領収書に貼る収入印紙は200円?400円?非課税の要件など徹底解説
「領収書に貼る収入印紙がいくらかわからない」「収入印紙を貼るのか貼らないのか判断が難しい」など、事業活動をしていると様々な局面で収入印紙の金額や必要有無の判断が難しい局面に遭遇すると思います。ここでは、領収書に関係する収入印紙の考え方を記載していきます。
この記事の目次
領収書に収入印紙が必要な理由
一般的に領収書と一括りに表現されることが多いですが、領収書は“代金を受け取った証明書”として扱いますので、売上代金の受取や、借入金の返済、給与に関連してなど、多くの用途で用いられる事になります。この場合、「金銭を受け取った証書」として相手に渡すことになるので印紙税額一覧表の「第17号文章」(参考:国税庁「第5号文書から第20号文書までの印紙税額の一覧表」)に該当し、印紙税が課税されることになります。
印紙税は、課税文書の作成者が文書の作成時までに、印紙税を納める義務があります(印紙税法第三条)。万が一、課税文書にも関わらず収入印紙を添付せずにお客様に渡していた場合には、適正な印紙税額と、それ以外に過怠税として当該印紙税額の2倍の額を納める必要があります。ただし、収入印紙の添付漏れが発覚するのは主に税務調査時なので、この際に予め自己申告により税務調査官に収入印紙の添付漏れを伝えた場合には10%の過怠税で済みます。この場合は1.1倍の印紙税が徴収されます。
収入印紙の成り立ち
小泉純一郎氏が内閣総理大臣であった2005年の国会において、「印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求めるものである」(衆議院第162回 国会答弁より引用)と発言したことがあります。このことからも、収入印紙がオランダで発案された1624年当時から、今に至るまで課税の意図は変わっていないことがわかります。
収入印紙の金額
店舗経営をしている場合に領収書(レシートを含む)を発行しますが、この時に渡す領収書は売上代金(物やサービスを提供したことによる対価)の回収として、一定の印紙税が課税されます(第17号文章の「金銭又は有価証券の受取書」に該当)。一方で、借入金の返済に関しては、売上代金の回収には該当しませんが、印紙税の対象になります(第17号文章の「金銭又は有価証券の受取書」に該当)。
いずれも同じ第17号文章の領収書ですが、「売上代金の回収」に当たるかどうかで印紙税額が変わることになります。
売上代金の回収として課税される印紙税
記載された受け取り金額 | 課税金額 |
5万円未満 | 非課税 |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円を超え200万円以下 | 400円 |
200万円を超え300万円以下 | 600円 |
300万円を超え500万円以下 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 2千円 |
1千万円を超え2千万円以下 | 4千円 |
2千万円を超え3千万円以下 | 6千円 |
3千万円を超え5千万円以下 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 2万円 |
1億円を超え2億円以下 | 4万円 |
2億円を超え3億円以下 | 6万円 |
3億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 15万円 |
10億円以上 | 20万円 |
金額の記載のないもの | 200円 |
(参照:国税庁「第5号文書から第20号文書までの印紙税額の一覧表」より抜粋)
売上代金の回収に該当しない17号文章に課税される印紙税
借入金や保険金、補償金など、売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書の場合
記載された受け取り金額 | 課税金額 |
5万円未満 | 非課税 |
5万円以上 | 200円 |
金額の記載のないもの | 400円 |
(参照:国税庁「第5号文書から第20号文書までの印紙税額の一覧表」より抜粋)
領収書の課税と非課税の判別方法
代金の受取に関連して、第17号文章に該当する領収書でも「代金が5万円未満」の場合と「営業活動に関係しない」場合には、非課税として取り扱われます。
代金が5万円未満の領収書
5万円未満の計算には、売上代金以外を含める必要はありません。
例えば、売上代金と明確に消費税を区分している場合には、この消費税額を代金と区分して計算することが出来ます。つまり、消費税抜きの金額が5万円未満なら非課税です。
その他にも、品物以外に送料などの実費を含めた請求書を発行したとします。現金により請求総額を受け取ったものとして領収書を発行する場合には、送料を品物代金から除いて計算することができます。
営業活動に関係しない場合の収入印紙について
営業というのは、一般に「営利を目的として同種の行為を反復継続して行うこと」とされています。
会社が行う行為のそのほとんどが営利目的とされているため、非課税として扱われるものは株式払込領収書(出資を受けた時に発行する領収書)のみに限定されています。そのため、借り入れや貸し付けの返済などがあった場合の領収書には、収入印紙を添付する必要があります。
従業員へ給与を支払った場合に従業員から受け取る領収書については、第17号文書として課税の対象になりますが、印紙税法第三条では印紙税の判断を「課税文書の作成者」という表現にしていますので、従業員視点で営業活動か否かを判断することになります。そういう意味では、従業員は「営業者」ではありませんので、営業活動に関係しないものとして、非課税として取り扱うことになります。
収入印紙に関する注意点
収入印紙をただ単に貼っているだけの方がいますが、本来印紙税を納付するためには、文章に収入印紙を貼り付け、印影又は署名で消印する必要があります(印紙税法8条2項、印紙税法施行令第5条)。
消印がなければ、収入印紙を再利用できてしまいますので、必ず消印をしてから渡すようにしてください。こちらも適切な納付がなされてなければ過怠税(印紙税額の2倍)の対象となりますので注意が必要です。
なお、印鑑がない場合には署名でも消印の効果は有効になります。
印紙税と税理士の関係
「税に関係するなら、税理士は知っているはず」というのはあまり正確とは言えません。税理士法第2条の定めを抜粋すると「税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法)、法定外目的税その他の政令で定めるものを除く)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする」と定義されているので、税理士の業務範囲として、明確に印紙税が除かれている以上、印紙税の専門家ではありません。お付き合いのある顧問税理士に印紙税について強く質問しても、正解が返ってくるとは限りませんのでご注意ください。
銀行振込の場合の取扱い
銀行振込の場合には、通帳や振込依頼書などに払込の事実が表示されることになりますので、領収書の発行は必要ありません。銀行振込にも関わらず、領収書を請求された場合には、「金融機関の振込依頼書を領収書として取り扱い下さい」と伝えることができます。あまり知られてないのですが、振込手数料には印紙税が含まれています。平成26年(2014年)の非課税枠拡大前までは、収入印紙を3万円未満まで非課税として扱っていた関係から、現在でも銀行振込は3万円を超えると振込手数料が200円以上増えます。
また、ATMから支払った時など発行される振込依頼書には「印紙税申告納付につき税務署承認済」という表記があり、これが領収書の代わりになります。一部の銀行では、当該非課税枠拡大により、3万円ではなく5万円から手数料引き上げを行っている銀行もあります。
本来は第17号の課税文書の作成者として売上代金の回収者が領収書を発行すると、印紙税の負担者は売上代金の回収者になります。銀行振り込みの場合には、銀行が間に入り課税文章の作成者として証明書を作成してくれているという形になります。
まとめ
- 領収書に貼る収入印紙の金額は内容によって違う
- 消印を押し忘れてはいけない
- 税理士は印紙税の専門家ではない
- 銀行振込の場合は振込依頼書が領収書の代わり
領収書は広く一般に経済活動を法的面から補てんする目的で、軽微な税金を課すために発案されてきたものです。営業活動している方は、ほとんどの現金取引に領収書を発行する必要がありますのでご注意ください。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
福島 悠(ふくしま ゆう)経営コンサルタント/公認会計士
公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。
上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。