登記識別情報とは?情報管理の大切さと困った時の対処法を伝授
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
登記完了後に発行される登記識別情報通知書を大切に保管できていますか? 登記識別情報が意味するものや紛失・盗難にあった時の対処法を知らずに粗末に扱うことで、悪用されてしまうかもしれません。まずは登記識別情報のに対する知識をしっかり持ってください。情報管理の大切さを知ることができますし、もしもの時にすぐ対応できるはずです。
この記事の目次
登記識別情報とは?
登記識別情報とは、簡単に言うと不動産を登記した時に取得する権利証(正式には登記済証)に代わる重要なものです。登記識別情報へと代わった経緯やそれぞれの違い、使い方について紹介します。
権利書から登記識別情報へ
平成17年3月6日までは不動産に関する登記が完了した際に、登記所から登記名義人に対して権利証(正式には登記済証)が発行されていました。権利証という名前から不動産の権利を表すものとしてイメージされがちですが、不動産の所有者が登記名義人本人であることの証明書が正しい認識です。よって、ドラマや映画などで見かける「権利証が盗まれて不動産が奪われる」というようなことはありません。新たな登記をするには権利証だけでなく申請者本人の印鑑証明が必要になるのです。
登記申請には権利証も一緒に提出する必要があるため、申請は紙で行わなければなりませんでした。しかし、インターネット経由で登記申請を行うことを目的として、平成17年3月7日から施行された不動産登記法により、紙で発行していた権利証の代わりに登記識別情報と呼ばれる情報が導入されることになりました。
権利書と登記識別情報の大きな違いについて
登記識別情報が導入されたことで何が変わったのでしょうか。権利証はそのものが大切なため、紛失しないようにしっかりと管理しなければなりませんでした。登記識別情報では通知書に記載されている情報そのものに価値があるため、通知書そのものを失くしてしまっても、登記識別情報を知っていれば問題はありません。物ではなく情報なので第三者に見られただけでも権利証を盗まれたことと同じになってしまいます。取り扱いには細心の注意を払い、情報管理を徹底する必要があります。紛失した時のために、情報を控えて身近な場所に保管することのないように注意してください。
登記識別情報はいつ使う?
登記識別情報は、次にその不動産の所有権移転登記をするときや抵当権の設定登記、抹消登記などの登記申請の時に必要になります。通知書を提出するのではなく、登記識別情報を申請書に記載するだけです。従来の権利書では、不動産の数や共有名義人の数にかかわらず、1度の登記によって発行されるのは1部でした。しかし登記識別情報になってからは、不動産1個につき1通、共有の持ち主1人につき1通発行されることになりました。不動産の数や共有人数が多ければそれだけ情報管理が大変になってしまうため、登記識別情報を持たないという選択もできます。こちらについては最後の対処法にて詳しく説明します。
登記識別情報通知書に貼ってあるシールの意味は?
登記識別通知書に貼ってある光沢のある緑色のシールは、その下に記載してある登記識別情報を第三者の目から守るために貼られています。はがしたいという衝動に駆られるかもしれませんが、一度はがすと二度と貼れないシールを採用していますので、はがす前にシールの役割についてしっかりと理解することが大切です。
シールの下に記載されている情報
シールの下に記載されている登記識別情報は、12桁の英数字で構成されており、不動産の権利を取得した人だけが知ることができるパスワードの意味を持っています。情報の取り扱いを厳重にするため、シールで目隠しがされています。識別情報を知っている人=不動産の登記名義人と認識されるため、厳重に扱わなければなりません。
シールはすぐはがす? 取り扱いのうそ、本当
登記識別情報が導入された当初は、日数が経つとはがしにくくなるシールを使用していたため、すぐにはがすように促されていました。今ではシールが改良されたためすぐにはがす必要はなくなりました。登記識別情報を使用するまではシールをはがさず、通知書自体もしっかりと管理することで、情報漏えいを防ぐことにつながると覚えておいてください。
こんなときどうする? 登記識別情報の「困った」を解決!
「困った」と慌てる前に、大切な登記識別情報にもしものことが起きた時の対処法や、情報管理不足によるトラブルを未然に防ぐための解決法など、知っておいてほしい情報をまとめました。
登記識別情報の紛失や盗まれた時には
登記識別情報を紛失した時や盗難にあった時にどうしたらいいのでしょうか?不動産が奪われてしまうと慌てないでください。登記識別情報は再発行ができないため、登記識別情報の紛失や盗み見られた可能性がある場合は、登記識別情報の悪用を避けるために「登記識別情報の失効申出」を行い、登記識別情報の効力を失効させることができます。
複数の不動産を所有している方へ、登記識別情報の管理不足を防ぐための選択肢
不動産の数だけ登記識別情報が発行されるため、不動産の数が多ければその分情報管理が大変になります。権利証とは異なり通知書そのものは手元にあったとしても、情報を見られただけで盗まれたことと同じになるため、盗難に気づきにくいというデメリットもあります。管理することに不安を感じるのであれば、登記識別情報を発行しないという選択肢もあり、登記をする際に登記識別情報を発行しないという申し出ができます。後になって発行してほしいと申請しても発行してもらうことはできませんので、申請の際はくれぐれもご注意ください。
登記識別情報がない時の登記方法
登記識別情報を紛失した、失効請求した、そもそも発行していない、そんなときでも登記申請は行えますので安心してください。登記識別情報は、登記識別情報を持っている(知っている)人を登記申請人として判断するためのものです。そのため、登記識別情報を持たない人からの申請があった時には、申請者が本人であるか確認する必要が出てきます。その方法には2種類あります。
①資格者の代理人が本人確認をする方法
司法書士に登記を委任する時に利用できます。本人確認情報の書類を作成してもらい、申請書と一緒に提出することで登記が可能になります。
②事前通知の方法
資格を持たない人は登記に関する本人確認情報の書類を作成することができません。自分で登記をする場合などは、まず登記識別情報の記載なく法務局に申請します。すると登記上の住所に登記識別情報が記載されていない旨の通知が届きます。一緒に届いた書類に捺印して返送することで本人であると確認してもらえる方法です。
わずらわしい手続きだと思うかもしれませんが、第三者が悪用して登記申請しないように、本人確認を徹底するための大切な仕組みなのです。
まとめ
- 紙そのものではなく、情報を知っている人が権利者だと判断される
- 必要がない限りは、登記識別情報を隠すシールははがさない方がいい
- 登記識別情報を紛失、盗難にあった場合は失効申請することで悪用を防ぐことができる。また、登記識別情報を持たなくても登記申請できる方法がある。
登記識別情報の重要性を知ることで、情報管理への認識が高まったのではないでしょうか。登記識別情報の紛失や盗難にあった時に対処法を知っていることで、被害の拡大を防ぐことができるはずです。くれぐれも情報管理はしっかりと、第三者に見せることのないように注意してください。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
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中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/