個人事業主の資金調達方法や注意点を専門家が詳しく解説
個人事業主として事業を進めていくなかで、事業拡大や設備の入れ替えなどの際にまとまった資金が必要となることは多いと思います。個人事業主が資金調達を行う場合、どのような方法があるのでしょうか。今回は、個人事業主の資金調達方法や注意点などについて解説します。
この記事の目次
そもそも個人事業主は融資を受けられる?
個人事業主であっても融資を受けることは可能です。ただし、個人事業主が対象の融資には、所定の条件が設けられている場合があります。主な条件について確認します。
※金融機関等によって融資の条件は異なります。
条件1.開業届を提出している
開業届とは、新たに事業を開始したことを税務署に届け出る書類のことです。原則として、事業の開始から1カ月以内に提出する必要があります。開業届を提出しなくても罰則などは特になく、事業を行うことは可能です。しかしながら、金融機関や自治体によっては開業届の提出を必須条件としていることもあり、その場合は開業届を提出していないと融資が受けられないこともあります。資金調達を円滑に行うためには、開業届を提出しておいたほうがよいでしょう。
条件2.確定申告をしている
確定申告をしていない(確定申告に関する書類がない)からといって、融資がまったく受けられないということではありません。しかし、融資の申込みの際、確定申告に関する書類の提出を求められることが多いです。資金調達を円滑に行うためには、確定申告をしておくようにしましょう。また、確定申告に関する書類も保管しておくようにしてください。
個人事業主が利用可能な資金調達の方法
個人事業主が利用できる資金調達の方法は、金融機関などからの融資と地方自治体の融資や補助金などに分けることができます。それぞれの資金調達方法について確認します。
金融機関などからの融資
金融機関などからの融資について詳細を確認します。
金利と限度額 (ほかの金融機関との比較) |
特徴・傾向 | |
---|---|---|
銀行 | 金利:低い 限度額:大きい |
|
信用金庫 | 金利:高い 限度額:小さい |
|
日本政策金融公庫 | 金利:低い 限度額:大きい |
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銀行
都市銀行や地方銀行、ネット銀行などが行う融資です。ほかの金融機関と比較して金利は低く、限度額は大きい傾向にありますが、経営状況や事業計画などが厳しく審査されます。したがって、開業して間もない個人事業主は融資が受けられない可能性があるでしょう。また、取引内容や融資額などによって異なりますが、融資までに日数を要する可能性があります。
信用金庫
信用金庫が行う融資です。信用金庫は地域に根差した金融機関であるため、地域で事業を行う個人事業主は利用しやすいですが、営業エリアに居住していることが融資の条件になっている場合もあります。ほかの金融機関と比較して金利は高く、限度額は低く設定されている傾向にあります。
日本政策金融公庫
政府系金融機関である日本政策金融公庫が行う融資です。日本政策金融公庫は、個人事業主が利用できる融資制度が設けられています。ほかの金融機関と比較して金利は低く設定され、長期の返済期間が組めるなどの特徴があります。ただし、審査は厳しい傾向にあり、融資までにはある程度の日数が必要となる場合もあります。
その他
その他の方法について確認します。
地方自治体の融資や給付金・補助金・助成金
地方自治体では、融資や給付金・補助金・助成金の制度を設けている場合があります。各種制度には申込み条件や期限などが設定されているため、地方自治体のWebサイトや相談窓口などで詳細を確認するとよいでしょう。金利については、ほかの融資制度と比較して低めに設定される傾向にありますが、審査は厳しい傾向にあり、融資までにはある程度の日数が必要となる場合もあります。なお、給付金・補助金・助成金は融資と異なり返済する必要はありません。
おもな特徴 | |
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給付金 |
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助成金 |
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補助金 |
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クレジットカード(法人カード)
個人事業主向けのクレジットカード(法人カード・ビジネスカード)を利用する方法です。機材の購入や経費の支払いなどにクレジットカードが利用できる場合は、融資などを受けずに、カード決済によって支払いを遅らせることができ、資金繰りに役立ちます。また、クレジットカードにキャッシング機能が付帯している場合は、キャッシング機能を利用することで、審査なしで現金を引き出すことができます。ただし、適用される金利は高いため、返済期間が長くなる場合は注意が必要です。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数の人から資金を調達する方法で、個人事業主でも利用することができます。ただし、必ず資金が調達できる保証はなく、資金の募り方によっては、出資者に対して商品・サービスの還元や、利息を上乗せした金額の返済が必要となる場合もあります。クラウドファンディングを利用する場合は、仕組みを理解し、利用目的に適した方法を選択するとよいでしょう。
資金調達をする際の注意点
資金調達をする際の注意点やポイントなどについて確認します。
開業前に融資を検討してみる
開業前であれば事業計画書をもとに審査されますが、開業後の場合は、経営状況や資金調達の理由なども含めた審査となります。したがって、開業前より開業後の融資の審査の方が通りにくくなる傾向にあります。融資を受けるタイミングは、開業後より開業前のほうが有利になる場合が多いと覚えておきましょう。
早めの資金調達を行う
資金調達方法によっては、「資金調達までに時間がかかる」「審査に通らない」などの理由から、必要なタイミングで資金が調達できない場合があります。また、申請期限が設けられている資金調達方法では、申請期限に間に合わなければ、資金調達そのものができなくなる場合もあります。資金繰りの状況を常に把握し、必要があれば早めに資金調達をするようにしましょう。
資金使途を明確にする
資金調達によって受け取ったお金の使途は、限定されている場合がほとんどです。受け取ったお金を使途目的以外のことに使うと使途違反とみなされ、罰則が科される場合もあります。資金調達をする場合は、資金使途を明確にすることが大切です。
事前に返済計画を立てておく
地方自治体などの補助金・助成金は返済が不要な場合もありますが、そのほかに関しては返済不要の資金調達方法は少ないといえます。返済が必要な資金調達方法を利用する場合、事前に返済計画を立てておくことなど、計画的に利用することが重要です。
まとめ
- 個人事業主であっても融資を受けることは可能
- 個人事業主が利用可能な資金調達方法は、金融機関などからの融資、地方自治体の融資や補助金・助成金などがある
- 必要なタイミングで資金が調達できない可能性がある、事前に返済計画を立てておくことが重要など、資金調達をする際の注意点やポイントを理解する
個人事業主の資金調達方法や注意点などについて解説しました。個人事業主が資金調達をする場合は、必要なタイミングで資金が調達できるように、資金繰りの状況を常に把握し、資金調達のための事前の準備をすることが大切です。資金調達は計画的に行うようにしてください。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
中田 真(なかだ まこと)ファイナンシャルプランナー
中田FP事務所 代表/CFP®認定者/終活アドバイザー/NPO法人ら・し・さ 正会員/株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師/元システムエンジニア・プログラマー。給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP®資格を取得。現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。https://nakada-fp.com/