厚生年金の保険料率とは?計算方法や職種による変化について押さえよう
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
従業員を雇って厚生年金への加入を検討している段階で、実際に月々の保険料がどの程度になるか気になるという方は多いでしょう。厚生年金加入後に、月々支払う年金の保険料がどう変わるかという部分は重要な点だと言えます。厚生年金の保険料について理解することは、保険加入を円滑に進めるうえでも大切です。自分だけでなく従業員にもきちんと説明できるよう、正しい知識を身につけましょう。
この記事の目次
厚生年金保険料の計算方法
厚生年金保険料は、国民年金のように定額制ではありません。厚生年金保険料は、以下の式で計算して求めます。
標準報酬月額×保険料率÷2
標準報酬月額とは、実際にもらっている月額の給与から算出する金額のことです。この標準報酬月額に、あらかじめ決められた厚生年金保険料率を掛けることで保険料率が決まります。平成27年9月より、厚生年金保険料率は17.828%と決められました。この金額を、会社と被保険者が折半して負担することになっているので、計算して出た金額を最後に2で割ります。
給与以外にボーナスが出た際には、もちろんボーナスからも厚生年金保険料が引かれます。ボーナスから引かれる保険料は、以下の式を用いて計算を行います。
標準賞与×保険料率÷2
ボーナスの額から導かれる標準賞与は、より簡単に算出することが可能です。もらったボーナスの額から、1,000円未満の端数を切り捨てた額が標準賞与額となります。なお、150万円以上の賞与を得た場合には、標準賞与額は一律で150万円となります。ボーナスの場合にも、会社と被保険者が折半をするために、計算して出た金額を最後に2で割っています。
保険料の考え方と保険料率の推移
実際の保険料の額を算出するために重要になる「標準報酬月額」は、いったいどのように算出するものなのでしょうか。標準報酬月額は、「定時決定」という方法で決まるのが一般的であり、4月・5月・6月の給与額の平均の額が標準報酬月額となります。
そのほかに、昇給や降給などで固定給に変化があった場合には、連続した3ヶ月間の給与額の平均を求める「随時改定」という方法で標準報酬月額を決めます。
また、新しく従業員を雇って事業主が賃金を支払った実績がない場合には、基本的にその月の給与額を1日あたりに換算し、30倍して算出します。保険料率を掛けて保険料を算出する流れは、「定時決定」「随時改定」「新しく従業員を雇った場合」のどれであっても同じです。
この標準報酬月額は、金額に応じてランク分けがなされることも特徴です。算出された標準報酬月額が切り上げ、または切り捨てで扱われますので、その金額に保険料率を掛けて保険料を算出します。ランクは1等級から30等級まであり、例えば20等級であれば33万円から35万円までの標準報酬月額は、一律34万円として算出されます。
実は、厚生年金の保険料率は平成16年から1年ごとに上昇しています。平成16年に年金改革が行われたことで、毎年0.354%ずつ年金の額が上がっていくことになりました。この保険料率の上昇は平成29年に終わることも決定されており、平成29年からは18.3%で固定されます。
また、給与明細に毎月の保険料を記載する際には、必ず「控除」の欄に項目を作って載せることも、合わせて押さえましょう。
職種などと保険料との関係
厚生年金の保険料率は、職種によって若干違いがあります。以下の職種に当てはまる方は一般の被保険者と比べて、保険料率が1%程度上がっています。
- 船員・坑内員
- JT、JRと一部関連会社の社員
- 農林漁業団体の事業所に務めている方
また、「厚生年金基金」に加入している方は、厚生年金の保険料率が若干低くなることになっています。「厚生年金基金」とは、加入することで厚生年金の保険料加えて保険料を支払い、将来もらうことができる年金の額を増やすものです。
厚生年金基金は約600ほどの法人が存在しており、それぞれの法人において、厚生年金の「免除保険料率」が設定されています。この免除保険料率の分だけ、厚生年金の保険料率が低下するという仕組みです。
まとめ
厚生年金の保険料に関しては、以下の3点を押さえましょう。
- 厚生年金保険料は「標準報酬月額×保険料率」、ボーナスの場合は「標準賞与(1,000円以下切り捨て)×保険料率」で出した額を会社と被保険者で折半することで算出する
- 保険料計算に使う「標準報酬月額」は、4月、5月、6月までの給与の平均を算出し、ランク分けをして扱うのが一般的である
- 特定の職種についている場合は保険料率が1%程度上がり、厚生年金基金に加入している場合は保険料率が低くなる
保険料の算出方法は、「標準報酬月額」と「保険料率」を正しく押さえておけば、問題なく算出できます。これから厚生年金への加入を検討している経営者の方は、これらの情報から保険料を算出し、従業員とも綿密な話し合いを行って加入の是非を判断してみましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/