源泉徴収票は再発行できる?紛失したときの対処法を解説
会社を退職し個人事業主となった方は、確定申告の際に、勤めていた会社が発行する源泉徴収票が必要となります。しっかりと保管できていれば問題ありませんが、なかには退職の手続きや開業時の慌ただしさのなかで「うっかり源泉徴収票を紛失してしまった……」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もし紛失してしまった場合でも落ち着いて行動できるよう、本記事では源泉徴収票の再発行方法について解説します。
この記事の目次
源泉徴収票の概要や発行されるタイミングをおさらい
源泉徴収票は、会社が従業員に対して1年間に支払った給与、控除した社会保険料、給与から天引きした所得税の金額などを記載した証明書のことで、会社側に発行義務があります。
年末の給与支給時、年始の給与支給時に毎年発行されるほか、会社を退職したときにも発行されます。源泉徴収票は再就職先で年末調整をする際やご自身で確定申告をする際に必要となりますので、もし会社を退職したのに源泉徴収票をもらえていない場合は、必ず会社へ源泉徴収票の発行を依頼するようにしましょう。
源泉徴収票についてはこちらの記事で詳しく説明していますので、あわせてご確認ください。
源泉徴収票を紛失してしまったときの対処法
退職時に源泉徴収票を受け取ったにもかかわらず紛失してしまった……。このような場合どうしたらいいでしょうか? 実は、源泉徴収票は領収書とは違い、再発行が可能です。
会社側としても法的には再発行に応じる義務があります。とはいえ、すでに退職しているという立場もあるので、紛失の非を詫びたうえで再発行を依頼することが一般的です。
再発行ができないときの対処法
源泉徴収票の再発行を依頼したものの拒否されてしまった、または想定外の事態が起きてしまった――。こうした場合の対処法を考えてみましょう。
再発行を拒否されてしまったら
源泉徴収票の再発行を拒否されてしまった場合、どうすればいいのでしょうか。
源泉徴収票は会社が発行しているというものの、実際はその会社の顧問をしている税理士事務所か社労士事務所が会社の代わりに源泉徴収票を作成していることが多いです。もし、その税理士事務所や社労士事務所の連絡先がわかるようであれば、一度そちらに連絡をして、源泉徴収票の再発行ができないか相談してみるのも1つの手です。
税理士事務所や社労士事務所は、再発行に応じるかどうかをおそらく会社の社長に確認するでしょう。退職者本人の源泉徴収票を退職者本人に渡すこと自体は法的に問題ありません。応じてくれる可能性は十分にあります。
それでも再発行が難しいということになれば、源泉徴収票以外で対処することになります。源泉徴収票がなかったとしても、毎月の給与明細と通帳の振込履歴があれば、今年に給与をいくらもらって、いくら源泉徴収されていたのかを算出できます。
本来、給与所得がある場合には、確定申告時に源泉徴収票の添付が必要です。しかし、添付がないとしても、源泉徴収票と同じ情報を給与明細から抽出して確定申告書を作成し、あとで「源泉徴収票の添付がない」と税務署から指摘されたら紛失した旨を伝えましょう。そのうえで給与明細の合計を提示できれば、数字が間違っていない限りは問題になることはないでしょう。
発行元の会社が倒産してしまっていたら
発行元の会社が倒産してしまっていた場合、源泉徴収票の再発行依頼ができません。再発行を拒否された場合と同様、給与明細や通帳の履歴などから今年の給与総額等を集計し、確定申告を行うといった形になるでしょう。
源泉徴収票がないからといって自分で源泉徴収票を作成してはいけません。源泉徴収票を発行するのは勤めていた会社なので、勝手に作成すると偽造にあたります。
給与として扱っていないと言われたら
会社に源泉徴収票の再発行を依頼したら「そもそも源泉徴収票を発行していない(給与として扱っていない)」と言われた、つまり業務委託の外注として扱われていたことが発覚した場合はどうなるでしょうか。相手が給与として扱っていないということは、当然ながら源泉徴収票も存在しないことになります。自分は従業員だという認識で働いていたのに、実際は業務委託だったとすると、税務上の問題とは別に労務的な問題が出てきます。社会保険労務士に相談しましょう。
そのうえで、本人としても業務委託でよいということになったのであれば、給与所得ではないので源泉徴収票の発行は不要です。確定申告の際、業務委託分については、事業所得または雑所得として、収入金額と源泉徴収税額を記載すれば問題はありません。もし、自分がもらっていた業務委託料の内訳がわからないのであれば、会社に依頼して年間の報酬支払額の明細か報酬額の支払調書という形で、何かしら金額がわかるものを出してもらってください。
源泉徴収票にまつわるトラブルへの対処法
源泉徴収票の再発行のほかにも、源泉徴収票にまつわるトラブルが起きた場合にどのように対処したらいいのかを考えてみましょう。
紛失
源泉徴収票を紛失した場合、まず考えるべきは自分の源泉徴収票が悪用されないかという点です。源泉徴収票には本人の住所、氏名、生年月日、扶養情報、勤続年数、年収などの個人情報が記載されています。源泉徴収票に記載されている情報をもとに、自宅に勧誘や身に覚えのない請求が送られてくる可能性はゼロではありません。何か気になることがある場合は、警察など関係各所に相談することをおすすめします。
数字が間違っている
源泉徴収票を会社から受け取ったら、まずは記載内容を確認するようにしましょう。毎月の給与明細の年間合計額と源泉徴収票に記載された収入金額に大きな差があった。生命保険の控除証明書や住宅ローンの残高証明書を会社に渡したのに、源泉徴収票では空欄になっている。こういった場合、年末調整の算出が間違っている可能性があります。
源泉徴収票の数字や記載内容が間違っている場合は、会社に連絡して記載内容が間違っている旨を伝えて、正しい源泉徴収票を再発行してもらいましょう。
まとめ
- 源泉徴収票は再発行ができる
- 源泉徴収票の再発行が拒否された場合でも確定申告することは可能
- 源泉徴収票が発行されない、または数字が間違っていたとしても自分で源泉徴収票の作成または修正は絶対に行わない
源泉徴収票は、確定申告だけでなく、住宅ローンを組む際や保育園の入園手続きなどでも使用することがあります。大切に保管し、紛失しないよう気をつけてください。万が一紛失しても焦る必要はありません。会社に再発行を依頼すれば基本的には再発行に応じてもらえます。また、源泉徴収票がなかったとしても落ち着いて対応するようにしましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
穂坂 光紀(ほさか みつのり)税理士
税理士法人 エンパワージャパン 代表税理士 1981年生まれ 横浜市在住
中小企業こそ日本を支える礎であるという理念から、持続可能な社会・持続可能な企業を創るための「中小企業のための財務支援プログラム」を実施することで強固な財務力を持つ優良企業に導く、中小企業の財務支援に専門特化した税理士事務所を運営するとともに、児童養護施設の児童から地域を支援する税理士へと導く「大空への翼プロジェクト」を行っている。共著「七人のサムライ」や執筆など多数。