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そもそも税務調査って何?実態や準備できることについてチェック

税務調査ということばを聞いたことがありますか? これまでに税務調査を受けたことがなければ、その内容をイメージするのは難しいでしょう。税務調査とは何のために行われるものなのでしょうか?また、準備できることはあるのでしょうか? 今回は、まだ一度も税務調査を受けたことがない人でもわかるようにやさしく解説します。

この記事の目次

税務調査の概要

ここでは、税務調査の概要について見ていきましょう。ポイントは、税務調査には2種類の調査があるという点です。

税務調査ってそもそも何?

我が国の税法においては、申告納税制度が多く採用されています。申告納税制度とは、納税者自身が所得の申告を行うことで納税額を確定し、自身で納付まで済ませる制度のことです。自身で申告を行うため、故意・過失を問わず、内容や計算に誤りが生じることは十分に考えられます。

そこで、国税庁およびその管轄の組織(以下、「国税庁等」とします。)は、誤りのある申告によって納税者間に不公平が生じることのないよう、申告・納税義務が適正に果たされていないと見られる納税者に対して、その誤りを確実に是正するために調査・指導を行い必要に応じて賦課・徴収を行うのです。この調査・指導を税務調査と言います。税務調査は、企業(法人)を対象として行われるイメージがあるかもしれませんが、法人・個人は問いません。

税務調査の種類は?

税務調査は2種類に区分することができます。以下、その2種類についてそれぞれ解説します。

強制調査

強制調査は、主に故意で不正な手段により脱税した人に対して、納税はもちろんのこと懲役や罰金といった刑罰を課すために行われ、査察調査とも言われています。強制調査は、国税庁等内部で事前に案件の内定を行った後、裁判所へ令状を請求し、その令状を持参して行われます。当然、納税者は調査そのものや資料の押収等を拒むことはできません。

かつて「マルサの女」という映画がありました。ある日突然、国税局査察部(通称マルサ)の人が会社にやってきていきなり調査を開始するというまさに強制調査の内容です。あまりにも印象が強いため、税務調査と言えばこのシーンを思い出す人もいるかもしれませんが、税務調査の大部分はこの強制調査ではなく、次項で解説する任意調査です。

任意調査

「任意」ということばが入っていることから、調査を受けるかどうかは納税者次第というイメージがあるかもしれません。しかしながら、任意調査は国税庁等の質問検査権に基づいて行われるものであり、この質問検査権に対して正当な理由なく回答を拒んだり虚偽の回答をしたりすることには罰則が定められています。つまり、任意調査も拒むことはできないのです。このため、学問上では「間接強制調査」と分類されています。

どんな場合に税務調査が実施される?

国税庁等の税務調査において、広く公開された明確な基準というものは存在しません。おそらく内部では、ある程度の基準は設けられていることでしょう。仮に明確な基準を公開すると、その基準をくぐり抜けようとする人が出てきてしまうことは明白です。一般的には、申告データはもちろんのこと、過去の納税履歴等も用いて、総合的に調査対象や調査内容を決定しているようです。

「売上高が少なければ大丈夫」「赤字であれば関係ない」とことを言う人がいますが、このような話には何の根拠もありません。たしかに売上高は少ないよりは多い方が納税額は多くなるかもしれませんし、赤字よりは黒字の方が納税への影響はあるでしょう。しかし、冒頭でも触れたように、税務調査の目的は、誤りを正し不公平感をなくすることにあります。よって、売上高や利益に左右されることなく、すべての法人・個人が税務調査の対象になるのです。

とは言うものの、やはり不正が行われている可能性が高い方が対象にはなりやすいとも考えられます。考えられる条件を例示します。

  • 開業して3~5年程度である
  • 短期間で急激に利益が増加している
  • 毎期、大きな経費の変動がある
  • 不正がよく発生している業種である

税務調査の対象となる場合は?

税務調査の対象となる場合のはじまりとして、2つのパターンがあります。1つ目は、突然調査官がやってくるパターンです。2つ目は、事前に通知があってから調査官がやってくるパターンです。いずれにしても調査官がやってくるわけですが、やはりいきなり来られるのはドキッとします。

強制調査は、言うまでもなく突然調査官がやってくるパターンです。これに対して任意調査は、強制調査ほど悪質なケースを想定していませんので、通常は納税者や顧問税理士等に対して、調査の1週間ほど前までに事前に通知があることが多いようです。事前の通知がある場合には、「調査を行う旨」「調査の開始日時」「調査場所」「調査目的」等が伝えられます。このとき合理的な理由があれば、日程の変更等に応じてもらうことができます。

しかしながら、事前の通知が必ずあるとは限りません。国税通則法という法律において、一定の要件が満たすときには事前に通知する必要はないと認められています。したがって、強制調査と同じように、ある日突然抜き打ちでやってこられて調査されることもあります。もはや「任意」というイメージではなくなっていますね。

税務調査の実態は?

いよいよ税務調査を受けなければいけない状況となってしまったときには何を聞かれて何を答えるのでしょうか? そして事前に何か準備することや意識しておくべきことはあるのでしょうか?

実際の税務調査ではこんなことを聴取されます

税務調査ではどのようなことを調査・聴取されるのでしょうか。新聞等では「税法の解釈の違いで~~」といった記事を見かけることがありますが、よほどの大企業や複雑な事業形態を取っているのでなければ、そのような難解な内容が話題になることは多くありません。話題になるのは、日々の経理処理の基本となる点です。以下に例を挙げます。

発生年度

収益や費用がいつ発生しているのかという点です。今期に計上すべき収益を翌期に計上していないか、あるいは翌期に計上すべき費用を今期に計上していないかいうような内容がポイントになります。

交際費

計上している交際費が、本当に事業に関連したものであるかどうかという点です。

固定資産

本来は減価償却として少しずつ費用化していく必要のあるものが、一気に費用として処理されていないかという点です。

書類不備

納品書や請求書、領収書等がないために、その収入や支出を客観的に証明することができないという点です。

在庫数のモレ、誤り

在庫数が変動することで、費用や利益は簡単に変わります。計上されている在庫数が正しいことを客観的に確認できるかという点です。

1つ1つは決して難しい内容ではありませんが、誤りが起きやすい部分であり、また「不正」を起こしやすい部分でもあります。このような項目から調査官の追求がはじまるのです。

任意調査の前にできることはある?

税務調査当日までに何かできることはあるのでしょうか? できることと言うよりはやっておくべきことと言えるかもしれません。例えば、次のような内容です。

印紙の貼り忘れ

税務調査のときに貼るのではなく、普段から都度貼っておく必要があります。

パソコン内のデータ整理

最近はパソコンで確認することも増えてきました。余計なものは整理しておきましょう。

税理士との相談

顧問税理士がいる場合にはぜひ事前に相談、確認をしておきましょう。

会計帳簿、申告の確認

調査官に指摘される前に、自身で気づく点があるかもしれません。

室内の整理、場所の確保

余計なものは目につかないようにし、調査用のスペースを確保しましょう。

準備しておくべきもの一覧

税務調査を受けることが決まってしまったからには、スムーズに進めて早く終わらせるようにしたいものです。調査当日になってから、調査官に促されて準備をするというようなことはないようにしましょう。例えば、次のような書類は事前に準備しておくべきです。

総勘定元帳、現金出納帳等(基本的には紙に印刷したもの)

指示を受けた帳簿はすぐに提示できるようにしておきましょう。

金融機関の通帳

未記帳のものがないようにしましょう。場合によっては、繰越前の通帳も必要です。

請求書や領収書等の綴

他のファイルに紛れ込んでいないか、日付順に並んでいるか等を確認しておきましょう。

給与関係書類

人事と経理が分かれている場合には、人事への協力依頼も必要です。

固定資産関係書類

資産一覧や固定資産棚卸結果等を準備しておきましょう。

各種議事録

組織によっては、取締役会等の議事録を確認されることがあります。

これらの書類を最低過去3年分は準備しておくようにしましょう。場合によっては、過去5年分の閲覧を求められることもあります。

不安にならないためにできること

誰もが不安になり、できるならば避けたいのが税務調査です。それでもやはり、税務調査を受けなければならないときはやってくるかもしれません。不安を解消するためのアドバイスをお伝えします。

とはいえ不安だ・・・という方のために、できること

不安の解消方法は、可能な限りの事前準備を行うことに尽きます。直近の取引であれば記憶に残っていても、数年前の取引になるとそうはいかなくなるでしょう。調査官に尋ねられたときに正しく答えられるよう、過去の出来事も整理しておくと良いでしょう。

税理士に同席してもらう

調査当日は、顧問税理士に同席してもらいましょう。顧問税理士がいない場合には、普段から付き合いのある税理士、もしくは申告書を作成してもらった税理士が良いでしょう。そのような税理士が誰もいない場合には、スポット契約で近隣の税理士に依頼することになりますが、そのときはなるべく事前に打ち合わせを行い、自社の情報を知っておいてもらいましょう。

完璧にしておきたいという方のために、必須ではないがあるとよいもの

税務調査において必須ではありませんが、事業概要や取引内容等をまとめたものがあれば、あらかじめ用意しておくのは良いでしょう。いざというときにあわてて資料を作成する必要もありません。

まとめ

  • 税務調査の対象は法人・個人を問わない
  • 税務調査には強制調査と任意調査の2種類がある
  • 日々の経理処理をしっかり行うことが重要
  • 調査当日は顧問税理士に同席してもらおう

税務調査について解説してきました。税務調査は事業を行っている人であれば誰しも経験する可能性があるものです。まだ一度も税務調査を受けたことがない人はそれでもどこかで不安が残ることと思いますが、いざというときに慌てることのないよう、まずは帳簿付けを中心とした日頃の業務を間違うことなく行うようにしましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

上田 健介(うえだ けんすけ)行政書士

行政書士(特定行政書士、申請取次行政書士、著作権相談員)/ファイナンシャルプランナー(CFP®、1級FP技能士)/家族信託専門士/家族信託コーディネーター/相続診断士/相続診断協会パートナー事務所/ゆうちょ財団 金融教育支援員/認知症サポーター

学生時代からの夢であった北海道暮らしを実現するため、2008年、兵庫県から北海道に移住。民間企業で経理業務を担当する。その後、障がいを持つ双子の育児介護のために退職を決意。約2年間、育児介護に専念。次第に障がい児とその家族を支える仕事に就きたいとの思いを抱くようになり、育児介護専念期間中、行政書士とファイナンシャルプランナーの資格を取得した。現在は、障がい児のみならず、障がい者や高齢者とその家族に対し、将来のために今準備できることを中心にアドバイスをしている。http://uedakensuke.com/

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