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【補助金と助成金の違いとは?】特長を理解して賢く資金を集めよう

資金調達を検討する際よく話題に上るのが、補助金や助成金です。お金がもらえる制度だとわかっても、どんなものなのか、どうしたらもらえるのか、補助金と助成金とでは何が違うのしょうか。そこで、補助金と助成金の違い、新しくお店を開業する人や、既に経営している人へのおすすめの制度、注意点などを解説します。

この記事の目次

補助金と助成金の違い

補助金は4~6月頃と10~11月頃の募集が多い、助成金は4月頃募集開始で予算がなくなるまでの通年募集が多いなど、違う特徴があります。補助金と助成金の違いを大きく分けるとと次のようになります。

  補助金 助成金
主な担当省庁 経済産業省 厚生労働省
主な用途 中小企業を強くする 安定した雇用を増やす・社員の育成を助ける
応募期間 決まっている。ただし募集時期は年度によりまちまち。 決まっていない。ただし予算がなくなると受付終了。
審査 形式面と内容面で審査あり。審査にパスしないともらえない。 形式・要件面の審査のみ。基本的に形式・要件面を満たせばもらえる。
受給金額 上限と下限が決められているが、その範囲内で経理の利用状況により受給金額が変動する。 予め受給金額が決まっているものが多い。
もらえるタイミング 形式・要件面の審査に合格後、補助事業を実施し事業の検査に合格後 形式・要件面の審査に合格後
返済 原則不要 原則不要

それでは具体的に説明していきます。

【補足】

自治体や団体によって補助金と助成金という言葉の使われ方が異なる場合がありますが、Airレジ マガジンでは主に上記の整理を元に補助金・助成金という言葉を使用します。

補助金とは?

補助金とは、経済産業省が起業や製品・サービス開発、販路開拓など、何らからの政策目的達成のために税金を使って中小企業を支援する制度です。次のような特徴があります。
※自治体の制度では、補助金の性質のものでも、助成金というものもあります。

1.原則返済不要

補助金は融資とは異なり原則返済不要です。一部の補助金は利益が多くでた場合、予め決められた計算式で求められた金額を返さなくてはならないものもあります。

2.募集期間が決まっている

多くの補助金は、いつでも応募しているわけではなく、募集期間が決まっています。応募期間内に申し込みを行わなければいけません。

3.募集期間が短い

多くの補助金は、応募期間が1ヶ月から3ヶ月くらいと準備期間が短いです。この期間に事業計画書を書き進めて、補助金によっては商工会議所や支援機関の確認をもらう必要があります。

4.審査がある

補助金は申し込めば必ずもらえるわけではなく、審査員による審査があります。応募資格があるかという形式的な審査のあと、申請書類の内容審査があります。面談審査があるものもあります。

5.合格してから経費が使える

補助金は合格し手続きを経てから使う経費が対象になります。すでに発注しているものや支払い済のものは原則として補助対象にはなりません。

6.使える経費が決まっている

補助金により対象となる経費が決まっています。製品開発系の補助金では、機械設備の導入費や外注費、専門家謝金などで、人件費は対象外だったりしますが、創業系のものであれば、人件費は対象になるほか、家賃や広告費、設備費などが対象です。

7.満額もらえるわけではない

補助金には補助率が決められていて、使った経費に対して決められた割合が戻ってきます。例えば補助率が2/3の場合、75万円使った経費に対して50万円が戻ってきます。補助率は補助金により1/2、2/3、3/4などまちまちです。

8.お金は後から戻ってくる

補助金は、先に自分で経費を使いお金を払い、実績を報告してからお金を払うキャッシュバック方式です。国や自治体が先にお金をくれ「使ってください」というものではなく、お金が入ってくるまでの間、自分で建て替えなければなりません。

助成金とは?

助成金とは、主に厚生労働省が管轄している雇用関係の助成制度です。正社員の雇用や女性や高齢者などの就業促進など、雇用に関する課題の実現に向けて取り組む事業者に対して、一定額を助成する制度です。

1.返済不要

補助金と同様に助成金も返済不要です。

2.募集期間が決まっていない

助成金は、補助金のように締め切り時期が決まっていません。予算がなくなるまで応募できます。逆にいうと予算がなくなったら受け付け終了となります。

3.一定の要件を満たすことで、受給できる

あらかじめ定められた要件を満たすことで、一定額の助成が受けられます。例えばキャリアアップ助成金の正社員化コースでは、半年間有期契約として雇用した社員を、期限の定めのない正社員に転換し一定期間経過した場合に要件が満たされます。

4.あらかじめ金額が決められている場合が多い

ある条件を満たす人を雇用すると◯◯万円というように、金額が決まっているものがほとんどです。上記のキャリアアップ助成金正社員化コースでは一律57万円が助成されます。

5.後から支払われる

助成金も補助金同様、お金を使った後に確認作業が入り、そのあとにもらえるという後払い方式です。つまりは、助成金も補助金も、もらえるまでの間、最初に使うお金は、自分で用意しておく必要があります。

活用例:新規開業をする人向け

新規開業時に補助金と助成金をうまく使い分けた例を紹介します。

1)東京都内で飲食店を開業したA社

創業補助金を採択され、店舗賃料と広告費、専門家謝金で200万円の補助を受ける。
キャリアアップ助成金正社員転換コースで、社員の人件費100万円の助成を受ける。

2)ポイント解説

創業補助金は国の補助金で、店舗賃料や広告費、専門家謝金のほかに、設備や旅費、委託費など創業にあたる経費が広く認められます。人件費も認められますが、A社では事務所賃料と広告費、専門家謝金で、補助対象経費の上限に達するため、人件費はキャリアアップ助成金で助成を受けました。

活用例:すでに経営している人向け

既に経営している人が、補助金と助成金をうまく使い分けた例を紹介しましょう。

1)東京都内で起業2年目のITサービス企業B社

ものづくり補助金を採択され、自社ITサービス開発費で1,000万円の補助を受ける。
IT補助金で広告用のホームページ開発とWeb広告費用合計100万円の補助を受ける。
キャリアアップ助成金正社員転換コースで、社員の人件費50万円の助成を受ける。

2)ポイント解説

B社は、開発支援系のものづくり補助金、ITによる生産性向上を目指すIT補助金、人材系助成のキャリアアップ助成金という各々主旨の異なる補助制度を、うまく受給しています。

注意点

  1. 補助金も助成金も後から支払われます。
  2. 同じ対象経費を、複数の補助・助成制度で同時にもらうことはできません。 例えば創業助成事業という補助金でAさんの給料についての人件費の補助を受けていた場合、同じ時期、キャリアアップ助成金でAさんについての助成を受けることはできません。

まとめ

  • 補助金とは、起業や製品・サービス開発、販路開拓などに取り組む中小企業を支援する制度である
  • 助成金とは、正社員の雇用や女性や高齢者などの就業促進など、雇用に関する課題の実現に向けて取り組む事業者に対して、一定額を助成する制度である
  • 補助金と助成金には、応募期間や審査方法、受給金額などの違いがある
  • 補助金も助成金も後から支払われる。また同じ対象経費を、複数の補助・助成制度で同時にもらうことはできない

補助金や助成金は、原則返済不要のお金がもらえる大変魅力的な制度です。さまざまな補助金・助成金をうまく組み合わせて受けることで、事業展開を加速することができます。うまく活用していきましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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