると、資金不足により事業が停滞するリスクがあります。補助金の効果を活かすには、事前に資金を用意し、計画通りに事業を進める準備をしておきましょう。

準備に手間がかかる

補助金の申請から交付までのプロセスは長期にわたり、多くの書類作成や事業計画の準備が必要です。

事業計画書の作成では、事業の目的や収益性、資金計画の明確化など、細部にわたる検討が求められます。

また、必要書類の収集やデータ整理にも時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで準備しなければなりません。

早めに準備を始めることで、書類の不備や内容不足による審査落ちを防ぎ、スムーズな申請ができます。さらに、準備期間を十分に確保すれば、加点要素の盛り込みや計画のブラッシュアップなど、採択率を高める工夫も行いやすいでしょう。

事務手続きに不備があると補助金を受け取れない

事業終了後に補助金を受け取るためには、報告書や支払いに関する証明書類などの提出が必要です。不備があったり提出期限を過ぎたりすると、補助金を受け取れない可能性もあります。そのため、経費の記録をしっかりと整理し、領収書の管理と提出期限を厳守することが必要です。

また、申請時に提出した計画通りに事業を実施することも条件となるため、日々の実施状況を正確に記録し、報告書作成時に信頼性のある情報を提出できる体制を整えておくことも大切です。

事務手続きを万全に行うことで、補助金を確実に受給でき、新規事業の立ち上げをスムーズに進められるでしょう。

補助金を受け取るまでの資金繰りに役立つサービス

多くの補助金・助成金は申請から実際に支給を受けるまで時間がかかるため、新規事業を開始するまでの資金が不足するという課題は解消されません。

このような課題の解決に役立つサービスが、『Airキャッシュ』と『請求書立替払いサービス』です。

それぞれのサービスについて、詳しく紹介します。

外出先で新規事業の最新情報をチェックしたり、補助金の公募状況をスマートフォンで確認したりするビジネスパーソン

将来の売上を資金化できる『Airキャッシュ』

『Airキャッシュ』は、まだ入金されていない売上を事前に資金化できるサービスです。Airペイやじゃらんオンラインカードでの将来の売上をもとに、必要な資金を提供します。

通常、売上代金は入金までに一定の期間が必要ですが、Airキャッシュを利用することで未収の売上をもとに資金を早期に確保できるため、補助金交付前の運転資金や人件費、設備投資に充てられます。

通常の融資とは違い、債権を売却する仕組みのため、決算書や信用情報の提出、担保・保証人は不要です。手続きもカンタンで、最短翌日には資金を受け取れるため、急な資金不足にも対応できます。

資金繰りを安定させながら、補助金申請や事業計画に沿ったスムーズな事業運営が可能です。

Airキャッシュのサービスを詳しく見る

支払日を延長できる『請求書立替払いサービス』

『請求書立替払いサービス』は、請求書の支払期限を延長できるサービスです。通常、クレジットカードを利用できない買掛金も、カードで支払いができます。実際の引き落としを最長60日後まで先送りできるため、手元の現金が不足していても支払いの遅延を防止できるのがメリットです。

振込依頼人名を自由に設定できるため、取引先にサービスの利用を知られることはありません。

補助金・助成金を受け取る前で資金が不足するときも、取引先との信頼関係を損なう心配がなく、安定した経営を継続できます。

請求書立替払いサービスを詳しく見る

まとめ

新規事業立ち上げに活用できる補助金・助成金は多く、初期投資費用の軽減や人材育成、事業計画の見直しなどのメリットがあります。

申請の流れやポイントを押さえることで、補助金・助成金を無事に受け取り、新規事業の展開に役立てられるでしょう。目的に合った制度を選び、審査に通過するポイントを押さえて申請することが成功のポイントです。

実際に補助金・助成金を受け取るまでには時間がかかるため、その間に資金繰りが悪化することが懸念されます。資金が不足したときは、『Airキャッシュ』と『請求書立替払いサービス』の活用もご検討ください。

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