消費税の小数点以下の取り扱いはどうすべき?端数処理する際のポイントも解説します
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
あなたのお店では、消費税を計算したときに出る小数点以下の端数をどのように処理していますか? 実はこの【切り捨て、切り上げ、四捨五入】は、事業者がどれでも自由に採用できるのです。
この記事では、消費税の端数処理のポイントや納税額の算出における端数処理の影響についてまとめましたので、ご自身の店舗経営において、どの処理方法を選択するのが一番適しているかを知ることができます。
この記事の目次
消費税の端数処理方法は?
消費税を計算すると出ることがある1円未満の端数を消費税の端数と言います。端数分はそのまま払うことができないため、処理する必要がでてきます。
消費税の端数を処理するために、切り捨て、切り上げ、四捨五入の3種類の方法があります。98円の商品の消費税を計算すると98×8%=7.84円になります。
- 切り捨て7円
- 切り上げ8円
- 四捨五入8円
上記の通り、計算方法により消費税額に差がでますが、法律ではどの端数処理を採用するかは定められていないため、事業者が自由に決めることができます。
消費税の価格表示について
消費税の価格表示には、消費税を含めて消費者が最終的に支払う金額を明示する方法と、本体価格のみを表示して消費税は別途計算する方法があります。消費者にとっては総額表示のほうが自分が支払うべき金額が分かりやすいと思えますが、例外も認められています。
総額表示方式とは?
平成27年4月1日より、商品の販売やサービスを提供するときに、取引価格に消費税額を含めた価格(総額)を表示することが義務付けられました。消費者が支払う金額が一目で分かる表示にしなければならないため、消費税の端数計算が避けられなくなりました。
総額表示義務の特例
消費税が10%に上がるときの事業者の負担を減らすため、総額表示には特例措置があります。表示する価格が税込価格であると誤解されない表示であれば、総額表示ではなくてもいいとされています。この特例措置は令和3年3月31日までの期間が決められていますので、それまでに総額表示に変えなければなりません。
おすすめの端数処理方法と注意点
迷ったときには切り捨てをおすすめします。消費税の端数処理は法律で定められていないため、事業所で選択しなければなりませんが、金銭的ではなく感覚的な損を避けることにもつながります。
事業者の多くは切り捨てを採用
多くの事業者は切り捨てを採用しています。税抜価格が表示されていれば確かめる人もいるかもしれません。端数と販売価格の差額を余計に取られていると思われることを避けるために、多くの事業者は切り捨てを採用していると考えられます。
事業者間の取引で気をつけたいポイント
事業者間での売上げや仕入れに対する消費税の端数処理についても、法律で定められていません。自由に選べますが、請求書の発行の際にトラブルを避けるためにも、前もって業者間で決める場合が多いです。事業者間では総額表示は義務化されていないため、端数処理だけしっかりと取り決めがされていれば大丈夫です。
消費税の端数処理を変えた時の確定申告時の影響は?
申告時の消費税の計算において端数処理を変えたことによる影響は出ません。消費税の端数処理により表示価格に差が出ましたが、納税額を計算するときには別の視点から計算をはじめるのです。
標準課税額を求める
納付税額を計算するときには、税抜価格ではなく税込価格の合計額(売上代金)を使います。はじめに税込価格から税抜価格を差し戻し計算し、それを標準課税額とします。(1,000円未満は切り捨て)
納付税額を計算する
標準課税額を元に消費税額を算出します。これがすべて納付税額になるわけではなく、仕入れ時に消費税を払っていた場合はその額を控除した額が納税額になります。(100円未満の端数は切り捨て)
消費税の端数処理による影響は?
納付税の計算の流れを見てもらうとわかる通り売上代金として税込でいくら受け取ったのかに着目しており、消費税としていくら受け取っているかは関係がないことがわかります。あくまでも消費税の端数処理は販売価格を決めるための目安だと考えることができます。
消費税を端数処理する際の注意点
消費税の端数処理については、会計ソフトを導入していれば、あまり意識することはないかもしれません。会計ソフトを使えば、税込金額を入力することで、自動で端数処理をしてくれます。
もし、会計ソフトを入れずに自力で計算しようとするのであれば、端数は切る捨てるなら切り捨てるで統一したルールをもって計算するようにしましょう、とはいっても、消費税がかかってくるような事業規模であれば、多くの事業者は会計ソフトを入れていると思いますので、端数処理で頭を悩ませることはないかもしれません。
まとめ
- 消費税の端数処理は切り捨て、切り上げ、四捨五入のどれを選んでもいい
- 業者間の仕入れ、売上げに対する端数処理は双方で話し合って決める
- 納税額は売上げの合計額から算出するため、端数処理による影響はない
- 自力で消費税の計算を行うのであれば、端数処理は統一したルールで処理する
端数処理を考えた時、どの計算法を採用すると得になるかを考えてしまいがちです。消費税の端数処理は消費税額を決めるものではなく、販売価格を決めるものだと考えることで端数処理や納付税計算に悩まされずに店舗経営ができるでしょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/