「在庫回転期間」はどれくらい?売れ筋・死に筋がわかる在庫管理のキホン
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
店舗経営にあたって、普段から在庫の回転期間や商品回転率を意識していますか? 在庫管理について客観的な指標を得ておくと、適正な在庫量を検討しやすくなりますし、売れ筋・死に筋を見極めることで商品の品揃えについての判断もスムーズになります。ここでは、在庫管理の基本である在庫回転期間や商品回転率についてご説明していきます。
この記事の目次
「回転期間が長い」とは?在庫回転期間の意味
「在庫回転期間」とは、商品を仕入れてから販売されるまでの期間を示す指標のことです。売上げに対してどれくらい在庫を抱えているかを明らかにすることができます。シンプルに言うと、以下のようにとらえることができます。
- 在庫回転期間が短い=仕入れから販売までのスピード(回転)が早い
- 在庫回転期間が長い=仕入れから販売までのスピード(回転)が遅い
商品回転率との違いは?
「商品回転率」は一定期間内に在庫がはける回数を示し、在庫が何回入れ替わっているかをチェックする指標です。回転率の高低は以下の状況を意味します。
- 商品回転率が高い=在庫の入れ替わりが早い
- 商品回転率が低い=在庫として長く滞留している
なぜ必要?回転期間・回転率を知る3つのメリット
在庫回転期間や商品回転率を把握すると、以下の3点を店舗経営に活かすことができます。
- 在庫回転期間から何日分・何ヶ月分の在庫を抱えているかが分かる
- 商品回転率から1年間で何回在庫が入れ替わったかが分かる
- 売れ筋・死に筋を見極めやすくなる
2つの指標を把握しておくと、過剰に在庫を抱えていないかを数値としてとらえることができます。在庫の回転期間が短くよく回転していることは、売上げとしてお金に変わっていることを意味するため、在庫管理の効率性をチェックすることはとても重要です。
また、商品をアイテム別にチェックすると、売れ筋商品・死に筋商品を選別することもでき、品揃えの判断がしやすくなります。
在庫回転期間と商品回転率を計算してみよう
在庫回転期間と商品回転率の計算方法をご紹介します。
在庫回転期間の計算方法
在庫回転期間=棚卸資産÷売上高
棚卸資産とは保有在庫を金額に換算したものです。在庫回転期間を月数で知りたい場合は売上高を12で割り、日数の場合は365で割ります。
例えば、年間売上高3,000万円で棚卸資産150万円の時の在庫回転日数は、150÷(3,000÷365)=18.27日となり、平均約18日で在庫がはけていることが分かります。
商品回転率の計算方法
商品回転率=売上高÷平均在庫高
平均在庫高=(期首在庫高+期末在庫高)÷2
例えば、12月31日の期末在庫が600万円、同じ年の期首在庫が800万円とした場合の平均在庫高は以下のように算出されます。
(600+800)÷2=700万円
そして、年間売上高が5,000万円の場合の商品回転率は、5,000÷700=7.14回転となり、1年間で約7回在庫が入れ替わっていることが分かります。
また、2つの指標をより厳密に計算したい場合は、計算式の売上高の数値に売上原価を算入することをお勧めします。
商品回転期間や商品回転率の計算は、半期単位・年単位で定期的に行うことが望ましいです。継続的に管理することで、在庫管理の改善・悪化の状態の把握に役立ちます。
まとめ
在庫回転期間と商品回転率についておさらいしましょう。
- 在庫回転期間から何日分・何ヶ月分の在庫を抱えているかが分かる。
- 商品回転率から1年間に在庫が何回入れ替わっているかが分かる。
- アイテム別にチェックすると、売れ筋商品・死に筋商品を見極めやすい。
- 在庫回転期間や商品回転率を計算し、継続的にチェックすると在庫管理の改善・悪化の状態を把握しやすい。
ご紹介した計算方法で客観的な数値を得ると適正な在庫量を検討しやすくなり、過剰在庫になりがちな死に筋商品をカットするといった品揃えの判断もしやすくなります。より効率的な在庫管理の第一歩として、ぜひ活用してください。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/