近年、新卒採用において「インターンシップ」を行う企業が増えています。インターンシップでは、実務に取り組んでもらうことで、自社への理解を深めてもらったり、志望度の高い学生の母集団形成に役立てることができます。
この記事では、企業がインターンシップを募集する方法や受け入れのメリット、実際にインターンシップを実施するまでの流れなどを解説します。企業・学生ともにメリットの多いインターンシップを活用して、新卒採用で自社にマッチする学生と出会い、採用につなげましょう。
インターンシップとは?
インターンシップとは「社会に出る前に仕事の場を体験すること」です。実施企業によって半日~1日の仕事体験から、数か月の長期的なインターンシップまでさまざまです。
会社説明会などで話を聞くよりも、より現場に近い環境の体験を通して業界・職種・企業風土などを知ることができます。
なお、インターンシップのルールは経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)の方針によって変更される可能性があるため、募集の際は経団連の発表をよく確認してください。
1日限りのワンデーインターンシップ(1day仕事体験)は廃止
経団連は、1日限りのインターンシップ、いわゆる「ワンデーインターンシップ」は認めないと2020年3月に発表しました。
インターンシップは、原則、長期休暇期間に実施することとし、「ワンデーインターンシップ」の名称は使用しないことの周知
・大学の正課として学期中に実施されるインターンシップを除き、大学における学修を阻害しないよう、インターンシップは、原則、長期休暇期間を中心に実施する。
・「ワンデーインターンシップ」については、「就業体験」を1日限りのプログラムでは十分に確保できないことから、この名称は使用しない。 (1日限りの説明会・セミナーや工場見学、職場体験ワークショップなどのワンデー・プログラムには、「インターンシップ」の名称は使わない)
引用:経団連「採用と大学教育の未来に関する産学協議会・報告書」
「ワンデーインターンシップ」の廃止は、インターンシップという名前が付いていながらも実質的に企業説明会と同様の内容しか実施されていないケースが多いことなどが問題視された結果です。短期インターンシップであっても、2日以上の実施が必要となることを知っておきましょう。
オンラインでのインターンシップも広がりつつある
昨今では新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、感染防止の観点から、オンラインでインターンシップを実施する企業も増えてきています。オンラインでインターンシップを実施するにあたって、プログラムの変更が必要となる企業も多いでしょう。しかし、遠方の学生でも参加しやすいなど、オンライン実施ならではのメリットもあります。1つの選択肢として、オンラインでのインターンシップも検討してみてはいかがでしょうか。
インターンシップを受け入れる企業側のメリット
インターンシップを受け入れる企業としては、受け入れ体制の構築や環境整備などの事前準備が必要となりますが、インターンシップにはその分大きなメリットがあります。
ここでは、企業がインターンシップを受け入れるメリットについてご紹介します。
労働意欲の高い学生と接点が持てる
採用ターゲットとの接点を持つことは、採用活動の基本です。インターンシップは、学生と接点を持つ貴重な機会となります。早期からインターンシップに参加する学生は、遊びやアルバイトに使うこともできる長期休暇の時間を就活のために使っている学生と考えることもできるため、労働意欲が高いと言えます。
企業の魅力を感じてもらい学生の志望度を高められる
インターンシップを実施することで、求人情報や企業のWebページでは知ることができない職場の魅力や仕事の楽しさを学生に感じ取ってもらう機会が作れます。インターンシップのプログラムを通して自社の魅力を伝えられれば、学生の志望度を高められるはずです。
内定や入社後のミスマッチを最小限にできる
インターンシップを実施すると、求人情報や説明会以上の情報を学生に与えられます。企業としても、エントリーシートや面接では把握しきれないコミュニケーションスキルや現場での立ち回りを見ることが可能です。したがってインターンシップには、採用ミスマッチを防ぎ、入社後の早期離職リスクを低下させる効果を期待できます。
企業の宣伝になる
インターンシップは、求人への応募を検討している学生と企業の間で行われるものですが、副次的な効果として、インターンシップに参加した学生の周囲にも企業の宣伝ができるというメリットがあります。
インターン生が、まだ志望企業の決まっていない同級生やサークル・アルバイト先の後輩、家族や親族などに企業の話をする機会があるためです。自社の知名度を高めることは、採用はもちろん、事業全体への良い影響にもつながるでしょう。
企業のインターンシップ募集方法|採用~実施までの流れ
ここからは、企業がインターンシップを募集するときの流れをご紹介していきます。
インターンシップを受け入れる準備
まずは、インターンシップを受け入れる準備を行います。具体的には、インターンシップを受け入れる目的の明文化、実施プログラムの内容決定、関係者の任命とスケジュール調整、実施計画書の作成と周知徹底などが挙げられます。
長期インターンシップと短期インターンシップで必要な準備は大きく異なるため、実施内容に合わせて適切な準備を進めてください。
募集方法を決定し募集を開始
準備が完了したら、実際にインターンシップの募集を行います。
インターンシップを募集する方法には、インターンシップ専用の求人サイト・大学や専門学校のキャリアセンター・自社の公式サイトの3種類があります。
インターンシップ専用求人サイトで募集
まず、インターンシップの募集に特化した求人サイトで募集する方法があります。インターンシップ専用のWebサイトを利用することで、インターンシップ情報を探している学生だけにターゲットを絞って情報を届けられます。登録して求人情報を掲載するだけでインターンシップの募集ができるので、手軽な方法だと言えるでしょう。
なお、リクナビ2023のような一般的な求人サイトでも、インターンシップの募集が可能なケースもあります。
大学のキャリアセンターで募集
大学には、就活の相談や就活支援を行うキャリアセンターと呼ばれる機関が設けられています。キャリアセンターと連携し、所定の手続きを踏むことでキャリアセンターにインターンシップの募集情報を掲載することで、その大学に所属する学生からの応募の増加を期待できます。
自社の公式Webサイトで募集
最後に挙げるのは、自社の公式Webサイトで募集する方法です。自社サイトの求人ページや採用ホームページにインターンシップの募集情報を掲載し、それを目にした学生からの応募を狙います。ただし、自社サイトのみでの掲載の場合、有名企業でない限り、多くの学生の目に留まることは難しいでしょう。他の方法と併せて自社サイトでも募集することをおすすめします。
選考・採用
学生からインターンシップへの応募があった場合は、選考を経て採用・不採用の通知を出します。短期インターンシップの場合は、全員を対象にしてセミナーやイベントなどを実施することもありますが、長期インターンシップの場合は雇用契約を結んで実際に働いてもらうため、選考は本採用と同様に慎重な姿勢で行うべきでしょう。
インターンシップを実施
採用通知を送り、所定の手続きを踏んだら、実際にインターンシップを実施します。
学生の志望度を高めるためには、企業としてあるべき姿をきちんと見せ、実施計画書のとおりに滞りなくインターンシップを進めることが重要となります。
大きな責任のともなう業務をインターン生に任せるのは企業としてリスクが大きいため避けるべきですが、インターン生にとってインターンシップは貴重な社会経験の場です。雑務や軽作業のような簡単な作業のみではなく、さまざまな業務を任せてみることが、志望度を高める要因にもなります。
フィードバックをする
インターンシップの最中およびプログラムが完了したときには、インターンシップでの業務についてフィードバックをしましょう。このとき、学生としてではなく1人の社会人として扱うことで、企業へのロイヤリティが高まり、志望度の向上にもつながります。
参考:経済産業省「成長する企業のためのインターンシップ活用ガイド」
インターンシップを募集する際の注意点
最後に、インターンシップを募集する際に注意したいポイントを3つご紹介します。
学生が参加しやすいスケジュールにする
インターンシップの募集・実施時期に決まりはありませんが、なるべく多くの学生が参加できるように、学生のスケジュールを考慮して日程を組みましょう。
一般的に、学生が参加しやすい時期は、夏休みにあたる8月から10月です。ただし、大手企業や人気企業の多くがインターンシップを開催する時期を外すことで、より幅広い学生の参加を狙うという戦略もあります。
ケガや事故が起きた場合に備える
長期インターンシップで労働をともなう場合は、労災(労働者災害補償保険)への加入が必要となります。労災への加入は、正社員はもちろんのこと、パートやアルバイト、そしてインターンシップを含む労働者を1人以上雇用している会社の義務です。
短期インターンシップの場合は労災への加入は不要ではありますが、全国の労働局・各労働基準監督署が発行しているリーフレットも確認する必要があります。1例として長野労働局・各労働基準監督署のリーフレットによると、企業と学生の間に使用従属関係がある場合、その学生は「労働者」に該当すると認められます。
【 インターンシップにおける学生の労働者性 】
以下のような実態がある場合、労働者に該当するものと認められます。
見学や体験的な要素が少ない。
使用者から業務に関わる指揮命令をうけている。
学生が直接の生産活動に従事し、それによる利益・効果が当該事業所に帰属する。
学生に対して、実態として何らかの報酬が支払われている。
引用:長野労働局・各労働基準監督署「インターンシップ受入れにあたって」
無償のインターンシップと有償のインターンシップとでプログラムを明確に区別し、無償の場合は労働に該当する内容を盛り込まないよう、十分に配慮する必要があります。
【まとめ】インターンシップを募集し幅広い人材と出会おう
インターンシップを活用することで、幅広い学生と出会える可能性が高まります。有償の長期インターンシップと無償の短期インターンシップを目的に応じて使い分け、プログラムの内容は明確に区別するようにしましょう。
インターンシップを募集するには、インターンシップ専用の求人サイト・キャリアセンター・自社サイトでの募集の3種類があります。いずれか1つに絞らなければいけないわけではないため、それぞれを有効活用してインターンシップを募集してください。
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※1:Comscore 2021年3月 総訪問数
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