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法人税の計算方法は?会社経営者が身に着けたい法人税の知識

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

原則やルールに複雑なイメージがある法人税ですが、基本的なポイントをおさえればそれほど難しいものではありません。むしろ法人税の基礎知識を身につけることで決算に役立てることや、場合によっては大きな節税効果を得られることもあります。そこで今回は知ることで様々なメリットがある、法人税の計算方法や基礎知識を紹介します。これから会社を設立する予定のある方、必見です。

この記事の目次

法人税とは

法人税は法人所得に応じて決定される税金のことです。累進課税である所得税とは違って法人所得に一定の税率をかけて計算されます。

原則一定の税率で計算される法人税

  • 所得の大小に関わらず一律の税率を乗じて計算される
  • 法人税の税率は比例税率や固定税率と呼ばれている
  • ただし法人の規模によって法人税率の優遇措置がある

法人税を計算する時の課税対象となる所得は大きく分けて下記の4つです。

  1. 事業年度の所得
  2. 会社が倒産、解散したときの清算所得
  3. 法人課税信託の所得
  4. 退職年金などの企業積立金

法人税を算出するための鍵となる益金と損金

法人税を計算するために、まずは益金損金について知る必要があります。簡単に言うと益金とは会社に入ってくるお金で、損金とは会社から出ていくお金のことを言います。つまり、益金から損金を引くとその年度の所得を算出することができます。

法人税は所得に税率をかけたものですので、計算式は下記のように表されます。

法人税額=法人所得(益金-損金)×実行税率

この益金と損金には様々なルールや原則があるので、それぞれについて説明します。

益金

益金のルールとして注意しなければならない点は下記の通りです。

  1. 権利確定主義:企業が利益を得る権利が決まった時点で、益金として算入する
  2. 無償取引も益金となる:商品やサービスを無料で提供する場合でも益金として算入する
  3. 資本等取引からは益金は発生しない:株主から出資を受けて株式を発行した時など、株式をめぐるお金のやりとりには益金は発生しない
  4. 借入金は益金ではない:将来的に返さなければいけない借入金は益金として算入しない

損金

損金に含まれるものには下記のものがあります。

  1. 原価
  2. 販売費、一般管理費などの費用
  3. 人件費、繰延資産、減価償却費
  4. 貸倒損失、貸倒引当金売却損、除却損、評価損などの損失

中小企業には軽減措置が認められている

原則一律の法人税ですが、利益額や会社の規模によって変わる実行税率が用いられています。代表的なものとして、資本金1億円以下の中小企業には軽減措置が認められています。

中小企業への法人税の軽減措置

  • 軽減措置として、中小企業には法人税の軽減税率が適用される
  • 軽減措置の対象になるのは資本金一億円以下の中小企業の課税所得のうち800万以下の部分
  • 軽減措置は中小企業の景気回復に配慮され、現在のところ平成29年3月31日まで延長される予定である

また軽減税率以外に資本金が1億円を超えるか超えないかによって様々な違いがあります。その代表的な例は下記の通りです。

資本金1億円以下の中小企業の法制上のメリット

  1. 交際費は800万円まで全額を損金とすることができる
  2. 30万円以下の少額減価償却資産が、年間300万円までであれば損金とすることができる
  3. 法人税の外形標準課税が免除される
  4. 法人住民税の均等割税金が安くなる

忘れてはならない法人事業税と法人住民税

企業が納める税金として、法人税以外に忘れてはならないのが地方税である法人事業税法人住民税です。

このそれぞれの特徴について紹介します。

法人事業税

  • 法人の事業について課される都道府県税のこと
  • 所得×法人事業税率で計算される
  • 所得に税率をかけて計算されるため、赤字の場合は納める法人事業税がゼロになる
  • 翌年度の損金に算入できる

法人住民税

  • 自治体の公的サービスを受ける対象として地方自治体に支払う地方税のこと
  • 法人税割+均等割で計算される

まとめ

経営者が会社を設立する前に知っておきたい法人税のポイントは下記の通りです。

  • 法人税の課税所得には企業所得や倒産した際の清算所得、企業積立金も含まれる
  • 法人税は「法人所得(益金-損金)×税率」の計算式で算定される
  • 会社に入ってくるお金である益金と出ていくお金の損金の原則やルールを身に着ける
  • 資本金1億円以下の中小企業には軽減措置や様々な法制上のメリットがある
  • 法人税だけでなく法人事業税と法人住民税も忘れず、その特徴とルールを知っておく

上記の5つのポイントをおさえ、法人税の仕組みを知った上で会社設立や決算に役立てましょう。場合によっては資本金を抑えることで大きな節税効果が得られることもありますので、慎重に検討してください。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

Airレジ マガジン編集部

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中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/