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プロパー融資・信用保証協会付き融資とは?利用できる条件や注意点を解説

プロパー融資と信用保証協会付き融資とは、銀行や信用金庫など民間の金融機関が行う融資の方法です。2つは金融機関のリスクの取り方が違います。それぞれがどのような融資なのか見ていきましょう。

この記事の目次

信用保証協会とは

信用保証協会とは、信用力の低い中小企業や小規模事業者の信用を補完する役割を持っています。

みなさんが金融機関の担当者だとしたら、次のA社とB社、どちらにお金を貸しますか?

A社 毎期、多額の利益を出している一部上場企業

B社 経営がまだ安定していない中小企業

お金を貸したら返して貰わなければなりませんから、一般的に考えればA社を選ぶ人が多いのではないでしょうか。A社は上場企業で毎期しっかりと利益を出していますから、貸したお金が返ってくる可能性が高いと考えるからです。A社はB社に比べ、実績があるため信用力があると言えます。

しかし全ての金融機関がリスク回避を考え、A社のような会社にしかお金を貸さなかったら、B社の経営は成り立ちません。経済がうまく回らなくなってしまいます。そこで登場するのが信用保証協会です。

信用保証協会は各都道府県にあり、全国どこでも利用することができます。市単位で信用保証協会を持つ自治体もあります。例えば横浜市や川崎市です。横浜にある中小企業は、横浜市信用保証協会と神奈川県信用保証協会どちらも利用することができます。

万が一、B社が返せなくなってしまっても、代わりに信用保証協会が金融機関に返済してくれるので、金融機関としては安心して貸し出すことができるというわけです。

信用保証協会の保証料

信用保証協会から保証を受ける場合は、保証料を払う必要があります。原則として融資金額から保証料が差し引かれて入金され、支払うことになりますが、分割で納めることも可能です。

信用保証協会も審査する

お金を返済できなくなった場合、信用保証協会が金融機関に代わりに返済することになるので、保証協会も審査します。保証協会の審査が通ると保証書が交付され、それをもって金融機関が融資を行います。

信用保証協会を利用できる人

信用保証協会の利用は、原則として中小企業信用保険法に定める中小企業者を対象としています。
常時使用する従業員数または資本金のいずれか一方が下記に該当していれば利用できます。

業種 資本金 従業員数
製造業等 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
医療法人等 300人以下

ソフトウェア開発や情報サービス業や旅行業、宿泊業など一部の業種は別途定められた規模要件があります。

参照:東京都信用保証協会

対象業種

商工業のほとんどの業種で利用できます。ただし、農林・漁業、風営法第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、金融業、宗教法人、非営利団体(NPOを除く)、LLP(有限責任事業組合)等、その他信用保証協会が支援するのは難しいと判断した場合は利用できません。

許認可・届出

許認可や届出等を必要とする業種を営んでいる(又は、営む)場合は、その事業に係る許認可等を受けている(又は、受ける)ことが必要です。

信用保証協会を利用できる条件

信用保証協会は、上記の利用できる人で、信用保証審査を通過した場合に利用できます。

信用保証協会での保証限度額

1企業に対する保証の限度額は合計で2億8千万円(普通保証2億円、無担保保証8千万円)です。セーフティネット保証や危機関連保証など別枠となるものもあります。

信用保証協会への申請期限と申込みの流れ

申請期限

信用保証協会への申し込みは、一般的な制度を利用する場合には期限はありません。セーフティネット保証や危機関連保証などを利用する場合は、指定された期限までに行います。

申し込みの流れ

  1. 金融機関への相談
    融資を受けたい旨金融機関に相談します。保証協会へ推薦するかどうか、金融機関で協議し問題なければ推薦するよう進めます。
  2. 申し込み
    一般的に金融機関を経由して行います。金融機関に信用保証協会の申込書類があるので、そちらに記入します。金利補助や保証料減免が受けられる制度融資を使う場合は、自治体の斡旋書を入手し、合わせて提出します。

<必要書類>
信用保証協会の申し込みには一般に次のものを提出します。利用する保証制度により追加で必要なものがあります。

  • 信用保証委託申込書
  • 信用保証委託契約書
  • 個人情報の取扱いに関する同意書
  • 印鑑証明書(申込人(予定代表者個人)のもの)
  • 事業に必要な許認可書又はその写し(当該事業を営むため許可、認可、登録、届出等を必要とする業種のみ)
  • 決算書3期分
  • 直近の試算表 など
  1. 審査
    信用保証協会にて信用保証を行うかどうか審査します。希望融資額が減額されたり、保証が受けられず融資が受けられない場合があります。
  2. 信用保証決定
    審査を通過すれば信用保証書が金融機関に届きます。
  3. 金融機関での手続き
    融資を行うために金融機関で必要な手続きを行います。
  4. 融資実行
    通帳や契約書などの準備が整えば融資実行になります。

信用保証協会利用に関する注意点

信用保証協会は、各都道府県単位または一部の市にありますが、全国連携していますので、情報を共有しています。例えば東京都に本社がある会社で、東京信用保証協会を利用しており、すでに与信枠がいっぱいの場合、神奈川の工場建設用として神奈川県信用保証協会を利用しようとしても、追加で信用保証をしてもらうことはできません。

プロパー融資とは

プロパー融資とは、金融機関が独自にリスクを負いお金を貸し出すことです。信用保証の後ろ盾もないので、万が一貸出先が融資を返済できなくなったとしても、金融機関が独自で回収を行います。回収が困難になった場合は金融機関が貸し倒れとし、リスクを負うことになります。金融機関としてはとてもリスクが高いため、プロパー融資には非常に慎重です。

プロパー融資を利用できる人

金融機関の総合的な審査により、審査をパスした人です。審査は、その人や会社の取引状況や資産背景、業歴、担保、将来性など様々な角度から行います。

プロパー融資を利用できる条件

金融機関の総合的な審査により、審査をパスした人です。

プロパー融資の限度額

金融機関が個別で審査し、融資額が決定します。融資限度額は金融機関次第です。また金融機関によって、支店で決裁できたり、金額によっては本部での決裁が必要だったり、担保の有無により違ったりなど、基準はまちまちです。

プロパー融資の申請期限と申込みの流れ

申請期限

プロパー融資には、申し込み期限はありません。

申し込みの流れ

  1. 金融機関への相談
    融資を受けたい旨金融機関に相談します。融資が行えるかどうか金融機関で協議し、問題なさそうなら本審査へ手続きを進めます。
  2. 申し込み
    金融機関で申し込みをします。申し込み関係の書類は金融機関によりまちまちです。

<必要書類>
金融機関は一般的に次のものを要求します。

  • 決算書3期分
  • 直近の試算表
  • 返済明細など他行での借り入れがわかるもの
  • 不動産の登記簿謄本 など
  1. 審査
    プロパー融資を行うかどうか審査します。希望融資額が減額されたり、融資が受けられない場合があります。
  2. 融資手続き
    審査を通過すれば金融機関で必要な手続きを行います。
  3. 融資実行
    通帳や契約書などの準備が整えば融資実行になります。

プロパー融資利用に関する注意点

金融機関は初めての融資取引をする場合、よほどの資産家でもない限り、プロパー融資を行うことはまず考えられません。最初は保証協会を利用し、返済や預金を積み重ね実績を作り、金融機関が優良先と判断してからプロパー融資となります。最初のプロパー融資にしても不動産担保を求めることも少なくありません。地道に金融機関と良好な関係を築き、自宅や会社の不動産など担保価値のあるものも所有するよう努めましょう。

まとめ

  • 信用保証協会は、金融機関がリスクと感じる人でも貸出ができるよう信用を補完してくれるところである。信用保証協会の保証により、金融機関から融資を受けることができる
  • 信用保証協会の保証を受けるには、信用保証協会の審査を受ける必要がある
  • プロパー融資を受けるには信用が必要なので、金融機関と良好な関係を築く

金融機関はいざという言うときに支えてくれるありがたい存在です。その金融機関を支える信用保証協会も中小企業や小規模事業者の縁の下の力持ちといえます。信用保証協会と直接やり取りするというのはほとんどないので、融資の相談は金融機関に行うことになります。金融機関はその時の状況により、信用保証協会の利用や場合によってはプロパー融資を提案してきます。返済が滞ってしまうようでは良好な関係は築けません。しっかりと売上をあげ、返済できるところということを、時間をかけ地道にやっていくことで、実績を作ります。預金や決済などの取引にも積極的に応じることでさらに良好な関係を築いていけます。将来のプロパー融資を引き出すためにも、いまから地道に良好な関係を築いていきましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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