法人カードの無料と有料の違いは?年会費無料の種類やカード選びのポイントを解説
ビジネスシーンで利用するのに便利な法人カード。年会費が無料のカードと有料のカードがありますが、その違いはどこにあるのでしょうか? 一口に年会費無料といっても「初年度年会費が無料」のカードや「永久的に年会費が無料」のカードなどいくつか種類があります。ここでは、年会費無料の種類や法人カードを選ぶときのポイントを解説します。
目次
法人カードの「年会費無料」には主に2つの種類がある
年会費 | 永年無料 =年会費が長い間無料 | 初年度無料 =初年度のみ無料・2年目以降有料 |
---|---|---|
コスト | ◎ | △ |
付帯サービス | △ | ◎ |
法人カードの「年会費無料」といってもいくつか種類がありますので、ここでは2つの種類を紹介します。
年会費「永年無料」
年会費永年無料の法人カードとは、年会費が発生しないカードを指しますが、永年無料は、長い間無料という意味ですので、途中で変更になり年会費が発生するケースもあります。
ただし、変更になったケースは少ないので、永年無料=無料と考えてよいでしょう。法人カードをまずは無料で利用したい法人や、開業したばかりの個人事業主に合う法人カードです。
年会費「初年度無料」
年会費初年度無料の法人カードは、申込みをして発行されたその年は年会費が発生せず、2年目以降は年会費がかかるカードです。
なぜ初年度だけ無料で2年目以降は年会費がかかるのでしょうか? 多くのカード会社は、初年度はお試し期間としてサービスを利用してもらうことを想定しているからです。
カードを申し込む側としては、初年度に付帯サービスを実際に利用して自社のビジネスと相性が良いかを確認できるというメリットがあります。
年会費無料と有料の法人カードの違いは付帯サービスと利用限度額にある
- 年会費無料のカード
コストがかからない
- 年会費有料のカード
コストがかからない
高還元率・サービスが充実
それではそもそも年会費が無料の法人カードと、有料の法人カードでは何が違うのでしょうか。
付帯サービスが違う
一般的に多くの場合、年会費有料の法人カードのほうが付帯サービスは手厚く、充実しています。「スポーツクラブ優待が使える」「空港ラウンジが利用できる」「国内・海外旅行の際の保険が手厚い」「ワークスペースが無料や割引で使える」などのサービスがあります。
一方で年会費が無料の法人カードだからといって付帯サービスがゼロとは限りません。年会費が無料でも付帯サービスが付くカードもあります。年会費がかかるものでも付帯サービスを受けることで年会費を上回る特典が受けられ「元が取れる」というカードも多数あるので、自社のビジネスと相性のよい付帯サービスを見きわめて、適した法人カードを選びましょう。
利用限度額が違う
利用限度額は、有料の法人カードのほうが高く設定されている場合が多いです。出費の多い経営者にとっては、法人カードの利用限度額が高いことは一つのメリットになるでしょう。
一方、限度額が高いと使いすぎてしまうリスクもあります。あえて限度額を設定しておくことで経費をコントロールする方法もあります。
法人カードを選ぶときのポイント4つ
ここでは、法人カードを選ぶにあたって年会費の有無以外にどのような観点で比較検討すればよいのか、ポイントを4つ解説していきます。
ポイントやマイルの還元率で選ぶ
一般的なクレジットカード同様に法人カードでも使った分のポイントがたまります。ポイント還元率はカードによって異なり、0.5%~1%程度が一般的ですが、なかには1.5%と高還元率のカードもあります。
例えば、毎月50万円の経費を使う企業であれば、0.5%のポイントが還元される場合、年間で3万円分のポイントが還元、1.5%の場合は9万円分のポイントが還元される計算になります。カード会社を比較検討する際は、還元を受けるのに条件があるかどうかも確認しましょう。
※ポイントの利用方法はカード会社によって異なります。
マイルへの還元率も法人カードによって異なります。マイルへの移行は上限が設定されている場合もあるので、どのくらい年間で移行できるのか事前確認が必要です。
付帯サービスで選ぶ
法人カードにはさまざまな付帯サービスが存在します。空港ラウンジの利用、出張中に起きたケガや盗難などのトラブルを補償してくれる旅行損害保険、そして福利厚生に利用できる付帯サービスもあり、例えばホテルやレジャー施設の割引やフィットネスクラブの優待などが挙げられます。
ゴールドカードやプラチナカードといった年会費が高い法人カードは付帯サービスも手厚い傾向ですが、年会費永年無料の法人カードでも付帯サービスを利用できる場合があります。
経費管理のしやすさで選ぶ
経費管理のしやすさで選ぶのも方法の一つです。例えば、会計ソフトに連携できる法人カードであれば、利用明細を簡単な操作で会計ソフトのシステムに反映でき、仕訳まで行ってくれます。これまで経費の仕訳を手作業で行っていたのであれば業務の効率化やミスの防止になるでしょう。ある程度自動化できるため、独立したばかりで会計業務が未経験の個人事業主や人が足りない法人には、利便性の高い機能が備わっていると考えられます。日々の経費管理をしっかり行っておけば、確定申告の際にも慌てずに対応ができます。
審査基準、発行スピードで選ぶ
審査基準はカード会社によって異なり、一般的には公開されているものはありません。審査基準によって発行スピードも異なるので、早くカードの利用を始めたい場合は、公表されている範囲での審査基準や審査にかかる日数をチェックして、設立間もない会社が作りやすい法人カードや個人事業主が作りやすいカードを選ぶのも一つの方法です。
監修者ひとことコメント
法人カードの年会費はコスト負担になりますが、そもそもカードが無いと決済ができないサービスもありますし、カードを持つことで得られるメリットである「ポイント還元」「付帯サービス」「経費管理のしやすさ」などを照らし合わせ、自社のビジネス活動において最適な法人カードを選択しましょう。
監修者プロフィール
新関 広樹(にいぜき ひろき)FinTechコンサルタント
新関 広樹(にいぜき ひろき)FinTechコンサルタント
株式会社メンドレス代表。
アクセンチュアを経て、FinTechベンチャーのインフキュリオンにて、国内・東南アジアでのFinTech事業戦略立案、企画・実行支援に従事。2019年にメンドレスを立ち上げ、融資・決済・送金に関わるFinTechサービスの新規事業、業務改善のコンサルティング事業を運営、大手企業から外資スタートアップまで多くの企業を支援。
現在は、シンガポールを拠点に、コンサルティングに加え、金融教育の研究、およびグローバル金融教育サービスの企画・開発も運営。
https://www.mendoless.com/
※本ページに記載されている情報は2023年6月時点のものです
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