決算セールは税金対策になる?知っておきたい在庫の知識
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
「決算前にセールを行うと税金対策になる」というのを聞いたことがありませんか? 結論を言うと、決算セールを行って在庫を調整することで節税対策になります。また適切な在庫管理を行うことで、日頃から余剰在庫を防いで節税を意識した経営をすることができ、決算時に焦る必要もなくなります。今回は決算セールがなぜ節税対策になるのかについて、経営者なら知っておきたい在庫の基本的な知識を交えながら説明します。
この記事の目次
在庫とは
在庫と言うと商品在庫を連想しがちですが、在庫は商品だけではありません。小売業で言うと、大きく分けて在庫は下記の3点が挙げられます。
在庫の種類
- 商品:購入元など取引先から仕入れた完成品
- 製品:自社で生産した完成品
- 貯蔵品:事務用消耗品、荷造用品など
ただし小売業で忘れてはならないのは特殊在庫である未着品の存在です。
特殊在庫の未着品とは
- 文字通りまだ届いていない商品のこと
- 翌期首に届く商品であっても決算期末前に注文した時点で在庫として計上される
- 期末時点で手元になくても、在庫として計上されるため注意が必要
期末棚卸高とはこれらの決算期末にある在庫の総額であり、翌期に繰り越す在庫のことを言います。
決算前にマスターしよう!在庫の評価方法
期末棚卸資産には税金がかかりますので、税金を計算するためには在庫価格を評価する必要があります。
在庫価格の評価方法は大きく分けると原価法と低価法の二つがあります。
原価法とは
- 在庫となる商品や貯蔵品などを取得した時の金額によって評価する方法
- 購入した時の帳簿金額を採用する
- 先入先出法、総平均法など平成28年8月時点で現在6種類の方法があり、業態に応じて選択する必要がある
低価法とは
- 上記の原価法で算出した在庫価格と、期末棚卸時の時価を比較して価格が低い方を取得価額として評価する方法
- 在庫の時価を採用した方が在庫価格が低価格になる場合、節税効果になる
決算期末に在庫を減らすと節税対策になる?
利益に税金がかかることは分かりますが、実際の収入が入っていない在庫にも税金はかかります。その理由を知るには、まずは棚卸資産である在庫の考え方を知る必要があります。
なぜ売り上げていない在庫にも税金がかかる?
- 利益=売上-(原価+経費)で計算できる
- 売上原価=期首在庫+当期仕入高-期末在庫で計算できる
- つまり期末在庫が多いほど売上原価が小さくなり、利益が大きくなる関係性がある
- 利益が大きくなったはずなのに実際には在庫として残っているので、実際には収益を伴っていない
在庫は売れないリスクがあるのに関わらず利益として計上され、しかもその利益には税金がかかっていまうのです。そのリスク回避と税金対策のため、「在庫一掃セール」や「決算値下げセール」を行う企業が多いと言えます。中間決算や期末決算の時期である9月や3月末にこれらのセールが行う企業が多いのは、これらの数字の調整だということになります。
まとめ
節税対策になる在庫管理について、おさえておきたいポイントは下記の通りです。
- 在庫には税金がかかる
- 在庫は商品以外にも貯蔵品、未着品なども含まれる
- 在庫の評価方法をマスターして適切な在庫の評価を行う
- 在庫一掃セールは節税対策になる
今回は期末時の在庫を減らすことで節税対策をすることをお伝えしましたが、普段から余剰在庫を防いだ経営を行うことが大切です。そうすることで決算前に在庫の存在に頭を悩まされることもありませんので、基本的な在庫の考え方を知り、日々の在庫管理に役立ててみてください。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/