【軽減税率】「3万円未満の少額取引」の対応は?請求書の特例は?
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2019年10月1日に開始される消費税増税・軽減税率制度では、請求書等(請求書、納品書、領収書などの帳票)に記載すべき事項も増えます。ただし、一定の金額に満たない取引については請求書等の記載についての特例があります。どのような特例があるのかを詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
税込対価が3万円未満の取引における消費税の扱い
飲食店やスーパーマーケット、コンビニや個人商店のような事業者は、不特定多数の消費者との間で少額な取引を繰り返します。
これまでの請求書等の記載
このような消費者向けの事業者について、これまでは、税込対価が3万円未満の取引については、請求書等(請求書、納品書、領収書などの帳票)の保存がなくても、購入した側において、下記の事項が記載された帳簿を保存しておけば、問題ありませんでした。例えば会計ソフトに下記の事項を入力してデータ保存すれば、帳簿として出力できますので、帳簿の保存をしていることになります。
- 相手方の氏名又は名称
- 取引を行った年月日
- 購入した商品やサービスの内容
- 税込みの支払対価の額
この「合計額が3万円未満」であるかどうかは、1回の取引の税込みの金額が3万円未満かどうかで判断します。少額な取引を繰り返す事業者については、請求書等などで取引の内容を一つ一つ詳細に表示するのが困難という事情から、消費税法の特例として認められている処理です。レジシステムを導入していれば、金額にかかわらず情報をレシートなどに載せることができますので、主に手書きの領収書などを使用している小規模事業者を想定した制度です。
軽減税率制度後の請求書等の記載
ところが、区分記載請求書等保存方式の導入によって、請求書等には上記の4項目だけでなく、下記の2項目が新たに加わります。
- 商品が軽減税率の対象品目であれば、その旨(*マークを付けるなどして明示)
- 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の税込額
ただし、この3万円未満の取引についてのルールはそのまま適用されます。つまり、税込3万円未満の取引については、上記の区分記載請求書等に特有の記載事項がない請求書等を発行したとしても、請求書等を受領した側(支払う側)では、帳簿にさえ記載しておけば消費税の処理の上では問題ないということになります。
ちなみに、税込合計額が3万円未満の場合に帳簿への保存で問題ないということは、消費税の処理の上で、区分記載請求書等がなくてもよいというだけで、相手方に請求書等を交付しなくてもよいというわけではありませんので、ご注意ください。
取引先のために内訳は書いたほうがよい
確かに、税込対価3万円未満の場合、請求書等を受け取った側、つまり支払い側からすれば帳簿への記載だけで消費税の処理が可能です。
しかし、もし軽減税率の対象品目とそうでない品目が混在している場合には、最低でも税率ごとの合計額くらいは明示してあげる必要があるでしょう。さらに、税率が混在していない場合にも、相手方にとっては何を購入したのかということは書面で記録に残ったほうがよいでしょう。
結局は、消費税の処理の上では、区分記載請求書等がなくても問題ないからといっても、できる限り購入した商品やサービスの内容は明記してあげたほうが、親切だということです。
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まとめ
- 区分記載請求書等の導入で、商品が軽減税率の対象品目であれば、その旨の記載や税率ごとの税込額が記載事項として追加される
- 税込対価が3万円未満の取引については、請求書等の保存がなくても帳簿の保存があれば支払い側は消費税の処理が認められる
- 税込対価が3万円未満の取引についても、相手方のために、できる限り購入した商品やサービスの内容は明記したほうが良い
特に食品を取り扱う事業者などは、3万円未満の取引でも税率が混在することがあるでしょう。お客様にとってわかりやすい請求書等の作成を心がけましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
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中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/