所得税と住民税の違いは?給与計算するために知っておきたい基礎知識
従業員の給与計算をするときは、単純に時給に勤務時間を掛け算した金額や月給をそのまま渡すわけにはいきません。所得税や住民税の天引きをする必要があるからです。この二つは同じ税金でも、天引きする金額の決め方などに違いがあります。どのように天引き額が決まるのかを見ていきましょう。
この記事の目次
所得税は天引きする金額を表から確認する
まずは所得税から見ていきましょう。所得税の天引き額は毎月の給与額面が決まれば、そこから計算できます。計算するといっても、国が用意した「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」(以下「月額表」)という表に当てはめて金額を確認するだけです。月額表はインターネットからダウンロードできます。月額表は毎年1月に改訂されるので、毎年1月に支払う給与のときから新しい表を入手するようにします。
参考までに、平成30年の月額表はこちらです。
- 国税庁ホームページ「平成30年分 源泉徴収税額表」
国税庁ホームページ「平成30年分 源泉徴収税額表」の「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」(pdf)より引用抜粋。
中身を見てみると、甲と乙という欄に分かれていて、さらに「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等の数」という2つの項目があります。甲と乙の違いについて簡単にいえば、甲とは従業員にとって自分のところがメインの職場の場合、乙は副業の場合を指します。
表内にある社会保険料等とは、雇用保険の金額(会社で厚生年金保険・健康保険に加入していればこれらの保険料も合わせた金額)です。扶養親族等とは、配偶者や子、親などで所得税の計算上で扶養に入れている人数です。
月額表を使えば所得税の天引き額を調べられるので、給与計算する際には、常に手元に準備しておきましょう。
住民税は自治体から天引き額を通知される
次に住民税です。住民税は所得税に比べて、天引き額の確認はずっと簡単です。毎年5月の半ばに6月から翌年の5月までの各月に天引きしなければならない個人別の金額が、事業主あてに各自治体から通知されます。(住民税は、前年の所得をもとに、次の年の6月から翌年の5月までの天引き額が決められます。例えば2017年1月1日から2017年12月31日の所得をもとに、2018年6月から2019年5月までの天引き額が決まります。)
住民税の毎月の天引き額は、自治体が計算してくれますので、事業主側で住民税について何か計算することはありません。自治体から通知された金額をそのまま毎月天引きすれば問題ありません。
給与支払報告書の提出は忘れずに行おう
総務省ホームページ「地方税分野の主な申告手続等における様式【税目別】」の「給与支払報告書(総括表、個人別明細書)」(pdf)より引用抜粋。
ところで、住民税天引き額の計算を自治体はどのように行うのでしょうか? 自治体が計算してくれるといっても、何か根拠の資料がないと計算できません。この住民税の計算のための資料が、「給与支払報告書」というものです。
給与支払報告書は、各従業員の給与の支払い額や扶養の状況などを、各従業員が住んでいる自治体に知らせるための書類です。給与支払報告書の書式は、各自治体のホームページでダウンロードできるようになっています。ほとんど源泉徴収票と同じ様式なので、従業員に渡す源泉徴収票の作成と同じ要領で作成できます。
給与支払報告書は、毎年1月31日までに、その前の年の分を提出します。例えば、2018年分について、2019年1月31日までに提出するという形になります。提出先は、1月1日時点(上記の例だと2019年1月1日時点)の各従業員の住民票の所在地の自治体です。提出前に従業員が引っ越ししていないかを必ず確認しておきましょう。
給与支払報告書は、自治体が住民税の天引き額を計算するための重要書類です。必ず提出をするようにしましょう。また、1月に給与支払報告書を提出したのに、5月に住民税の天引き額が通知されない場合には、自治体に確認しておいたほうがよいでしょう。
まとめ
- 所得税は、給与所得の源泉徴収税額表(月額表)で天引き額を確認する
- 住民税は、自治体から通知された額をそのまま天引きする
- (自治体が天引き額の計算をするために、)毎年1月31日までに給与支払報告書を必ず各自治体に提出する
給与計算は従業員のためにも、間違いなく行う必要があります。天引き額の仕組みや金額の確認方法をしっかりと理解して、間違いのないように給与計算を行いましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/