行列解消の方法。行列の要因とすぐに取り組める効果的な対策を解説

「行列は人気店の証」そう思う方もいるかと思います。しかし、長すぎる行列は、近隣からの苦情やお客様の来店機会の損失、顧客満足度の低下を招きます。長い行列ができる要因はいくつか考えられます。行列が店舗運営の障壁にならないように、お店としてできる有効な対策を一緒に見ていきましょう。

行列は苦情・トラブルなどにつながる可能性がある

イラスト:店頭に長い行列があることにより「顧客満足度の低下」「近隣からの苦情」「来店機会の損失」が起きている様子。

長すぎる行列は、近隣からの苦情やお客様の来店機会の損失につながる可能性があります。ここでは具体的に起こりやすいトラブルやデメリットについて解説します。

近隣からの苦情

行列店の近隣で起こりやすいクレームには、下記のようなものがあります。

イラスト:近隣店の店主のクレーム「うちのお店の入り口が行列で塞がれ、客入りが悪くなった。営業妨害ではないか。」近隣住民のクレーム「住宅の出入り口が行列で塞がれ、車を出し入れできない。」「並んでいるお客様の声がうるさい。」通行人のクレーム「歩道を行列が占有し、通行の妨げになる」

日々の店舗運営において近隣の店舗や住宅との良好な関係構築はとても重要です。近隣の迷惑になってしまうような行列は避けたいところです。

来店機会の損失

お店の前の行列だけを見て、時間がないお客様や並ぶのが苦手なお客様は「混んでいるから他のお店に行こう」と判断することがあります。

実際の待ち時間はそこまで長くなく、少し待っていれば入店できる場合でも、行列の長さだけを見て諦めてしまうこともあるでしょう。その場合、行列がなければ来店したはずのお客様を逃してしまうことになります。

顧客満足度の低下

お客様にとって行列に並ぶことは、多くの場合フラストレーションになるでしょう。特に、店舗の外で並ぶ際には、天候や気温などお客様のストレスになる要因が複数あります。さらに真夏の炎天下では、お客様が熱中症になってしまうリスクも考えられます。

「辛抱して並んだのだから」という我慢を含めて、お客様はそのお店のサービスを評価します。いくら自信のある商品やサービスを提供しても「行列に並んだ苦労に見合うか」という観点で評価されることで、総合的に満足度が下がってしまうかもしれません。

行列ができる主な2つの要因

イラスト: 1つ目は内的要因の説明。店舗のオペレーションが最適化されていないためスタッフが疲弊している。2つ目は外的要因の説明。口コミや近隣店舗による周辺環境の変化がお店に影響を与えている。

行列ができる要因は、お店側の事情による内的要因と周辺環境の変化による外的要因の2つにわけられます。

内的要因:店舗のオペレーション

一つ目は、人手不足などのお店側の理由で、オペレーションがうまく回っていないケースです。

スムーズなサービスを提供できず、店内のお客様の滞在時間が長くなると、入店前に待ち時間が発生します。その結果、お店の前に行列ができてしまいます。

外的要因:周辺環境の変化

二つ目は、お店の外の出来事に起因しているケースです。例えば、テレビやSNSで紹介されたり、お店の近くに大きな商業施設ができたりすると、急に集客数が伸びることがあります。

このような周辺環境の変化があると、これまでのオペレーションのままでは対応しきれずに、行列になってしまうこともあるでしょう。

行列解消に有効な対策3選

外的要因はお店でコントロールすることはできませんが、内的要因であればお店で改善していくことができます。行列を解消するには、どのような店舗オペレーションの改善ができるのでしょうか。ここでは、考えられる3つの対策を紹介します。

受付・順番待ちシステムで受付業務を自動化する

イラスト:受付業務を自動化する場合の流れ。来店・受付→発券→待ち状況の確認→呼び出し(ご案内)。スタッフの介入なしですべてのステップが完結できている。

お客様をご案内する受付業務をシステム化することで、店舗の前の行列をなくすことができます。

一般的には、お客様が受付処理をすると整理券が発行され、順番が近づいたらメールやSMSで自動呼び出しすることができる、といった仕組みです。待ち時間・待ち人数の表示から受付、お客様の呼び出しまでシステムで完結できます。

店舗の前に並ばずに待ち時間を過ごしてもらうことができるので、行列をなくすだけでなく、顧客満足度アップの効果も期待できます。

事前予約を受け付ける

イラスト:事前予約の流れ。予約システムから事前予約→来店。

順番を待つお客様を減らすために、事前予約を受け付けるのも一つの方法です。

これまで、電話応対などの懸念があり事前予約を受け付けていなかったお店でも、予約システムを導入して予約業務を自動化すれば、効率的に事前予約の受付・管理ができます。

業務フローや店舗レイアウトを見直し改善する

案内係・会計係など業務を切りわけてフロアスタッフを配置する、調理スタッフの負荷を減らすためにメニュー数を減らすなど、オペレーションを見直してお客様の回転率を上げることで、行列解消につながります。

フロアスタッフが動きやすいように店内のレイアウトを変えたり、一人で来店されるお客様用の席を増やしたり工夫できることがないか見直してもよいでしょう。

システム導入で行列問題を解消した成功事例

メディアで紹介されて以来、連日多くのお客様が行列をつくっていた、とある商店街の飲食店。システム導入前は一人のスタッフがつきっきりで行列を管理していました。

商店街の近隣店舗や住民の方に迷惑をかけてしまうこともあり、「愛着のある街に迷惑をかけたくない」という思いで、受付・順番待ちシステムを導入。その結果、行列が解消されたことでスタッフが常に管理する必要がなくなっただけでなく、待ち時間を自由に使えるお客様が商店街を散策することで、街の活性化にもつながっています。

事例の詳細はこちら

このように、人が行っていた業務をシステム化することで、手の空いたスタッフに別の業務を任せることができます。行列解消のために店舗オペレーションを変える場合、まずお客様へのサービスの入り口となる予約や受付業務を効率化することから取り組むとよいでしょう。

監修者ひとことコメント

店舗のオペレーションを見直す場合、ちょっとした工夫で改善できることもあります。しかしスタッフ数を増やしたり店舗の工事が必要になったりすると費用面での負担が大きくなります。予約や受付業務を自動化するシステムには、費用面でも比較的導入しやすい既存のサービスが多数あります。システムを有効に活用することで行列を解消し、行列によるトラブル回避・顧客満足度の向上につなげていきましょう。

監修

写真:三浦 高(みうら たかし)

三浦 高(みうら たかし)中小企業診断士/1級販売士/起業コンサルタント(R)/経済産業省後援起業家支援Webサイト「ドリームゲート」アドバイザー

大学卒業後システムインテグレータにて、基幹システムの提案営業やインフラ設計・構築・保守業務に従事。予算感や規模感に合わせた運用がしやすく、システム停止率の低いインフラを、200社を超える企業に構築している。

また中小企業診断士としては創業補助金検査員・審査員に従事。V-Spiritsでは資金調達担当としてクライアントの補助金や融資の獲得を支援している。これまでの支援実績は、各種補助金累計獲得件数と融資獲得件数がそれぞれ350件を超える。

写真:坂井 優介(さかい ゆうすけ)

坂井 優介(さかい ゆうすけ)起業コンサルタント(R)/補助金コンサルタント(R)/経済産業省後援起業家支援Webサイト「ドリームゲート」アドバイザー

経済産業省系補助金支援、厚生労働省系助成金支援、マーケティング業務、税務会計、人事労務、中小企業のIT化、生産性向上支援の他、補助金や助成金などの資金調達を支援。2022年度の獲得補助金は2億円を超える。

2022年1月~5月には事前確認予約のWebサイトを構築し、トラブルなしで全国屈指の事前確認件数を達成した。

DX化を進める国の補助金「IT導入補助金」の支援機関としての登録、支援事業を担当しており、IT導入補助金の相談件数は年間40件ほど。多くの店舗や中小企業のDX化をサポートしている。

https://v-spirits.com/新しいウィンドウで開く

※本ページに記載されている情報は2023年10月時点のものです