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厚生年金の受給額とは?金額の目安と計算方法を紹介

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

毎月支払う年金保険料。やはり気になるのは将来どの程度年金をもらえるのかという点でしょう。特に厚生年金は受給額の計算が複雑であり、人によって条件が変わるため、実際に計算してみなければどの程度もらえるか算出することはできません。加入を検討する際には厚生年金の受給額について計算式も含めて押さえておき、従業員にも正しく厚生年金について説明することが重要です。

この記事の目次

厚生年金受給の概要

まずは、厚生年金の受給についての年齢や要件を、正しく押さえておきましょう。

受給開始年齢

厚生年金の受給開始年齢は、現行の制度においては原則的に65歳からです。ただ、満額から多少減額された状態で、60歳から年金をもらえる「繰上げ支給」や、一定期間受給を遅らせることで、満額よりもさらに増額された状態で受給することができる「繰下げ支給」を申請することもできます。

支給要件

厚生年金は、原則として保険料を実際に支払っていた「保険料納付済期間」と、学生であった期間など様々な理由で保険料支払いの免除を受けていた「保険料免除期間」を合算して、25年以上あることで支給を受けることが可能となります。

この25年という期間は、平成29年8月より、10年間に短縮される法改正が行われました。これは、25年間という要件では年金を払っていても受け取ることができない「払い損」となってしまう方を救済するものであり、10年間の加入実績があれば、少ないながらも年金を受け取ることが可能になるのです。

受給額の計算方法

具体的に受給金額がどの程度になるかという計算は、どのように行っていくことが可能なのでしょうか。

厚生年金の受給金額は、以下のような式を利用して求められます。

平均給与×一定乗率×加入期間

「加入期間」については、加入していた月数のことを表します。では、「一定乗率」「平均給与」は、どのように算出するのでしょうか。

「一定乗率」「平均給与」の計算方法は、平成15年4月から導入された「総報酬制」によって大きく変化しています。現行の厚生年金制度では、平成15年3月以前の給与と、平成15年4月以降の給与の計算方法を分けて計算しなければなりません。

一定乗率

平成15年4月以降とそれ以前で大きな違いがあります。また、制度の移行措置として「従前額保障」というものが導入されているので、合計4パターンの乗率が存在しています。

  • 通常の水準(本来水準)

平成15年3月まで→1000分の7.125

平成15年4月から→1000分の5.481

  • 従前額保障水準

平成15年3月まで→1000分の7.5

平成15年4月から→1000分の5.769

本来水準と、従前額保障水準×スライドの水準で計算をし、より高いものが採用されているのです。

平均給与

平均給与に関しても、総報酬制の導入によって平成15年4月以降とそれ以前で扱い方が変わっています。

平成15年3月まで→月給のみの平均を採用(平均標準報酬月額)

平成15年4月から→月給とボーナスを合算した額の平均を採用(平均標準報酬額)

ここでいう「月給」とは自分の毎月の給与をそのまま当てはめるのではなく、「標準報酬月額」というものに当てはめるため、自分で計算することは極めて難しいのが現実です。

また、20年以上の加入期間がある方には「加給年金」というものが支給されることから、より計算方法は複雑なものとなっています。

年金額の目安

このように、厚生年金の受給額計算は非常に煩雑で、かつ人によって条件が異なるために難しい計算式を利用しなければなりません。ですが、ある程度の目安として金額を算出することは可能です。厚生年金に40年間加入していた場合の目安の金額について、見てみることにしましょう。

単身者の場合

単身者の場合、ボーナス抜きの平均月給がおよそ40万円、ボーナスありの平均月給がおよそ50万円だったとすると、平成15年3月までの期間までの計算式では約144,000円、平成15年4月からの計算式では約138,500円となります。

この金額に、基礎年金である国民年金の金額を上乗せした額が、毎月もらうことができる年金額となるのです。

夫婦の場合

夫婦で妻が専業主婦、夫のボーナス抜きの平均月給がおよそ40万円、ボーナスありの平均月給がおよそ50万円だったとすると、厚生年金単体の受給額自体は上記と同じ額となります。

ただ、夫婦の場合で加入期間が20年以上となっている時は、「加給年金」が支払われるため、単身者の時よりも年金額は増額します。

加給年金の額は、受給する方の生年月日によって異なり、昭和18年4月2日以降生まれで配偶者がいる場合には年額390,100円を受給可能です。

これらに加えて、基礎年金である国民年金の金額も本人と配偶者の2人分となるため、夫婦の場合にはより手厚い保障を受けられるのです。

まとめ

厚生年金の受給額に関しては、以下の3点を押さえましょう。

  • 受給開始年齢は65歳から、受給要件は加入期間が25年あることだが、平成29年8月より10年に短縮される法改正が行われた
  • 計算方法は平均給与×一定乗率×加入期間だが、平均給与は自分で計算することがほとんど不可能であるために計算によって正確な数字を割り出すのは困難
  • 加入期間が20年以上あれば加給年金が受給できるため、夫婦の場合にはより手厚い保障が得られる

平均給与に関しては自分で計算することが難しいため、より正確な受給額を調べたければ毎年1回送られてくるねんきん定期便で確認するか、年金事務所に出向くしかないのが現状です。しかし、大まかな目安で受給額を調べることは可能ですので、どの程度もらえるかということを推測することはできるでしょう。計算方法などを押さえて、従業員などと共に加入を検討する際にはぜひ押さえておきましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

Airレジ マガジン編集部

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中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/