決済システムの導入。種類・使い方・契約の流れなど解説
これからお店を開業したい方や、これまでキャッシュレスを導入していなかったお店に決済システムを導入する場合、どのようなことに注意が必要なのでしょうか。決済システムの種類や選び方、契約の流れなどを解説します。
決済システムとは、オンラインまたは対面での支払いをインターネット上で行う仕組み
「決済システム」とは、オンラインショップや実店舗でキャッシュレス決済サービスを利用できるようになる仕組みのことです。買い物をした際、利用者が会計時に現金を払うのではなく、キャッシュレス決済で支払いを済ませることが可能です。自店でホームページを所有していたり、自店を集客支援のプラットフォームなどに掲載している場合には、それに組み込まれている決済システムを活用することで、事前決済など便利な機能も使えます。
決済システムは大きく二種類「オンライン用」「対面用」
決済システムは、大きく二種類に分けられます。主にオンラインショップ(ECサイト)向けのオンライン決済用と、実店舗やキッチンカー、イベントなどの対面決済用があります。
決済システムはお店のスタイルに応じて選ぶ
決済システムを選ぶ際には、自店との相性を見極める必要があります。まず店舗が「オンラインなのか、対面販売なのか」に大きく分けられます。その上で、「どのような商材を扱っており、商材の価格帯はどの程度か」さらに「ターゲットとなるお客様の層」などを確認する必要があります。みなさんのお店にはどの決済システムが適しているのか、下記を参考にしてください。
オンライン専用の特徴
主にネット販売向けのサービスである、オンライン専用の決済システムです。利用者はクレジットカードを登録すれば、オンラインでアクセスしてすぐに支払いを済ませ購入することができ、シンプルさが魅力で利用しています。店舗側はスマートフォンで何気なく商品を見て「気になったらすぐに買いたい」と考える生活者のニーズをキャッチでき、新規顧客の開拓にも適していると言えるでしょう。最近は、簡単な登録・審査で気軽に利用できる「後払いサービス」も普及してきました。
対面専用の特徴
対面販売専用の決済システムの特徴は、クレジットカードはもちろん、交通系電子マネー、QRコード決済※1など、多様な決済に対応している点です。目的を持って店舗を訪れた人だけでなく、「たまたま通りかかっただけ」の人も含め、お客様の様々な決済方法のニーズに応えることができます。顧客情報管理や社員のシフト管理と連動している決済システムもあります。
オンライン・対面併用
実店舗+オンライン+デリバリーなど複数の販路を持つ店舗の場合、上記の二種類を併用することも視野に入れましょう。システムがオンライン・対面で共有されており、どちらを利用した決済も、同じ管理画面で効率的に入金・売上などが処理できるシステムもあります。
オンライン専用の注意点
例えばオンラインショップの場合、買物から決済、そして配送まで相手の顔が見えない取引が続くので、決済システムにおける保証やセキュリティなどは事前にしっかり把握しておきましょう。先ほど説明した「後払いサービス」が可能な決済システムは、気軽に使える反面、利用者が支払期日までに払えない場合は延滞料も発生しますし、審査が厳しくなり利用停止になる場合もあります(※この場合、利用者の代わりに決済代行会社がお店への支払いを立て替える仕組みになっています)。
店舗専用の注意点
実店舗専用の決済システムは、クレジットカードを差し込む・スライドさせるなどの据え置き型決済端末が多く、レジ周辺に一定のスペースが必要なことと、初期費用が他と比べて高いことがあります。既に設置してあるレジとの連携なども必要になるので、今一度必要な機能を考えてみるとよいでしょう。
※1 QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。
決済システムの選び方のポイントは4つ
顧客利便性
まずは自店の客層を今一度分析してみましょう。「富裕層が多い」「車で来店される方が多い」「近隣エリアの方が多数」「駅から近いので電車で来店する方もいる」など、既存のお客様の属性を把握した上で、お客様のインサイトを考えて決済システムを選びましょう。例えば電車を利用する方が多い場合、「交通系電子マネーに対応していれば、サッと取り出して使いやすいだろう」などです。この場合、交通系電子マネーに対応した決済システムを取り入れるのは有効な施策でしょう。
一般的な利用料金
次に利用料金です。料金には初期の導入費用と決済手数料があります。初期費用は0円という決済システムも多く存在しますが、有償の場合、5万円~10万円程度はかかると思った方がよいでしょう。決済手数料は1回1回の取引毎にかかる料金です。基本は決済金額の何%という設定になっており、3%~10%前後が相場です。
便利な入金サイクル
会社運営や店舗運営にとって、売上が自社の口座に振り込まれるまでの「入金サイクル」はとても重要なポイントです。入金サイクルは決済事業者によって大きく異なるため、自店の利便に合わせ、導入後に困ることがないようしっかり確認してください。
万全なセキュリティ
安全性という面から決済システムを考えてみましょう。みなさんも、クレジットカードの個人情報を盗み取り不正利用する「フィッシング詐欺」などは聞いたことがあるかもしれません。それらの不正行為をゼロにすることは現時点では難しいですが、対策は可能です。
また、クレジットカード決済時に、店舗側はお客様からカードを預かり決済を行うと、何かトラブルが起きた際に不利になるケースもあるので注意が必要です。カードやスマホをかざすタッチ決済の場合、暗号処理や個人情報を守るためにセキュリティ対策されているので、危険性を抑えることができるでしょう。
決済システム導入までの流れ
決済システムを導入するには、まずは決済代行業者へ申込みを行います。決済代行業者によって取り扱う決済方法と決済端末が異なるので「自店でやりたいこと」「費用感」などを相談してみてください。
流れとしては下記のようになります。
早ければ数日で契約締結でき、端末が届くケースもありますが、審査に時間がかかる場合もありますので、導入までの流れも事前に確認しておくことで最善の準備ができるでしょう。
コンパクトな端末一台で複数の決済を処理できるシステムも
対面販売用の決済端末には「いくつもの決済方法をひとつの端末で処理できるシステムもある」ことをご存知でしょうか。
たとえば「国際ブランドのカード用」「電子マネー用」など、一つひとつがバラバラだと、レジ周りのスペースも足りませんし、スタッフが覚えるのも大変です。コンパクトな端末一台のみで、多くの決済に対応できれば、スタッフの学習の負担、煩雑な業務の負担が軽減できますし、お客様を待たせたり、混乱させることもありません。
キャッシュレス決済システムの導入は、無駄な時間を削減し、お客様対応やサービス向上の時間を増やすことで、お客様にとってさらに便利なお店にするために存在しています。
ぜひ、前向きに検討してみてください。
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