飲食店の売上アップアイデア9選。客単価や客数を上げる方法や注意点<事例あり>
飲食店で売上アップを実現するには、どのような方法があるのでしょうか。「客数を増やすためにチラシやSNSを活用して集客」、「客単価アップのためにメニューを見直す」……など、幅広い方法があります。そこで、この記事では飲食店における売上アップのセオリーを解説しながら、今すぐ取り組める方法をご紹介していきます。
客単価とは飲食店経営において、売上アップ戦略を考えるための重要なものさしです。売上=客数×客単価の計算式で求められますので、売上を上げるには客数か客単価、もしくは両方を上げる必要があります。つまり、客単価を分析するメリットは、売上アップ戦略のなかで有効な施策を考える一つの材料となることです。
本記事では、客単価を上げる方法や成功事例を交え、売上アップにつながる考え方の基本を紹介していきます。
オーダーエントリーシステムとは、注文内容を端末に入力し、その注文データを厨房まで送り、厨房で注文内容を管理するシステムのことをいいます。
計算式 売上 = 客単価 × 客数
例)1日の売上が10万円でお客様が50人の場合
売上10万円÷50人=客単価2,000円
客単価とは別に、お客様を人数ではなくグループごとにカウントしたときの1組あたりの平均単価を指す組単価という考え方もありますが、店舗運営のコンディションを測る指標としては、一般的に客単価を用いることが多いです。
では、飲食店が売上アップを実現するには、どのように戦略を考えれば良いのでしょうか。前提として押さえておきたいのは、飲食店における売上アップの計算式です。
計算式 売上 = 客単価 × 客数
この式に則って(1)客単価を上げる、(2)客数を増やす、ための対策を打っていくのが飲食店で売上をアップさせるために必要なことです。
ここからは客単価アップのための具体的な施策例を見ていきましょう。
2023年4月現在、原材料価格の上昇や人手不足を起因とした人件費の高騰が飲食店を直撃しているなかで、飲食店はその影響を適正に価格に反映することも真剣に検討すべきでしょう。ただし、値上げをすれば客数が減ってしまうリスクもあります。
といった価格改定後の見せ方を工夫するほか、値上げをしても注文してもらえるかという観点も大切です。例えば、色味や盛り付けを変更するなど、お客様に喜んでもらえるような付加価値の提供も併せて検討しましょう。
お店の看板メニューの値上げは、たくさんのお客様が注文する商品のため、客足が遠のくリスクもそれだけ大きくなります。このことが心配で値上げを躊躇したり、値上げ幅を抑えざるを得なかったりする場合もあるでしょう。そこで看板メニューで価格を上げきれなかった差分を、高価格の商品を新たに投入することで補填する方法もあります。
高価格帯メニューを投入する具体例
既存メニューにある高価格商品の注文率を上げることも、客単価アップには効果的です。注文率を上げるには、メニューブックの目立つ位置に高価格商品を配置したり、おすすめマークをつけたりして、お客様に注目してもらうことが有効な手段。また、接客中にスタッフのおすすめメニューとして紹介すると更に注文率が上がります。
ラーメン店が味付け玉子やチャーシューの追加、替え玉をしてもらうように、メインの料理に様々なトッピングを追加してもらうことで、客単価を上げていく方法です。同様の考え方で、チャーハンセット、餃子セットといったセットメニューの注文率を上げることで客単価アップを目指す方法もあります。
トッピング率やセット率を上げるには、メニューブックなどの見せ方の工夫が効果的。トッピングが追加された状態の料理の写真を見せることで食欲をかきたてることができます。タブレット注文や、セルフオーダーシステムなどの場合は、トッピングメニューの表示位置を工夫することでお客様の目に留まり、注文率アップが期待できます。
食後の一品を追加注文してもらえるよう、軽めのご飯ものや麺類などの「〆の一品」やデザートメニューを工夫することで、注文率アップ+単価アップの両方の効果が見込めます。
最後にもう一品追加してもらえるチャンスを狙うポイントは、ひと通り飲食に満足しているお客様が、わざわざ頼みたくなるようなもうひと手間を加えること。例えば、これまでの〆メニューがオーソドックスなお茶漬けだったとしたら、鯛の刺身を乗せて鯛茶漬けにリニューアルして魅力度を上げる、デザートメニューが単品メニューのみだったとしたら、数種類のデザートの盛り合わせプレートを提供するなど、いわゆる「別腹」を刺激するメニューを考えましょう。
客単価を上げるための施策を考える一方で、自店舗に客単価を下げてしまう要因が起きていないか点検することも大切です。例えば、フロアスタッフが多忙で、お客様が注文したいのに注文できない環境になっていないか? オーダーミスによる、注文のキャンセルは起きていないか? 飲み物がなくなったタイミングで「お代わりはいかがですか」とお客様にお声がけができているか? など、接客面での課題がないかを見直します。
もし、人手が足りないために注文機会の損失が生まれているようであれば、忙しい時間帯のスタッフ数を増やす、セルフオーダーシステムを導入するなどの手段を考えましょう。
複数の打ち手を少しずつ実施する方が売上アップに効果的
売上アップを目指す上では、客単価、客数のどちらに優先して手を付けるべきなのでしょうか。その答えはお店の状況によって異なるものの、おすすめしたいのは、客単価を上げるための施策と客数を増やすための施策に満遍なく少しずつ取り組んでいくことです。
例)客単価1,000円、1日客数50人のお店の場合
このように、どちらかだけに取り組むよりも、客単価アップと客数アップに少しずつ取り組んだ方が売上インパクトは大きくなります。そもそも、どれかひとつの打ち手だけで高い成果を出すのはそれだけ難易度も高くなりがち。一つひとつの要素を少しずつ上げていくことであれば実現性が高く、現場の負担も少なく済むでしょう。
東京都内にあるこのお店は、もともと低単価で良質なホルモンが中心の焼肉屋さんでした。しかし、一人当たりの注文数が想定よりも伸びず、客単価は2,000円台後半。そこで客単価アップのために手を付けたのがメニューの構成を変えることでした。
住宅街にありファミリー層が多いことに着目し、ホルモンよりも赤身肉が好まれるという仮説のもと、カルビやロースなどのメニューを充実させました。また、サイドメニューの注文が少ないのは、メニューの裏面に記載されており目立っていないからだと仮説を立て、サイドメニューが目立つメニューブックにリニューアル。ドリンクの注文を増やすために、「すりおろしレモンサワー」など、当時ブームになっていたレモンサワーのメニューを増やしました。
宴会コースも新たにつくり、家族・友人同士の宴会ニーズにも対応。こうしたリニューアルによって、短期間で客単価は3,500円に上昇。その後もお店の運営努力で徐々に上昇を続け、6~7年で客単価は4,000円オーバーに。しっかりと固定ファンが付いたこともあって、コロナ禍でも過去最高売上を記録することができました。
ある地方都市の繁華街近くにあるこの喫茶店は、パフェが有名で女子高生に人気のお店でした。フードメニューもありましたが、ほとんどはパフェやコーヒー・紅茶などの喫茶利用。メイン顧客が学生なので、むやみに客単価を上げることもできない状況でした。
そこでこのお店で戦略的に取り組んだのが、食事目的の社会人のお客様を増やすこと。以前はナポリタン、カレー、オムライスくらいだったフードメニューに、新しくハヤシライスを投入しパスタのバリエーションを増やすなどして、周辺で働く人たちや買い物客が食事をする場所として魅力的なお店になるようにリニューアルしたのです。
すると、喫茶利用よりも単価の高い注文が増えただけでなく、食事客の中には食後にパフェやコーヒーも楽しむ人もいるため、その分だけ客単価がアップ。女子高生だけでなく大人も楽しめる喫茶店へと生まれ変わり、新規顧客の獲得も実現しています。
新型コロナウイルス感染症対策をきっかけに、お客様が自分のスマートフォンから直接注文をするセルフオーダーシステムを導入した、小さなイタリアンバル。当初は、感染リスクを減らすことが目的でしたが、客単価アップに予想以上の効果がありました。
少人数のスタッフでまわしているため、セルフオーダーシステムの導入前は、注文がたてこんでくると、どうしてもバタバタしてしまう場面も。そんなとき、お客様は「頼みたいけど忙しいのに声をかけると申し訳ない」という気持ちから、注文を控えることもあったのです。セルフオーダーシステムを介して、気軽に注文できることで注文数の増加につながりました。
導入前はお客様と交流する機会が減ってしまうのではないかという懸念もありましたが、カウンター席ではスタッフが注文をとれるようハンディ端末を併用することでしっかりカバー。スマートフォンで注文をするついでに、お店のLINEに登録してくれるお客様も増え、システムの導入前と変わらず、お客様とアットホームな関係性を築き続けています。
お客様の来店から退店までの、飲食店の店内業務をカンタンに。飲食店の運営に必要な機能が揃っています。