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支払調書とは?源泉徴収票との違いや提出義務があるケースをわかりやすく解説のタイミングを解説

支払調書

個人事業を始めて税理士や業務委託先のフリーランスに報酬を支払うようになると、税務署に支払調書を提出する必要が出てきます。支払調書の基礎知識や源泉徴収票との違い、支払調書の提出が必要な場合などわかりやすく解説します。

この記事の目次

支払調書とは?

支払調書とは、企業や個人事業主が「だれに、どのような内容で、年間いくら支払ったか」を税務署に報告するための書類のことです。

支払調書は、「所得税法」「相続税法」「租税特別措置法」「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の4つの法律により、税務署へ提出することが義務付けられています。支払調書の対象となっている支払いをした事業者は、原則として支払いが確定した年の翌年の1月31日までに提出しなければなりません。

支払調書の対象となる支払い

個人事業主は、下記のような支払いをした場合に支払調書を作成する必要があります。

  • バー、キャバレーなどを経営しており、ホステスやコンパニオンへ報酬を支払った場合で、その人に対する1年間の支払金額の合計額が50万円を超えたとき
  • 弁護士や税理士、社会保険労務士、司法書士などに対して顧問料などを支払った場合で、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えたとき
  • 作家や画家、デザイナーやライターなどに原稿料や講演料を支払った場合で、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えたとき

支払調書の提出が必要なのは、源泉徴収の対象となった個人事業主に対する報酬だけと思われがちです。しかし、法人に支払った場合や支払金額が少額のため源泉徴収をしていない場合であっても、上記に該当すれば支払調書の提出対象となるので注意してください。

支払調書の提出方法

支払調書の提出方法は下記の4つがあります。

  • e-Taxを使って電子申告する
  • 光ディスク(CD・DVD)に記録して税務署に提出または郵送する
  • 紙に出力して税務署に提出または郵送する
  • クラウドサービスを利用して税務署とデータを共有する

クラウドサービスは、支払調書に書くべき事項をクラウド上に記録したうえで、税務署長にその閲覧・記録権限を付与する方法で、令和4年1月から開始しました。これを選ぶにはあらかじめ「認定特定電子計算機による申請等の開始(変更)届出書」を税務署長に提出しなければいけません。

提出期限と罰則

支払調書は、原則として支払いが確定した年の翌年1月31日までに納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。

1月31日までに提出がされなかった場合、所得税や消費税の申告のような無申告の加算税や延滞税が課されることはありませんが、意図的に提出していないと判断された場合には、所得税法違反として1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課される可能性があります。

支払調書と源泉徴収票の違い

支払調書と混同されがちなものに源泉徴収票があります。どちらも税務署へ提出する必要がありますが、作成する目的が大きく違います。

源泉徴収票は、従業員が自身の確定申告や契約などの手続きに使用するために事業主が発行するものです。税務署に提出するだけでなく、本人に交付する義務があります。

一方の支払調書は、税務署が税務調査の基礎資料とするために提出を義務付けているものです。税務署に提出義務はありますが、支払調書の対象となった支払先に対して交付する義務はありません。

法人化した場合の支払調書

個人事業主が法人化した場合、個人と法人では支払調書の提出範囲が異なりますので注意が必要です。

法人は「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」のほか、店舗の家賃を支払っている場合に「不動産の使用料等の支払調書」、不動産を購入した場合に「不動産等の譲受けの対価の支払調書」、不動産の売買などによって仲介料を支払った場合に「不動産等の売買、貸付けのあっせん手数料の支払調書」の提出が必要となります。

支払調書の見方

それでは支払調書の各項目について具体例を使ってみていきましょう。

ここでは、個人事業を営む方が税理士事務所に顧問料と決算料を支払っている場合を想定して、作成された支払調書をみていきます。

支払調書の例

出典:国税庁「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を加工
(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100038.htm)

1.支払を受ける者

支払調書を作成する日時点での、支払先の所在地と氏名や名称を記載します。屋号のみを記載することはできません。支払先が個人であれば個人番号(マイナンバー)、法人であれば法人番号を記載します。

2.区分

報酬、料金等の大まかな区分です。例えば、弁護士報酬、税理士報酬、社会保険労務士報酬などがあります。今回は税理士に対する報酬なので「税理士報酬」を記載します。

3.細目

「2.区分」の中でも、下記の支払いの場合には細目を記載します。

  • 弁護士報酬…関与した事件名等
  • 税理士報酬…顧問料、決算料等

わからなければ空欄でも構いません。

4.支払金額

その1年間に支払の「確定した金額」を記載してください。実際に支払った金額ではないので注意が必要です。支払調書の作成日時点で確定しているにもかかわらず、未払いとなっている金額がある場合には、上段の「内書」に未払金額を記載します。

5.源泉徴収税額

支払金額に対して源泉徴収すべき所得税の合計額を記載します。支払調書の作成日現在で未払いのものがある場合には、未払金額に対する源泉徴収税額を上段の「内書」に記載します。

6.摘要

支払いを受ける方が「源泉徴収の免除証明書」を提出している場合、その他の法律で源泉徴収を要しない場合には、その旨を摘要欄に記載します。今回の例の場合だと記載は不要です。

7.支払者

報酬を支払った本人の納税地と氏名、電話番号及び個人番号(マイナンバー)を記載します。

まとめ

  • 支払調書とは、企業や個人事業主が「だれに、どのような内容で、年間いくら支払ったか」を税務署に報告するための書類
  • 支払調書は個人事業主であっても提出義務があり、提出をしないと罰則を受ける可能性がある
  • 支払調書は支払先に交付する義務はない

個人事業を行っていると確定申告をしなければいけないことは理解していても、支払調書を提出する必要があることは忘れがちです。提出期限を過ぎてしまっても加算税や延滞税がかかることはありませんが、ずっと提出していないと罰金などが課される可能性があります。支払調書の提出範囲を理解して正しく作成するようにしましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

穂坂 光紀(ほさか みつのり)税理士

税理士法人 エンパワージャパン 代表税理士 1981年生まれ 横浜市在住

中小企業こそ日本を支える礎であるという理念から、持続可能な社会・持続可能な企業を創るための「中小企業のための財務支援プログラム」を実施することで強固な財務力を持つ優良企業に導く、中小企業の財務支援に専門特化した税理士事務所を運営するとともに、児童養護施設の児童から地域を支援する税理士へと導く「大空への翼プロジェクト」を行っている。共著「七人のサムライ」や執筆など多数。

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