Airウェイトの導入効果
日本有数の観光地が描く壮大なビジョンで「Airウェイト」が果たす重要な役割。
箱根町の飲食店の待ち時間を可視化し、観光の価値を上げる挑戦。
2024年10月25日掲載
【箱根町観光協会】飲食店への入店待ちの時間でも、箱根町を楽しんでもらえないかと考えていました。
一般財団法人箱根町観光協会は、地域の多様な関係者を巻き込みながら科学的なアプローチを取り入れて、箱根の観光経済の拡大を目指す組織です。そもそも箱根町は人口1万1000人弱の規模にもかかわらず、年間2000万人近い観光客が訪れています。日本でも稀な、観光で経済が成り立っている町だといってもいいでしょう。しかし、数多くの観光客を受け入れるに当たって課題もありました。その一つが飲食店の行列です。箱根町には高い評価を受ける飲食店がたくさんあり、入店まで長時間待たないといけないお店も多いです。しかし、自分の順番が来るまでお店の前にいる必要があり、その間、箱根町では消費が生まれません。観光名所に立ち寄ることもできず、箱根旅行の時間の使い方として、非常にもったいないと感じていました。もし飲食店に並んでいるお客様が、並ぶ時間を別の箱根町内で有意義に使うことができたら、それだけで相応の経済効果が期待できるでしょう。そこで、行列に並ばずに行きたいお店で食事ができ、入店までの間、箱根を観光できる方法はないかと考えました。それを実現させる上で、リクルートの力を借りながら課題解決をしていく方向性が決まり、箱根の飲食店で「Airウェイト」を活用し始めた背景があります。
箱根町で食事も観光も、どちらも楽しんでもらうには「Airウェイト」の活用が必須でした。
【箱根町観光協会】個々の飲食店にとっても、箱根町全体にとっても、行列が緩和したメリットは大きいです。
「Airウェイト」の活用は強制ではありません。あくまでも箱根町観光協会から箱根の飲食店に紹介し、価値を感じていただいたら導入してもらっています。そもそも行列は飲食店にとっては宣伝効果があるため、悪いことばかりではありません。しかし、観光客の方は「行列に並ぶだけで観光が終わった」となると満足度が低下し、箱根にまた来たいというモチベーションも抱きづらくなります。観光自体の満足度が高いと、また箱根に足を運んでくださる確率も上がり、長い目で見てプラスです。そうした「Airウェイト」の価値を伝えることで、少しずつ活用する飲食店を増やしていきました。導入にあたっては、飲食店側からスタッフとお客様のコミュニケーションが減ることを懸念する声があったのも事実です。ただ、その心配は杞憂でした。「Airウェイト」の活用後、お客様は待ち時間のストレスがなくなった分、以前よりも気持ちよく飲食店を利用できるようになりました。お店側も行列を管理する手間が省け、そこに人手をかける必要がありません。その結果、お客様とのコミュニケーションに集中でき、それがお客様満足度の向上にもつながっています。
行列が緩和することで観光客の行動変容が起き、箱根町を回遊する動きが活発になりました。
【ラ・テラッツァ 芦ノ湖】以前よりも、近くを観光しながら入店を待つお客様が増えています。
「ラ・テラッツァ 芦ノ湖」では、箱根町観光協会から紹介を受けて、2022年の夏から「Airウェイト」の活用を始めました。当店は芦ノ湖の湖畔にあり、イタリアから調達した薪窯で焼き上げる30種類のピッツァを売りにしています。おかげさまで多くのお客様の支持を受けて、オープン前から30組、40組待ちとなる日も珍しくありません。そうなると入店まで1時間以上待つことになり、お店の周りはお客様で溢れていました。当時、行列の管理で活用していたのは紙の台帳です。しかし、同じ苗字のお客様がいたり、お名前を正しく読めなかったりと、スムーズなご案内が難しいことがよくありました。また、外で大勢の方が待っていると、店内のお客様は落ち着いて過ごせません。そうした課題を解決したいと思っていたので、「Airウェイト」の導入はすぐに決まりました。導入後、一番変わったのは、お客様の待ち時間の過ごし方です。以前は、順番が来るまでウエイティングルームやお店の近くで待っている必要があったのですが、今では近くの箱根神社まで観光に行く方もいます。番号券のQRを読み取れば、お客様の方でリアルタイムの待ち組数を確認できるので、呼び出しに遅れる方もほとんどいません。箱根ならではのロケーションを生かして、お客様満足度を高めることができていると感じています。
行列に並ぶストレスがなくなったおかげで、明るい気持ちで食事を楽しむお客様が増えました。
【箱根町観光協会】インバウンド対策にも大きな成果があり、今後の可能性の大きさを感じています。
「Airウェイト」はインバウンド対策に効果的です。紙の台帳に日本人の名前が並んでいると、現地向けのお店だと判断されてしまい、インバウンドのお客様は他のお店に行く傾向があります。また、たとえ外国語で書かれていたとしても、スタッフが文字を読めなくて呼び出しに苦労することも少なくありません。その点、「Airウェイト」だと番号で呼び出しができるため、海外の方にも容易に順番が来たことを伝えることができます。2024年3月時点、箱根全体でお客様の10%が海外からの方です。国がインバウンドを推し進めていることもあり、今後その数はさらに増えていき、「Airウェイト」が求められる場面も広がっていくでしょう。また、箱根町観光協会としても「箱根観光デジタルマップ」を作成し、「Airウェイト」に表示されている各店舗の待ち時間をマップ上に表示することで効率的に箱根での時間を楽しめるような提案を行っています。全てのお店が「Airウェイト」を活用しているわけではないので、まだ開発途中ではありますが、これから導入店舗が増えるにつれて、より便利なツールになっていくと考えています。多くのインバウンドのお客様が訪れる温泉観光地が箱根です。そのため、箱根にはインバウンドのお客様に日本の魅力を伝える重要な責務があると思っています。「Airウェイト」の力も借りて、その責務を果たしながら、観光地の新しい成長の在り方としてモデルケースになっていけたらうれしいです。
多言語対応が可能なので、インバウンドのお客様もスムーズに使いこなすことができます。