飲食店の業務をカンタンにするオーダーシステム

飲食店の注文ミス防止策を指南。注文ミスの原因と対策、起きたときの対処法は?

飲食店の注文ミス防止策を指南。注文ミスの原因と対策、起きたときの対処法は? 飲食店の注文ミス防止策を指南。注文ミスの原因と対策、起きたときの対処法は?

飲食店が頭を悩ませる問題の一つに、注文ミス(オーダーミス)があります。間違いが起きると売上や食材のロスに繋がるのはもちろん、お客様からのクレームに発展しかねません。そこで本記事では、注文ミスの防止策をご紹介します。ホール・キッチンそれぞれでやるべきことや、ミスを減らすためのシステム、仕組み、スタッフ教育などについてもご説明します。

飲食店の注文ミスが起こる原因と防止策

注文ミスが起こる原因イメージ

飲食店の注文ミスは、大きく分けて以下4つのいずれかの工程で勘違いや間違いが生じがちです。

  1. お客様からホールスタッフが注文を取るとき
  2. ホールスタッフからキッチンスタッフへ注文を伝達するとき
  3. キッチンスタッフからホールスタッフに料理を出すとき
  4. ホールスタッフからお客様に配膳するとき

ミスを防ぐためには、最初に以下の2点を把握することが大切です

1.お客様からホールスタッフが注文を取るときに起こりうるミス

【原因】聞き間違い、聞き忘れ

聞き間違いや聞き忘れを防ぐには、「●●が一つ、××が二つ……、以上でよろしいですか」と口頭確認を徹底することが大切です。口頭確認をした内容は、すぐに伝票やハンディターミナル(注文取得用の専用端末)に入力できるよう、注文を記載・入力するのに手間のかからない方法を選ぶと良いでしょう。

【原因】手書き伝票への書き間違い

書き間違いを防ぐためには、スタッフが手書きをする要素を極力減らしましょう。例えば「あらかじめよく出るメニューを伝票に印字しておく」といった防止策がおすすめです。また、注文を伝票に手書きするのではなく、ハンディターミナルを導入し電子化するのも有効です。

【原因】記載・入力忘れ

お客様から聞いた注文を口頭確認のみで済ませて、前の注文を失念してしまう……というミスも発生しがちです。こうしたミスを防ぐには、「必ずお客様の前で伝票を記載する・ハンディターミナルに入力する」というルールを設け、徹底しましょう。

2.ホールスタッフからキッチンスタッフへ注文を伝達するときに起こりうるミス

【原因】口頭伝達による伝え間違い・聞き間違い

口頭のみでキッチンへ注文を伝達すると、注文ミスが発生してしまった場合になぜ発生したのか原因が分からず“言った・言わない”の水掛け論に発展しやすくなります。より健全な店舗運営を行うためにも、注文履歴が残る方法を導入しましょう。

【原因】手書き伝票の読み間違い

前述の通り、手書き伝票の場合はホールスタッフからキッチンスタッフへの伝達を正確に行うためにも、「伝票にメニューを印字しておく」あるいは「ハンディターミナルを導入する」など手書き要素を減らす工夫が有効です。

3.キッチンスタッフからホールスタッフに料理を出すときに起こりうるミス

【原因】料理の取り違い

見た目では違いがわかりにくいメニューがある場合、ホールスタッフが料理を取り違えてしまうことがあります。ひとめでわかるように皿の色や商品の形を変えるなど、ホールスタッフの勘違いを防ぐ工夫をしましょう。

4.ホールスタッフからお客様に配膳するときに起こりうるミス

【原因】提供するテーブル間違い

完成した料理をキッチンから受け取った後に起こりうるミスは、提供するテーブルを間違えてしまうことがほとんどです。伝票を確認するなどホールスタッフの確認を強化しましょう。

スタッフの注文ミス防止のために有効な運用法

人が介在する以上、注文ミスは起きてしまうものです。しかし、あまりにも注文ミスが頻発している場合は、店舗運営の仕組みや体制にも問題があると捉え、見直したほうが良いでしょう。人的ミスを減らすには、「マニュアルを整備する・スタッフ教育を強化する」といった運用フローの整備のほかに、「システムの導入によって注文を自動化する」という運用方法に見直すことも有効です。

マニュアル整備・スタッフ教育を強化イメージ

スタッフが注文を取る~配膳までの手順をルールに落とし込み、マニュアル化しましょう。このとき、ルールを決めるだけでなく、マニュアル(文書)に書き起こして明示しておくことがポイントです。なぜなら、スタッフ同士の口伝でルールを周知していると、人によって捉え方が違ったり、徐々に運用が変わってしまったりすることがあるからです。

注文ミス防止の観点で決めておきたいルールとしては、以下のような例があります。

【お客様からホールスタッフが注文を取るとき】

など

【ホールスタッフからキッチンスタッフへ注文を伝達するとき】

など

【キッチンスタッフからホールスタッフに料理を出すとき】

など

【ホールスタッフからお客様に配膳するとき】

など

ルールを決めたら、スタッフへの周知と実施できているかのチェックを行いましょう。重要な事項はマニュアルに記載するだけでなく、業務中目に留まる場所に箇条書きにして貼りだしておくと良いでしょう。

新人スタッフの教育時には、自己チェックができるようにセルフチェックシートを付けてもらう・教育担当にも同じようにチェックシートを付けてもらうなど、手順が身につくまでは自分や周囲でルールが守られるように確認できる仕組みをつくるのもおすすめです。

店舗オペレーションにシステムを導入する

注文フロー異自動化イメージ

手書き伝票を使っている場合はハンディターミナルで電子化するのがミス防止に有効であることは前述のとおりです。

ある程度の席数がある場合や、スタッフの人手不足もあって注文ミスが増えている場合は、オーダーシステムの導入を検討してみても良いでしょう。オーダーシステムは、スタッフが専用の端末やスマートフォン上のアプリを操作するもの、座席に置かれたタッチパネルやお客様自身のスマートフォンで注文するものなど、形態はさまざまなので、コスト面やお店の課題に合わせて選定するのが良いでしょう。

オーダーシステムの大きな特徴は、お客様の注文をよりダイレクトにキッチンへ伝えられること。上述したような人による書き間違い、伝え間違い・聞き忘れなどのミスを大きく減らす効果が期待できます。

さらに、お客様が直接注文をするセルフオーダーシステムを導入すれば、スタッフが注文を取る工程を省けるため入力ミス・入力忘れをなくすことができます。セルフオーダーでは、スタッフに注文を取る仕事を覚えてもらう時間や、注文を取る時間がかからないのもメリットの一つ。少ない人数でもお店を運営できるようになり、人手不足の解消やコスト削減にもつながります。

また、注文はシステムで行ってもらいながらも、メニューブックやメニュー表を置いておくと、お客様がより料理をイメージしやすくなり、選びやすくなります。必要に応じて併用すると良いでしょう。

【コラム】セルフオーダーシステム導入後のお客様とのコミュニケーションのコツ

接客の中でお客様のニーズを把握してきめ細かいサービスをしたり、追加注文を取ったりしてきたお店であれば、セルフオーダーシステムの導入でスタッフとお客様のコミュニケーションが減ってしまうことを心配することもあるでしょう。

防止策としては、接客マニュアルの中でお客様と接点をもつ機会を定めることが有効です。

例)

  • 実際の端末を操作しながらセルフオーダーシステムの説明をし、一杯目のドリンク注文を促す
  • 空いたお皿を下げるタイミングで会話を挟み、追加のオーダーを促す

など

オーダーエントリーシステムについて、詳しく知りたい方はこちら

セルフオーダーシステムについて、詳しく知りたい方はこちら

注文ミスの発生に備えて準備しておきたいこと

注文ミスの発生に備えて準備しておきたいことイメージ

ここまでの防止策を取っても、どこかで人が対応する以上、勘違いや間違いが原因による注文ミスは発生する可能性があります。ミスが発生したとき、対応が遅れるほどクレームに発展するリスクが高くなります。ミスが起きてから収束までの時間をかけないために、事前に起きてしまったときの対処法を決めておくことが大切です。

初期対応を決めておく

注文ミスが発覚したときに、スタッフがどのように対応をするのかマニュアルで明示しておきましょう。現場で判断できない事態になった際は、誰に連絡をして判断を仰ぐのかを定めておくことで、ミス発生時の現場の混乱を最小限に抑えることができます。

エスカレーションフローを決めておく

事態を収めるだけでは、違う誰かが同じミスを繰り返しかねません。速やかに対応できた場合でも、ミスが起きたことは日報などの手段を通じて、店長や現場のリーダーが認知できるような仕組みをつくりましょう。

スタッフに情報共有をして再発防止に努める

そのうえで、起きたミスから再発防止の方法を考え、ルール・マニュアルを適宜修正して、朝礼などの場でスタッフに周知しミスが起こらないように呼び掛けるなど、失敗経験を学びに変えられるようみんなで活かし合える環境をつくりましょう。

監修者ひとことコメント

飲食店の注文ミスは、忙しいときに限って発生しがち。なぜなら、普段なら丁寧に作業をするところ、無意識に作業を簡略化したり、“ながら作業”になったりすることで、注文内容の情報伝達が上手くできないからです。こうした人の曖昧な部分や“ついうっかり”を減らすためにも、お店のルールをマニュアルに落とし込んで言語化や仕組化をしておくことが大切です。また、システムを導入することで人による“伝言ゲーム”を減らし、正確な情報伝達が行える状態に変えていくことを検討しても良いでしょう。

監修

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)シニア販売促進士/飲食店コンサルタント

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)シニア販売促進士/飲食店コンサルタント

飲食店販売促進コンサルタント「販売促進士」を育成する一般社団法人販売促進士日本フードアドバイザー協会代表理事。同協会にて飲食店販売促進コンサルタント「販売促進士」の資格講座を提供している。
また、年間3桁の飲食店の売上アップのコンサルティングや開業支援、業態開発などを行う飲食店専門コンサルティング会社「飲食店繁盛会」の代表も務める。
著書に『売れまくるメニューブックの作り方(日経BP社)』等。セミナー・研修は年間約100本。メディア掲載も多数。
販売促進士日本フードアドバイザー協会
飲食店繁盛会
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※本ページに記載されている情報は2023年6月時点のものです

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