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そもそも青色申告って何?メリット・デメリットや方法について解説

上田 健介(うえだ けんすけ)行政書士

まもなく確定申告のシーズンです。ニュースや新聞等では、確定申告にあわせて青色申告ということばが取り上げられています。青色申告とはどういうものなのでしょうか。メリットとデメリットを中心に、青色申告について解説します。

この記事の目次

青色申告とは?

青色申告では、納税者が自発的に納税に協力すること、そして記帳水準が向上することを目指して、特別控除枠をはじめとしたさまざまな特典が用意されています。その特典を受けるためには、一定の帳簿を備え付けることが必要です。帳簿に日々の取引を記録し、その記録にもとづいて正しい所得金額や税額を計算します。この計算結果を確定申告という形で提出し納税します。

そもそも確定申告って何?

確定申告とは、毎月1月1日から12月31日までの1年間に得た所得から所得税等の金額を計算し、定められた期間(確定申告期間)内に申告書を税務署に提出する手続きです。これにより、源泉徴収等で収めた税金も精算することができます。

確定申告っていつやるの?

確定申告期間は毎年2月中旬から3月中旬となっており、2020年の確定申告期間(2019年1月1日から12月31日までの1年間に得た所得が対象)は、2020年2月17日から3月16日までとなっています。

青色申告 vs. 白色申告

確定申告の方式は、青色申告と白色申告の2種類があります。昔は、申告用紙の色にあわせてこのように呼んでいたようですが、現在では用紙の色に違いはなく、名称としてのみ残っています。青色申告、白色申告ともに日々の帳簿づけを行い、最終として所得金額を計算するという点では同じです。しかし、青色申告は白色申告とは異なり、正規の簿記(=複式簿記)を求めています。

青色申告の対象者と条件

青色申告として申告できるのは、不動産所得、事業所得、山林所得がある人です。さらに、後述する「所得税の青色申告承認申請書」の提出により、納税地の所轄税務署長による承認を受ける必要があります。

どんな人が対象?業種、雇用形態など

所得の種類は3種類

所得税法では所得を10種類に区分しています。このうち、青色申告の対象になる所得は次の3種類に限定されています。

不動産所得

不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得

事業所得

商業・工業・農業・漁業・自由業など、事業から生じる所得

山林所得

5年を超えて所有していた山林を伐採して売却、もしくは立木のまま売却することにより生じた所得

以上、3種類の頭文字を取って「不・事・山」=「ふじさん」と呼べば覚えやすいでしょう。

個人事業主に限らない

個人事業主に限らず、会社員やパートなどの給与所得者であっても、上記の所得がある場合には、青色申告を行うことができます。

給与所得・雑所得に注意

働き方改革の影響もあって、社員の副業を認める会社が見られるようになってきました。会社員がアルバイトのような形で副業として行って得た所得は、給与所得に該当します。

また、動画投稿・執筆のような形で得た所得は事業所得もしくは雑所得に該当します。事業所得になるのか雑所得になるのかについては明確な判断基準は存在しませんが、営利性の有無・継続性の有無・反復性の有無等の要件から総合的に判断されます。したがって自分では事業所得に該当すると考えて申告しても、後日、税務署より雑所得として修正を求められるケースもあります。雑所得に該当した場合には、青色申告の対象からはずれるため注意が必要です。

青色申告のメリット・デメリット

青色申告のメリットとデメリットについて解説します。

青色申告のメリット

「青色申告特別控除」を受けられる

青色申告では帳簿づけが大切です。この帳簿づけを「複式簿記」という方法で行っていれば65万円、「単式簿記」(お小遣い帳のような簡易なもの)という方法で行っていれば10万円を、課税所得から差し引くことができます。この65万円もしくは10万円を青色申告特別控除といいます。複式簿記を取り入れるためには大変な手間がかかるのではないかと考えがちですが、現在では帳簿づけを会計ソフトで行うことが一般的になっているため、ハードルはそれほど高くありません。

「純損失の繰越控除」を受けられる

赤字だった年から3年間の間に黒字になった場合、確定申告を行うことにより、黒字の年の所得から赤字分をマイナスすることができます。これを純損失の繰越控除といいます。

<例>

      • 2020年 200万円の赤字
      • 2021年 150万円の赤字
      • 2022年 100万円の赤字
      • 2023年 500万円の黒字

このとき、2023年の課税所得は、500万-(200万+150万+100万)=50万円となります。

家族の給与を全額経費にできる

一定の条件(事業に従事している期間等)を満たした家族に給与を支払った場合、その給与を全額経費とすることができます。白色申告であっても経費にすることはできますが、配偶者は86万円、親族は50万円の上限があります。

「減価償却の特例」を受けられる

通常、10万円以上の資産(備品等)は、法令で定められた耐用年数によって減価償却を行う必要があります。購入した年度に一括で経費とするのではなく、数年間にわたって少しずつ経費とするのです。しかし「減価償却の特例」を受けると、取得した年度において全額を経費とすることができます。白色申告の場合はこの特例を受けることができません。

自宅オフィスでも事業使用分を経費にできる

自宅をオフィスにしている場合、家賃や光熱費等の経費を個人使用分と事業使用分に分けることで、事業使用分については経費とすることができます。客観的に判断できるようにするため、例えば、事業で使用する部屋の床面積の割合等で按分します。

青色申告のデメリット

正規の簿記で記帳

青色申告特別控除の項目で解説したとおり、最大65万円の特別控除を受けるためには、正規の簿記(=複式簿記)で記帳を行う必要があります。

申請書の提出が必要

申請方法は後述しますが、青色申告として申告するためには「事前」に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。申告時点になってからでは間に合いません。(翌年以降になってしまいます。)

総合的な判断は?

「青色申告にメリットがあるのはわかったが、デメリットもあるし…」と迷っていらっしゃる方は、まず最大10万円の控除を受けるため、簡易な帳簿づけによる青色申告を目指してみるのも一つの方法です。しかしながら、最近はオンラインでも無料もしくは低価格で高機能な帳簿づけ(サービスによっては申告書作成まで)を行うことができる会計ソフトも増えてきています。会計ソフトは一度導入すると別のものに変更していくには手間がかかるため、はじめの段階で長く利用できるものを選択した方が良いでしょう。結局、最初から正確な帳簿づけを行い、最大65万円の控除が受ける方が良いということになります。

青色申告のやり方

いよいよ申告です。「難しい」「時間がかかって大変」というイメージが強いかもしれませんが、日頃の帳簿づけが正しく行われていれば、申告もスムーズに進めることができます。

用意するもの

まず、申告する年の帳簿(損益計算書、貸借対照表)を用意しましょう。そして「青色申告決算書」も用意する必要があります。青色申告決算書は、税務署や確定申告会場のほか、市区町村の担当窓口や指導相談会場で入手することができます。これらで入手できるものは手書き用ですが、国税庁ホームページでは、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、所得税及び復興特別所得税の申告書や青色申告決算書などを作成することができます。ぜひ、こちらを利用してみてください。

申告書の書き方

青色申告においては、「青色申告決算書」と「確定申告書B」を提出します。「青色申告決算書」は帳簿の数字を確認しながら記載します。項目ごとの記入方法・記入例については、国税庁が公表している「青色申告決算書の書き方」を参考にすると良いでしょう。「確定申告書B」では所得や税額の計算を行います。こちらは、国税庁が公表している「確定申告の手引き」が参考になります。

また、繰り返しになりますが、国税庁のホームページからオンラインで作成すると、提出が必要となる書類が提示される他、記入もれ、計算誤り等のチェックが行われるため安心です。オンライン作成=電子申告ではありませんので、画面上で作成した書類を手持ちのプリンターで印刷し、郵送もしくは持参により提出することもできます。

申請方法 (申請先)

青色申告として申告するためには、事前に申請が必要です。青色申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合は事業を開始した日から2ヶ月以内)に、「所得税の青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出して承認を受ける必要があります。特に何の申請も行っていなければ、白色申告として取り扱われます。

まとめ

  • 青色申告は特別控除が受けられる
  • 対象者は不動産所得、事業所得、山林所得がある人
  • 青色申告は正規の簿記(=複式簿記)で記帳を行う必要がある
  • 国税庁のホームページからオンラインで作成を

青色申告を選択することで節税効果が期待できます。事前に申請が必要であることや日頃の帳簿づけが重要であることなど、負担が全くないわけではありません。しかし、その負担を考慮してもチャンレジする価値は十分にあるといえます。まずは「所得税の青色申告承認申請書」を提出するところからはじめてみましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

上田 健介(うえだ けんすけ)行政書士

行政書士(特定行政書士、申請取次行政書士、著作権相談員)/ファイナンシャルプランナー(CFP®、1級FP技能士)/家族信託専門士/家族信託コーディネーター/相続診断士/相続診断協会パートナー事務所/ゆうちょ財団 金融教育支援員/認知症サポーター

学生時代からの夢であった北海道暮らしを実現するため、2008年、兵庫県から北海道に移住。民間企業で経理業務を担当する。その後、障がいを持つ双子の育児介護のために退職を決意。約2年間、育児介護に専念。次第に障がい児とその家族を支える仕事に就きたいとの思いを抱くようになり、育児介護専念期間中、行政書士とファイナンシャルプランナーの資格を取得した。現在は、障がい児のみならず、障がい者や高齢者とその家族に対し、将来のために今準備できることを中心にアドバイスをしている。http://uedakensuke.com/