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【お店の開業資金】日本政策金融公庫の「一般貸付(生活衛生貸付)」とは?

お店の開業をするときの資金調達方法としてよく知られているのが、日本政策金融公庫(以下、公庫)の融資を利用する方法です。飲食店の開業では、新創業融資制度の他に一般貸付(生活衛生貸付)(以下、生活衛生貸付)という融資制度もあります。ここでは、公庫の生活衛生貸付を利用するための流れと注意点を説明します。

この記事の目次

生活衛生貸付を利用できるのは「生活衛生業」を営む方

生活衛生貸付とは、生活衛生関係の事業を営む方向けの融資です。
形式的な要件は以下の通りです。

1.生活衛生業とは

厚生労働省が所管する法律「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」で規定された飲食業、理・美容業、クリ-ニング業、ホテル・旅館業に属する18業種の総称です。

2.利用可能な人

生活衛生貸付は、上記の「生活衛生関係の事業」を営む人が利用できます。例えば、飲食店での開業はこの業種に当てはまるため、利用可能です。

3.都道府県知事の推薦が必要

500万円を超える融資希望額で生活衛生貸付を利用するには、都道府県知事の推せんが必要になります。

生活衛生貸付の概要

生活衛生貸付制度の概要についておさえましょう。

1.お金の使いみち

お店の開店時または開店後に必要となる事業資金のうち、設備資金のみが対象となります。
運転資金も借りたい場合は、その部分だけ別の融資制度で借りる形となります。

2.融資限度額

飲食店 7,200万円

3.返済期間

設備資金 13年以内<うち据置期間1年以内(返済期間が7年超の場合2年以内)>
据え置き期間とは、元本の返済を待ってくれる期間です。その間は利息だけを払います。

4.担保・保証人

担保とは、借り入れする人や親族が保有する不動産を金融機関に示し、万が一返済できなくなったときは、その不動産を返済に充ててもらう制度です。保証人とは、借り入れた人が、万が一返済できなかったときは、保証人にも返済を請求できる制度です。
担保や保証人があると、貸し出す金融機関としては有利ですが、借りる人には不利になります。公庫の新創業融資制度は、担保と保証人を原則不要としており、新規開業者に有利な制度となっております。

申込みのステップ

申込みのステップを確認していきましょう。

1.融資相談

公庫のホームページから自分の開業する地域を管轄している支店を調べ、該当する支店に相談にいきます。

2.推薦書交付申請準備

推薦書交付申請をするために次の書類を準備します。

<推薦書交付願>
都道府県知事宛に提出する書類です。融資相談の際に公庫窓口でもらえるほか、公庫ホームページからも入手できます。代表者名や会社名、所在地、対象設備や申込金額などを記入します。

<借入申込書>
公庫所定の借入申込書です。融資相談の際に公庫窓口でもらえるほか、公庫ホームページからも入手できます。代表者名や会社名、所在地、借入希望額、借入希望日、家族構成などを記載します。

<設備内容が明らかになる書類>

  1. 不動産賃貸借契約書
    店舗を借りた際の不動産賃貸借契約書です。未契約の場合は重要事項説明書、覚書もしくは不動産案内書(家賃、保証金等が明記されているもの)で代用します。
  2. 見積書
    内外装工事や什器・備品等の見積書です。工事や納品を行う会社に発行を依頼しましょう。
    什器・備品の見積書がない場合は、金額が記載されているカタログでも可能です。
  3. 平面図
    厨房設備も含めた工事後の設備配置がわかる平面図です。内装工事を行う会社が作成してくれる場合が多いです。

<創業計画書>
公庫所定の創業計画書です。融資相談の際に公庫窓口でもらえるほか、公庫ホームページからも入手できます。起業の動機やこれまでの経歴、取扱商品・サービス、取引先などについて記入します。

<従事証明書>
在職や職務経歴を現職場に証明してもらう書類です。現在の勤務先と同じ業種で新規に開業される方が次のいずれかに該当する場合は従事証明書が必要となります。

  1. 現在の勤務先に継続して6年以上従事している方
  2. 現在の勤務先及びその勤務先と同一の業種に通算して10年以上(平成30年3月31日までは6年以上)従事されている方

<履歴事項全部証明書>
法人の場合は、履歴事項全部証明書を準備します。

3.推薦書の交付申請

上記書類が準備できたら、書類を提出します。提出は各都道府県生活衛生主管部(局)になりますが、生活衛生営業指導センター(以下、センター)に事務委託されている場合はセンターで受け付けています。

4.推薦書の交付

申請内容に問題がないと推薦書を発行してくれます。

5.申込み書類の作成

いよいよ融資の申込みです。次のものが必要となります。

  1. 借入申込書
  2. 推薦書
  3. 定款の写し(法人の場合)
  4. 履歴事項全部証明書(法人の場合)
  5. 対象設備の見積書
  6. 創業計画書
  7. その他の補足資料

公庫所定の創業計画書はA3 1枚の用紙です。これだけで自分の開業に掛ける思いが伝わりますでしょうか。フリーの事業計画書や店舗の地図や物件の資料などを添付しましょう。

6.申込書類の提出

最初に相談した公庫支店に申込書類を持参します。

7.担当者の決定

公庫内で担当者が決まり、以後その担当者が窓口となり、審査手続きが始まります。

8.審査

これまでの経験や個人信用情報、事業計画書の内容などが審査されます。並行して面談審査があります。

9.面談

事前の面談時の持ち物の案内が郵送されますので、必要な書類などを揃えて指定された日時に支店を訪問します。担当者と申込者の1対1で面談を行います。

10.不足資料の提供

担当者から不足資料の開示を求められたら滞りないように準備し、提供します。

11.結果の連絡

融資審査が通過したかどうか結果の連絡があります。

12.契約手続き

審査に通過した場合は、契約手続きに進みます。金銭消費貸借契約書や銀行引き落としに関する書類などを記名、押印し提出します。融資が実行される日程もここで概ねわかります。

13.融資実行

融資が実行され、指定された銀行口座に入金されます。月々の返済や利息もその口座から引き落とされます。

申込にあたっての注意点

生活衛生貸付制度の申込にあたっての注意点です。

1.審査方法は新創業融資と同じ

融資審査自体は、新創業融資制度の審査と変わりありません。「経験や能力、信用」「返済可能性」「自己資金」「資金使途」などが総合的に審査されます。推薦書があるから融資OKとはなりませんのでご注意ください。

2.金額によっては推薦書が不要

生活衛生貸付を利用し、融資希望額が500万円を超える場合には、都道府県知事の推薦書が必要です。500万円以下の場合は必要ありません。

まとめ

  • 生活衛生貸付は対象となる業種がある
  • 事業資金のうち、設備資金のみが対象となる。運転資金は別の融資制度で借りる
  • 融資希望額が500万円超の場合は都道府県知事の推薦書が必要となる
  • 推薦書があるから融資OKではない。自己資金、経験など通常と同じ審査が行われる

日本政策金融公庫の生活衛生貸付をはじめ、様々な融資制度があります。他の融資制度も含めて、あなたの業種や状況などで一番有利なものはどれかをよく見極めて、融資の申し込みをしましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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