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厚生年金はどう計算する?受給額・保険料の基本的な算出方法を解説

Airレジマガジン編集部

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

老齢厚生年金の仕組みはとても複雑ですが、基本的なポイントを知りたい事業主は多いのではないでしょうか。ここでは、老齢厚生年金の受給額や保険料を計算する方法や、平均給料や乗率など、計算に必要な項目について解説します。

老齢厚生年金の計算に関する概要を知ると、制度の仕組みを理解し、受給額や保険料がどのくらいになるか目安をイメージしやすくなります。また、加入員である従業員にも説明しやすくなるでしょう。

この記事の目次

老齢厚生年金は在職中の給与によって受給額が変わる

老齢厚生年金の受給額は、定額ではなく在職中の収入に基づいて計算する報酬比例なので、基本的に受給額は人によって異なります。老齢厚生年金の受給額を計算する方法は、60〜64歳までの期間と65歳以降で変わるため、順に説明します。

60〜64歳に支給される老齢厚生年金とは?

老齢厚生年金は65歳以降に支給されますが、60〜64歳の間に支給されるケースがあります。これを特別支給の老齢厚生年金と呼び、以下を合算したものが受給額となります。

特別支給の老齢年金の受給額=定額部分+報酬比例部分+加給年金

特別支給の老齢年金とは、昭和60年の法改正で老齢厚生年金の受給が始まる年齢が60歳から65歳に引き上げられた影響を最小限にするための経過措置です。つまり、本来は60歳から年金を受給できたはずの人に対し、60〜65歳までの間、期間限定で特別に支給されるものです。

定額部分とは、老齢厚生年金に加入している期間に基づいて以下のように計算され、65歳以降に受給する老齢基礎年金の一部分に相当します。

定額部分=1,626円×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数

加給年金とは、要件に該当する配偶者や子供がいる場合に加算されるものです。

65歳以降の受給額を計算するには

受給額は以下のように算出します。

65歳以降の老齢厚生年金の受給額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金

65歳以降になると、特別支給の老齢厚生年金における定額部分が、老齢基礎年金という位置づけになります。しかし、制度の仕組み上、当分の間は老齢基礎年金より定額部分の額が多くなる状況が続きます。そこを調整するため、一定期間の老齢基礎年金額から定額部分を引いたものを計算し、経過的加算分として加えるようになっているのです。

基本的なポイントを説明しましたが、老齢厚生年金の仕組みや計算方法は複雑です。さらに詳細を知りたい場合は、以下を確認してください。

老齢年金の受給要件・支給開始時期・計算方法

報酬比例の計算について

老齢厚生年金の受給額の算出に必要な、報酬比例部分の基本的な計算式は次のとおりです。

報酬比例部分=平均給料×一定乗率×加入期間

平均給料は在職期間中の給与の平均額のことで、年金の専門用語では平均標準報酬額といいます。平均標準報酬額や一定乗率については、次の項目で詳しく解説します。

老齢厚生年金の受給額計算に使う平均給料・乗率のポイント

平均給料(平均標準報酬額)は、老齢厚生年金の受給額を計算する時の基礎になる部分です。法改正により、現在は平均給料の計算に総報酬制が導入され、月給だけでなく賞与も算入する平均標準報酬額が用いられています。法改正前は、月給のみが反映される平均標準報酬月額でした。

なお、総報酬制は平成15年4月に導入されたため、実際に報酬比例部分を計算する際は、平成15年3月以前分と平成15年4月以降分に分けて算出しなくてはなりません。

また、平均標準報酬月額を算出する際、実際の給与に基づいて計算すると貨幣価値の変動などが加味されないので、決められた再評価率というものを掛けて算出します。

給付の一定乗率には従前額保障がある

報酬比例部分の計算に使われる乗率は生年月日ごとに異なりますが、平成12年の法改正を境に5%引き下げられました。この影響により、法改正後の本来水準で計算した場合より受給額が減る場合、法改正前の乗率を用いて算出した額(従前額)が支給されます。これが、従前額保障の考え方です。

再評価率や給付の一定乗率の具体的な数値は、以下を参照してください。

年金額の計算に用いる数値

老齢厚生年金の保険料はどれくらい?

将来、老齢厚生年金を受給するために支払う保険料の計算は、毎月の給与と賞与それぞれに共通の保険料率を掛けて算出し、保険料は事業主と加入員(被保険者)で折半します。

計算に使う月給と賞与の額は、標準報酬月額標準賞与額が用いられます。標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から31等級(62万円)までの31段階に分けられ、以下の項目が含まれます。

  • 基本給
  • 各種手当(通勤手当や残業手当など)

標準賞与額は、支給された賞与総額から1,000円未満の端数を切捨てた額とされ、1回の支給につき上限は150万円です。

標準報酬月額は毎年9月に改定され、保険料率も定期的に見直されるため、保険料を計算する時は最新のものを使用するようにしましょう。最新の保険料率に基づく保険料額と標準報酬月額は、以下で確認できます。

保険料額表

厚生年金基金は加入員の負担が増えない

会社が独自に運用する厚生年金基金がある場合は、保険料ではなく掛金を納めることになり、計算には所定の掛金率が用いられます。厚生年金基金では、厚生年金保険の報酬比例部分を基金の掛金として納めています。そのため、加入員の負担額は老齢厚生年金のみの場合と基本的に変わりません。

まとめ

老齢厚生年金の計算についておさらいすると、以下のようになります。

  • 老齢厚生年金の受給額は、在職中の給与によって変わる【報酬比例】で計算する。
  • 老齢厚生年金には60〜64歳までの【特別支給の老齢厚生年金】があり、65歳以上の受給額の計算方法と異なる。
  • 老齢厚生年金の受給額の計算には【総報酬制】が採用されている。
  • 老齢厚生年金の保険料の計算は、【標準報酬月額と標準賞与に保険料率を掛けて計算】する。

老齢厚生年金の受給額を計算するには、給与以外にも生年月日や法改正などあらゆる点を考慮しなくてはならないため、とても複雑です。今回は基本となるポイントを中心に解説しましたが、大まかな概要を知ることは老齢厚生年金の仕組みの理解に役立ちます。また、老齢厚生年金の受給額や保険料の目安額を、従業員へ説明する際に役立ててください。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

Airレジマガジン編集部

「0円でカンタンに使えるPOSレジアプリ『Airレジ』」のメディア「Airレジ マガジン」の編集部。お店を経営している方向けに、業務課題の解決のヒントとなるような記事を制作しています。

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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