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エステサロンの開業前に知っておきたいことや成功させるために必要なこと

榎戸 淳一(えのきど じゅんいち)株式会社ES-ROOTS代表取締役

美容サロン 開業

「独立してサロン開業」それは多くのエステティシャンの夢であり憧れです。しかしサロン開業は楽しいことばかりではなく、厳しいこともたくさんあります。これからサロン開業するにあたり、どのようなことに気をつけ、どのような心構えが必要なのでしょうか。

この記事の目次

簡単ではないエステサロン経営

3年後に生き残っているサロンは半分以下

エステサロンは届出制ではないため、正確な数字は明らかではありませんが、毎年数百件のサロンが開業していると言われています。弊社は、エステサロン向けの化粧品メーカーでもあるのですが、サロン向け化粧品メーカーをやっていると、サロンの開業のタイミングで新規取引を希望されるオーナー様が問い合わせしてこられます。新型コロナウイルス感染症が流行した2020年以後も、そのような新規開業サロンからのお問い合わせ件数自体は減っておらず、逆に増えております。

なぜエステサロンはこんなに開業が多いのでしょうか。いくつか要因は考えられますが、まずは開業の敷居が低いことが挙げられます。前述したように、エステサロンは美容室などと異なり届け出の必要がないため、極端なことを言えば、昨日まで別の仕事をしていた方が今日エステサロンを開業することも可能です。また、エステティシャンの職業は国家資格ではないため、特に資格を持っていなくてもエステティシャンの仕事ができることも要因のひとつだと思います。

さらに、テナントを借りてサロンを開業すれば数百万円から数千万円かかりますが、テナントではなく、マンションの一室で開業すれば初期費用はかなり抑えられます。自宅の一室でエステサロンを開業すれば、開業費用も備品や粧材のみで済むため、数十万円で開業できてしまうといった要素もあります。最近では、レンタルサロンも増えてきており、自宅サロンが難しい方でも開業しやすい環境が整ってきています。

ただし、開業した方々の誰もが成功しているわけでは決してなく、最初からうまくいく方はほんの一握りです。もちろん空いた時間に知り合いや友人を呼ぶ程度でサロン運営をしている方もいらっしゃいますが、現実には某エステティックメーカーさんのデータによると、開業して三年後に生き残っているサロンは半分以下のようです。毎年これだけのエステサロンが開業しているにもかかわらずその総数はほぼ横ばいと言われているのは、開業と同じくらいの数廃業しているということでもあるのです。

技術力が高くても、経営とは別

開業される方の多くは自分の技術に自信があり、雇われていたサロンでもある程度の実績を出されていた方だと思います。しかし、そういう方ほど注意してほしいことがあります。確かにサロンに来たお客様にご満足いただき、リピートしていただく力はあるのかもしれませんが、開業したての多くのサロンが苦戦をするのは新規集客です。雇われていたサロンで安定的に新規集客ができていると、開業してからも簡単に新規集客できるだろうと思ってしまいがちです。しかし、それは大きな間違いです。そのサロンは立地はもちろんのこと、今まで時間とお金をかけて培ってきた新規集客のノウハウがあり、長い時間をかけて作り上げてきたブランドがあるからこそ、新規集客ができているのです。

全く新しいサロンが開業しても、知ってもらう努力をしなければ誰からも認知されず、毎日閑古鳥が鳴くサロンになってしまうのです。皮肉なことに、とても技術力が高いエステティシャンなのにサロンはガラガラで、逆にそこまで技術力が高くなくても新規集客が上手なサロンにお客様が集まっていることも少なくありません。開業して経営者になると、目の前のお客様に喜んでいただくだけではなく、新規のお客様を呼ぶ努力をし続けないとサロンを継続していくことは難しいのです。

経営者は全てが自己責任

雇われていた時と比較して、開業して経営者になると最も大きく変わることは、「起こることは全て自己責任」になるということです。開業される方の大半は開業自体が初めてでしょうから、経験値がない分たくさんの失敗をするでしょうし、悪い業者に騙されてしまうこともあるかもしれません。スタッフを雇えば、スタッフ達のミスも最終的には全て経営者の責任になります。例え自分が悪くないことであっても関係なく、自らの責任として解決していかなければならないのです。

エステサロン経営の特徴

美容サロン 開業

売っているものは未来の結果、お客様との信頼関係が全て

化粧品やサプリメント、美容機器などを販売しているサロンも多いと思いますが、エステサロンにおけるメインの商品は、やはりエステティックのトリートメントです。エステティックのトリートメントは、お客様の目的から考えれば、その日のトリートメントのみで完了するものではなく、お客様は未来の結果を求めて来店されています。

チケットや回数券などを前払いでご購入いただくシステムも多くありますし、たとえ都度払いのシステムだとしても、お客様は目に見えない確実かどうかわからない「未来の結果」を買っているのです。お客様は、このサロンは信頼できるかどうか、技術力はもちろんのこと、接客や知識、カウンセリング、清潔感など総合的にサロンを見極めています。

美容機とハンド

エステサロンを開業するときに、業務用の美容機を導入するかどうか迷う方も多くいらっしゃいます。オールハンドで、ハンドテクニックにとことんこだわったサロンにしたいという方もいれば、最新の美容機、今流行の美容機を導入したいという方もいらっしゃいます。業務用の美容機も安くはありませんのでコストは上がりますが、オールハンドと比べてスタッフの教育の時間が短くなったり、スタッフによって技術のばらつきが抑えられるというメリットもあります。その辺りは、サロンのコンセプトや体制を踏まえて判断されると良いでしょう。

前受金と都度払い

エステサロンを開業する上でとても大事になってくるのが、お客様の支払いシステムを決めることです。多くのエステサロンでは、チケットや回数券などの前受金のシステムを導入しています。毎回施術後に支払う都度払いのみで運営しているサロンも多く存在しています。また、最近ではスポーツクラブのような「月会費制」のシステムを導入するサロンも増えてきました。
どのシステムにも、それぞれメリットデメリットがあります。どのようなサロンにしたいか、どれが合っているかをよく考えて、導入するシステムを決めることが大切です。

エステサロン開業を成功させるために

美容サロン 開業

まずは覚悟を決める

エステサロン開業を成功させるためには、何度も前述していますが「覚悟を決めること」が最も大事です。開業すると、憧れだったマイサロンに、自分の好きな内装や備品や化粧品などを揃えるなど、楽しいこともたくさんあります。一方、雇われていた時にはなかった「資金繰り」や「スタッフ雇用」など難しいタスクも増えます。最初は経験がないので、苦労することも多いと思います。
この苦労は開業すれば誰もが通る道ですが、覚悟が決まっていないとすぐに嫌になって辞めてしまうでしょう。特に自宅サロンやレンタルサロンの場合は開業の敷居が低い分、辞めるのも簡単です。しかし、せっかく自分の夢の実現手段であるエステサロン開業にこぎつけたのであれば、「まずは三年間継続しよう」と覚悟を決めて取り組むことが大事だと思います。

正しい知識とノウハウ

エステサロン開業を軌道に乗せ成功に導くためには、正しい経営の知識とノウハウが必要です。今までエステティシャンとしての技術や知識、カウンセリング、接客などの勉強はたくさんされてきたでしょう。けれど、経営についての勉強は未経験の方も多いのではないでしょうか。
経営についての正しい知識やノウハウがないと、最初なかなかうまくいかなかったり、たくさんの失敗をしてしまったり、遠回りして時間がかかってしまったりするケースがほとんどですが、正しい知識やノウハウがあれば、少しは近道できるかもしれません。

そのためには情報収集や同業者仲間が必要になります。最初は現場の仕事をしながら勉強の時間を確保するのはとても難しいことではありますが、時間を作って本を読んだりセミナーを受講したりすることが大切です。インターネットで検索するとエステサロン経営の本はたくさん出版されていますので、それを読むだけでもたくさんのヒントを得ることができます。また展示会やメーカー主催、コンサルティング会社主催のエステサロン経営セミナーでもたくさんの情報が得られます。同業者が集まる会に積極的に参加して仲間づくりしておくと、経営者にしかわからない悩みを共有できるなど、精神的に助かる部分もあると思います。

何より、エステティックが好きであること

最後に、長くエステサロン経営をしている方の共通点を考えてみると、結局は「エステティックが好きであること」だと言えます。「好きこそ物の上手なれ」と言いますが、やはりエステティックが好きであれば、経営も含め一生懸命自分の理想のサロンを追求できるでしょうし、日々の改善が成功に結びついていくものだと思います。したがって、開業する前に再度「自分は本当にエステティックの仕事が好きか」をじっくり考えてみることも、とても大切なことではないかと思います。

まとめ

  • 技術の向上だけではなく、経営の勉強もする
  • 自分のサロンに合ったシステムをしっかり考える
  • 絶対成功させるという覚悟を決める

エステティックサロンを開業し、成功させるのは簡単なことではありません。エステティシャンとしての勉強だけではなく、経営者としての勉強や経験も必要になってくるからです。「絶対に成功させるぞ」という強い覚悟を持って挑戦しましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

榎戸 淳一(えのきど じゅんいち)株式会社ES-ROOTS代表取締役

大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。「エステティック業界の健全化」に使命感を感じ、エステティック業界のコンサルティングを立ち上げる。2009年8月同社退職後、株式会社ES-ROOTSを立ち上げ、代表取締役に就任。2010年1月に東京都目黒区にオーガニックコスメ&エステサロン「フルーツルーツ」をオープンさせる。第2回エステティックグランプリでは、モデルサロン部門、フェイシャル技術部門で2冠を受賞。ビューティーワールドジャパンのメインステージ、たかの友梨ビューティクリニックなど、様々な講演講師も務める。一般社団法人エステティックグランプリの2代目理事長も務めた。山野美容芸術短期大学で「サロン経営学」の授業も担当した。著書に「サロンはスタッフ育成で99%決まる」「サロンとスタッフが輝く28+8の成功法則」「愛されるエステティシャンの秘密」がある。