キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?
従業員を雇用するということは、お店を経営する上で欠かせないことです。特に正社員で働いてくれる従業員は会社にとって重要な存在です。そんな正社員を雇用する場合にもらえる可能性がある助成金「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」を今回は説明します。
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キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?
飲食店などお店の経営において、従業員の採用は欠かせないものです。正社員やアルバイトなど、さまざまな働き方があります。中には、契約社員の形で働く方もいらっしゃいます。
契約社員とは、半年ごとに更新のように期間を区切って雇用される人(有期契約社員といいます。)のほか、期間の定めはないけれど待遇は正社員と異なるという人(無期契約社員といいます。)も含まれます。有期契約社員にせよ、無期契約社員にせよ、一般的には正社員に比べて仕事や待遇の面では低くなってしまいます。しかし、契約社員として雇用した方の中には十分なスキルを身に付けて貴重な戦力となったため、正社員として雇用に切り替えるということもあります。そんなときに受給できるのが、キャリアアップ助成金(正社員化コース)です。
キャリアアップ助成金とは、契約社員など非正規の形態で働く人の減少を目的に導入されている助成金です。非正規の従業員はどうしても雇用が不安定になりがちです。そんな非正規従業員に対して、スキル向上のためのさまざまな施策を行う事業者に対して助成が行われます。中でも最も活用されているのが、正社員化コースなのです。非正規の従業員を正社員にする制度を設けるということは、有期契約社員にとっても大きなモチベーションとなり、よりやる気を引き出す手段になります。正社員にすることで助成金が受け取れるということは、有期契約社員のモチベーションを上げつつ、お金を受け取れるという、まさに一石二鳥の制度なのです。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給要件
キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するための要件は以下の通りです。
1)有期契約社員(または派遣社員)を正社員など期間の定めがない雇用形態に転換する制度を、就業規則などで規定すること
2)有期契約社員を正社員に切り替える日の6か月前の日から1年を経過する日までの間に、雇用保険の被保険者を解雇など事業主の都合により離職させていないこと
3)有期契約社員として雇用される期間が6か月以上あり、正社員に転換した後6か月以上の期間継続して雇用され、転換後6か月の賃金が支給されていること(有期契約の期間と正社員の期間を合計して12か月以上の雇用期間が必要です。)
4)正社員に転換した後に、その正社員を雇用保険と社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者として加入させていること
5)対象の労働者が、訓練を実施する事業所の事業主又は取締役の3親等以内の親族以外の者であること
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額は以下の通りです。
中小企業 | 大企業 | |
---|---|---|
有期契約社員から正社員への切り替え | 57万円(72万円) | 42万7,500円(54万円) |
無期契約社員から正社員への切り替え | 28万5,000円(36万円) | 21万3,750円(27万円) |
この他にも、有期契約社員から無期契約社員に切り替えた場合にも、無期契約社員から正社員への切り替えと同額の助成が受けられます。
かっこの中の金額は、3年前の決算に比べて、生産性が原則として6%以上伸びている場合に適用される金額です。
生産性=(営業利益+従業員給与+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)/雇用保険被保険者数
の数式で計算し、各数字は決算書のものを使用します。ざっくりいうと、3年前に比べて少ない人数でより多くの利益を稼いだ場合に助成額がアップするということです。3年前と比較するため、会社であれば4期目、個人であれば4年目以降の申請にのみ適用されます。
また、表の中で中小企業と大企業で受給額が分かれています。具体的に中小企業というのは以下の事業主を指します。
資本金要件 | 常用労働者数要件 | |
---|---|---|
小売業(飲食店含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 資本金1億円以下 | 100人以下 |
その他 | 資本金3億円以下 | 労働者が300人以下 |
資本金要件または常用労働者数要件のどちらかを満たせば中小企業に該当します。見ての通り、それなりの規模がないと大企業には該当しませんので、飲食店であれば、通常は中小企業の金額が受給できます。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)申請までの流れ
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給までの流れは以下の通りです。
1)就業規則に契約社員から正社員への切り替え制度を規定
例えば、「6か月以上勤務している有期契約社員は、本人の希望により面接を行ったうえで、合格した者を、その翌月1日より正社員に転換させることがある。」のように、転換する条件や時期を明示して定める必要があります。
2)最初に契約社員が正社員に切り替えする日までに、キャリアアップ計画を労働局やハローワークに提出
3)実際に正社員への切り替えを実施
4)正社員への切り替え後6か⽉分の賃⾦を⽀給
5)正社員への切り替え後6ヶ月分の給与支払いを行った日から2ヶ月以内に労働局やハローワークへ助成金の支給申請のための必要書類を提出
5)で支給申請をする際の所定の申請書以外の主な必要書類は以下の通りです。
- 転換制度が規定されている就業規則
- 対象の労働者の労働条件通知書、賃金台帳、タイムカードのコピー
- 中小企業事業主であることを確認できる書類(会社であれば登記事項証明書のコピーなど)
特に、2)や5)のように提出期間が定められている場合、1日でも過ぎれば助成金の受給ができなくなります。書類の提出期間には細心の注意を払う必要があります。また、提出した書類も助成金の趣旨に沿った内容でなければいけません。せっかく正社員に切り替えても、書類不備で助成金が受給できないということを防ぐために、申請にあたって雇用関係の助成金の専門家である社会保険労務士に相談することも一つの手です。
まとめ
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは契約社員を正社員に切り替えるときに受給できる助成金のことである
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給には、最低でも12か月間の雇用期間が必要
- 生産性が向上した場合には助成額がアップする
- 書類の提出は定められた期限を厳守しなければならない
人を雇用するということは、お店の経営に大きな助けとなる一方で、給料などの人件費がかかります。その費用を助成金で少しでも賄うことができれば、経営にとって大きなプラスとなります。受給できる助成金は積極的に受給していきましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/