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源泉徴収税額(所得税)の計算方法とは?気をつけたいポイントも解説

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

源泉徴収という言葉、聞くだけで何だか気が重くなりませんか? いかにも面倒な手続きがありそうで、お金のこととなると従業員毎に計算するのも時間がかかりそう……。今回はそういったお悩みを解決すべく、源泉徴収で「しなければならないこと」を「サクッと」紹介していきます。手続きの概要から、源泉徴収の対象となる支払いの確認、源泉徴収税額の計算方法までこの通りに行えば、あっという間に片付くので要チェックです。

この記事の目次

源泉徴収税額とは?

源泉徴収税額とは、源泉徴収として給与など所得税法で定められた支払いをする際に、一定の金額を所得税として徴収する金額のことをいいます。

支払いを受ける側としては、源泉徴収された所得税分少なく入金されますが、その分は年末調整や確定申告で精算することになります。

源泉徴収について簡単にまとめると以下のようになります。

  • 源泉徴収とは、従業員の所得税を給与天引きという形で徴収するもの
  • 月に1回(原則として、給与を支払った月の翌月10日)に納付
  • 従業員9名以下の事業主は税務署に申請すれば年2回でも良い(7月と翌年1月)

不明な点については、税務署に行き納税窓口で「源泉徴収について教えてください」と言えば、それに必要な書類の作成方法や必要な準備についても詳しく教えてくれます。

源泉徴収の対象となるもの

個人に支払うものは何でも源泉徴収の対象になるわけではありません。源泉徴収の対象となる代表的な支払いは以下の通りです。

  • 給与や賞与
  • 弁護士や税理士、社会保険労務士業務
  • デザイン料
  • 原稿料
  • 講演料

このほかにも源泉徴収すべき支払いにはさまざまな種類がありますが、まずは発生頻度が高いこれらを押さえておきましょう。

【給与】源泉徴収税額の計算方法1:必要な項目を知る

源泉徴収する所得税は雇用者がしっかりと計算して税務署に納税する必要があります。そこで、雇用者が知っておくべき源泉徴収の計算方法をお伝えします。前提として国税庁のHPにある「源泉徴収税額表」が必要ですので、必ずその年度の分の「源泉徴収税額表」を用意してから計算するようにしてください。

さて、その上で注意したいのは以下の点です。

  • 【課税対象額】は給与から「社会保険料を引いた額」になること
  • 日給、月給、賞与でそれぞれに課税額が異なること
  • 給与を受ける人の扶養家族の人数で課税額が異なること

これらに注意して、国税庁HPの「源泉徴収税額表」の中から従業員の給与を探し、税額を確認することになります。そのため、源泉徴収の額を計算するためには以下の式に当てはめて【課税対象額】を調べる必要があります。

【従業員の給与】-【社会保険料の金額】=【課税対象額】

この課税対象額を国税庁の早見表にある左欄より探し、次の式に当てはめて【源泉徴収額】を決定しなければなりません。

【扶養家族の数に応じた税額】+【基本の所得税(早見表右端の欄)】=【源泉徴収額】

これが最終的な源泉徴収の額になります。

【給与】源泉徴収税額の計算方法2:具体的な数字で考える

それでは、実際の源泉徴収額を計算してみましょう。

計算式は以下の通りです。

  • 【従業員の給与】-【社会保険料の金額】=【課税対象額】
  • 【扶養家族の数に応じた税額】+【基本の所得税(早見表右端の欄)】=【源泉徴収額】

月額給与15万円、扶養家族無しの従業員の場合

※社会保険料の額はそれぞれの事業者で異なります。本件は一例です。

  • 15万円(従業員の給与)-2万円(社会保険料の金額)=13万円(課税対象額)

この13万円(課税対象額)を国税庁「源泉徴収税額表」に照らし合わせて、以下の計算をします。

  • 2,260円(扶養家族の数に応じた税額:0人)

この条件の場合には源泉徴収額は2,260円となります。

源泉徴収をする際の注意点

源泉徴収をする際には、金額を間違えないことは当然ですが、納税にも注意を払いましょう。源泉所得税は、原則として支払いをした月の翌月10日まで(従業員10人未満の事業者で、給与や弁護士・税理士などの個人事業主の士業への支払いについて、半年に1回の納付で税務署の許可を受けている場合は、7月10日と1月20日の年2回)と定められています。たとえ1日でも納税が遅れると、納税額によっては数千円からのペナルティが課されることもあります。
また、源泉徴収を行うことは事業者の義務です。相手の請求書に記載されていなくても、源泉徴収の対象となる支払いであれば、自ら判断して源泉徴収をしたうえで相手に支払い、かつ税務署に納税する必要があります。どのような支払いが源泉徴収の対象となるのか判断できなければ、顧問税理士に確認するなどして、源泉徴収のモレが発生しないように気を付けましょう。

まとめ

  • そもそも源泉徴収は従業員の所得税を給与から天引きすること
  • 月1回(従業員9人以下の場合には年2回)、税務署へ納税
  • 源泉徴収の課税対象額は給与から社会保険料を引いた額
  • 源泉徴収額は扶養家族の人数と収入額で変わる
  • 源泉徴収した税額は、原則として支払った月の翌月10日が納期限である

源泉徴収については実はまったく複雑ではありません。所得に応じた超税額が「源泉徴収税額表」に記載されているので、国税庁HPからしっかりとチェックしておきましょう。計算式を参考に処理しましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

Airレジ マガジン編集部

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中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/